08-経営他

ミニストップの挑戦 コンビニ FC 契約の新形態

ミニストップの挑戦
コンビニ FC 契約の新形態

ミニストップの挑戦 コンビニ FC 契約の新形態

ミニストップで新形態のコンビニ契約

コンビニエンス・ストアのFC展開を行っているミニストップは、令和3年9月より、加盟店との契約を従来の「フランチャイズ契約」から「ミニストップパートナーシップ契約」へ見直すことになりました。
ミニストップの公表資料では、旧FC契約は次のような計算構造でした。

〈旧FC契約〉※公表資料を一部加工

旧FC契約では、「店舗売上高-売上原価」(ミニストップの説明では「収入」)から、本部へのロイヤルティー(本部収入)が控除された「加盟店収入」から廃棄損や人件費などの「店舗営業経費」を差し引くため、経費は、主に加盟店負担となっていました。

〈新契約〉※公表資料を一部加工

新契約では、経費負担構造・利益配分構造を見直し、「店舗売上高-売上原価」から「店舗営業経費」「固定費」を差し引いた事業利益をお互いに配分する形となります。

批判が多かった「コンビニ会計」を見直し

もともと、コンビニエンス・ストアの契約は、ロイヤルティーが商品廃棄損計上前の粗利益を計算基礎にしていたり、高いロイヤルティー率などが「一方的」との批判がありました(いわゆる「コンビニ会計」)。
この「プロフィットシェア」型の契約が業界に浸透するか、今後の動向が注目されます。

コンビニ本部は「記帳代行」もしている

ちなみに、コンビニ店舗は、POSシステムによる商品管理をしているため、売上・仕入に関する帳簿の記載は、加盟店で行っておらず、本部がデータ入力・出力した書類を各加盟店へ送付しています。
国税庁では、この書類は本部が記帳代行を行っているものと変わらないとして、通常の帳簿といえる程度に整理・集計を行った上で保存している場合には、帳簿の保存があるものとして取扱うこととしています。

事業承継・引継ぎ支援センター

事業承継・引継ぎ支援センター

事業承継・引継ぎ支援センター

事業承継・引継ぎ支援センターを覗こう

M&Aに興味のある人や、人生 100 年時代で模索している退職後の人や、サイドビジネスを探している人や、会社の次のステップを睨んでいる経営者などなど、国営の事業承継・引継ぎ支援センターを覗いてみては、いかがでしょうか。
もちろん、廃業や継承者不在、倒産の心配で悩んでいる人については、是非とお勧めします。
何か、新しい出会いに遭遇するかもしれません。

事業承継・引継ぎ支援センターとは

事業承継・引継ぎ支援センターは、全国47 都道府県に設置され、円滑な事業承継・引継ぎのための助言、情報提供及びマッチング支援、研修、広報活動を行っています。
中小企業のM&A支援の実務に精通した専門家が秘密厳守で、無料にて、相談に応じている、と広報されています。
民間のM&A機関を活用してM&A実行中のケースに対し、セカンドオピニオンの役割も担う、とも言っています。

ホームペーシの案内によると

事業承継・引継ぎ支援センターのホームページを覗くと、第三者承継支援(M&A)、親族内承継支援(MBOや傍系親族承継)、後継者人材バンク(創業目的個人による創業承継)、経営者保証に関する支援(経営者個人連帯保証解除、経営者個人居宅に設定の連帯保証抵当権設定解除)を参考項目として挙げています。
民間M&A機関がターゲットにしない、小規模企業に関わる案件や相談を相対的に多く担っています。件数も、2020 年では、年間3~4千件のうちM&A大手3社計760 件に対し、事業承継・引継ぎ支援センター1379 件との記載があります。

民間M&Aの企業や有識者との連携

昨年末からは、民間M&Aプラットフォーマーとの連携に舵を切り、事業承継・引継ぎ支援センターの相談者情報とプラットフォーマーの顧客情報の相互乗り入れに踏み出しています。
その上で、最近は、優秀なM&A支援人材や経営者OB人材を全国的に公募しています。同時に、M&AのFAや金融・税務・法務等やDBに係るITの専門的な知見のある実務経験者の出向を全国公募により民間企業等から受け入れています。
自力強化と連携強化を図っています。

VRIO分析とは ~会社の経営資源の分析~

VRIO分析とは
~会社の経営資源の分析~

VRIO分析とは ~会社の経営資源の分析~

VRIO 分析とは?

VRIO 分析とは、価値(value)、希少性(rarity)、模倣困難性(inimitability)、組織(organization)の 4 つの点から、自社の経営資源の分析をする方法です。昨今は社会の変化スピードも目まぐるしく、コロナの影響で会社の強みが活かされなくなってきた、という方もいらっしゃると思います。初心に立ち返り、今一度会社の持つ経営資源の洗い出しをしてみてはいかがでしょうか? 分析に利用する 4 つの観点は以下の通りです。
①価値:会社の持っている資源に価値はあるのか。その資源や能力があれば、外部環境の機会を逃さず脅威に打ち勝つことができるか、ニーズがあるのか。この時点で Noの場合は「競争劣位の状態」となります。
②希少性:会社の持っている資源は珍しいものか。競争相手もその資源を保有していれば希少性は下がるし、保有していなければ希少性は上がる。例えば「競合先も保有している資源である」という場合は、「競争均衡の状態」になっている資源となります。
③模倣困難性:会社の持っている資源は真似し辛いか。真似しようとするとコスト面で不利になったり、特許を取得していたりすることによって模倣が困難かどうか。この時点で No の判定ならば「一時的な競争優位の状態」になっている資源となります。
④組織:その資源を使える組織力があるか。資源や能力を十分に引き出し発揮できる会社・組織になっているか。この時点で No であれば「持続的な競争優位であるが資源を最大限生かせていない状態」となります。

分析の手順は常に V→R→I→O で

VRIO 分析は常に「価値→希少性→模倣困難性→組織」の順で行います。4 つの項目がすべて Yes であれば、「持続的な競争優位であり、資源を最大限生かせている状態」と言えます。
この VRIO 分析は SWOT 分析と同じように、会社の保有している資源の強み弱みを明確にして、強みを生かした戦略や、弱点を補完する方法を考える出発点になります。

IT 化との違い、わかりますか? DXって何のこと?

IT 化との違い、わかりますか?
DXって何のこと?

IT 化との違い、わかりますか? DXって何のこと?

デラックスではございません

去年あたりからインターネットや書籍等で「DX(デジタルトランスフォーメーション)」という言葉を目にする機会が多くなりました。「なんかデジタル通信とかパソコンとかでアレするやつでしょ」という認識の方も多いのではないでしょうか。
そもそも広義の DX とはスウェーデンの大学教授、エリック・ストルターマン氏が2004 年に提唱した「デジタル技術が人々の生活を、あらゆる面でより良い方向に変化させる」という考え方を起源とする概念です。ビジネスで DX と言う場合は、大まかには「AI や IoT、ビッグデータなどのデジタル技術を活用し、ビジネスモデルや組織体制を抜本的に改革することで、競争優位性の確立や外部環境への適応を目指す」という意味になります。
以前の「IT 化」は業務効率化やコスト削減を目的とした IT・デジタル技術の導入のことです。DX はさらに会社運営へ踏み込み、デジタル技術を手段としてビジネスモデルや組織など、より広い範囲の変革を促すものとなります。

DX 投資促進税制が誕生した背景

国は令和 3 年度税制改正で「DX 投資促進税制」を創設し、民間の DX 化の後押しを行っています。
経済産業省の報告によると、今のままでは「IT 人材の不足」と「古い基幹系システム」の2つが障害となり、2025 年から 2030年までの間に、年間で最大 12 兆円の経済損失が生じる可能性があるとしています。この損失はもとより、世界との競争力を維持するため DX が当たり前となる「ポストデジタル時代」に乗り遅れるのは致命的と考えているようです。

認定されれば税額控除 or 特別償却

DX 投資促進税制では、データ連携(共有)・レガシー回避・サイバーセキュリティ・ビジネスモデル変革・全社戦略等の要件を満たす計画が認定されれば、その計画に基づいて行う設備投資のうち、ソフトウェア・繰延資産・機械装置・器具備品について、税額控除や特別償却が受けられる制度です。
「あまりデジタルに関係のない分野だから」とこの手の話題を避けてきた方もいらっしゃるかと思いますが、この機会に一度検討してみてはいかがでしょうか。

収入と扶養の関係

収入と扶養の関係

収入と扶養の関係

収入の壁とは

秋になる頃、パートやアルバイトなどで働く方は、「年収はいくらまでに抑えるのがよいか?」と扶養の範囲を意識することも多いでしょう。税制上と社会保険上の両方に扶養範囲の壁がありますが、夫が会社員で主たる生計者年収 600 万円、妻パートのケースで考えてみましょう。

税制上の壁としては年 100 万円を超える収入があると住民税の課税が始まり、103 万円を超えると所得税が発生します。
妻の所得税は配偶者特別控除で年収が150 万円までは減額されず、150 万円を超えると控除が徐々に減額されていきます。そして 201.6 万円以上で配偶者特別控除はなくなります。

社会保険の壁としては妻が社会保険上の被扶養者ならば社会保険料は収めずに夫の加入している健康保険を受けられ、年金も国民年金の 3 号被保険者で基礎年金に加入していることになります。
しかし、妻が月 8.8 万円(年収 106 万円)となると妻自身が勤め先の社会保険に加入することになります。ただし条件があり
① 従業員数 501 人以上事業所
② 雇用期間 1 年以上(見込み含む)
③ 週 20 時間以上勤務
④ 学生ではない
の条件が付いています。2022 年 10 月からは従業員数の条件が 101 人以上、2024 年からは 51 人以上になる予定です。
さらに年収が 130 万円以上になると、前の条件にかかわりなく妻自身が社会保険に加入することになります。

扶養の範囲にするかライフタイルで考える

税制上の扶養を少し外れても、社会保険の扶養を外れることと比べれば金銭的負担はずっと少ないと言えます。
社会保険は加入すれば病気の時の傷病手当金や出産する際は手当金が受けられます。
年金も長生きすることが多い女性は妻自身の年金額が増えることは心強いでしょう。
壁を超えるのは損という考えでいくか、収入を増やさなければ手取りも増えないので税金や社保料を負担しても収入を増やそうとするとするか、家族や会社とも話し合いをしての選択でしょう。

M&A経営力向上計画申請

M&A経営力向上計画申請

M&A経営力向上計画申請

経営力向上計画策定の手引き

令和3年度税制改正の「経営資源集約化税制(中小企業事業再編投資損失準備金)」が施行されたのに合わせて、中小企業庁は、「経営資源集約化税制の活用について」につづき、「経営力向上計画策定の手引き」を公表しました。

支援機関のサポートで計画策定

「経営力向上計画」は、人材育成、コスト管理等のマネジメントの向上や設備投資など、自社の経営力を向上するために実施する計画で、認定された事業者は、税制や金融の支援等を受けることができます。
また、計画申請においては、認定登録経営革新等支援機関としての専門家のサポートを受けることが予定されていて、経営診断ツールにより計画策定ができるようにもなっています。

認定を受けられる経営力向上計画

事業分野を所管する省庁が作成した、事業分野別指針が用意されています。申請者は、その指針を踏まえて、案内されている、「経営力向上計画 申請書作成の手引き」その他を参考にしながら、記載例に従って経営力向上計画を策定します。
経営状況を書くところは、ローカルベンチマークの算出結果を記入するようになっているので、経済産業省のホームページにあるローカルベンチマーク(ロカベン)シートをダウンロードすることになります。

申請にはDDチェックシートの添付が必須

経営力向上計画申請には、事業承継等事前調査(デューデリジェンス)チェックシートを添付しなければなりません。
法務に関する事項(弁護士実施)と財務・税務に関する事項(税理士・公認会計士実施)とは絶対必要デューデリとされています。ITコーディネーターや中小企業診断士等のコンサルタントのデューデリを必要に応じて実行することもあり得ます。

申請はオンラインで

経営力向上計画申請プラットフォームで電子申請が可能になっています。令和4年4月からは、完全電子化となります。
経営力向上計画申請プラットフォームから電子申請するには、GビズIDを事前に取得しておく必要があります。
GビズIDプライムアカウントの発行には、2週間程度要するとされています。

 

取引開始時の契約書作成は大事 その割引料は契約書に則った取扱いですか?

取引開始時の契約書作成は大事その割引料は契約書に則った取扱いですか?

取引開始時の契約書作成は大事 その割引料は契約書に則った取扱いですか?

振込手数料・割引料の差引入金

新規取引先からの第一回目の売掛金の入金があったと思ったら、“なぜか売掛金残高よりも少ない入金となっていた”といったことはありませんでしたか? 差額を計算してみると、何となく馴染みのある数字、すなわち銀行振込手数料相当と気づきます。
「またここも振込手数料差引か・・・」と嘆息をもらすことは、大企業相手にはよくある話です(本稿では振込手数料差引の是非については検討しません)。
一方、取り決められた支払期間よりも前倒しで代金支払を行った買手に対して、売手が認めた売上代金の一部を免除するということもあります。会計用語で売上割引といいます。会計上は、前倒し期間に対応する金利相当額の割引を行うもので、利息としての性質を有するものとし、支払利息と同様に、営業外費用として計上されます。

その割引は契約書に則った取扱いですか?

ここで留意していただきたいことは、割引は、“売手が認めた売上代金の一部の免除”であって、買手側が勝手に免除して少なく払うものではないということです。
ところが、おそらく往々にしてあるケースは、取引を開始するにあたって相手先指定の契約書をそのまま受け入れ、その契約書のどこかにこうした割引の規定が書かれてある場合です。仮に、よく読んでいなかったと後悔したとしても、事業者が契約書を結んだ限りは、納得して契約したものとされますので、契約書に則った割引であれば、受け入れざるを得ません。
もし、契約書を締結しておらず、割引分を差引精算されたときは、その割引は無効です。が、実際は相手先との交渉となるので、難しいのが現実かと思われます。
こうした事態を避けるには、新規取引開始時に、できれば自社作成の取引契約書で合意してもらう、もしくは、相手先契約書にある不平等事項を除外してもらうことです。難交渉でしょうが、最初が大切です。

割引に係る消費税法上の取扱い

この売上割引は、会計上は営業外費用ですが、消費税法上の取扱いは、「売上げに係る対価の返還等」に該当します。会計処理と税務計算が違ってきます。仕訳計上する際に、消費税の課税区分を「売上げに係る対価の返還等」で分類することに留意してください。

SDGsと就活生の会社選び

SDGsと就活生の会社選び

SDGsと就活生の会社選び

SDGsとは何でしょう?

最近よく耳にするSDGsとは、持続可能な開発目標 (Sustainable Development Goals)を指す言葉です。2015年9月の国連サミットにおいて加盟国の全会一致で採択されました。
2030年までに達成すべき、持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。目標にはたとえば「気候変動に具体的な対策を」「海の豊かさを守ろう」「人や国の不平等をなくそう」などがあります。実現するために進むべき道を具体的に示した指標であり17のゴール・169のターゲットから構成されています。発展途上国のみならず、先進国自身が取り組む普遍的なものであり積極的に取り組む企業が増えてきています。

取り組み度合いと就職志望度

企業のSDGsへの取り組みは、人材採用の面にも影響があるのでしょうか? 就職志望度との関連を2022年3月卒業予定の大学4年生と理系の大学院修士卒予定者に聞いたところ、SDGsに積極的に取り組んでいることがその企業の志望度に「影響する」「とても影響する、志望度が上がる」「やや影響する」を合わせると4割を超えていて、就活生の関心の高さがうかがえました。理由としては「企業の社会的役割重視」や「将来性ある企業と判断できる」などで会社説明会やHP等で認知されています。

企業が取り組めるSDGsの課題

民間調査会社㈱ディスコの調査によると企業がSDGsの中で取り組めると思う項目としては「産業と技術革新の基盤を作ろう」
「働きがいも経済成長も」が圧倒的に上位にあげられ、次に「すべての人に健康と福祉を」「住み続けられる街づくり」「作る責任使う責任」「エネルギーを皆に、そしてクリーンに」「ジェンダー平等を実現しよう」などが続いています。
政府は2017年より「ジャパンSDGsアワード」として目標達成に優れた取り組みを行っている企業、地方自治体、団体等を表彰し行動推進を促しています。
就活に限らず中小企業でもこれから、たとえば入札の時などSDGsの取り組み状況を求められるかもしれません。取組期間は当分続くので、自社でできることを考えてみるのもよいでしょう。

経営他

新登場! M&A支援機関

新登場!M&A支援期間

M&A支援機関登録制度の創設

中小企業のM&A促進戦略として中小企業庁が4月に公表した「中小M&A推進計画」では、M&A支援機関に係る登録制度の創設を唱っていました。
全国的に大規模・中規模向けのM&A支援機関が活動しているが、M&A支援機関の支援の妥当性を判断するための知見が不足している中小企業が存在する状況下での、M&A支援機関の質を確保する仕組みを創らなければならない、としていました。
制度創設日は、改正中小企業等経営強化法施行日の2021 年8月2日です。

登録可能な対象者

経産省の「登録制度の概要」によると、M&A支援機関とは、「中小M&Aを支援する機関」であり、ファイナンシャルアドバイザー業務(FA・片方代理)又はM&A仲介業務(双方代理)を行う者です。
具体的には、M&A専門業者(FA、仲介業者)、金融機関、商工団体、士業等専門家、M&Aプラットフォーマー、事業承継・引継ぎ支援センター等が登録してくれることを予定しているようです。

第一次公募による登録状況

公表された登録M&A支援機関数は、2021 年10 月15 日現在で2278 件です。うち、法人は1700 件、個人事業主は578 件です。また、上位5業種は、M&A仲介専門業者が544 件、FA専門業者が394 件、税理士が517 件、公認会計士が233 件、地方銀行・信金・信組が125 件です。
M&A契約に深く長く関わるM&A支援機関登録で、税理士・公認会計士が33%をも占めているということには、驚きです。

登録要件は?

①「中小M&Aガイドライン」の遵守を宣言し、遵守すること
②登録要件を充足している旨を自社HPで掲載すること
③登録要件を充足している旨を顧客に書面で事前説明すること
④毎年度、実績報告を提出すること
なお、登録をしたものの、特段合理的な理由なく支援実績が芳しくないなど、一定の要件に該当する場合には、登録の継続を認めず、登録取消しとなります。
また、登録されたM&A支援機関に対する苦情情報提供受付窓口を設けて、公開監視による制度充実をはかる予定になっています。