02-所得税

ふるさと納税 基本的なポイント

ふるさと納税 基本的なポイント

ふるさと納税 基本的なポイント

基本的なポイントをお話しします

  個人の所得・控除によって決まる控除上限金額までの寄附なら、自己負担が 2,000円で返礼品が貰えるふるさと納税制度。令和 3 年度の実績は寄附額約 8,302 億円、寄附件数は約 4,447 万件でした。TVCM やインターネットの広告等で目にすることも多く、すでにふるさと納税をしている方も多いことでしょう。

 ただ「興味はあるけどまだやったことがない」という方もまだまだいらっしゃるはず。そんな方のために、今回は基本的なことをおさらいいたします。

1 回でも良い、上限まで寄附しなくて良い

 ふるさと納税は、定期的な寄附を求めないので気軽に行うことができます。今年 1万円寄附したからといって、来年も同じ自治体に 1 万円寄附しなければならないわけではありません。その時々の「応援したい自治体」へ寄附して良いのです。

 ふるさと納税はその当年の自分の所得や控除によって決まる年間の控除上限金額までの寄附であれば、基本的には自己負担は2,000 円で済む仕組みになっています。控除上限金額の計算は、ポータルサイト等で行えます。ただ、控除上限金額はあくまで「自己負担が 2,000 円で済む上限」のため、それ以下の寄附であれば自己負担は 2,000 円で済みます。後に支払うべき税金が減ることによって戻ってきますが、一時的なキャッシュフローはマイナスになりますし、払った分-2,000 円だけ税金が減る仕組みで直接的な節税ではないため、無理に上限額全額まで使う必要もありません。

 当然、たくさん寄附をすればたくさんお礼の品が貰える分お得ですが、未経験の方で「試しに1つだけやってみよう」という使い方でも問題はありません。

税を引いてもらう手続きが必要

  寄附してそれでおしまい、というわけではなく、確定申告かワンストップ特例申請という手続きをしないと、後に税金を引いてくれません。なお、ワンストップ特例申請は「確定申告をしない方」「5か所以内の自治体への寄附」という利用条件がありますので、ご注意ください。 

なぜ給与支払者が源泉徴収義務者 で納税しなければならないのか?

なぜ給与支払者が源泉徴収義務者
で納税しなければならないのか?

なぜ給与支払者が源泉徴収義務者 で納税しなければならないのか?

源泉徴収は国の仕事の押し付けでないか?

所得税法では、給与の支払者が給与支払時に源泉所得税を天引きし、翌月 10 日までに国に納付しなければならないと規定されています。“これって国のやるべき仕事を給与支払者に押し付けているのでは?”と疑問に思ったことはありませんか?
源泉徴収制度は事前に税収を確保できる国にとって便利な制度です。滞納の未然防止や納税の簡易化、納税者の捕捉などにも資するものです。とはいえ、給与支払者にとっては手間も時間もかかる余計な仕事である上に、申告や納税が遅れるとペナルティ(=不納付加算税など)も大きい嫌な制度です。

手間の掛かる源泉徴収義務は憲法違反か?

給与支払者に源泉徴収義務を課すのは憲法違反だとする源泉徴収制度の合憲性が争われた事件がありました。原告側の主張は、源泉徴収制度は憲法 14 条 1 項(法の下の平等)、18 条(その意に反する苦役に服させられない)、29 条 1 項 3 項(財産権の侵害)に違反すると訴えたのです。
しかしながら、昭和 37 年 2 月 28 日の最高裁の判決で、「給与所得者に対する所得税の源泉徴収制度は、これによって国は税収を確保し、徴税手続を簡便にしてその費用と労力とを節約し得るのみならず、担税者の側においても、申告、納付等に関する煩雑な事務から免がれることができる。また徴収義務者にしても、給与の支払いをなす際所得税を天引きしその翌月 10 日までにこれを国に納付すればよいのであるから、利するところは全くなしとはいえない。」として訴えは退けられました。

現行の源泉徴収制度は三方よしの手法

最高裁の棄却理由として、①国の簡便手続での税収確保、②従業員は確定申告不要となる、③給与支払者の資金的利便の 3 つを理由としました。
そして、「されば源泉徴収制度は、給与所得者に対する所得税の徴収方法として能率的であり、合理的であって、公共の福祉の要請にこたえるものといわなければならない。」として、合憲としました。
以後に争われた源泉徴収制度の合憲性事件でも、この昭和 37 年最高裁判決が引用されて今日に至っています。

今年の改正税法 所得税・住民税と退職所得

今年の改正税法
所得税・住民税と退職所得

今年の改正税法 所得税・住民税と退職所得

退職所得は合計所得金額を構成するが

令和2年分の所得税の申告から、基礎控除ほか人的控除、給与所得控除、公的年金等控除、青色申告控除などの改正で、10 万円増減や段階的減額や適用除外に伴う所得計算の複雑化が顕著になりました。
合計所得金額の多寡はこの複雑化計算の要素の一つです。そして、所得税に於いては、退職所得はこの合計所得金額の構成要素ですが、住民税での通常の退職所得は、合計所得金額の構成要素ではなく、完全分離課税です。所得税と大きく異なります。

住民税では構成しないとの確認的改正

今年の住民税の税制改正では、公的年金等控除額の算定の基礎となる「公的年金等に係る雑所得以外の所得に係る合計所得金額」には、個人住民税における他の所得控除等と同様に、退職所得を含まない合計所得金額を用いること、と所得税と住民税での公的年金等所得の計算の不統一が明確にされ、令和3年分の所得税申告に係る令和4年分の住民税の公的年金等所得・税額計算から適用となっています。

配偶者等の退職所得情報の共有化

また、関係するのは、納税者本人の退職所得だけでなく、配偶者や扶養親族の受ける退職所得もです。
今年の税制改正では、退職所得を受給する同一生計配偶者と扶養親族の氏名住所等を「扶養控除等申告書」に記載する事とし、その記載を基に、給与支払者は、「給与支払報告書」の摘要欄に「(退)」を付けて移記し、市町村に提出する事とされました。
ここでは、所得税の課税処理を基に住民税の課税処理が完結しています。

本人情報は何故か徹底させない

でも、「確定申告の手引き」には、「一般的に、退職所得に係る所得税等は源泉徴収により課税が済むことになりますので、申告書の提出は不要です。」と書かれています。
住民税の事を無視した記載です。
給与所得と退職所得だけの場合だと、年末調整関係申告書と退職所得受給申告書を提出するだけで手続き完了です。そして、これらの申告書は、宛名こそ税務署長や市町村長になっていますが、それらの機関に提出されることのない書類です。
また、法定調書としての「退職所得の源泉徴収票」は、市区町村にも提出されますが、作成範囲は法人の役員に限定です。
住民税の適正計算には除外すべき退職所得情報は不可欠なのに、なぜか不徹底です。

今年の改正税法 インボイス事業者即時登録

今年の改正税法
インボイス事業者即時登録

今年の改正税法 インボイス事業者即時登録

今年の消費税法の改正とされた条文

今年の税制改正は、「所得税法等の一部を改正する法律」という全 20 条の一括法(所謂束ね法)でなされています。この中での消費税法の改正は、第7条で消費税本法の改正、第 20 条で平成 28 年の改正税法の消費税部分(第5条)の中の未施行条文とそれに関連する附則条文の改正をしています。
平成 28 年の消費税改正はインボイス制度の導入立法です。その時の附則の規定としては、令和5年 10 月1日から、インボイス制度が開始されるので、当初からインボイス(適格請求書)発行事業者になるためには令和5年3月 31 日までに登録申請をすること、それ以後においては、特に、免税事業者がインボイス発行事業者になるには、新規に課税期間となる初日以前1月前の日までに、登録申請書を提出すること、としていました。

今年の改正で6年間の延長と即時登録に

今年の税制改正で、免税事業者が、令和5年 10 月1日から令和 11 年9月 30 日までの日の属する課税期間中に行うインボイス発行事業者になる為の登録では、任意のタイミングでよいこととし、その登録で即時にインボイス発行事業者の資格を得られることと改正されました。
この登録には、課税事業者選択届出書の提出は不要です。

2年縛りと3年縛りの制限

今年の改正の結果、任意での即時登録者には、登録日の属する課税期間の翌課税期間と翌々課税期間においては消費税の免税事業者に戻る選択が出来なくなりました。
なお、令和5年 10 月1日を含む課税期間での登録者には、改正前のまま、この2年縛りの制限はありません。
また、調整対象固定資産(100 万円以上)を取得した場合の3年縛りの制限は、即時登録した元免税事業者にはありません。理由は、3年縛りの規定が、「課税事業者選択届」を提出した者を対象とするからです。
同じ3年縛りでも、高額特定資産(1000万円以上)の取得の場合には、「選択届」提出者との限定がないので、制限ありです。

税法本法の規定なのに

措置法的な、令和 5.10.1~令和 11.9.30というインボイス登録時限規定は、消費税法本法本文上の規定としては不自然です。
その通り、これは本文規定ではなく、附則の規定、それも平成 28 年改正税法の中の附則第 44 条についての本年改正規定です。

がん免疫治療の医療費控除

がん免疫治療の医療費控除

がん免疫治療の医療費控除

がん免疫療法は、人間の持つ免疫の力を利用してがんを攻撃するがん治療法ですが治療法の中には効果がまだ認められず、保険が適用されない自由診療となるものもあります。高額な医療費を支払った場合、医療費控除は受けられるのでしょうか。

診療、治療のため通常必要な医療費

所得税法では、医療費控除の対象として「医師による診療または治療」、「治療または療養に必要な医薬品の購入」の対価のうち「通常必要と認められるもの」、「一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額」と規定しています。
判例では、眼の屈折異常を矯正する目的で眼鏡等を装用した際、医師の検査費用と眼鏡等の購入費用の医療費控除該当性が争われた裁判で「医療費控除制度は、治癒可能な心身の機能の低下を回復させるために必要となる医療上の経済的支出に対する課税上の調整措置である」と治癒を前提とした医療であることが判示されています。
がん免疫治療の場合、自身で選択した治療法が治療の効果が証明されていない自由診療であるとしても、そこに一定の効果が期待され、医師の診断にもとづき治療が行われているのであれば、「治癒可能な心身の機能低下の回復」を目的とする医療行為に該当し、医療費控除が適用されるのではないでしょうか。ちなみに丸山ワクチンの購入費用は、主治医の判断の下、主治医により治療が行われることから、医師等による診療を受けるため直接必要な費用として医療費控除の対象となる旨の判示があります。

疾病予防と健康増進の医薬品は除外される

所得税通達では、薬機法に規定する医薬品が医療費控除の対象とされますが、医薬品に該当しても疾病予防と健康増進のみに使用されるサプリメントは医療費控除の対象とされません。
判例では、健康補助食品である漢方薬が医薬品でないこと、また医薬品に該当する漢方薬に治療・療養の必要性を認めず医療費控除が適用されなかったものがあります。

治療法の選択には慎重な検討を!

医療費控除が適用されるとしても自由診療で免疫療法を受ける場合は、治療効果、安全性、費用の負担をよく検討した上で慎重な対応が求められます。担当医とよく話し合いましょう。また国立がん研究センターや地域拠点病院の相談窓口で免疫療法の情報を取得し、相談することもできます。

源泉所得税のクレジット カード納付のススメ

源泉所得税のクレジット
カード納付のススメ

源泉所得税のクレジット カード納付のススメ

1 日でも遅れると 10%の不納付加算税

給与などから源泉徴収した所得税等は、原則として、支払った月の翌月 10 日までに国に納めなければなりません。
源泉所得税の納付を一日でも遅れると、原則 10%(税務署指摘前の自主的納付は5%)の不納付加算税という罰金が科されます。年率 10%の延滞利息でなく、一日でも納付すべき税金の 10%が課されるのです。
“国に代わって給与支払者が従業員の給与から天引きして納付しているのに罰金とはけしからん”という気持ちはわかりますが、税法で規定されているので従わなければなりません。

資金繰りの関係で手元資金がいまない場合

たとえば、「翌月 15 日には顧客からの売掛金の入金があるが 10 日までは手元資金がない」といった場合どうすればよいでしょうか?
「ホンの 5 日位だから 5%の不納付加算税なら構わない…」のでしょうか?
過去に不納付の事績があると他で罰則の軽減が適用されなくもなりますので、決して納期限に遅れてはいけません。
こんな時に便利なのが、クレジットカードによる税金納付です。国税(源泉所得税他の国の税金)をクレジットカードで納付することができるようになったのは、2017年 1 月 4 日(水)からです。
クレジットカード払いでは、金融機関や税務署窓口での納付や e-Tax でのインターネットバンキング納税とは違い、納付税額に応じて所定の決済手数料がかかりますが、10%の不納付加算税と比較すると、これを使わない手はありません。

納期の特例利用者は特にご注意を

毎月の源泉所得税等の納期は翌月 10 日ですが、給与の支給人員が常時 10 人未満の源泉徴収義務者は、源泉徴収した所得税及び復興特別所得税を、半年分まとめて納めることができる特例があります。これを納期の特例といいます。
一見便利に見える納期の特例制度ですが、半年分まとめるとなるとそれなりの金額となり、資金繰りに与える影響もそれだけ大きくなりかねません。納期限である 7 月 10日や翌年 1 月 20 日に十分な資金繰りの手当てがあれば別ですが、不安がある場合は、早めに、クレジットカード納付も検討してみることをお勧めします。

キャンペーン報奨でギフト券を もらった時の事業者等の課税関係

キャンペーン報奨でギフト券を
もらった時の事業者等の課税関係

キャンペーン報奨でギフト券を もらった時の事業者等の課税関係

キャンペーン報償でのギフト券の所得課税

保険代理店業を行っている事業者が、保険会社の推進強化月間のキャンペーンで一定の成績を上げ、報償としてギフト券をもらいました。この場合の課税関係はどうなるのでしょうか?
事業者といっても、法人の場合と個人事業の場合の2つの形態があります。
法人=会社の場合は、「無償による資産の譲受け」としてその事業年度の収益の額となります(=雑収入計上します)。
個人事業者の場合も、事業を行ったことで得られたものですので、「事業に係る総収入金額」として課税対象となります。
いずれにしても、ギフト券の価値相当分は所得課税の対象となります。

消費税の扱いはどうなる?

では、その事業者が消費税の課税事業者であった場合には、ギフト券に係る消費税の課税問題も発生するのでしょうか?
消費税法では、キャンペーン報償のギフト券の取得は、「無償であって対価を得て行う取引ではありません」ので、もらった時には不課税扱いとなります。ただし、そのギフト券で事業に必要な物品等を購入した場合は、課税仕入れとして消費税の取扱いが発生することとなります。

報償の対象者が個々の役員や社員の場合

また、もしも、こうしたキャンペーンでの報償対象者がそれぞれの事業者に属する従業員や役員・社員であった場合には、少し課税関係が変わってきます。
所得税基本通達では、「役員又は使用人が自己の職務に関連して使用者の取引先等からの贈与等により取得する金品に係る所得は、雑所得に該当する」としています。
雑所得となった場合、サラリーマンや OLで年末調整を受けている人は、20 万円以下ならば確定申告をしなくてもよいとされています(ただし、勤務先からの年間給与収入が 2,000 万円以下の人に限ります)。
なお、上記の場合であっても、医療費控除やふるさと納税で確定申告をする場合には、雑所得として申告が必要となりますので、その分の計上を忘れないようにしなければなりません。

今年の改正税法 所得税・住民税の課税方式統一

今年の改正税法
所得税・住民税の課税方式統一

今年の改正税法 所得税・住民税の課税方式統一

配当金を巡る3つの課税方式

上場株式の配当金が支払われる際には、所得税等が源泉徴収されます。復興特別所得税を除き、税率は、20%(所得税 15%、住民税5%)です。
上場株式の配当金について総合課税を選択すると、配当控除が適用できます。上場株式の配当金について申告分離課税を選択すると、上場株式等の譲渡損失との損益通算や繰越控除の適用を受けることができます。また、申告不要(源泉分離課税)を選択することもできます。

選択の基準

所得税の累進税率から配当控除率(10%)を引いた差引税率が源泉税率(15%)に満たないのは、23%-10%=13%<15%なので、累進税率 23%の適用となる課税所得金額 900 万円以下の場合、所得税での総合課税選択有利の指標となります。
また、住民税は、10%の一律課税なので、配当控除率 2.8%を引いた差引税率は、10%-2.8%=7.2%>5%(特別徴収税率)となり、常に特別徴収税率を超過するので、総合課税の選択は、税負担的に不利です。
それで、所得税では総合課税の選択をし、住民税では、申告不要(源泉分離課税)を選択するのが、有利となります。その上、申告不要の選択で、住民税の合計所得金額が減るので、国民健康保険等の保険料や医療機関における窓口負担額を減らす効果もある、と言われています。

朝令暮改的な今年の改正

昨年の税制改正では、所得税確定申告書の中の記載だけで、所得税と異なる住民税の課税方式選択が完結できるよう、手続の簡素化がなされました。
ところが、このように制度の普及促進をしたばかりなのに、今年の改正では、異なる課税方式選択可能制度を廃止し、所得税と住民税との課税方式を一致させることにしました。この改正は、令和6年度分以後の個人住民税について適用です。
そうすると、令和5年分からの所得税確定申告では、所得税と住民税の両方の税負担合計を計算して、総合課税(配当控除)と申告不要(源泉分離)との選択をすることになります。徴収税率 20%と比較すると、
(23%+10%)-(10%+2.8%)=20.2%
(20%+10%)-(10%+2.8%)=17.2%
となるので、総合課税選択は、累進税率 20%の適用となる課税所得金額 695 万円以下の場合ということになります。

 

今年の改正税法 縮減されない住宅ローン控除

今年の改正税法
縮減されない住宅ローン控除

今年の改正税法 縮減されない住宅ローン控除

住宅ローン控除の今年の改正内容

ローン返済の利息の支払額よりも控除額が多い状態、逆ザヤ状態が会計検査院の指摘で問題視されていました。消費税率 10%引上げに伴う措置期間も終了でした。
それらへの対応として、控除率が1%から 0.7%に減少となり、所得要件も 3000 万円以下から 2000 万円以下となり、控除対象年末借入金残高限度額も 4000 万円から2000 万円(新築等で 2023 年末入居までなら 3000 万円)に縮減となり、控除期間 13年も 10 年(新築等で令和5年末入居までなら 13 年)に短縮となりました。
しかし、これらの縮減の例外があります。

非縮減その1 カーボンニュートラル住宅

2050 年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするカーボンニュートラルの実現を目指すため、省エネ性能の高い認定住宅の新築等に限り、住宅ローン控除の借入限度額を、令和5年末入居までなら 5000万円(エネルギー消費性能向上住宅については 4500 万円又は 4000 万円)に増額、令和7年末入居までだと 4500 万円(エネルギー消費性能向上住宅については 3500 万円又は 3000 万円)に増額、控除期間も 13 年とされます。

非縮減その 2 コロナ税特法

昨年の住宅ローン控除関係の改正税法は、コロナ税特法で立法されています。そこでは、令和3年9月 30 日までに契約した新築注文住宅、令和3年 11 月 30 日までに契約した分譲住宅・中古住宅の取得と増改築等、これらを令和4年 12 月 31 日までの間に自己の居住の用に供した場合には、縮減前の昨年の制度がそのまま適用になります。

コロナ税特法の規定が措置法で新設

今年の税制改正大綱の中に、合計所得金額 1000 万円以下の者に限り床面積要件を40 ㎡に緩和する、と書かれています。しかし、昨年の税制改正大綱にも、合計所得金額 1000 万円以下の者については床面積 40㎡から 50 ㎡までの住宅も対象とする特例措置を講ずる、と書かれています。
床面積要件の緩和は、既に昨年に措置済みのことなのに、少し変ですね。
これは、昨年は特別にコロナ税特法での措置としたが、今年は通常通りの租税特別措置法での措置として新設立法としたことの意味のようです。ただ、両規定で期間がかぶっているところがあるので、上記の「非縮減その 2」が生じているわけです。

換価分割の課税

換価分割の課税

換価分割の課税

実家の土地を相続したものの、相続人には持ち家がある場合、たとえ家族の思い出が詰まった懐かしい家であっても、取り壊して売却せざるを得なくなることがあります。このようなとき、土地の売却代金を相続人の間で分ける換価分割が行われます。

相続税と譲渡所得税

相続開始の後に売却するのであれば、相続税評価額(路線価や倍率評価)で相続税を計算し、譲渡所得税は、被相続人の取得価額と売却価額をもとに計算します。相続税と譲渡所得税が課税されますが、相続税は遺産の取得に対して課税されるのに対し、譲渡所得税は、被相続人の取得時から蓄積されたキャピタルゲインの実現に対する課税ですので、それぞれ異なり、二重課税とは考えられていません。
また、譲渡所得の計算では、先に課税された相続税のうち、土地の価額に対応する部分は、取得費に加算され、その分、譲渡所得税の負担は少なくなります。
なお、相続開始前に、土地の売買契約が締結されていたときは、売却価額で相続税が課されることがあるので注意しましょう。

分割協議が未了のときは

申告期限までに遺産分割協議が調ったときは、相続税も譲渡所得税も遺産分割の割合で按分しますが、分割協議が調わないときは、どちらも法定相続分で計算されます。
相続税の申告期限後に遺産分割協議が調った場合は、修正申告または更正の請求により相続人の間で相続税の負担を精算することができます。しかし、譲渡所得税については、申告期限後に分割協議が調ったとしても遺産分割の割合で修正申告や更正の請求をすることはできず、法定相続分での申告のままとなります。税務署からすれば一度、納税が行われているので申告期限後の分割の変更は、相続人の間で精算してくださいという考え方のようです。

隠れた債務が見つかったときは

相続は実家の土地・建物だけと思っていたら、実は、親が生前、親族から金銭の支援を受けていたことがわかることがあります。
このようなときは、親族間の争いでもある場合を除き、売却代金の一部を債務の返済に充当することになります。親族から親が金銭支援を受けた当時の事情を聞いて納得できる場合、これまでの親族の支援に感謝して親の債務を引き継ぎ、債権債務関係を清算することで相続手続きは終わります。