玉田篤志

職場での熱中症対策

職場での熱中症対策

職場での熱中症対策

熱中症対策は労働災害の予防

まだまだ油断のならない暑さが続きます。猛暑の中での作業は、屋外ではもちろん、屋内で行う場合でも、心身に大きな影響を与え、疾病や事故等の労働災害につながる危険があります。職場において熱中症を正しく理解し、職場全体で熱中症に対する高い予防意識を持つことが、職場での熱中症発症や重症化を未然に防ぐためには欠かせません。 
職場における熱中症対策は、労働安全衛生管理と労働衛生教育に大別できます。 

熱中症対策としての労働安全衛生管理 

職場における熱中症対策として、労働安全衛生管理を講じる場合には、次の3つの視点から考える必要があります。

① 作業環境管理 
作業をする環境の中で、熱中症の原因となりそうなものを、できる限り除去することが必要です。熱中症では、高温多湿、炎天下での作業が原因となるので、体温を下げるための備品や水分補給の準備、涼しい休憩場所の確保などが作業環境管理にあたります。 

② 作業管理 
作業そのものの中に、熱中症の原因となりそうなものがある場合には、これを除去する必要があります。具体的には、厳しい作業環境で長い時間作業を行えば熱中症のリスクは高まりますので、涼しい場所で小まめに休憩時間を確保することなどが必要になるでしょう。 

③ 健康管理 
睡眠不足や朝食抜き(偏った食生活)などは、免疫力を弱める原因になります。健康診断結果や日頃のコミュニケーション等を通じて労働者の健康状態を把握し、異常を感じたら無理をさせないことが肝要です。

熱中症対策としての労働衛生教育 

会社が熱中症対策として、労働安全衛生管理を整えても、労働者個人に自覚がなければ効果が半減してしまいます。職場で熱中症を起こさないために、そこで働く1人1 人の熱中症に対する知識や意識の向上が必要になります。 
そのためには、日頃からの労働衛生教育も重要です。熱中症対策としては、熱中症発生のメカニズムや症状、熱中症の症状が見られた時の緊急時の対応などの教育指導を行うことが大切です。

税金よもやま話 頂き女子と税金の関係

税金よもやま話 頂き女子と税金の関係

税金よもやま話 頂き女子と税金の関係

頂き女子事件の税目は「所得税」? 

SNS 上で「頂き女子りりちゃん」を自称し、男性に恋愛感情を抱かせて1億5,000万円余りをだまし取ったとして、詐欺などの罪に問われている「頂き女子事件」は、額面の大きさや「パパ活のマニュアル販売」といったセンセーショナルな内容から話題になりました。ちなみにパパ活とは、若い女性が中年男性と食事やデート等をして、見返りに金銭を受け取る活動のことです。
また、この事件は詐欺の他にも令和4年までの2年間に得た1億1,000万円の所得について期限までに申告せず、所得税およそ4,000 万円を脱税したとして、所得税法違反の罪にも問われています。「お金を貰っているだけだから、かかるとしても贈与税じゃないの?」と思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、男性からお金を貰うための手法をマニュアル化しており「パパ活というサービスを提供している」と判定されたのだと考えられます。

犯罪収益でも課税される 

所得税の取扱いを定めている「所得税基本通達」に、「収入金額とすべき金額には、その収入の基因となった行為が適法であるかどうかを問わない」という一文が存在します。今回のケースのような「個人が詐欺により不法に取得した収入」でも、所得税が課されます。その半面、詐欺に遭った人については盗難等で受けられる雑損控除が適用されません。詐欺で得た金額は所得になり、詐欺によって被害を受けた金額は所得控除にならないのは、いささかバランスを欠いているような気がします。 
なお、詐欺を行った人が被害者に弁済した等で、所得が減少した場合は、5年以内であれば更正の請求が可能です。

パパ活は贈与か所得か 

好意を持った中年のおじさん(パパ)に誘われて食事をしたら、「お小遣い」として現金を貰った、ということは少ないかもしれませんが、そんな場合は贈与ということで良いかもしれません。ただ、サービスを提供した見返りに貰った金銭は所得と判定されますから、パパ活自体の「会ってコミュニケーション」の対価であるとすれば、贈与として判定されるケースは少ないのではないでしょうか。 


居住用財産譲渡の 3,000万円控除の要件

居住用財産譲渡の 3,000万円控除の要件

居住用財産譲渡の 3,000万円控除の要件

マイホームを売った時に使える特例 

マイホーム(居住用財産)を売ったときに、所有期間の長短に関係なく譲渡所得から最高3,000 万円まで控除ができる特例を「居住用財産を譲渡した場合の 3,000 万円の特別控除の特例」といいます。

利用するためには様々な要件があり、国税庁は「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例適用チェック表」を用意しています。この表に売却する(売却した)マイホームを照らし合わせれば、この特例が利用できるか確認が可能です。代表する要件を簡単に見てみましょう。

居住用でなければもちろんダメ

他の居住用財産関係の特例と同じく、基本的には「住んでいなければダメ」です。別荘や仮住まい、セカンドハウスには適用できませんが、単身赴任等で家主が離れているものの、家族が生活しているといった場合はOKです。住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに家屋もしくは家屋と共に敷地等を売る場合に、特例が利用可能です。

家屋を取り壊した場合については、取り壊しから1年以内に売買契約をし、かつその間に貸付等に利用していないことが条件となります。 

他の特例との重複適用は基本NG 

3,000 万円の特別控除の特例は、長期譲渡所得の課税の特例(所有期間10年超で譲渡益6,000 万円以下の部分の税率を優遇)を併用できますが、居住用財産関係の特例や住宅ローン控除と併用することができません。併用できない期間も設定されており、居住用財産関係の特例については前々年、前年、当年に適用されていれば、3,000万円控除が受けられません。住宅ローン控除については居住年およびその前2年、その後3 年の計6年間に3,000 万円控除を受けた場合、住宅ローン控除の適用を受けることができなくなります。 

また、収用の場合の特別控除、特定期間に取得した土地等を譲渡した場合の特別控除、低未利用土地等を譲渡した場合の特別控除等、居住用でない土地に適用できる特例についても併用できません。

法定申告期限後に特例の選択替えもできませんから、申告時に慌てることのないよう、早めの検討・準備をしておきましょう。

代表取締役等住所非表示措置の創設-10月から非公開可能に!

代表取締役等住所非表示措置の創設-10月から非公開可能に!

代表取締役等住所非表示措置の創設-10月から非公開可能に!

登記の社長住所を非公開にできる制度創設

令和6年4月16日の商業登記規則等の一部を改正する省令(令和6年法務省令第28号)により、代表取締役等住所非表示措置が令和6年10月1日から施行されることとなりました。この措置は、株式会社の代表取締役、代表執行役又は代表清算人(以下「代表取締役等」といいます)の住所の一部を登記事項証明書や登記事項要約書、登記情報提供サービス(以下「登記事項証明書等」といいます)に表示しないこととする措置です。 

平たくいうと、これまで登記簿謄本で表示されていた社長の自宅住所を、一定の要件の下、表示しないようにする制度です。ただし、最小行政区画=市区町村まで(東京都においては特別区まで、指定都市においては区まで)は記載されます。

代表取締役等住所非表示措置の要件 

代表取締役等住所非表示措置を講ずることを希望する者は、登記官に対してその旨申し出る必要があります。この申出は、設立の登記や代表取締役等の就任の登記、代表取締役等の住所移転による変更の登記など、代表取締役等の住所が登記されることとなる登記の申請と同時にする場合に限りすることができます。そのため、住所の非表示だけを求めての申し出はできません。なお、申し出に際しては、株式会社が受取人として記載された書面がその本店の所在場所に宛てて配達証明郵便により送付されたことを証する書面等の添付が必要となります。 

非表示のデメリットも事前考慮が必要です 

代表取締役等住所非表示措置が講じられた場合には、登記事項証明書等によって会社代表者の住所を証明することができないこととなるため、金融機関から融資を受けるに当たって不都合が生じたり、不動産取引等に当たって必要な書類(会社の印鑑証明書等)が増えたりするなど、一定の支障が生じることが想定されます。 

そのため、代表取締役等住所非表示措置の申出をする前に、このような影響があり得ることについて、慎重かつ十分な検討が必要です。 

顧問の税理士や司法書士などと今後の事業展開とその際の非表示の影響をよく話し合っての検討をお勧めします。 

相続登記は3年以内に!

相続登記は3年以内に!

相続登記は3年以内に!

被相続人、相続人ともに高齢化が進み、相続が短い期間に連続して起きることが、今後、常態化するものと思われます。 

不動産の相続についても遺言や遺産分割協議により取得者を登記しないと、相続を重ねるうちに法定相続分で分割され、実質的な引き取り手はいなくなり、所有者不明土地となる原因となります。 

数次にわたり相続がされている場合は、法定相続人がたくさんいて、代襲相続人を含め、遺産分割協議で取得者を決めることが難航することも予測されます。早めの遺言書作成や遺産分割協議で土地の帰属者を決めることが必要です。

相続開始から3年以内に登記

 令和3年の法律改正で、令和6年4月1日以降に相続が開始した場合は、不動産の取得を知った日から3年以内の相続登記が義務化されました。また、令和6年4月1日前に相続が開始して取得した不動産は、令和9年3月 31 日までの猶予期間に相続登記が必要になります。正当な理由なく相続登記しない場合は、10万円以下の過料が課される可能性があります。 

相続人申告登記で過料を回避 

遺産分割協議が難航し、3年以内の相続登記が見込めない場合、相続登記義務を履行したものとみなす簡易な措置として「相続人申告登記制度」が、令和6年4月1日から開始されました。相続人は対象不動産を特定し、戸除籍謄本等を添付して、①所有権の登記名義人について相続が開始したこと、②自らが、その登記名義人の相続人であることを法務局の登記官に申し出ます。 

なお、相続人申告登記をした後、遺産分割協議によって不動産を取得した場合は、遺産分割の日から3年以内に、遺産分割の内容に応じた相続登記が必要になります。


相続登記の登録免許税の免税措置 

相続登記に伴う登録免許税については、令和7年3月 31 日までの登記について次の2つの免税措置があります。 

(1)相続により土地を取得した相続人が相続登記をしないで死亡した場合 相続人が相続により取得した土地の所有権移転登記を受ける前に死亡したときは、その死亡した相続人を登記名義人とする登記について、登録免許税は課されません。 

(2)不動産の価額が100万円以下の土地 土地の相続による所有権移転登記、表題部所有者の相続人が受ける所有権の保存登記について、登録免許税は課されません。 




定額減税が開始されます

定額減税が開始されます

定額減税が開始されます

 令和6年6月から始まる定額減税について、国税庁「定額減税特設サイト」では、制度紹介、Q&A、様式集が公開されています。合計所得金額1,805 万円以下の居住者は、令和6年分所得税額から本人3万円、同一生計配偶者と扶養親族1人につき3万円が控除され、令和6年分個人住民税所得割額から本人1万円、同一生計配偶者と扶養親族1人につき1万円が控除されます。 

給与に係る定額減税 

 給与支払者は、令和6年6月1日現在の在職者(基準日在職者)から扶養控除等申告書の提出を受けた場合(甲欄適用者)、6月1日以後、最初に支払う給与・賞与等の源泉徴収税額から月次減税額を順次控除します(月次減税事務)。年の中途で同一生計配偶者や扶養親族の異動などが生じた場合は、年末調整にて精算します(年調減税事務)。減税額は各人別控除事績簿を備えて管理し、源泉徴収票の摘要欄には、定額減税控除済額を記載します。扶養控除等申告書に記載していない合計所得金額900万円超の基準日在職者の同一生計配偶者や 16 歳未満の扶養親族には、「源泉徴収に係る定額減税のための申告書兼年末調整に係る定額減税のための申告書」等の提出を受けます。 


公的年金等に係る定額減税 

 公的年金等の支払いを受ける者は、公的年金等の受給者の扶養親族等申告書を提出することにより、6月1日以後、最初に支払う年金の源泉徴収税額から定額減税額を順次控除します。年の中途で同一生計配偶者や扶養親族の異動などが生じた場合は、年末調整にて精算します 

事業所得・不動産所得・退職所得の場合 

 事業所得・不動産所得のある納税者は、予定納税額から定額減税の本人分が控除されます。さらに、予定納税額の減額申請の手続により、同一生計配偶者分、扶養親族分の減税額相当額を控除できます。予定納税のない納税者は、確定申告にて定額減税額の控除を受けます。退職所得のある納税者は、源泉徴収時に定額減税額の控除は行われず、確定申告にて控除を受けます。

住民税額からの控除方法 

 住民税所得割額からの控除は、給与所得で特別徴収の場合、令和6年7月分から令和7年5月分の11か月で均等額を控除。普通徴収の場合、第1期分(令和6年6月分)から順次控除。公的年金等は、令和6年10月分の特別徴収税額から順次控除。控除しきれない額は、調整給付金で支給されます。  

国税庁からのお知らせ 令和7年1月から控えは印なしに

国税庁からのお知らせ 令和7年1月から控えは印なしに

国税庁からのお知らせ 令和7年1月から控えは印なしに

申告書等の控えに収受日付印を押さない

 国税庁は令和6年1月4日に、令和7年1月以降は申告書等の控えに収受日付印の押捺を行わないこととする、と発表しました。対象となる「申告書等」とは、国税に関する法律に基づく申告、申請、請求、届出その他の書類の他、国税庁・国税局・税務署に提出される全ての文書とのことです。

 令和7年1月からの書面申告等における申告書等の送付時には、申告書等の正本(提出用)のみを提出してください、とWeb上でお願いしています。また、必要に応じて自身で控えを作成、提出年月日の記録・管理をするようにも呼びかけています。


申告書等の提出事実を証明する方法

 例えば個人が融資を受ける、奨学金の申請を行う、保育園の手続きする、等の際に確定申告書の控えを要求されることがあります。ただ、この控えについては「収受印があること」が控えたりうる要件であり、収受印がない控えについては、個人の収入等が証明できないため、各種手続きに利用できない可能性が大です。

 オンラインサービスを利用せず、紙媒体で効力のある収入証明を手に入れる場合には、税務署に対して「保有個人情報の開示請求」を行うか、「納税証明書の交付請求」を行う必要があります。

 個人情報の開示請求は手数料300円、納税証明書は税目ごと1年度1枚につき400円です。

オンラインなら無料

 e-Taxを利用した申告であれば、申告等データの送信が完了した後に、税務署からの受信通知がメッセージボックスに格納されます。ここから申告書等のPDFファイルを無料でダウンロードすることができ、こちらには受付日時等が記載されますから、旧来の控えの役割を果たすものが欲しい人はe-Taxを活用しなさいね、という風に聞こえます。

 国税庁は税務行政のデジタル・トランスフォーメーション(DX)を進めているとしていて、その一環の措置とのことなのですが、便利な機能が増えて利便性が向上する方が多い一方、インターネット等のサービスを上手く使えない方にとっては不便になることは確かです。また、不便ならまだしも「手続き等ができない人」が出てきてしまわないか、少し心配になります。


年金は何歳からもらえば有利なの? 受給年齢の繰り上げ繰り下げ

年金は何歳からもらえば有利なの? 受給年齢の繰り上げ繰り下げ

年金は何歳からもらえば有利なの? 受給年齢の繰り上げ繰り下げ

年金の繰り上げ受給と繰り下げ受給

 老齢年金の受給開始は原則65歳からです。60歳から早めにもらうこともできます。65歳より年金受給を早める(繰り上げ受給)と、65歳受給より減額された額(1か月ごとに0.4%減額)で支給され一生その率は変わりません。 

 逆に65歳になっても元気で働けて収入もあるならば65歳より遅く(繰り下げ受給)申請できます。その場合は65歳受給より増額 (1か月毎に0.7%増額)されます。

 2022年4月からは繰り下げ年齢が70歳から75歳に引き上げられました(昭和27年4月2日以降生まれの方で未請求の方対象)。75歳で受給すると受け取る年金は最大84%増額になります。銀行定期預金の利息が年0.002%の時代に昨今これを上回る運用手段はないでしょう。

いつから年金をもらい始めるとお得なの?

 70歳までの繰り下げ制度は今までもありましたが、繰り下げをした人は国民年金では1.5%、厚生年金では0.9%しかいません。70歳までの就業が普通になれば増えるかもしれません。しかし繰り下げをためらわせる要因の最大の理由は自分の寿命です。自分の寿命がいつ来るかわからないので、もらい始めて数年で亡くなり、65歳から受給していた場合の額より低くなってしまうケースも考えられます。寿命は誰にもわかりませんので悩むことになります。

受給開始年齢の損益分岐点の計算結果

 繰り上げで受け取った方は77歳で65歳から受け取った方に追い抜かれます。70歳に繰り下げた場合は81歳で65歳開始を抜き、75歳開始は86歳で65歳開始を抜きます。繰り下げはおよそ11年超が分岐点になります。 

 2022年時点で男性の平均寿命は81.05歳、女性は87.09歳。これは平均値なので男性の死亡者数のピークは89歳、女性は92歳と結構遅いのですが、受給を遅らせすぎても短期間で死亡し、もらい損になるかもしれません。あるデータでは平均的な寿命の男性85歳、女性90歳を前提にすると70歳くらいで受給開始するのが最大値になるという計算結果も出ています。 

 自分の健康状態、いつまで働けるのか、預金等の資産はいくらか、年金を請求する前にライフプランについて考えてみましょう。 

令和6年度税制改正大綱 納税環境整備編

令和6年度税制改正大綱 納税環境整備編

令和6年度税制改正大綱 納税環境整備編

インボイス制度による確定申告の環境整備

   6年度はインボイス制度導入後、初めての確定申告になりますが、円滑な申告手続きが行われるよう税務署にて2割特例の周知や納税者に対する相談体制を確保します。

税務手続きのデジタル化推進

  法人がGビズIDを入力してe-Taxより申請等を行う際の識別符号、暗証符号の入力、電子署名、電子署名に係る電子証明書の送信を不要とし、国税の納付を行う際の識別符号、暗証符号の入力を不要とするなど利便性の向上をはかります。

隠ぺい・仮装による更正の請求は重加算

  隠ぺい・仮装の事実に基づき更正請求書を提出している場合は、重加算税の適用対象となるほか、地方税においても重加算金の適用対象となります。

  偽りその他不正の行為により国税を免れた場合、延滞税の計算期間から一定の期間を控除する特例が不適用となる措置について隠ぺい・仮装の事実に基づき更正請求書を提出していた一定の場合が加わります。

  この措置は、令和7年1月1日以後に法定申告期限等が到来する国税及び同日以後に申告書の提出期限が到来する地方税に適用されます。

偽り・不正行為に対する第二次納税義務

   偽りその他不正の行為により国税や地方団体の徴収金を免れ、又は還付を受けた株式会社等に徴収不足が認められたときは、その株式会社等を支配する役員等は、その免れ、又は還付を受けた額、又はその株式会社等の財産のうち、その役員等が移転を受けたもの及び移転をしたもののいずれか低い額を限度として第二次納税義務を負うこととされます。

  この措置は、令和7年1月1日以後に滞納となった国税及び同日以後に滞納となった一定の地方団体の徴収金に適用されます。

保全差押え等の解除期限の整備

  納税義務があると認められる者が不正に国税や地方団体の徴収金を免れたことの嫌疑等に基づき処分を受けた場合、税務署長が決定する金額を限度とした保全差押え、又はその保全差押金額について提供される担保に係る国税や地方団体の徴収金について納付すべき額の確定がない場合、その保全差押え又は担保を解除しなければならない期限は、保全差押金額を通知した日から1年(現行6月)を経過した日となります。

  この措置は、令和7年1月1日以後にされる保全差押金額の決定に適用されます。

令和6年度税制改正大綱 消費課税編

令和6年度税制改正大綱 消費課税編

令和6年度税制改正大綱 消費課税編

プラットフォーム課税の導入

  国外事業者からオンラインゲームや映画などの配信がデジタルプラットフォームを介して日本の消費者に適用された場合、電気通信利用役務の提供として消費税が課税され、国外事業者が申告納税義務を負います。しかし、税務署側では国外事業者の把握が困難であり、課税漏れが発生するため、国外事業者に代わり、プラットフォーム事業者が対価を収受したとみなして課税するプラットフォーム課税を導入します。

  令和7年4月1日以後に行われる電気通信利用役務の提供に適用されます。

事業者免税点制度の特例の見直し

  国外事業者に対する納税義務免除の特例の判定基準を見直します。特定期間の特例は給与支払額による判定を除外するほか、新設法人に対する特例は、国外事業者が基準期間を有する場合においても国内における事業開始の日に資本金の額により判定を行い、特定新規設立法人に対する特例は、国外分を含む収入金額が50億円を超える者に直接、間接に支配される法人を特定新規設立法人の範囲に加えます。

  令和6年10月1日以後に開始する課税期間から適用されます。

簡易課税制度等の見直し

 課税期間の初日に所得税法上または法人税法上の恒久的施設(PE)を有しない国外事業者には、簡易課税制度及び2割特例の適用は認められなくなります。

 令和6年10月1日以後に開始する課税期間から適用されます。

金、白金の地金等は200万円で高額特定資産

 金や白金の地金等は、その課税期間の取得合計額が200万円以上の場合を高額特定資産の範囲に含め、仕入等の日の属する課税期間の初日から3年間は原則課税が強制され、簡易課税制度の適用が制限されます。

 令和6年4月1日以後に行われる課税仕入れ及び保税地域からの引取りに適用されます。

仕入税額控除の経過措置は10億円を上限

 免税事業者など適格請求書発行事業者以外の者からの課税仕入れに係る税額控除についての経過措置は、当初3年間は仕入税額相当額の80%を、その後3年間は50%を仕入税額とみなして仕入税額控除を認めるものですが、この制度の適用を一の者からの課税仕入れで年間10億円までとします。

 令和6年10月1日以後に開始する課税期間から適用されます。