07-労務

残業代が変わる! 来年 4 月から

残業代が変わる!
来年 4 月から

残業代が変わる! 来年 4 月から

割増率が変わることをご存じですか?

現行では法定労働時間(1 日 8 時間、1 週40 時間)を超える時間外労働(法定時間外労働)に対して事業主は 25%以上の率で計算した割増賃金を支払うこととなっています。
2023 年 4 月から中小企業も月 60 時間を超える時間外労働は割増率が引き上げられます。すでに大企業は 2010 年 4 月から適用されていた割増率ですが、長らく猶予期間が適用されていた中小企業においても、いよいよ 2023 年 4 月からは月 60 時間超えの残業の割増率が現在の 25%以上から 50%以上に引き上げられます。
例えば時給 1200 円の方が残業すると時給は 1500 円ですが、その方が 60 時間以上の残業をすると時給 1800 円となります。60時間を超える時間外労働を深夜(22 時から5 時)に行う時は 75%割増しになります。
恒常的に残業が 60 時間を超えている事業所は考えなくてはならないでしょう。
さらに、2022 年 4 月からの残業代未払いに対して遡及支払いが 2 年から 3 年に延びていますので、残業が多い事業所は対策を考える必要があるでしょう。

今から対策をたてる

①月60時間を超える法定時間外労働を行った労働者の健康確保のため、引き上げ分の割増賃金の代わりに有給の代替休暇を付与することができます。
②労働時間の適正な現状把握をする。
勤怠管理システムの導入などで勤怠管理をする。長時間労働を是正管理する。
③リモートワークで管理者が現場にいない時は自己申告になりますが、自己申告とパソコンの使用時間が違っているか、上司管理職は労働時間の上限を設けず、法定労働時間の上限を超えているようであれば、習慣的に行っていないか注意をする必要があります。
④割増率の引き上げに併せて就業規則の変更が必要な時があります。
勤怠管理システム導入や就業規則改定費等に「働き方改革推進支援助成金」や「業務改善助成金」等、環境整備に必要な費用の一部が助成される制度があります。

男性の育休、取得のハードル

男性の育休、取得のハードル

男性の育休、取得のハードル

男性の育休取得を促す改正

男性も子育てのための休みを取りやすくする改正育児・介護休業法が創設されました。
男性も子供の出生後 8 週間以内に 4 週間迄 2 回に分けて「産休」を取得でき、企業には対象社員に取得を働きかけるような義務付けがあります(2022 年秋施行予定)。
この流れは拡大することはあっても縮小されることはないでしょう。男性だけが長時間働き、女性が家事育児中心というスタイルは少子高齢化で働き手が減る中、女性の労働力が重要であり男女ともに働けるライフスタイルに変化していくでしょう。

男性の育休を阻むもの

日本の男性の育休取得が進まないのは、制度があっても職場の慣習から取得にためらう人が多いということです。法改正をしても取得を進める上で根本的な問題は別のところにあります。マイボイスコムの調査では「休業中の給与の 100%補償」(54.8%)、「育児休業取得に否定的な上司や同僚の意識改革」(41.2%)、「育休取得がキャリアに不利にならないという安心感」(40.1%)とする回答が多くありました。男性自身、職場の無理解が取得の壁と感じていることが浮かび上がりました。

男女ともに子育てしやすい環境に

日本は先進国の中でも男性の家事・育児参加が少なく少子化の要因とも指摘されています。今回の改正で出生直後に女性の身体的・精神的負担を軽減できる意義は大きいと言えるでしょう。継続的な男性の育児参加が女性に偏りがちな子育てを分担することで女性の就労継続ともなるでしょう。
一方で企業の労務管理などは複雑になる面もあります。企業も労働時間だけでなく中身で評価したり、キャリアアップのルートが複数あったり働く時間や場所を柔軟にしたりと対応が必要な時代となるでしょう。
今、コロナウィルス危機で世界的に出生率は急減しており各国の成長に陰りが見えます。出生率の低下が将来の労働力減少で経済成長力を押し下げるため欧米や中国・韓国等でも育児支援に力を入れています。
日本ではようやく「子ども庁」創設論が出てきたところです。

採用において 紹介予定派遣の活用

採用において
紹介予定派遣の活用

採用において 紹介予定派遣の活用

求人状況が改善、求人媒体の動向

アフターコロナで求人が増えて来ると、再び人材不足になることが予想されます。
「マイナビ中途採用状況 2021」では企業が求人に利用したサービスは転職サイト、職業安定所、次いで人材紹介会社 54.5%であり、実際効果があったとしたのは転職サイトに次いで人材紹介会社が 2 位 40.5%となっています。人材紹介会社の利用者が増える傾向にありますが、職業紹介サービス等は「料金が高い等」の不安が 82.9%と高く、経済的な負担が指摘されています。
以上のような状況下で紹介予定派遣の活用が注目されています。

紹介予定派遣とは?

労働者派遣のうち派遣元が派遣先に対して職業紹介を行いまた予定するものを言い、職業紹介によって派遣労働者が派遣先に雇用されることを派遣終了前に約束されることを含むとされています。
紹介予定派遣を行う期間は同一の労働者について最長 6 か月以内とされていて、雇用主が設定する試用期間に似ています。事実上は派遣労働者の働きぶりや資質などから自社が採用する人物を見極める期間として機能していると言えます。
紹介予定派遣は労働者派遣で禁止されている事前面接や履歴書の送付などの派遣労働者を特定することが可能とされています。
派遣先はミスマッチを防ぐためにも詳しい求人条件を明らかにするようにしたいものです。
派遣元も派遣労働者の直接雇用の紹介手数料でビジネスモデルを築くことができ、労働者も正社員雇用を望む人は 42.4%ということから紹介予定派遣で転職に伴うリスクを減らし正社員を目指す期間とされます。

助成金の活用

紹介予定派遣ではキャリアアップ助成金と人材開発支援助成金が利用できます。有期雇用労働者の正社員化等と派遣先と派遣元が共同で職業訓練実施計画を作成し OJT、Off-JT の組み合わせで訓練を実施し助成されるものです。
職業紹介の手数料は普通年収の 30~40%と言われているので、助成金を利用するとそれくらいの額を受けられる可能性があります。

マイナンバーカードを健康保険証として 使うと診察料が高くなる?

マイナンバーカードを健康保険証として
使うと診察料が高くなる?

マイナンバーカードを健康保険証として 使うと診察料が高くなる?

マイナンバーカードで診察料が高くなる?

2021(令和3)年 10 月から、医療機関・薬局でマイナンバーカードの健康保険証としての活用が開始されました。医療機関の2割弱で既に導入されているようです。
マイナンバーカードを健康保険証として利用すると診療報酬が加算され、診察料や調剤料が高くなることをご存じですか?
2022(令和4)年の診療報酬改定に「電子的保険医療情報活用加算」が新設され、医療機関や調剤薬局で、マイナンバーカードを使って顔認証付きカードリーダーで資格確認を行った患者は、自己負担3割の場合で、初診 21 円、再診 12 円、調剤9円の新たな負担が生じることになりました。

マイナンバー加算の見直しの動き

マイナンバーカードの利用により診療報酬が加算されることについて、「マイナンバーカード利用で診察料が高くなるのはおかしい」、「従来の保険証を提示した方が安くなるなら、マイナンバーカードは使わない」といった不満の声が出ていました。
当該加算は、カードリーダーなどのオンライン機器設置を医療機関や調剤薬局に促し、(患者同意が前提で)過去に処方された薬の情報を医療機関で共有するなどの目的での加算でした。
しかし、患者負担が増えるのでは、マイナンバーカードの普及促進と矛盾しているのではないかと思います。
政府はマイナンバーカードの健康保険証利用による診療報酬加算について、廃止を含めた見直しを検討しているようですので、今後の動向が注目されます。

将来的には健康保険証が廃止される?

一方、政府はマイナンバー保険証の普及に向け、従来の保険証を原則廃止する方向で検討に入ったようです。
マイナンバーカードの保険証活用導入前から、健康保険証の廃止は検討されていましたが、国民健康保険(各自治体)、健康保険組合、協会けんぽなど保険者が多数存在しますので、完全廃止までには相当時間が掛かるものと思われます。

今更ですが残業手当の 計算方法について

今更ですが残業手当の
計算方法について

今更ですが残業手当の 計算方法について

勘違いしやすい残業計算のポイント

時間外労働や休日労働をさせた場合に原則的にいわゆる割増賃金(残業代)を支払うことになりますが、その計算方法において正しく理解しているとは限らず勘違いして計算しているケースがあります。

割増賃金の算出時に除外できる賃金

給与の時給単価を計算する際には基本給と各種手当も対象です。しかし労働と直接的な関係が薄く個人的事情に基づいて支給されるもので、対象から除外できる賃金があります。
ア、家族手当、イ、通勤手当、ウ、別居手当、エ、子女教育手当、オ、住宅手当、カ、1 か月を超える期間ごとに支払われる賃金、このうち家族手当と通勤手当、住宅手当は、名称が同じであっても一律支給等である場合等は除外できません。
他によくある間違いは、皆勤手当や管理職手当も含めて計算しなければならない点です。管理職手当が割増賃金を含んでいるならば給与規定や雇用契約書に時間外労働の対価であることが明記され何時間相当分かその時間を上回ったら差額を支払うこととなっているかなどの条件があります。このような条件を満たしてない場合は除外されません。また、管理職手当全額が残業代の時は本来の職責部分の扱いはなく、定額残業代と同じ性格を持つと言えるでしょう。

時間外労働の時間数の集計方法

1 日の労働時間は 1 分単位で計算します。
1 日単位の切り捨ては認められていません。
1 か月を集計し切り捨てる場合は労働時間を通算して 30 分未満の端数が出た時は切り捨て、30 分以上の端数は 1 時間に繰り上げすることは認められています。割増金額に 1 円未満の端数が生じた場合や 1 か月間の割増賃金に 1 円未満の端数が生じた時は「50 銭未満は切り捨て、それ以上は切り上げ」ることができます。

1 時間当たりの単価の算出方法

月給制の方の算出方法は、月給÷1 年間における 1 か月平均所定労働時間=時給単価が出ます。
1 か月の所定労働時間の算出は 365 日から年間所定休日を除いて年間所定労働日数を出し、その年間労働日数に 1 日の所定労働時間を乗じて 12 で割ると 1 か月の平均所定労働時間が算出されます。

採用、オンライン面接の チェックポイント

採用、オンライン面接の
チェックポイント

採用、オンライン面接の チェックポイント

コロナ禍で進んだ採用のオンライン化

企業の採用活動のオンライン化が進んでいます。求人の情報会社パーソルキャリアの調査によると「WEB 面接実態調査」で 2021年 7 月に行った求人案件で「WEB 面接可」の求人案件は 63.8%であり、2020 年 8 月の38.4%から 1.7 倍に増えています。
WEB 面接は「感染防止」「交通費がかからない」「日程調整しやすい」「大勢を集めやすい」等メリットがある一方で「雰囲気が伝わらない」「思っていた感じと違う」など問題点もあります。このような事態にならないために WEB では応募者のどこを見るとよいのでしょうか。

WEB 面接のチェックポイント

全体を通してチェックするところ
①ログイン時間は時間通り又は少し早めにログインをして準備しているか
②服装は清潔感のあるものか、T シャツなどカジュアル過ぎることはないか
③姿勢は背筋を伸ばし、臨んでいるか
④洗濯物など面接にふさわしくないものが写っていないか、バーチャル背景であるなら面接にふさわしいものか
⑤最初に面談したとき、うつむく、黙ったまま、相手任せのコミュニケ―ションになっていないか、きちんと挨拶をしたか等

面接中のチェック 7 つのポイント

①表情
適度な緊張感があるか、笑顔など相手とコミュニケーションをとる姿勢はあるか
②言葉使い
丁寧な言葉で相手に伝えることができているか
③論理的思考力
物事を順序だてて説明することができるか
数値や経験をもとに説明ができるか
④根底にある価値観
面接官は「なぜ」を 5 回繰り返し深掘り質問で聞き出すのがポイントです。面接でよく聞かれること以外を質問し相手の本質を見ます。
⑤会社のビジョンや理念への共感・理解 ビジョンをリサーチしているか、どうとらえているか、何を成し遂げたいのかを聞き将来の展望を引き出します。
⑦本人のとらえる自分の強み・弱み(最後に聞く)、特に最後の質問は前の会話との整合性や一貫性など自分を客観的に見た姿なども見えてきます。

求職者は採用面接で どんな準備をしているのか

求職者は採用面接で
どんな準備をしているのか

求職者は採用面接で どんな準備をしているのか

採用試験を受ける側の声、面接アンケート

総合求人サイト「エン転職」を運営するエン・ジャパンがインターネット上で利用者 7,200 人に「面接」についてのアンケートを行いました。
求職者が面接準備としてやっておいた方が良いと思うことを問うとトップ 3 は「想定される質問への準備」69%、「自分が質問したい内容の準備」63%「企業のホームページの確認」60%でした。一方、以上のことは面接を受ける人に対し企業が一般的に採用活動で意識していることとも言えます。
また、応募者に対し「うまく回答できなかった質問は何ですか?」を問うと「⦅何か質問はありますか?⦆」という逆質問」、38%がうまく回答できなかったと答えています。その次は話しにくい場合もあるようですが「退職理由」が33%、「志望動機」は32%でとりあえず応募の方もいるようです。
今後のキャリアプランを問われてうまく回答できなかったという人は20代が最も多く38%。未経験の分野への転職等でキャリアプランを話すのが難しいと言っていますが求職者の本気度を測ることもできそうです。

オンライン面接は 46%が経験済み

オンライン面接が普及し、「対面とオンライン面接どちらが良かったですか?」の問いには「オンライン」「対面」「どちらでも」の意見が概ね 3 分割されました。なかでも20 代の 40%がオンライン面接を望んでいます。オンライン面接が急速に進んでいることがうかがえます。
オンラインが対面と比べてよかった点として「交通費がかからない」76%、「スケジュールが調整しやすい」64%が多く、反対に難しかったことは「企業の反応や温度感がわかりづらい」45%、「スムーズな通信環境の準備」37%、「社風や社員の人柄がわかりづらい」 36%となっています。
以上のように面接に対する求職者の意見をまとめました。企業が求職者を比べるように企業も求職者から比べられる立場でもあります。費用をかけずに少しの工夫で採用活動が好転する可能性を秘めているアンケート結果ですね。

5 月は自転車月間 見直したい企業の自転車管理

5 月は自転車月間
見直したい企業の自転車管理

5 月は自転車月間 見直したい企業の自転車管理

増えている自転車利用

新型コロナウイルスの影響により「運動不足解消のため」「満員電車の密を避けるため」「在宅時間が増え、近所に出かけることが多くなった」などを理由に自転車利用が増えています。政府の方針も積極的に自転車利用を推進しています。自転車の通勤や業務での利用を認めるようになったという企業も多いのではないでしょうか?
一方で自転車事故によって他人の生命や身体を害した場合に加害者が高額の損害賠償を命じられる判決も相次いでいます。業務中・通勤途上の自転車事故については使用の実態や事故発生時の状況により会社責任が問われることもあり注意が必要です。

保険加入の確認が重要

特に注意点は自転車保険等の加入です。
被害者救済のため「自転車損害賠償責任保険等への加入促進に関する標準条例」で条例による自転車保険等への加入を義務とする地方公共団体は 22 都府県、努力義務とする、が 10 道県で制定されています。例えば東京都では自転車利用者に対し対人賠償事故保険への加入が義務化され、併せて自転車を業務で使用する業者も同様の義務が課されました。
また、自転車通勤従業員のいる事業者にも通勤者が保険加入することを確認する努力義務もあります。

危機回避のために保険証券等の確認を

自転車の業務利用を許可制としている会社は多いと思われますが、会社が従業員に自転車通勤を認めた場合のリスクについて把握しておく必要があります。それは「従業員が交通事故を起こした場合、会社から被害者に対して民法 715 条 1 項にある「使用者責任」に基づく損害賠償責任が生じる可能性があるということです。許可に際して対人賠償保険に加入していることを確認することはリスク管理上必須と言えます。
許可基準として「通勤・業務に使用する自転車に関する事故につき損害賠償責任の保険金額が無制限の保険を契約していること」などが許可基準に設定されているか確認しておきましょう。

業務改善助成金の活用で 効率化促進

業務改善助成金の活用で
効率化促進

業務改善助成金の活用で 効率化促進

業務改善助成金とは

事業場内で最も低い賃金(事業場内最低賃金)の引上げをすることを図る中小企業・小規模事業者を支援する制度です。会社内で最も低い賃金を引き上げ、労働時間の短縮になるような機械設備やシステムなどを導入した場合にその費用の 75%(生産性要件対象となる場合は 80%)を支給します。

対象となる中小企業

ア、従業員数が 100 名以下である
イ、正社員・アルバイト、パートタイマー等を雇用している
ウ、導入する機械設備などの見積書を 2 社の業者から取り寄せ、低い方の業者を選定した

制度の概要

①事業場内の最低賃金を 30 円以上引上げ
②生産性向上のための設備投資
助成率はかかった費用の 75%から 80%です。助成額は引き上げる賃金及び引き上げる労働者数に応じて 30 万円から 600 万円。例えば 7 人以上の従業員の時給を 30 円上げ、かつ生産性向上のために機械設備を購入した場合、助成額は最高 100 万円です。
最低賃金は毎年 30 円程度アップするのでそれに合わせて引き上げるとこの制度が続いていれば次年度も対象になります。

過去に助成の対象となった事例

設備投資例
・機械設備…自動釣銭機、券売機、洗浄機、原料充填機、ベルトコンベア、包装機械等
・システム…POSレジシステム、受発注機能付ホームページ・WEB会議システム・顧客管理システム・生産性管理システム等
・その他…業務マニュアル作成、改修等による店舗レイアウト変更、フォークリフトの導入・運搬用冷凍車購入など

具体的な例でみると、飲食業であればデリバリー導入のため受注から提供までの時間が増加するため、効率化をはかった。その結果デリバリー用バイクの導入、オンライン受注システム導入、レイアウト変更等を行った。介護職で非接触自動検温器の導入や、製造業での営業担当者のWEB会議システムの導入などの例もあります。

70歳迄の高年齢者就業確保 努力義務施行 1 年

70歳迄の高年齢者就業確保
努力義務施行 1 年

70歳迄の高年齢者就業確保 努力義務施行 1 年

高年齢者就業確保措置とは

改正高年齢者雇用安定法(2021 年 4 月 1日施行)により、70 歳迄の就業確保措置が努力義務として制度が施行されてから 1 年余りたちましたが、実態はどのような変化があったでしょうか?
経団連が行った調査によると 70 歳迄の高年齢者就業確保措置について「対応済」と回答した企業は 21.5%だったそうです。
回答の多い順にみますと「検討する予定」38.6%、「対応を検討中」29.5%「対応済、決定済」21.5%、「検討していない、予定なし」0.4%ということです。
制度が努力義務の段階ですのでまだ検討中の企業が多いようですが、いずれ義務化されることが想定されます。

70歳迄の就業確保措置、働き方のパターン

70 歳迄の働き方は雇用と、雇用以外の方法も提示されています。
ア、70 歳迄の定年の引き上げ、定年年齢を現在の 60 歳や 65 歳から 70 歳にする。
イ、定年廃止で体力の続く限り就労
ウ、70 歳迄の継続雇用制度、同会社で有期雇用の反復雇用又は他社で雇用
エ、70 歳迄の継続的な業務委託、会社の指揮命令は受けないが労基法は対象外
オ、70 歳迄の継続的な社会貢献活動 事業主が実施する社会貢献事業、委託・出資等する団体の社会貢献事業に従事

マルチジョブホルダー制度創設

このような就業確保措置推進のために2022 年 1 月から 65 歳以上の方に雇用保険の新しい制度が実施されています。
複数の事業所で働く 65 歳以上の労働者がそのうち 2 つの事業所での勤務を合計して所定の要件を満たす場合、労働者本人がハローワークに申し出を行った日から特例的に雇用保険の被保険者になります。
企業は労働者からの申し出があった場合には「雇用保険マルチジョブホルダー雇入・資格取得届」への記入や、雇用の事実や所定労働時間などに関する証明書の準備が必要になります。
中小企業では自社に直接労働力として貢献してもらうなど大企業とは違う高年齢者の活用を行うことになるでしょう。