09-不動産

中古建物購入時に改良を加えた場合

中古建物購入時に改良を加えた場合

中古建物購入時に改良を加えた場合

中古建物購入時にリフォームを加えた場合

不動産オーナーが新規の投資物件を検討する際には、中古物件が候補によく挙がります。初期費用が抑えられ、高い利回りが見込まれるためです。ただ、物件が古いと、ある程度のリフォーム工事が必要なケースも少なくありません。税務では、中古物件の建物には、「中古資産の耐用年数」が適用できますが、そのリフォーム工事(改良費)の金額の多寡により、適用できる耐用年数が異なるため、注意が必要です。 

「リフォーム工事の金額」「耐用年数」
・本体価額の50%以下     簡便法可 
・本体価額の50%超       
 再取得価額の50%以下   折衷法可 
・再取得価額の50%超     法定耐用年数

「簡便法」が適用できる場合 

リフォーム工事の金額が、中古建物の本体価額の50%以下の場合には、中古建物に適用する耐用年数は、次の算式による「簡便法」によることが認められています。 

<「簡便法」の算式> 
  (法定耐用年数-経過年数)+経過年数×20% 

この算式による計算結果が2年未満の場合には、耐用年数は2年となります(端数が生じる場合には切り捨てます)。なお、法定耐用年数を全部経過している場合には、「法定耐用年数×20%」により計算します。

「法定耐用年数」を適用する場合 

リフォーム工事の金額が、再取得価額の50%を超える場合には、「中古資産の耐用年数」を用いることはできず、「法定耐用年数」が適用されます。この場合の「再取得価額」は「取得した中古資産と同じ新品を取得した場合の価額」を言います。建物の構造ごとの「建築単価」×「延べ床面積」で概算額を求める方法などが一般的です。

「折衷法」による耐用年数を適用する場合 

リフォーム工事の金額が、建物本体価額の50%を超え、再取得価額の50%以下である場合には、「簡便法」と「法定耐用年数」を折衷した方法により耐用年数を求めます。

<「折衷法」の算式> 
  (A+B)÷(a+b) 

A=中古建物の本体価額 
B=リフォーム工事の額 
a=A÷「簡便法」による年数 
b=B÷「法定耐用年数」による年数 
この場合の計算結果に1年未満の端数が生じる場合には、切り捨てます。


親の自宅を子が リフォームした時の課税

親の自宅を子が リフォームした時の課税

親の自宅を子が リフォームした時の課税

 親の自宅をリフォームするときに、子が工事代金を負担すると、建物は親の所有物であるため、贈与税が課税されます。

リフォーム部分の所有権は親に帰属する 

民法には不動産の所有者は、その不動産に従として付合した物の所有権を取得する取扱いがあります。「従として付合した」というのは、不動産に付着しているものをいい、子が工事代金を負担したリフォーム部分は建物本体に付着しており、分けることはできないので、そのまま親の所有物となって贈与関係が発生することになります。 

子の受けた損失を建物の持分で代物弁済 

しかし、贈与課税を発生させない方法があります。親が負担すべき工事代金を子が負担したにもかかわらず、リフォーム部分の所有権は親のものとなったのですから、子は自身の受けた損失に見合う償金を親に請求することができます。

一方、親にリフォーム工事代金を支払う資金がない場合は、子の償還請求に対し、工事代金の支払債務の返済を金銭の代わりに建物所有権の持分を子に代物弁済として移転させます。この場合、代物弁済を受けることについて、債権者である子の承諾が必要になります。

代物弁済には譲渡所得税が課税される 

代物弁済は譲渡所得の対象となる資産の譲渡として扱われるので、譲渡所得税の課税対象となります。代物弁済により消滅する債務金額を収入金額とし、建物の取得価額を控除した残額が譲渡所得となります。

そこで代物弁済により消滅する債務金額と等価となる建物持分を子に移転させることによって、譲渡所得がゼロとなり、課税を回避することができます、例えば、リフォーム前の建物時価を300万円、リフォーム工事代金を1,200 万円、リフォーム後の建物持分の移転割合を 80%(1,200 万円÷(300万円+1,200万円))に設定すると、譲渡所得はゼロとなり、課税されません。 

・収入金額=代物弁済する債務額1,200万円 

・取得費=(300万円+1,200万円)×80%  =1,200 万円 

・譲渡所得金額=収入金額-取得費=ゼロ (短期譲渡・長期譲渡ごとに区分計算する)

リフォーム前に親から建物の贈与または譲渡を受けておくことも可能です。
なお、居住用財産を他の者と共有とするための譲渡、親子間の譲渡には、3,000万円控除や軽減税率の特例は適用されません。 

蛍光灯は再来年でおしまい LED取替工事の取扱い

蛍光灯は再来年でおしまい LED取替工事の取扱い

蛍光灯は再来年でおしまい LED取替工事の取扱い

蛍光灯は令和9年にメーカー製造中止に 

いよいよ、一般照明用の蛍光灯(蛍光ランプ)が令和9年(2027年)12月をもって、製造中止となります。これは、令和 5 年(2023年)の国際会議での合意を受けたものです。蛍光灯は、廃棄処分を適切に行わないと、水銀が放出されます。そのため、環境や健康への配慮から製造・輸出入が禁止とされました。既に使用している製品の継続使用や在庫の売買・使用を禁止している訳ではありませんが、事業者においては、計画的な更新が望まれます。 

工事が不要なケース、必要なケース

たまに「LEDランプ取付けは工事不要」とも耳にします。一般家庭では、「引掛けシーリングローゼット」という角型や丸型の配線器具が天井に設置されています。この場合、LEDの照明器具をそのまま取り付けることができます。

一方、工事が必要となるのは、オフィスで用いられている蛍光灯器具に「安定器」が取り付けられている場合などです。この場合、LEDをそのまま使うと、安定器に直接電流が流れてしまいますので、「バイパス工事」が必要なケースがあります。また、直接配電を触らないと交換できないものは配電工事が必要です。LEDをそのまま使うと、節電効果が得られない、あるいは、漏電や火災の原因にもなる場合が出てきますので、日本照明工業会は、規格に準拠した器具交換を推奨しています。 

LED取替工事は「修繕費」でOK 

LEDランプの取替えについては、随分前から国税庁HPでも「修繕費として差し支えない」との見解が示されています。

一般に、固定資産の修理・改良のために支出した金銭のうち、固定資産の価値を高め、耐久性を増すものは、資本的支出として資産計上しなければなりません。蛍光灯からLEDに取り替えれば、節電効果や使用可能期間の延長が期待されます。

ただ、LEDは、照明設備(建物附属設備)がその効用を発揮するための一つの部品にすぎず、その部品の性能が高まったことだけで、建物附属設備としての価値が高まったとまでは言えません。そのため、法人税や所得税では、修繕費として処理して構わないという取扱いとなっています。

今年の改正税法 相続登記義務化と登録免許税

今年の改正税法
相続登記義務化と登録免許税

今年の改正税法 相続登記義務化と登録免許税

不動産登記法の改正で相続登記義務化

令和6年4月1日以降になると、不動産登記法の改正(令和3年4月 28 日公布)により、相続や遺贈により不動産を取得した相続人にとって、相続の開始があったことを知り、かつ、その所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請をすることが義務付けられることになりました。相続登記の義務化は、施行日前に相続の開始があったものについても、遡って適用されます。義務違反は 10 万円以下の過料の対象です。

「相続人申告登記」の新設

3年以内に遺産分割が成立しない場合には、相続人が、登記官に対して、所有権の登記名義人について相続が開始した旨と、自らが相続人である旨を、相続登記の申請義務履行期間内(3年以内)に各人が申し出ることで、相続登記の申請義務は履行したものとみなされ、申し出を受けた登記官は職権登記を行います。これを「相続人申告登記」と言い、この場合の登録免許税は、職権登記の非課税の規定の適用と措置されます。
ただし、この相続人申告登記では、持分割合の記載はなく、仮の報告を記載したものとの扱いなので、所有権主張の根拠にはなりません。また、遺産分割成立から3年以内に遺産分割の内容を踏まえた所有権移転登記の申請をすることも義務とされました。

今年の登録免許税法の改正

なお、次の非課税措置も見直されています。
①相続により土地の所有権を取得した個人が相続登記をする前に死亡したときの当該死亡者を当該土地の所有権の登記名義人とするためにする登記の登録免許税(これは適用期限延長の見直し)
②不動産の価額が 100 万円以下の土地であるときの相続による所有権移転登記又は表題部所有者の相続人が受ける所有権保存登記についての登録免許税(この見直しは令和4年4月1日以後の登記から適用)

所有者不明土地関連はこれから

なお、来年以降に施行とされている所有者不明土地関連の民法・不動産登記法・相続土地国庫帰属法の改正・創設に伴う新たな税制が、来年以降、目白押しで現れて来ると思われます。

今年の改正税法 縮減されない住宅ローン控除

今年の改正税法
縮減されない住宅ローン控除

今年の改正税法 縮減されない住宅ローン控除

住宅ローン控除の今年の改正内容

ローン返済の利息の支払額よりも控除額が多い状態、逆ザヤ状態が会計検査院の指摘で問題視されていました。消費税率 10%引上げに伴う措置期間も終了でした。
それらへの対応として、控除率が1%から 0.7%に減少となり、所得要件も 3000 万円以下から 2000 万円以下となり、控除対象年末借入金残高限度額も 4000 万円から2000 万円(新築等で 2023 年末入居までなら 3000 万円)に縮減となり、控除期間 13年も 10 年(新築等で令和5年末入居までなら 13 年)に短縮となりました。
しかし、これらの縮減の例外があります。

非縮減その1 カーボンニュートラル住宅

2050 年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするカーボンニュートラルの実現を目指すため、省エネ性能の高い認定住宅の新築等に限り、住宅ローン控除の借入限度額を、令和5年末入居までなら 5000万円(エネルギー消費性能向上住宅については 4500 万円又は 4000 万円)に増額、令和7年末入居までだと 4500 万円(エネルギー消費性能向上住宅については 3500 万円又は 3000 万円)に増額、控除期間も 13 年とされます。

非縮減その 2 コロナ税特法

昨年の住宅ローン控除関係の改正税法は、コロナ税特法で立法されています。そこでは、令和3年9月 30 日までに契約した新築注文住宅、令和3年 11 月 30 日までに契約した分譲住宅・中古住宅の取得と増改築等、これらを令和4年 12 月 31 日までの間に自己の居住の用に供した場合には、縮減前の昨年の制度がそのまま適用になります。

コロナ税特法の規定が措置法で新設

今年の税制改正大綱の中に、合計所得金額 1000 万円以下の者に限り床面積要件を40 ㎡に緩和する、と書かれています。しかし、昨年の税制改正大綱にも、合計所得金額 1000 万円以下の者については床面積 40㎡から 50 ㎡までの住宅も対象とする特例措置を講ずる、と書かれています。
床面積要件の緩和は、既に昨年に措置済みのことなのに、少し変ですね。
これは、昨年は特別にコロナ税特法での措置としたが、今年は通常通りの租税特別措置法での措置として新設立法としたことの意味のようです。ただ、両規定で期間がかぶっているところがあるので、上記の「非縮減その 2」が生じているわけです。

換価分割の課税

換価分割の課税

換価分割の課税

実家の土地を相続したものの、相続人には持ち家がある場合、たとえ家族の思い出が詰まった懐かしい家であっても、取り壊して売却せざるを得なくなることがあります。このようなとき、土地の売却代金を相続人の間で分ける換価分割が行われます。

相続税と譲渡所得税

相続開始の後に売却するのであれば、相続税評価額(路線価や倍率評価)で相続税を計算し、譲渡所得税は、被相続人の取得価額と売却価額をもとに計算します。相続税と譲渡所得税が課税されますが、相続税は遺産の取得に対して課税されるのに対し、譲渡所得税は、被相続人の取得時から蓄積されたキャピタルゲインの実現に対する課税ですので、それぞれ異なり、二重課税とは考えられていません。
また、譲渡所得の計算では、先に課税された相続税のうち、土地の価額に対応する部分は、取得費に加算され、その分、譲渡所得税の負担は少なくなります。
なお、相続開始前に、土地の売買契約が締結されていたときは、売却価額で相続税が課されることがあるので注意しましょう。

分割協議が未了のときは

申告期限までに遺産分割協議が調ったときは、相続税も譲渡所得税も遺産分割の割合で按分しますが、分割協議が調わないときは、どちらも法定相続分で計算されます。
相続税の申告期限後に遺産分割協議が調った場合は、修正申告または更正の請求により相続人の間で相続税の負担を精算することができます。しかし、譲渡所得税については、申告期限後に分割協議が調ったとしても遺産分割の割合で修正申告や更正の請求をすることはできず、法定相続分での申告のままとなります。税務署からすれば一度、納税が行われているので申告期限後の分割の変更は、相続人の間で精算してくださいという考え方のようです。

隠れた債務が見つかったときは

相続は実家の土地・建物だけと思っていたら、実は、親が生前、親族から金銭の支援を受けていたことがわかることがあります。
このようなときは、親族間の争いでもある場合を除き、売却代金の一部を債務の返済に充当することになります。親族から親が金銭支援を受けた当時の事情を聞いて納得できる場合、これまでの親族の支援に感謝して親の債務を引き継ぎ、債権債務関係を清算することで相続手続きは終わります。

租税法律主義と租税公平主義

租税法律主義と租税公平主義

租税法律主義と租税公平主義

憲法は、国民に法律の定めのない課税はされないこと(租税法律主義)、租税は同様の状況の下で一人一人、同様に取り扱われること(租税公平主義、平等原則)を定めていますが、被相続人が取得した不動産の評価を路線価ではなく、鑑定評価額とした課税処分を巡り、租税公平主義の解釈が争われた裁判で国の勝訴が確定しました。

相続税法の時価を巡る解釈の違い

課税庁は、不動産の鑑定評価額が路線価と比べ、約4倍のかい離があること、取得資金を借入金でまかない、結果、相続税の課税価格を基礎控除の範囲に収め、相続税をゼロとしたことから、鑑定評価額による更正処分を行いました。
納税者は、この処分に対し、路線価は相続税法に定める時価として通達で公表されており、鑑定評価額による評価では租税の法的安定性が失われ、課税上の予測可能性がなくなること、同様の不動産を有して路線価が適用される他の納税者と比べ、公平な取扱いではなくなる旨を主張しました。

通達は法律ではないが拠り所となる現実も

ところで通達は、税務署内部の行政執行の内容を下達したもので法律ではありません。しかし、通達は納税者に公知され、課税上の拠り所として、通達の評価に従った申告が行われる現実もあります。

実質的な租税負担の公平

最高裁は、通達に従う画一的な評価は公知の事実であり、課税庁が特定の者の財産についてのみ通達に定める評価額を上回る価額で評価することは、合理的な理由がない限り平等原則に違反するとしました。
その上で銀行から借り入れ、不動産を購入して相続税負担の軽減を意図した行為は、購入や借入をしない又はできない他の納税者との間で看過し難い不均衡を生じさせ、実質的な租税負担の公平に反している。合理的理由があるので鑑定評価額による評価は平等原則に違反しないと判示しました。

租税法律主義と租税公平主義の再考

路線価による評価方法を通達で公開しているにもかかわらず、課税庁が異なる評価を行うのであれば、納税者は安心して経済取引ができなくなります。裁判所の判示した実質的な租税負担の公平と路線価による画一的な評価による公平を使い分けすることは誰にとっての公平か、課税実務を分かりにくくしてしまいます。租税回避の防止が目的であれば、課税上の取扱いを明らかにする法整備が必要ではないでしょうか。

不動産所得の事業的規模とは?

不動産所得の事業的規模とは?

不動産所得の事業的規模とは?


青色申告者が不動産所得を申告する場合、貸室が 5 棟 10 室に届かない場合でも、賃料収入の大きさや賃貸活動の状況などによっては、貸付けが事業的規模に該当すると認めてもらえることもあります。

事業性が認められる場合の特典

不動産所得が事業として認められた場合には、以下の特典が受けられます。
① 建物取壊、除却損の全額を経費に算入
② 貸倒損失を回収不能の年に経費に算入
③ 青色専従者給与が適用可
④ 複式簿記の記帳で 55 万円控除(電子帳簿保存又は e-Tax により 65 万円控除)

社会通念としての事業規模

貸付けが事業として行われているかについて、国税庁は「社会通念上、事業と称するに至る程度の規模」と定義しており、5 棟 10室基準はその例示として示されていますが、判例では「5棟 10 室基準を満たせば事業として行われているものとするという十分条件を定めたにすぎず、当該基準を満たしていなかったとしても、これをもって直ちに社会通念上事業に当たらないということはできないと解する」と示されています。
事業性は賃貸の営利性、継続性や危険負担、精神的・肉体的労力の程度などで個別に判定されます。賃借人が同族会社で安定した賃貸先のため、リスクはないとして事業性が認められなかった判例もあります。

賃貸人のリスクは必ずしも小さくない

不動産賃貸は、事業所得を生む事業と比べ、精神的・肉体的負担は少なく、賃借人が入居してしまえば、設備の不具合でも起きない限り、手間はかからないといえます。
一方、退去時の原状回復、建替時の立退交渉などは負担を伴い、また最近はリモートワークで間取りが少なく狭い物件は、敬遠されがちとなり、リフォームも必要となります。その他、地震による建物の倒壊リスクや、火事の延焼や類焼リスクなど賃貸する側には相応の負担が生じます。

事業性を認めてもらうためには

5棟 10 室まで至らなくても、賃料収入や不動産所得で相応の規模が確保されているのであれば事業性は一定程度、備えているとも言えます。継続的に賃貸を行い、修繕やクレーム対応などきめ細かな賃貸管理は事業性を高めることにもつながります。事業的規模に該当するか気になる時は、税務署に貸室の数や収入金額、事業状況を説明して確認を受けるのもよいかもしれません。

住宅ローン控除 令和 4 年入居でも改正前の条件適用

住宅ローン控除
令和 4 年入居でも改正前の条件適用

住宅ローン控除 令和 4 年入居でも改正前の条件適用

改正された住宅ローン控除

令和 4 年以後の住宅ローン控除は、控除率、控除期間が見直され、さらに環境性能に応じて借入限度額が 4 つに区分されます。

令和 3 年改正の特例延長が生きている

住宅ローン控除は基本的に入居を開始した年分の条件で適用されますが、令和 4 年入居の場合は 2 パターンの取扱いが存在します。
注文住宅の場合は令和 2 年 10 月から令和3年9月末までに請負契約を締結、分譲住宅の場合は令和 2 年 12 月から令和 3 年 11月末までに売買契約を締結したものについては、令和 3 年度税制改正の住宅ローン控除の特例の延長により、令和 4 年度税制改正の前の控除率等での適用となります。

来年の確定申告時にはご注意を

上記の表のように、控除される金額等が異なる令和 4 年開始の住宅ローン控除が存在します。来年の確定申告時には誤りがないように注意したいですね。
なお、すでに令和 3 年以前に入居して、住宅ローン控除の適用を受けている場合については、令和 4 年以降控除率が下がることはありません。

 

建物賃貸借に係る保証金から差し 引く原状回復工事費用

建物賃貸借に係る保証金から差し
引く原状回復工事費用

建物賃貸借に係る保証金から差し 引く原状回復工事費用

原状回復工事費用とは?

賃借人がアパートやマンションを退去する時、次の入居者に貸せる程度にきれいすることが、賃貸借契約書では謳われております。これを原状回復工事費用と言います。
一昔前は、その費用は立場の弱い賃借人がすべて負担しておりましたが、裁判で争った事例もあり、現在では年月を経ることによる通常損耗(壁紙の劣化等)は賃借人が賃貸人に支払った家賃で填補されているとして、賃貸人の負担となっております。
それを超える損失(備え付け器具等の破損等)は賃借人の負担となります。
実務では賃貸借契約時に詳細にどちらが何を負担するかを取り決めている場合がほとんどです。

問題は賃借人の負担する原状回復工事費用

アパート・マンションの家賃収入は居住用ですから消費税は当然非課税です。
賃貸人の負担する原状回復工事費用は家賃収入を得るための費用ですから、非課税対応仕入れとなり当然にも支払った消費税は消費税としては認識されず修繕費となります。賃借人の負担する原状回復費用は多くの場合、賃借時に賃貸人に預けた敷金や保証金で支払われ、残金が賃借人に戻ってきます。この賃貸人が賃借人の負担する原状回復工事費用を差し引いて敷金や保証金を返却した場合、差し引いた原状回復工事費用は賃貸人の役務の提供にあたるから賃貸人の収入で、なおかつ消費税の課税取引だと国税当局は言っております。

常識として

賃貸人は原状回復工事を請け負った工事会社にかかった費用を便宜上まとめて支払い、賃借人の負担分を預かっていた敷金や保証金から差し引いて返しただけです。
常識としては単なる「立替金」です。

専門家の非常識

上記取引を経理処理すると、以下になります。

原状回復工事費用を工事会社に支払時
(修繕費)全額/(現預金)全額

賃借人に負担分を差し引いて返却時
(保証金)全額/(雑収入)負担分
                               /(現預金)差額
(雑収入)が(修繕費)となる場合もあります。いずれにせよ費用と収入で処理されます。この辺からの非常識と思われます。