07-労務

令和6年度地域別最低賃金

令和6年度地域別最低賃金

令和6年度地域別最低賃金

47 都道府県で50円~84円の引上げ

令和6年地域別最低賃金改定額が中央最低賃金審議会で取りまとめられ公表されました。各都道府県労働局長の決定により10 月1日より順次発令されます。

地域別最低賃金の全国整合性を図るため目安額のランクを設けていますが、3区分の改定額を見て行くとAから C の 47 都道府県すべてが50円以上引き上げられ、引上げ幅の最高は徳島県の84円でした。額では東京都が時給1,163円と最高です。 

最高額1,163 円と最低額951円の金額差は212円です。差の割合は81.8%と地域格差は少しずつ改善しています。

28 県で目安を上回る回答相次ぐ

近年最低賃金は引上げの流れが続いていますが、消費者物価の上昇が大きいことも背景にあり、最低賃金引上げ幅も上昇しています。目安を上回る引上げが賃金の低い地方で相次ぎました。少しでも近隣の地域より高くすることで地域経済を活性化して若年層の流出を防ぎ、労働人口を確保するためには目安より高い金額が必須と上乗せした回答が27県ありました。引上げ幅の全国加重平均額は 51 円で過去最高となっています。 

令和6年度の改定額は以下の通り

・50 円改定  
東京1163円 神奈川1162円 埼玉1078円 千葉1076円 北海道1010円 宮城 973円 栃木1004円 群馬 985円 富山998円  山梨988円 長野 998円 静岡1034円  愛知1077円 三重 1023円 滋賀 1017円 京都1058円 大阪1114円 奈良 986円 岡山 982円 広島 1020円

・51 円改定  
石川 984円  岐阜1001円 兵庫1052円 和歌山980円 山口 979円 福岡992円 

・52 円改定 
茨城1005円 香川970円 

・53 円改定  
福井984円 

・54 円改定  
秋田951円 新潟985円 熊本952円 

・55 円改定 
青森953円  山形955円 福島955円 高知952円  大分954円 長崎953円 宮崎952円 

・56 円改定  
佐賀956円 鹿児島953円 沖縄952円 

・57 円改定  
鳥取 957円 

・58 円改定 
島根 962円 

・59 円改定 
愛媛 956円 岩手952円 

・84 円改定  
徳島 980円 

職場での熱中症対策

職場での熱中症対策

職場での熱中症対策

熱中症対策は労働災害の予防

まだまだ油断のならない暑さが続きます。猛暑の中での作業は、屋外ではもちろん、屋内で行う場合でも、心身に大きな影響を与え、疾病や事故等の労働災害につながる危険があります。職場において熱中症を正しく理解し、職場全体で熱中症に対する高い予防意識を持つことが、職場での熱中症発症や重症化を未然に防ぐためには欠かせません。 
職場における熱中症対策は、労働安全衛生管理と労働衛生教育に大別できます。 

熱中症対策としての労働安全衛生管理 

職場における熱中症対策として、労働安全衛生管理を講じる場合には、次の3つの視点から考える必要があります。

① 作業環境管理 
作業をする環境の中で、熱中症の原因となりそうなものを、できる限り除去することが必要です。熱中症では、高温多湿、炎天下での作業が原因となるので、体温を下げるための備品や水分補給の準備、涼しい休憩場所の確保などが作業環境管理にあたります。 

② 作業管理 
作業そのものの中に、熱中症の原因となりそうなものがある場合には、これを除去する必要があります。具体的には、厳しい作業環境で長い時間作業を行えば熱中症のリスクは高まりますので、涼しい場所で小まめに休憩時間を確保することなどが必要になるでしょう。 

③ 健康管理 
睡眠不足や朝食抜き(偏った食生活)などは、免疫力を弱める原因になります。健康診断結果や日頃のコミュニケーション等を通じて労働者の健康状態を把握し、異常を感じたら無理をさせないことが肝要です。

熱中症対策としての労働衛生教育 

会社が熱中症対策として、労働安全衛生管理を整えても、労働者個人に自覚がなければ効果が半減してしまいます。職場で熱中症を起こさないために、そこで働く1人1 人の熱中症に対する知識や意識の向上が必要になります。 
そのためには、日頃からの労働衛生教育も重要です。熱中症対策としては、熱中症発生のメカニズムや症状、熱中症の症状が見られた時の緊急時の対応などの教育指導を行うことが大切です。

残業代が変わる! 来年 4 月から

残業代が変わる!
来年 4 月から

残業代が変わる! 来年 4 月から

割増率が変わることをご存じですか?

現行では法定労働時間(1 日 8 時間、1 週40 時間)を超える時間外労働(法定時間外労働)に対して事業主は 25%以上の率で計算した割増賃金を支払うこととなっています。
2023 年 4 月から中小企業も月 60 時間を超える時間外労働は割増率が引き上げられます。すでに大企業は 2010 年 4 月から適用されていた割増率ですが、長らく猶予期間が適用されていた中小企業においても、いよいよ 2023 年 4 月からは月 60 時間超えの残業の割増率が現在の 25%以上から 50%以上に引き上げられます。
例えば時給 1200 円の方が残業すると時給は 1500 円ですが、その方が 60 時間以上の残業をすると時給 1800 円となります。60時間を超える時間外労働を深夜(22 時から5 時)に行う時は 75%割増しになります。
恒常的に残業が 60 時間を超えている事業所は考えなくてはならないでしょう。
さらに、2022 年 4 月からの残業代未払いに対して遡及支払いが 2 年から 3 年に延びていますので、残業が多い事業所は対策を考える必要があるでしょう。

今から対策をたてる

①月60時間を超える法定時間外労働を行った労働者の健康確保のため、引き上げ分の割増賃金の代わりに有給の代替休暇を付与することができます。
②労働時間の適正な現状把握をする。
勤怠管理システムの導入などで勤怠管理をする。長時間労働を是正管理する。
③リモートワークで管理者が現場にいない時は自己申告になりますが、自己申告とパソコンの使用時間が違っているか、上司管理職は労働時間の上限を設けず、法定労働時間の上限を超えているようであれば、習慣的に行っていないか注意をする必要があります。
④割増率の引き上げに併せて就業規則の変更が必要な時があります。
勤怠管理システム導入や就業規則改定費等に「働き方改革推進支援助成金」や「業務改善助成金」等、環境整備に必要な費用の一部が助成される制度があります。

男性の育休、取得のハードル

男性の育休、取得のハードル

男性の育休、取得のハードル

男性の育休取得を促す改正

男性も子育てのための休みを取りやすくする改正育児・介護休業法が創設されました。
男性も子供の出生後 8 週間以内に 4 週間迄 2 回に分けて「産休」を取得でき、企業には対象社員に取得を働きかけるような義務付けがあります(2022 年秋施行予定)。
この流れは拡大することはあっても縮小されることはないでしょう。男性だけが長時間働き、女性が家事育児中心というスタイルは少子高齢化で働き手が減る中、女性の労働力が重要であり男女ともに働けるライフスタイルに変化していくでしょう。

男性の育休を阻むもの

日本の男性の育休取得が進まないのは、制度があっても職場の慣習から取得にためらう人が多いということです。法改正をしても取得を進める上で根本的な問題は別のところにあります。マイボイスコムの調査では「休業中の給与の 100%補償」(54.8%)、「育児休業取得に否定的な上司や同僚の意識改革」(41.2%)、「育休取得がキャリアに不利にならないという安心感」(40.1%)とする回答が多くありました。男性自身、職場の無理解が取得の壁と感じていることが浮かび上がりました。

男女ともに子育てしやすい環境に

日本は先進国の中でも男性の家事・育児参加が少なく少子化の要因とも指摘されています。今回の改正で出生直後に女性の身体的・精神的負担を軽減できる意義は大きいと言えるでしょう。継続的な男性の育児参加が女性に偏りがちな子育てを分担することで女性の就労継続ともなるでしょう。
一方で企業の労務管理などは複雑になる面もあります。企業も労働時間だけでなく中身で評価したり、キャリアアップのルートが複数あったり働く時間や場所を柔軟にしたりと対応が必要な時代となるでしょう。
今、コロナウィルス危機で世界的に出生率は急減しており各国の成長に陰りが見えます。出生率の低下が将来の労働力減少で経済成長力を押し下げるため欧米や中国・韓国等でも育児支援に力を入れています。
日本ではようやく「子ども庁」創設論が出てきたところです。

採用において 紹介予定派遣の活用

採用において
紹介予定派遣の活用

採用において 紹介予定派遣の活用

求人状況が改善、求人媒体の動向

アフターコロナで求人が増えて来ると、再び人材不足になることが予想されます。
「マイナビ中途採用状況 2021」では企業が求人に利用したサービスは転職サイト、職業安定所、次いで人材紹介会社 54.5%であり、実際効果があったとしたのは転職サイトに次いで人材紹介会社が 2 位 40.5%となっています。人材紹介会社の利用者が増える傾向にありますが、職業紹介サービス等は「料金が高い等」の不安が 82.9%と高く、経済的な負担が指摘されています。
以上のような状況下で紹介予定派遣の活用が注目されています。

紹介予定派遣とは?

労働者派遣のうち派遣元が派遣先に対して職業紹介を行いまた予定するものを言い、職業紹介によって派遣労働者が派遣先に雇用されることを派遣終了前に約束されることを含むとされています。
紹介予定派遣を行う期間は同一の労働者について最長 6 か月以内とされていて、雇用主が設定する試用期間に似ています。事実上は派遣労働者の働きぶりや資質などから自社が採用する人物を見極める期間として機能していると言えます。
紹介予定派遣は労働者派遣で禁止されている事前面接や履歴書の送付などの派遣労働者を特定することが可能とされています。
派遣先はミスマッチを防ぐためにも詳しい求人条件を明らかにするようにしたいものです。
派遣元も派遣労働者の直接雇用の紹介手数料でビジネスモデルを築くことができ、労働者も正社員雇用を望む人は 42.4%ということから紹介予定派遣で転職に伴うリスクを減らし正社員を目指す期間とされます。

助成金の活用

紹介予定派遣ではキャリアアップ助成金と人材開発支援助成金が利用できます。有期雇用労働者の正社員化等と派遣先と派遣元が共同で職業訓練実施計画を作成し OJT、Off-JT の組み合わせで訓練を実施し助成されるものです。
職業紹介の手数料は普通年収の 30~40%と言われているので、助成金を利用するとそれくらいの額を受けられる可能性があります。

マイナンバーカードを健康保険証として 使うと診察料が高くなる?

マイナンバーカードを健康保険証として
使うと診察料が高くなる?

マイナンバーカードを健康保険証として 使うと診察料が高くなる?

マイナンバーカードで診察料が高くなる?

2021(令和3)年 10 月から、医療機関・薬局でマイナンバーカードの健康保険証としての活用が開始されました。医療機関の2割弱で既に導入されているようです。
マイナンバーカードを健康保険証として利用すると診療報酬が加算され、診察料や調剤料が高くなることをご存じですか?
2022(令和4)年の診療報酬改定に「電子的保険医療情報活用加算」が新設され、医療機関や調剤薬局で、マイナンバーカードを使って顔認証付きカードリーダーで資格確認を行った患者は、自己負担3割の場合で、初診 21 円、再診 12 円、調剤9円の新たな負担が生じることになりました。

マイナンバー加算の見直しの動き

マイナンバーカードの利用により診療報酬が加算されることについて、「マイナンバーカード利用で診察料が高くなるのはおかしい」、「従来の保険証を提示した方が安くなるなら、マイナンバーカードは使わない」といった不満の声が出ていました。
当該加算は、カードリーダーなどのオンライン機器設置を医療機関や調剤薬局に促し、(患者同意が前提で)過去に処方された薬の情報を医療機関で共有するなどの目的での加算でした。
しかし、患者負担が増えるのでは、マイナンバーカードの普及促進と矛盾しているのではないかと思います。
政府はマイナンバーカードの健康保険証利用による診療報酬加算について、廃止を含めた見直しを検討しているようですので、今後の動向が注目されます。

将来的には健康保険証が廃止される?

一方、政府はマイナンバー保険証の普及に向け、従来の保険証を原則廃止する方向で検討に入ったようです。
マイナンバーカードの保険証活用導入前から、健康保険証の廃止は検討されていましたが、国民健康保険(各自治体)、健康保険組合、協会けんぽなど保険者が多数存在しますので、完全廃止までには相当時間が掛かるものと思われます。

今更ですが残業手当の 計算方法について

今更ですが残業手当の
計算方法について

今更ですが残業手当の 計算方法について

勘違いしやすい残業計算のポイント

時間外労働や休日労働をさせた場合に原則的にいわゆる割増賃金(残業代)を支払うことになりますが、その計算方法において正しく理解しているとは限らず勘違いして計算しているケースがあります。

割増賃金の算出時に除外できる賃金

給与の時給単価を計算する際には基本給と各種手当も対象です。しかし労働と直接的な関係が薄く個人的事情に基づいて支給されるもので、対象から除外できる賃金があります。
ア、家族手当、イ、通勤手当、ウ、別居手当、エ、子女教育手当、オ、住宅手当、カ、1 か月を超える期間ごとに支払われる賃金、このうち家族手当と通勤手当、住宅手当は、名称が同じであっても一律支給等である場合等は除外できません。
他によくある間違いは、皆勤手当や管理職手当も含めて計算しなければならない点です。管理職手当が割増賃金を含んでいるならば給与規定や雇用契約書に時間外労働の対価であることが明記され何時間相当分かその時間を上回ったら差額を支払うこととなっているかなどの条件があります。このような条件を満たしてない場合は除外されません。また、管理職手当全額が残業代の時は本来の職責部分の扱いはなく、定額残業代と同じ性格を持つと言えるでしょう。

時間外労働の時間数の集計方法

1 日の労働時間は 1 分単位で計算します。
1 日単位の切り捨ては認められていません。
1 か月を集計し切り捨てる場合は労働時間を通算して 30 分未満の端数が出た時は切り捨て、30 分以上の端数は 1 時間に繰り上げすることは認められています。割増金額に 1 円未満の端数が生じた場合や 1 か月間の割増賃金に 1 円未満の端数が生じた時は「50 銭未満は切り捨て、それ以上は切り上げ」ることができます。

1 時間当たりの単価の算出方法

月給制の方の算出方法は、月給÷1 年間における 1 か月平均所定労働時間=時給単価が出ます。
1 か月の所定労働時間の算出は 365 日から年間所定休日を除いて年間所定労働日数を出し、その年間労働日数に 1 日の所定労働時間を乗じて 12 で割ると 1 か月の平均所定労働時間が算出されます。

採用、オンライン面接の チェックポイント

採用、オンライン面接の
チェックポイント

採用、オンライン面接の チェックポイント

コロナ禍で進んだ採用のオンライン化

企業の採用活動のオンライン化が進んでいます。求人の情報会社パーソルキャリアの調査によると「WEB 面接実態調査」で 2021年 7 月に行った求人案件で「WEB 面接可」の求人案件は 63.8%であり、2020 年 8 月の38.4%から 1.7 倍に増えています。
WEB 面接は「感染防止」「交通費がかからない」「日程調整しやすい」「大勢を集めやすい」等メリットがある一方で「雰囲気が伝わらない」「思っていた感じと違う」など問題点もあります。このような事態にならないために WEB では応募者のどこを見るとよいのでしょうか。

WEB 面接のチェックポイント

全体を通してチェックするところ
①ログイン時間は時間通り又は少し早めにログインをして準備しているか
②服装は清潔感のあるものか、T シャツなどカジュアル過ぎることはないか
③姿勢は背筋を伸ばし、臨んでいるか
④洗濯物など面接にふさわしくないものが写っていないか、バーチャル背景であるなら面接にふさわしいものか
⑤最初に面談したとき、うつむく、黙ったまま、相手任せのコミュニケ―ションになっていないか、きちんと挨拶をしたか等

面接中のチェック 7 つのポイント

①表情
適度な緊張感があるか、笑顔など相手とコミュニケーションをとる姿勢はあるか
②言葉使い
丁寧な言葉で相手に伝えることができているか
③論理的思考力
物事を順序だてて説明することができるか
数値や経験をもとに説明ができるか
④根底にある価値観
面接官は「なぜ」を 5 回繰り返し深掘り質問で聞き出すのがポイントです。面接でよく聞かれること以外を質問し相手の本質を見ます。
⑤会社のビジョンや理念への共感・理解 ビジョンをリサーチしているか、どうとらえているか、何を成し遂げたいのかを聞き将来の展望を引き出します。
⑦本人のとらえる自分の強み・弱み(最後に聞く)、特に最後の質問は前の会話との整合性や一貫性など自分を客観的に見た姿なども見えてきます。

求職者は採用面接で どんな準備をしているのか

求職者は採用面接で
どんな準備をしているのか

求職者は採用面接で どんな準備をしているのか

採用試験を受ける側の声、面接アンケート

総合求人サイト「エン転職」を運営するエン・ジャパンがインターネット上で利用者 7,200 人に「面接」についてのアンケートを行いました。
求職者が面接準備としてやっておいた方が良いと思うことを問うとトップ 3 は「想定される質問への準備」69%、「自分が質問したい内容の準備」63%「企業のホームページの確認」60%でした。一方、以上のことは面接を受ける人に対し企業が一般的に採用活動で意識していることとも言えます。
また、応募者に対し「うまく回答できなかった質問は何ですか?」を問うと「⦅何か質問はありますか?⦆」という逆質問」、38%がうまく回答できなかったと答えています。その次は話しにくい場合もあるようですが「退職理由」が33%、「志望動機」は32%でとりあえず応募の方もいるようです。
今後のキャリアプランを問われてうまく回答できなかったという人は20代が最も多く38%。未経験の分野への転職等でキャリアプランを話すのが難しいと言っていますが求職者の本気度を測ることもできそうです。

オンライン面接は 46%が経験済み

オンライン面接が普及し、「対面とオンライン面接どちらが良かったですか?」の問いには「オンライン」「対面」「どちらでも」の意見が概ね 3 分割されました。なかでも20 代の 40%がオンライン面接を望んでいます。オンライン面接が急速に進んでいることがうかがえます。
オンラインが対面と比べてよかった点として「交通費がかからない」76%、「スケジュールが調整しやすい」64%が多く、反対に難しかったことは「企業の反応や温度感がわかりづらい」45%、「スムーズな通信環境の準備」37%、「社風や社員の人柄がわかりづらい」 36%となっています。
以上のように面接に対する求職者の意見をまとめました。企業が求職者を比べるように企業も求職者から比べられる立場でもあります。費用をかけずに少しの工夫で採用活動が好転する可能性を秘めているアンケート結果ですね。

5 月は自転車月間 見直したい企業の自転車管理

5 月は自転車月間
見直したい企業の自転車管理

5 月は自転車月間 見直したい企業の自転車管理

増えている自転車利用

新型コロナウイルスの影響により「運動不足解消のため」「満員電車の密を避けるため」「在宅時間が増え、近所に出かけることが多くなった」などを理由に自転車利用が増えています。政府の方針も積極的に自転車利用を推進しています。自転車の通勤や業務での利用を認めるようになったという企業も多いのではないでしょうか?
一方で自転車事故によって他人の生命や身体を害した場合に加害者が高額の損害賠償を命じられる判決も相次いでいます。業務中・通勤途上の自転車事故については使用の実態や事故発生時の状況により会社責任が問われることもあり注意が必要です。

保険加入の確認が重要

特に注意点は自転車保険等の加入です。
被害者救済のため「自転車損害賠償責任保険等への加入促進に関する標準条例」で条例による自転車保険等への加入を義務とする地方公共団体は 22 都府県、努力義務とする、が 10 道県で制定されています。例えば東京都では自転車利用者に対し対人賠償事故保険への加入が義務化され、併せて自転車を業務で使用する業者も同様の義務が課されました。
また、自転車通勤従業員のいる事業者にも通勤者が保険加入することを確認する努力義務もあります。

危機回避のために保険証券等の確認を

自転車の業務利用を許可制としている会社は多いと思われますが、会社が従業員に自転車通勤を認めた場合のリスクについて把握しておく必要があります。それは「従業員が交通事故を起こした場合、会社から被害者に対して民法 715 条 1 項にある「使用者責任」に基づく損害賠償責任が生じる可能性があるということです。許可に際して対人賠償保険に加入していることを確認することはリスク管理上必須と言えます。
許可基準として「通勤・業務に使用する自転車に関する事故につき損害賠償責任の保険金額が無制限の保険を契約していること」などが許可基準に設定されているか確認しておきましょう。