月: 2021年11月

事業承継等事前調査(DD)

事業承継等事前調査(DD)

事業承継等事前調査(DD)

税制度を利用するための要件

M&A対価の 70%損金算入の要件である経営力向上計画の認定には、「事業承継等事前調査」(デューデリジェンス・DD)の実施をしなければなりません。
事業分野別申請書記載例のDD欄には、法務に関する事項(弁護士実施)と財務・税務に関する事項(税理士・公認会計士実施)、事業(対象企業のビジネスモデルの把握、事業性の評価及びシナジー効果分析・事業統合に関するリスク評価等)に関する事項(中小企業診断士実施)が掲示されていますが、うち法務と財務・税務とは絶対必要DDとされています。

デューデリの対象の定型化

「事業承継等事前調査チェックシート」が用意されていて、法務DDでは 11 項目 40細目で、項目は、①会社組織制度等、②株式、③重要な契約等、④資産、⑤負債(資金調達に関するものを含む)、⑥人事・労務、⑦訴訟・紛争、⑧許認可等、⑨コンプライアンス、⑩環境問題、⑪その他、と多岐に亘り、社労士・中小企業診断士の分野も含んでいます。
財務・税務DDでは、4項目 30 細目で、項目は、①貸借対照表、②損益計算書、③会計方針、議事録等の確認、④税務リスクの把握、と範囲が相対的に狭いと言えます。

チェックシートの記載内容

チェックシートは、予定欄と実施欄に分かれ、経営力向上計画の認定申請時には、各細目の予定欄に実施予定のものには○を、そうでないものには×を記載して不実施の理由を記載します。
M&Aの実施後、主務大臣に対しての「事業承継等報告書」提出時には、「チェックシート」実績欄に、実施したものには○を、そうでないものには×を記載して不実施の理由を記載します。
DDで作成提出されるものは、このチェックシート各1枚だけです。様式としては、極めて簡易・簡便です。

デューデリをしないケースも多かった

中小企業庁の資料によると、M&A対価が、1000 万円以下では 53.8%、1億円以下では 27.1%、10 億円以下では 4.7%で、DD費用と仲介料がゼロとのことです。
M&A会社のホームページでは、DD実施は全体で、36.1%とも言っています。
チェックシートDDで、DDの一般化と低廉化が始まる予感がします。

決算賞与の留意点

決算賞与の留意点

決算賞与の留意点

決算賞与とは

決算を迎えるにあたって、思った以上に利益が出そうなので、どうせ税金で取られるなら、頑張った従業員に賞与を払って税金を減らしたいと考えるのは、世の常です。
これが決算賞与です。

気づいたときには時遅し

しかし、そう気づいたときは、既に時遅く、今から資金を手当てして賞与を払っていたら決算月をまたいで、翌期になってしまう。そうなると、税金は取られるわ賞与で資金は必要だわで、結局決算賞与を諦めざるをえません。

税務署も人の子です

税務署も人の子です。それでは無体ということで、次の条件をクリアすれば決算賞与を認めるとしました。
① その支給額を、各人別に、かつ、同時期に支給を受ける全ての使用人に対して通知をしていること。
② 通知をした金額を通知した全ての使用人に対しその通知をした日の属する事業年度終了の日の翌日から 1 か月以内に支払っていること。
③ その支給額につき①の通知をした日の属する事業年度において損金経理をしていること。

3 月決算を例に分かりやすくいうと、
① 3 月中に全従業員に賞与金額を通知しておくこと
② ①の賞与を 4 月中に払っていること
③ ①の金額を 3 月中に決算賞与として損金経理しておくこと

しかし思わぬ落とし穴が

3 つの条件の大前提は、決算月中に決算賞与額が確定していることです。
しかし、就業規則の賞与の規定に以下の一文があると大前提が崩れてしまいます。
「賞与はその支給日に在職する従業員に支払う」。賞与決定日には在職していても翌月の賞与支給日には在職しているかどうかわかりません。これでは決算賞与額が確定しているとはいえないからです。一般的な就業規則は上記の一文が必ずといってよいほど入っています。ご留意ください。

 

 

ふるさと納税で注意するべき 今年の控除上限金額の計算

ふるさと納税で注意するべき
今年の控除上限金額の計算

ふるさと納税で注意するべき 今年の控除上限金額の計算

そろそろふるさと納税の季節です

これから年末にかけてが、ふるさと納税のシーズンです。
ふるさと納税は、通年寄附ができるのですが、自己負担が 2,000 円で済む、いわゆる「控除上限金額」が、今年1~12 月の所得や控除で決まるため、年末に今年の状況を把握して寄附する方が多く、ふるさと納税を受け付けている自治体・代行業者が広告を打つ数も増えるため、駆け込み需要も巻き込んで年末に活況となります。
今年途中で転職・退職した方や、不動産所得や事業所得がある方、株や不動産の譲渡があった方等は、去年の確定申告書等の数字で控除上限金額を算出すると、実際の金額との乖離が出てしまう可能性がありますので、注意が必要です。

退職した際は要注意

退職所得は残念ながら、ふるさと納税の計算には入りません。ただし、退職金を年金払いで貰う場合、その年ごとに支払われる年金はふるさと納税の計算に入ります。
年の途中に退職された場合は、去年と比べると給与収入は下がっているはずですから、ふるさと納税の控除上限金額も下がります。

事業・不動産の所得金額を仮決算

ふるさと納税の控除上限金額は、大まかに言うと来年 6 月から徴収される住民税の大小によって決まります。事業や不動産収入がある方は、給与収入のみの方と比べると、経費や減価償却費、固定資産税等を引いた後の所得金額が年によって変動しやすいため、ふるさと納税の控除上限金額が把握しにくくなります。このあたりは年末までに仮決算を組み、所得を予想して対処するしかありません。

特定口座源泉徴収ありの譲渡益に注意

株式の譲渡益も、ふるさと納税の控除上限金額の計算に利用できますが、特定口座源泉徴収ありの場合、内容を確定申告しないとふるさと納税に利用できません。
ただし、確定申告に出してしまうと、国民健康保険加入の場合は保険料が上がってしまったり、配偶者控除や基礎控除の減少・消失が発生したりと、デメリットも存在するので注意が必要です。ふるさと納税の控除上限金額の増加で貰えるお礼の品の価値と、保険料や税金の増加の額を鑑みて、有利不利の判定が必要となってきます。

取引開始時の契約書作成は大事 その割引料は契約書に則った取扱いですか?

取引開始時の契約書作成は大事その割引料は契約書に則った取扱いですか?

取引開始時の契約書作成は大事 その割引料は契約書に則った取扱いですか?

振込手数料・割引料の差引入金

新規取引先からの第一回目の売掛金の入金があったと思ったら、“なぜか売掛金残高よりも少ない入金となっていた”といったことはありませんでしたか? 差額を計算してみると、何となく馴染みのある数字、すなわち銀行振込手数料相当と気づきます。
「またここも振込手数料差引か・・・」と嘆息をもらすことは、大企業相手にはよくある話です(本稿では振込手数料差引の是非については検討しません)。
一方、取り決められた支払期間よりも前倒しで代金支払を行った買手に対して、売手が認めた売上代金の一部を免除するということもあります。会計用語で売上割引といいます。会計上は、前倒し期間に対応する金利相当額の割引を行うもので、利息としての性質を有するものとし、支払利息と同様に、営業外費用として計上されます。

その割引は契約書に則った取扱いですか?

ここで留意していただきたいことは、割引は、“売手が認めた売上代金の一部の免除”であって、買手側が勝手に免除して少なく払うものではないということです。
ところが、おそらく往々にしてあるケースは、取引を開始するにあたって相手先指定の契約書をそのまま受け入れ、その契約書のどこかにこうした割引の規定が書かれてある場合です。仮に、よく読んでいなかったと後悔したとしても、事業者が契約書を結んだ限りは、納得して契約したものとされますので、契約書に則った割引であれば、受け入れざるを得ません。
もし、契約書を締結しておらず、割引分を差引精算されたときは、その割引は無効です。が、実際は相手先との交渉となるので、難しいのが現実かと思われます。
こうした事態を避けるには、新規取引開始時に、できれば自社作成の取引契約書で合意してもらう、もしくは、相手先契約書にある不平等事項を除外してもらうことです。難交渉でしょうが、最初が大切です。

割引に係る消費税法上の取扱い

この売上割引は、会計上は営業外費用ですが、消費税法上の取扱いは、「売上げに係る対価の返還等」に該当します。会計処理と税務計算が違ってきます。仕訳計上する際に、消費税の課税区分を「売上げに係る対価の返還等」で分類することに留意してください。

不祥事で役員報酬減額・返上時 定期同額給与になるの?

不祥事で役員報酬減額・返上時定期同額給与になるの?

不祥事で役員報酬減額・返上時 定期同額給与になるの?

お詫びとともに処分を発表

会社やその役員が不祥事等を起こした際に、「〇か月役員報酬〇〇%減」や「役員報酬の〇〇%を返上」といった処分をニュースで見かけますが、実際にこの処分を行う場合、気をつけなければならない点がいくつかあります。

減額を臨時株主総会で決定した場合

基本的に役員の報酬は定款または株主総会の決議によって決めなければなりません。
手続きを行わず報酬を変更、または臨時に改定する事由に当たらない報酬額の変更をした場合、定期同額給与とはみなされず、役員報酬の一部が損金不算入とされます。
不祥事が起きて、役員報酬の一定期間の減額を臨時株主総会で決定した場合はどうなるかというと、こういった役員報酬の一定期間の減額は「やむを得ない事情」に該当すると判断されているため、一定期間の減額改定・その後の増額改定についても「臨時改訂事由」によるものとなり、支払われた役員報酬はすべて損金算入してもよい、ということになります。

支給された報酬を返上する場合

早急な処分を実施する等のために、株主総会を経ずに支給される報酬を「受領辞退・返上」した場合については「支給期の前か後か」で、取扱いが異なります。
一旦受領した役員報酬を支給期後に返上した場合は、支払われる予定であった報酬の全額が損金算入となります。ただし「一度支払ったもの」ですから、返上された金額分の源泉所得税も取られますし、社会保険料の算定等にも考慮されます。役員個人にとっては「返上」が一番ダメージのある処分かもしれません。なお、返上された報酬は雑収入等で計上する必要があります。

支給期前に辞退する場合

支給期前に報酬の一部を辞退した場合、減額改定と増額改定を行った扱いになり、事業年度中は減額され役員に支払われた金額が毎月の定期同額給与とみなされ、処分前や処分後に、それ以上に支払った分は損金不算入となります。
こちらは「返上」に比べると会社側の負担が大きい処分となります。役員個人には「支払われていない」ため、辞退した部分については個人に課税はされません。

 

 

育児休業給付みなし期間特例で受給要件緩和

育児休業給付みなし期間特例で受給要件緩和

育児休業給付みなし期間特例で受給要件緩和

雇用保険法の改正について

先の国会で育児休業・介護休業法と雇用保険法の一部を改正する法律が可決成立されました。その一部である育児休業給付に関しての改正が令和 3 年 9 月から施行されています。
これまで被保険者期間の受給要件を満たさなかった場合でも、みなし期間特例で支給の対象になる可能性があります。
原則の育児休業給付金の被保険者期間は育児休業開始日を起算点として、その日前2 年間に賃金支払い基礎日数(就労日数)が11 日以上ある完全月が 12 か月以上あることが前提でしたが、改正後はこの要件を満たさない場合でも産前休業開始日等を起算点としてその日前 2 年間に賃金支払い基礎日数が 11 日以上ある完全月が 12 か月ある場合には育児休業給付の支給に係る被保険者要件を満たすものとしました。勤務開始後 1 年程度で産休に入った方等は対象になるかもしれません。

① 育児休業給付の受給要件とは

育児休業を開始した日(出産日から 58 日目)前 2 年間に被保険者期間が 12 か月以上あることです。男性も対象になります。今回の改正でこの 2 年間の期間を緩和し、産前休業開始日前から 2 年間でも対象期間とみなすことになりました。

② 育児休業給付金はおよそいくら位?

原則的な計算ですが休業開始時賃金日額(休業開始前 6 か月)の総支給額を 180 で除した額が日額です。
休業開始時賃金日額×支給日数×67%(育休開始後 6 か月経過後 50%)。

③ 育児休業中に就労した場合

就労した場合は支給単位期間中の就労日数が 10 日以下(10 日を超えるときは 80 時間以下)であれば支給されます。賃金日額×支給日数の 80%以上の賃金額が払われているときは支給されません。

④ 育児休業給付はいつまで支給される?


原則は養育している子が 1 歳となった日の前日まで、その前に復帰をすれば復帰日の前日までです。また、保育所(認可園)の申し込みをしているが入所できない場合は1 歳 6 か月、2 歳到達日前日まで延長ができます。

 

生命保険金受取人の実質判定

生命保険金受取人の実質判定

生命保険金受取人の実質判定

生命保険に加入すると、保険金の受取人を指定しますが、いざ被保険者が死亡した時、保険金を渡したい人が当初から変わってしまっているときもあります。そのような場合、課税関係はどうなるのでしょうか。

両親から妻や子への名義変更


社会人になって初めて生命保険に加入するとき、保険金の受取人に自身の両親を指定することが少なくありませんが、その後、結婚して子供が生まれ、家族ができてからも保険金受取人の変更手続きをせずに親の名義のままとなっている場合があります。
しかし、自身が病気や不慮の事故で死亡してしまったとき、残された家族の生計を支えていくことを思えば、保険金の受取人は妻や子になってほしいところです。

受取人名義変更の課税関係


相続では保険金受取人は、保険契約上の受取人となりますが、保険金受取人以外の者が現実に保険金を取得している場合、保険金受取人の変更手続きがなされていなかったことについて、やむをえない事情があるなど相当の理由があると認められるときは、実際に保険金を受け取った者を保険金受取人とする取扱いがあります。
契約上の保険金受取人である両親も妻や子を保険金受取人とすることを望み、やむを得ない事情があると認められれば、妻や子のみなし相続財産として課税対象となり、また、相続人となるので非課税措置の適用を受けることもできます。
なお、生命保険金の受取人名義を変更した時点では課税関係は生じません。被相続人が自身を被保険者とし、保険料を負担している場合は、保険事故(被保険者の死亡)が発生して保険金の受取りが確定したときに課税関係が生じます。


離婚した元妻からの名義変更


ところで妻を受取人とする生命保険に加入していた夫が、離婚しても受取人名義を元妻のまま変更せずに死亡してしまったら、どうなるでしょうか。この場合、元妻は離婚しても保険金受取人の地位を失わないため、生命保険金は元妻に支払われ、みなし相続財産として課税対象となります。そして元妻は相続人ではないので生命保険金の非課税措置の適用は受けられません。
離婚するときは、財産分与とあわせて、生命保険金受取人の名義変更についても忘れないようにしましょう。

インボイス発行権限への恐怖

インボイス発行権限への恐怖

インボイス発行権限への恐怖

適格請求書発行事業者登録制度受付け開始

令和5年 10 月1日から始まる適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス制度)登録申請の受付けは、令和3年10月1日から始まっています。令和5年10月1日から直ちに適格請求書発行事業者として振る舞うためには、原則、令和5年3月31日までに登録申請手続きを済ましておく必要があります。 登録の主たる目的は、インボイス番号の取得です。

インボイス番号なしの請求書

登録番号の取得手続きをしないまま、新制度が始まってしまうと、発行する請求書等に登録番号を記載することができないので、たとえ消費税額の記載をしたとしても、原理的には、相手は仕入税額控除することが出来ません。相手が個人消費者なら問題にならないかもしれませんが、課税事業者だったら取引上の大問題になりかねません。

法人の登録番号は決まっている

法人の場合の登録番号は、「T」(ローマ字)+法人番号(数字13桁)です。法人番号というのは、公表されている法人のマイナンバーです。 もし、未登録者が請求書等に法人番号を記載していたら、登録番号と誤認されるような事態が生ずるかもしれません。

誤認誘発とみなされると

課税当局は、法人番号を積極的に公表し、申告書等への法人番号の記載を義務付けています。同じ趣旨で、同名の多い法人などが自主的に請求書や領収書に法人番号を記載することは有り得ることです。 しかし、それを一概に誤認誘発行為とするわけにはいかないでしょうが、もし誤認誘発行為とみなされる事例になったとしたら、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられる可能性があります。

罰金を科せられると

罰金以上の刑を受けると、最低2年間はインボイス番号取得登録不可となるので、経済取引において10%の消費税を請求しにくい状態に陥り、事業者としての存続が厳しくなりかねません。 仕入税額控除をする側も、誤って仕入税額控除してしまわないように、登録事業者の番号を国税庁の適格請求書発行事業者公表サイトで適宜確認する必要がありそうです。

 

SDGsと就活生の会社選び

SDGsと就活生の会社選び

SDGsと就活生の会社選び

SDGsとは何でしょう?

最近よく耳にするSDGsとは、持続可能な開発目標 (Sustainable Development Goals)を指す言葉です。2015年9月の国連サミットにおいて加盟国の全会一致で採択されました。
2030年までに達成すべき、持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。目標にはたとえば「気候変動に具体的な対策を」「海の豊かさを守ろう」「人や国の不平等をなくそう」などがあります。実現するために進むべき道を具体的に示した指標であり17のゴール・169のターゲットから構成されています。発展途上国のみならず、先進国自身が取り組む普遍的なものであり積極的に取り組む企業が増えてきています。

取り組み度合いと就職志望度

企業のSDGsへの取り組みは、人材採用の面にも影響があるのでしょうか? 就職志望度との関連を2022年3月卒業予定の大学4年生と理系の大学院修士卒予定者に聞いたところ、SDGsに積極的に取り組んでいることがその企業の志望度に「影響する」「とても影響する、志望度が上がる」「やや影響する」を合わせると4割を超えていて、就活生の関心の高さがうかがえました。理由としては「企業の社会的役割重視」や「将来性ある企業と判断できる」などで会社説明会やHP等で認知されています。

企業が取り組めるSDGsの課題

民間調査会社㈱ディスコの調査によると企業がSDGsの中で取り組めると思う項目としては「産業と技術革新の基盤を作ろう」
「働きがいも経済成長も」が圧倒的に上位にあげられ、次に「すべての人に健康と福祉を」「住み続けられる街づくり」「作る責任使う責任」「エネルギーを皆に、そしてクリーンに」「ジェンダー平等を実現しよう」などが続いています。
政府は2017年より「ジャパンSDGsアワード」として目標達成に優れた取り組みを行っている企業、地方自治体、団体等を表彰し行動推進を促しています。
就活に限らず中小企業でもこれから、たとえば入札の時などSDGsの取り組み状況を求められるかもしれません。取組期間は当分続くので、自社でできることを考えてみるのもよいでしょう。

コロナ禍の税務調査

コロナ禍の税務調査

コロナ禍の税務調査

コロナ禍で実地調査は大幅減

令和 2 年 4 月に 1 回目の緊急事態宣言が発令されてから、もう随分と経ちました。
統計が出ている令和元事務年度(元年 7 月~2 年 6 月)の税務調査件数を見てみると、すでに新型コロナウイルス感染症の影響もあってか、実地調査の件数は前年比 77%となっています。おそらく 2 年度も実地調査は少なかったと推測されます。
このコロナ禍において、申告期限は延長が容易になり、調査どころではなかったというのも実情だとは思いますが、税務署も相当柔軟な対応を取っていて「コロナ禍で不安なので延期して欲しい」という要請もある程度通っていたようです。また緊急事態宣言の間をぬって調査の日程を組んだものの、該当税務署で感染者が発生し日程は解消、そのうちに人事異動で結局立ち消え、といった事例もあったようです。

接触機会低減を目指した措置?

実地調査件数は下がったものの「簡易な接触」と表現される書面や電話による連絡、資料の提出依頼や来署依頼による面接等で、税務署が納税者に対して自発的な申告の見直しなどを要請する手法については、平成30 年度と比べて件数が上昇しています。
また、今までは FAX や郵送で対応していた調査・照会等で提出を求められた資料の送付が、令和 4 年 1 月から e-Tax で送信できるようになります。

国税庁は「ウィズコロナ」を準備

国税庁はすでに「納税者の理解を得て、税務調査の効率化を進める」として、大規模法人を対象にした Web 会議システムやリモートアクセスを利用した税務調査を試験的に導入しています。
今後は AI やデータマッチングの導入を行い「申告に対してコンピュータ側で間違いをチェック」するような機能の拡充を行うとしており、元々ICT 化を目指していた上で、コロナ禍に乗じてその方策を加速させているように感じます。
税務関連の手続きは、平成 16 年に e-Taxの運用が始まってから、今日に至るまで、電子化を地道に進めてきました。これからも「便利な改善」が続いてゆくでしょう。