玉田篤志

令和6年度税制改正大綱 個人所得課税編

令和6年度税制改正大綱 個人所得課税編

令和6年度税制改正大綱 個人所得課税編

定額減税の実施

定額減税は所得税額の特別控除として、合計所得金額が1,805万円以下(給与収入のみの場合2,000万円以下)の居住者に適用されます。所得税の減税額は、本人3万円、同一生計配偶者と扶養親族1人につき3万円です。給与所得者、公的年金等の受給者は、令和6年6月以後の源泉徴収税額から控除、事業所得者は第1期分予定納税額(7月)から控除されます。

個人住民税の減税額は、本人1万円、控除対象配偶者と扶養親族1人につき1万円です。給与所得者は、特別徴収の場合、減税分控除後の金額を各月に按分して徴収、公的年金等の受給者は、令和6年10月以降の源泉徴収税額から控除、普通徴収は、第1期納付額から控除されます。

ストックオプションは魅力のある制度に

税制適格ストックオプションは、権利行使時の課税を売却時まで繰り延べ、譲渡時の株式譲渡益に課税する制度です。スタートアップ企業が資金や人材をM&Aにより機動的に取得できるよう自社で株式を管理することで証券会社等による保管を不要とし、付与対象となる社外高度人材の実務経験を上場会社の役員は1年以上(現行3年以上)とするなど要件を緩和するほか、権利行使価額の年間合計額の限度額を設立後5年以上20年未満である非上場会社と上場後5年未満の会社は3,600万円、設立後5年未満の会社は、2,400万円(現行1,200万円)に拡充します。

住宅ローン控除は子育て世代を優遇

住宅ローン控除では、19歳未満の扶養親族を有する子育て世帯、夫婦のいずれかが40歳未満の若者夫婦世帯には、これまでの借入限度額を維持します。また、合計所得金額が1,000万円以下の者に床面積要件を40㎡以上に緩和する取扱いは、令和6年12月31日まで延長されます。

令和6年入居 子育て世帯・若者夫婦世帯

住宅の区分                  借入限度額
認定住宅                        5,000万円
ZEH水準省エネ住宅   4,500万円 
省エネ基準適合住宅  4,000万円

住宅リフォーム税制も子育て世代に配慮

 上記の子育て世帯、若者夫婦世帯が、子育てに対応した住宅リフォーム工事を行い、令和6年4月1日から令和6年12月31日までの間に居住の用に供した場合は、工事費用相当額(上限250万円)の10%相当額を所得税額から控除します。

お葬式と税金

お葬式と税金

お葬式と税金

故人をしのぶ儀式と税金

  お葬式は亡くなった方へのお別れやお見送りの儀式です。お通夜や告別式の流れ、宗教宗派によって変わる作法、ご挨拶の言葉など、日常生活とは異なるマナーが多く、少々苦手という方も多いのではないでしょうか。また、残されたご遺族には相続税等、税金周りの手続きが必要になる場合もあります。お葬式と税の関係を確認してみましょう。 

相続税を計算するとき  

  相続税を計算するときは、負担した葬式費用を遺産総額から差し引けます。例えば、

 ①お葬式や葬送に際し、火葬や埋葬、納骨をするためにかかった費用
 ②ご遺体やご遺骨の回送にかかった費用
 ③お葬式の前後に生じた費用で通常葬式にかかせない費用(例えばお通夜などにかかった費用など)
 ④お葬式にあたりお寺などに対して読経料などのお礼をした費用
 ⑤遭難事故等の場合のご遺体の捜索または運搬費用

 上記は相続税を計算するときに差し引けるものとなります。逆に、 

①香典返しの費用
 ②墓石や墓地の費用
 ③初七日や法事の費用

については、葬式費用ではないと判定されるため、遺産総額から差し引くことはできません。

 香典・弔慰金と税金

  香典については故人ではなく喪主やご遺族に支払われるものという扱いになっています。前述した葬儀費用とはならない「香典返し」は故人が返しているわけでもないし、故人が貰っているわけでもないので、葬儀費用とはならない、という解釈です。また、社会通念上相当と認められる香典については所得税及び贈与税は非課税となっています。

  会社から出る弔慰金については、実質上退職手当金等に該当する部分については相続税の対象です。また、それ以外の部分については明確な取り決めがあり、

 ①業務上の死亡の場合:給与3年分
 ②業務上の死亡でない場合:給与半年分

 を超える弔慰金については、相続税の対象となります。 


年末調整の基本

年末調整の基本

年末調整の基本

年間の所得税額を再計算する作業 

年末調整は、給与を受ける人それぞれについて、原則毎月の給与や賞与などの支払いの際に源泉徴収した税額と、その年の給与の総額について納めなければならない年税額とを比べて、その過不足を精算する手続きです。過不足が起こる原因としては、 ①生命保険料控除や地震保険料控除等の控除が発生する②扶養控除・配偶者控除の額が変わる、等があります。

毎月の給与や賞与などから源泉徴収される税額については、あくまで1年間の見込みの所得により決まるため、「年末調整で出す予定の生命保険料控除」等は加味しないようになっています。また、扶養・配偶者控除の額が変わるケースについては、「大学生の子供がアルバイトに勤しみすぎて、扶養範囲以上の給与を得てしまった」とか「配偶者の収入が産休・育休に入ったため減った」等が考えられます。  


年末調整できない所得控除 

医療費控除や寄附金控除等については、年末調整ができない所得控除です。これらの所得控除については1月1日から12月31日までの間で計算するので、年末調整以後にも発生する可能性があるため、年末調整で取り扱えません。基本的には従業員個人が翌年確定申告するものとなります。  

住宅ローン控除の初年度も年末調整NG  

住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)については、2年目以降は年末調整可能です。ただし初年度については、そもそもの「住宅ローン控除を受けられるか否かの審査」が必要となっており、確定申告で控除の申告と併せて、床面積や入居日、居住用かどうか等の審査を行っています。よって年末調整を行うことができません。  

「令和6年」からの変更点 

住宅ローン控除の2年目以降は年末調整可能で、現在は「借入金残高証明書」の添付が必要ですが、令和6年からは添付が不要となります。金融機関から税務署に直接残高証明書が送られるようになるためです。  

来年以降は人事・労務担当者も、年末調整のチェック作業が少し楽になるかもしれませんね。 


ふるさと納税の オンラインワンストップ特例申請

ふるさと納税の オンラインワンストップ特例申請

ふるさと納税の オンラインワンストップ特例申請

オンラインで特例申請  

個人のその年の所得・控除によって決まる控除上限金額以内の寄附であれば、自己負担が2,000円で返礼品が貰えるふるさと納税制度。確定申告をする必要がなく、1年で5自治体以内への寄附であれば利用できるワンストップ特例申請制度は、確定申告をハードルに感じている給与所得のみの方、あるいは年金所得のみの方に親しまれ、ふるさと納税の利用数拡大に寄与してきました。最近はマイナンバーカードとその情報が読み取れるスマートフォン又はカードリーダーがあれば、オンラインで申請できるようになっています。  


デジタル庁主導の公的個人認証サービス

オンラインワンストップ特例申請に使用される「公的個人認証サービス」とは、マイナンバーカードのICチップに搭載された電子証明書を利用して、オンラインで利用者本人の認証等を公的に行うためのサービスです。この公的個人認証サービスについては、行政機関だけでなく、民間事業者の各種サービスにも導入可能です。個人認証について、マイナンバーは利用しません。  

民間事業者が公的個人認証サービスを導入する場合は、公的個人認証法に基づき、主務大臣認定を受けて自社が認定事業者になるか、もしくは認定事業者に署名検証業務を委託する形で利用するかの2つの方法があります。  


特例申請は2つの方法を活用している  

ふるさと納税のワンストップ特例申請ができる「自治体マイページ」は、サイトへの登録情報と自治体より提供される寄附情報を紐づけ、ワンストップ特例申請の本人確認を公的個人認証サービスで行い、オンラインでワンストップ特例申請ができるサービスを提供しています。なお「自治体マイページ」を運営するのは民間事業者です。  

また、ふるさと納税の申し込みができるポータルサイトについては、署名検証業務を委託する形で、オンラインワンストップ特例申請ができるサイトが増えています。  

郵送する手間もなく、Webサイトで特例申請が受領されているかも分かるため、今までの紙での申請に比べると、手間の少ない方法になっています。


NISAよりiDeCoが先

NISAよりiDeCoが先

NISAよりiDeCoが先

老後向け資産形成、NISA 以外

老後に向けた資産形成に生かせる非課税制度には、つみたて NISA や新 NISA の積立投資枠で投信を購入するもののほかに、確定拠出年金(DC)もあります。DC には企業型と個人型があり、企業型は勤め先が導入している場合に利用できるものです。

個人型 DC「iDeCo(イデコ)」

個人型確定拠出年金は「iDeCo(イデコ)」と呼ばれ、勤め先に企業型 DC がない人なら、専業主婦を含め幅広い人が対象です。

iDeCo は、国民年金や厚生年金に上乗せされる私的年金制度で、掛金を拠出し、自分で運用方法を選んで掛金を運用します。

iDeCo の税制優遇

iDeCo は、①運用中の利益が非課税になるのに加えて、②iDeCo で積み立てる掛金全額が所得控除の対象となり、所得税と住民税が軽減されます。

さらに、③受け取る時についても、税の優遇があります。受給する額の一部が非課税となります。非課税となる金額は、年金として受け取る場合と一時金で受け取る場合とで異なります。年金として受け取る時は、公的年金等控除の適用があり、一時金で受け取る時は、積立期間を勤続年数とみなして退職所得控除の適用があります。

どちらを選択するかは、税額や健康保険料に鑑みると有利不利があるので、他の退職金や年金の有無、その他の収入見込みやライフプランを考慮する必要があります。

 

iDeCo+(イデコプラス)もある

 

iDeCo+とは、個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入している従業員が拠出する加入者掛金に中小企業事業主が、従業員の老後の所得確保に向けた支援として掛金を上乗せする制度です。事業主拠出掛金は、全額が損金に算入されます。

資産形成は iDeCo から

 

NISA の検討の前に、iDeCo の枠いっぱいを使い切る、というのが原則的有利選択です。iDeCo に加入できるのに、入っていない方が、いまだに多数います。とてももったいないことです。

ただし、①原則 60 歳まで引き出しができない、②投資信託で運用リスクが生ずることもある、③投資の管理手数料がかかる場合がある、④主婦や学生などで課税所得ゼロだと所得控除メリットがない、ということも留意事項です。 

 

マンション評価が変わります

マンション評価が変わります

マンション評価が変わります

 高層階にある立地の良いマンションは、市場価格と相続税評価額との乖離を利用し、相続対策として取得されることがあります。国税庁は有識者会議の討議を踏まえ、令和5 年 7 月 21 日、マンションの評価を見直す個別通達(案)をパブリックコメントで公表しました。意見募集は 8 月 20 日まで。


市場価格に近付ける評価方法に見直す

新たな評価方法は、マンション一室の区分所有権等について、従来の相続税評価額に一定の補正をします。築年数、総階数、所有物件の所在階、敷地持分狭小度をもとに、市場価格と相続税評価額との乖離が、約1.67 倍を超える場合は、評価額が市場価格の6割となるように評価額を補正します。

築年数の浅く高層階にあるマンションほど補正率は大きく、評価額も高くなりますが、マンション全体への影響も予想されます。

令和6年1月1日以後の相続、遺贈、贈与に適用されます。


一室の敷地利用権(土地)の評価

次の場合、自用地としての価額×補正率(B)


評価乖離率(A)  補正率(B)

A<1                    B=評価乖離率

A>1.66‥・・・   B=評価乖離率×0.6


評価乖離率 

=築年数×△0.033

+総階数÷33(1 を超える場合は1)×0.239

+専有部分の所在階×0.018

+敷地持分狭小度(※)×△1.195

+3.220


※敷地持分狭小度=敷地利用権の面積÷区分所有権の専有部分の面積

1棟の区分所有建物の専有部分全てと敷地を単独で所有する場合、補正率は1を下限とされます。評価乖離率を求める上記算式と補正率の計数 0.6 は適時見直されます。


一室の区分所有権(建物)の評価

自用家屋としての価額(固定資産税評価額)×補正率(B)

階数が2以下及び専有部分の一室の数が3以下で、その全てを区分所有者又はその親族の居住用に供している建物は対象外。


自身でマンション評価を試算してみよう!

上記算式は、納税者が簡単に計算できるよう国税庁がツールを用意するとしています。計算に必要なデータは登記簿謄本を見れば簡単に入手できますので、自身で影響の有無や大きさを試算しておきましょう。


マイナンバーカード 情報が誤っていた時

マイナンバーカード 情報が誤っていた時

マイナンバーカード 情報が誤っていた時

マイナンバーカード情報が誤っていたら?

 マイナンバーカードに紐づけされた情報の誤りが次々と見つかっています。万一誤った情報が登録されていると気づいた場合の対処法はどのようにするのでしょうか。

健康保険証情報

 この情報の誤りに気付いた時はフリーダイヤル(0120-95-0178。音声ガイダンスに従い「4-2」に進む)か、加入している医療保険の保険者に問い合わせます。正しく登録されているかを確認する場合は、マイナポータルにログインし、「注目の情報」の「最新健康保険証の情報の確認」を押して「あなたの健康保険証情報」から、登録されている健康保険証情報を確認します。

公金受取口座情報

  マイナポータルにログインし「注目の情報」の「公金受取口座の登録・変更」を押して「公金受取口座の登録状況ページ」にて、登録されている情報を確認します。口座情報に誤りがある場合にはこのページから登録口座の削除を行います。

マイナポイントに関する情報

 

  「マイナポイント」アプリ・サイトのトップ画面から「申込み状況を確認」を押すとマイナポイント申請が正しく登録されているか確認できます。

 申込みをした覚えがない、心当たりのない決済サービスが登録されていた場合は、上記フリーダイヤルで音声ガイダンスに従って「5」に進むか、申し込みをした自治体(手続支援窓口)に問い合わせます

 問い合わせの際は、上記サイト・アプリの「申込状況の確認」から「マイキーID」「申込日時」「決済サービス」「決済サービス ID」の情報が必要になります。

マイナ保険証、会社の保険証はどうなる?

 

   会社を通じて従業員に保険証は渡されますが、 マイナンバーカードを健康保険証として利用すれば、健康保険証の発送を待たずに利用できますし健保証はカードの中にあることになります。 会社として健康保険関連の入社・退社・扶養に関する手続は引き続き必要になります。 マイナンバーカードの健康保険証登録は本人が行うため、会社としての手続はありません。現在登録をしていない方でもいずれは健保証を得るために登録が必要となるでしょう。 

駐車場賃貸のインボイス

駐車場賃貸のインボイス

駐車場賃貸のインボイス

 駐車場の賃貸借契約は、通常、1年~2年間の契約期間で作成されますが、インボイス制度(適格請求書等保存方式)の運用が始まる令和5年10月1日をまたぐ契約も多いのではないでしょうか。

駐車場賃貸は、消費税課税が原則

 駐車場事業を経営する場合、砂利を敷く、ロープで区画割りする、アスファルト舗装するなど施設を整備して貸し付けます。施設の利用に伴って土地が使用される場合、消費税が課されます。課税事業者は、令和5年10月以降、賃貸借契約書や請求書、領収書等にインボイス(適格請求書)としての要件を備えさせて保存しなければなりません。

 

契約書を通知書で補完

 契約書、請求書等をそのままインボイスとする場合、登録番号、税率10%に対応する税込価額または税抜価額、消費税額等の明記が必要ですが、令和5年10月前に作成する契約書には、これらの項目の記載は求められていません。そもそも、駐車場賃貸では、賃料の収受に際し、通常は請求書や領収証を交付しないでしょう。

 そこで貸主のインボイス交付義務・保存義務(借主のインボイス保存義務)に対応させるため、請求書にかえて、駐車場事業者は、インボイス番号(登録番号)等を記載した通知書を別途作成して契約書を補完させて借主に交付すること、領収証にかえて、借主は銀行の支払記録と賃貸借契約書や通知書で補完する方法が国税庁のインボイス特設サイトに案内されています。

 

口座振替と口座振込

 口座振替の場合、借主は、インボイス番号の通知書で補完された契約書とともに通帳(課税資産の譲渡等の日付が分かるもの)を併せて保存することにより、インボイス保存義務が満たされます。

 口座振込の場合は、借主は、インボイス番号の通知書で補完された契約書とともに銀行の発行する振込金受取書を併せて保存することにより、インボイス保存義務が満たされます。

事務所賃貸、税理士、社労士も取扱いは同じ

 なお、仲介会社の作成する令和5年10月以降の賃貸借契約にインボイス番号等の記載がない場合も上記の通知書で補完する対応が必要になります。また、この取扱いは、事務所賃貸はもちろん、税理士、社労士など士業が顧問先と締結する契約についても同様の対応となります。インボイス制度開始前に業務フローを確認しておきましょう。

非課税期間が無期限に 新NISA のしくみ

非課税期間が無期限に 新NISA のしくみ

非課税期間が無期限に 新NISA のしくみ

2024 年 1 月から新 NISA がはじまる 

 NISA とは、株式・投資信託等の配当・譲渡益等が非課税対象となる個人投資家のための税制優遇制度です。

 

 令和 5 年度税制改正にて、2024 年 1 月から、非課税期間が無期限となり、つみたて投資枠(旧つみたて NISA)と成長投資枠(旧一般 NISA)の併用が可能となります。また、年間非課税枠や非課税保有限度額が増加しました。

 2023 年までの旧制度では制度の併用はできず、つみたてか一般かを選ぶ必要がありましたが、2024 年からの NISA の場合は、非課税保有限度額を共有するものの、制度の併用自体はできるようになりました。

 

売却で非課税保有限度額の復活

 買い付けした金融商品を売却した場合、取得価額分の非課税保有限度額が復活します。例えば限度額いっぱいの 1,800 万円まで NISA を利用している場合、そのうちの取得価額 100 万円の商品を売却すると、100 万円分は限度額が復活します。

 ただし、限度額が復活するのは「売却した翌年」となるので注意が必要です。

 

ロールオーバーは廃止

 非課税期間が無制限となったため、非課税期間が過ぎた金融商品を、次の非課税投資枠に持ち越すロールオーバーは廃止となります。また、2023 年中までの旧 NISA 制度からのロールオーバーもできない仕組みとなっていますが、2023 年までの旧 NISA については、新 NISA 制度の非課税保有枠を圧迫しない別建てとなります。なお、旧 NISAから新 NISA への切替手続きは不要です。

 まだ NISA をはじめていない方で、新 NISAの非課税保有限度額以上の余剰資金がある場合は、今年中に NISA 口座を開設することも検討してみましょう。 

 

相続の基本 遺産分割協議の流れ

相続の基本 遺産分割協議の流れ

相続の基本 遺産分割協議の流れ

遺産分割協議の流れ

 遺産分割協議は、相続人全員で遺産の分け方を話し合う手続きです。

 遺言書がある場合は、原則遺言書通りに遺産分割をしますが、遺言書にない遺産については分割協議の対象となります。

 遺産分割協議は相続人全員の参加が必須です。参加すべき相続人を調査する必要がある場合、戸籍資料などから確認します。

 遺産分割の対象になる相続財産を調査・把握する必要もあります。遺産が後から出てきた場合、遺産分割をやり直すことになる場合もありますが、分割協議書に後から出てきた遺産の取扱いを記載しておけばその通りに扱うことになります。

 遺言書の有無、相続人の確認、遺産分割の対象になる財産の把握を終えた後、遺産分割の協議を行い、合意内容を記載した遺産分割協議書に相続人全員が署名捺印し、1通ずつ所持すれば遺産分割協議は終了です。

 遺産分割には法律上の期限はありませんが、相続税の申告は「相続の開始を知った日の翌日から 10 か月以内」となっているため、それまでに遺産分割を完了しておくとスムーズです。


分割ができなかった場合の相続税申告

 10 か月以内に遺産分割が終わらない場合は、暫定的に法定相続分による相続税申告を行います。後に修正申告や更正の請求を行うことになりますが、小規模宅地等の特例や配偶者控除等の適用を受けるためには原則期限内申告をしなければいけません。期限後に優遇措置を受けるためには、暫定的な申告時に「申告期限後 3 年以内の分割見込書」を提出する必要があります。


遺産分割協議で決まらなかったら

 遺産分割協議が決裂してしまった場合、家庭裁判所で調停が行われます。裁判官が提示する調停案に相続人全員が同意すれば調停は成立します。

 遺産分割調停も不成立になった場合は、家庭裁判所が審判を行います。法定相続分を基準としますが、相続人から提出された主張や資料を総合的に考慮して、遺産分割の方法は決定されます。