02-所得税

確定申告書 第一表の「区分」とは?

確定申告書
第一表の「区分」とは?

確定申告書 第一表の「区分」とは?

ずいぶん増えた「区分」の欄

令和3年分の確定申告書 B の第一表の用紙を見てみると「区分」という欄が目立ちます。令和元年以降用確定申告用紙と比べてみると、左側だけで 10 か所も「区分」が増えています。
この「区分」の欄ですが、その項目の金額がどういう分類のものかを細分化して説明するための欄であり、申告書の金額が添付書類や第三者作成書類等と合っていれば、記載しなくても問題にはなりません。手書きで申告書を作成する方に対してのガイド、もしくは申告書の金額がどのような根拠で計算されたかをチェックするための項目、といった意味合いが強いですね。

事業や不動産の「区分」は青色判定に利用

例えば事業収入・不動産(区分 2)の欄については、
1:電子帳簿保存法で税務署長の承認を受けて、元帳等の電磁的記録等による保存を行っている
2:会計ソフト等を利用して記帳している
3:日々の取引を複式簿記に則って記帳している(1・2 の該当を除く)
4:複式簿記以外の簡易な方法で記帳している(2 の該当を除く)
5:いずれにも該当しない
という区分になっています。この区分を確認することによって、青色申告を行っている場合は特別控除の適用額等が変わってくるのをチェックができる、という具合です。

謎の区分、その正体は?

雑収入の「業務」の区分ですが、国税庁が出している令和 3 年分の確定申告書手引きでは「記入不要です」とだけ記載されています。
この欄はおそらく、令和 2 年度税制改正で出された、令和 4 年分の申告から適用される雑所得の業務の現金主義特例か、1,000万円を超える業務収入がある方の収支内訳書の添付義務、業務収入 300 万円超の方の現預金等取引関係書類の保存義務、あたりに関する項目と思われます。
今後もこのような区分は増えてゆくのでしょうか。

 

 

自己の土地か他人の土地かで違う スキー場のゲレンデ整備費用

自己の土地か他人の土地かで違う
スキー場のゲレンデ整備費用

自己の土地か他人の土地かで違う スキー場のゲレンデ整備費用

北京オリンピック・スキー会場は張家口

北京オリンピック2022のスキー・スノーボード競技は、河北省にある張家口で行われました。高地で傾斜のある場所でのコース作りは大変だったでしょう。現代の冬季オリンピックは種目も増えていますので、尚更です。NHKの報道では、今回のオリンピックでは、コースの約90%は人工雪で作られ、100台以上の機械でスタッフも2交替・24時間態勢で整備したとのことです。

スキー場のゲレンデ整備費用の通達

日本の所得税や法人税では、このような整備費用について、通達があります。
積雪地帯のスキー場でリフト、ロープウェイなどの索道事業を営む事業者は、既存のゲレンデに、次のような支出をした場合には、支出日の必要経費・損金となります。

自己保有土地の整備費用は、構築物

これらの支出以外で、自己所有の土地をスキー場として整備するための土木工事(他人の土地を有料のスキー場として整備する場合を含む)に要する費用は、構築物(競技場用・運動場用のもの・スキー場の土木工事・30 年)の取得価額となります。

他人の土地の整備費用は、繰延資産

国、地方公共団体や民間の開発会社から借りた土地をスキー場として整備する場合もあるでしょう。他人から借りた土地をゲレンデとして整備するために立木の除却、地ならし、沢の埋め立て、芝付け等の工事を行った場合には、繰延資産(12 年)となります。そのスキー場でホテル、売店、レストランの経営者が、費用の一部を負担した場合についても同様です。
借地権として処理する方法も考えられますが、スキー場の場合、建物所有目的以外の土地賃貸借契約となると考えられるため、借地借家法によらず、民法の賃借権となります。実際の契約関係が「借地権がない」という結論であれば、現実的に繰延資産で費用化するというのが通達の趣旨でしょう。

医療費を補填する保険金

医療費を補填する保険金

医療費を補填する保険金

保険金が出た時に陥りやすいミス

所得税の確定申告で多い医療費控除ですが、個人で入っている生命保険から、入院給付金等が出ている場合、医療費控除の計算からその金額を差し引かなければなりません。ただし、差引計算はその補填を受けた治療等のみが対象なので、入院給付金が対象の治療費以上の額になったとしても、他の医療費から差し引く必要はありません。
例えば、
①病気で入院して、30 万円かかった
②生命保険契約により入院給付金として 50万円給付された
③入院とは別に、歯の治療により 20 万円かかった

という方の場合、医療費の計算は(30万円+20万円)-50万円=0円、という計算ではなく、30万円-50万円=0円(マイナスは計算しない)+20万円=かかった医療費は20万円ということになります。
保険制度が充実している昨今、こういった誤りが散見されます。注意しましょう。
また、かかった医療費よりもらった入院給付金等が多い場合ですが、怪我や病気になった時に受け取る入院給付金等については非課税となっていますので、この金額を所得として申告する必要はありません。ただし、被保険者が生前に受けた給付金を残して死亡した場合、残りの額は相続税の課税対象となります。

申告時に未確定の場合は見積額で

12 月に支払った入院費用を補填するための保険金の額が、翌年 3 月の確定申告の際に確定していない場合は「見積額」で申告することになります。また、見積額が後日保険金等の確定額と異なった場合は、医療費控除を訂正して申告する必要があります。

年またぎの保険金の補填は?

確定申告を行う年分とその翌年分に支払った入院費用に対して補填する保険金を、まとめて受け取った場合の医療費控除の計算は、支払った入院費用の額に応じて、各年分に按分する必要があります。
例えば、
①12 月にかかった入院費用は 50 万円
②翌年 1 月にかかった入院費用は 100 万円
③入院給付金等は 2 か月分で 60 万円

という方の場合、12 月分の保険金の補填額の計算は 60 万円×50 万円÷(50 万円+100万円)=20 万円、ということになります。

相続税額の取得費加算の特例

相続税額の取得費加算の特例

相続税額の取得費加算の特例

相続で土地、建物、株式などの財産を取得した後、これらを譲渡した場合、譲渡所得に所得税が課されます。この場合、相続財産の譲渡に係る「取得費加算の特例」を利用することにより譲渡した資産に対応する相続税額を取得費に加算し、譲渡所得を減らすことができます。

相続人の譲渡所得税の負担を軽減する制度

この制度は、相続により財産を取得した者が、納税資金の捻出などのため、相続財産を売却しようとする場合、被相続人の取得時から蓄積されたキャピタルゲインに課税されることから、納税者の所得税負担に配慮した調整措置として設定されています。

適用要件は3つ

この制度を利用する要件は次の3つです。
① 相続または遺贈により財産を取得した者であること。
② その財産を取得した者に相続税が課税されていること。
③ その財産を、相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後、3年を経過する日までに譲渡していること。

上場株式の譲渡で申告不要の選択に注意!

上場株式を譲渡した場合、申告分離課税で申告するか、申告不要とするかを選択することになりますが、先に申告不要を選択したときは、後で「取得費加算の特例」を適用した方が有利であることに気付いたとしても、既に申告不要で確定申告しているので更正の請求は難しくなります。
租税特別措置法には、やむを得ない事情がある場合に「取得費加算の特例」を認める宥恕規定があります。しかし、確定申告で申告不要を選択したことだけでは、その申告が計算の誤りや国税に関する法律の規定に従っていなかったとされず、宥恕規定の適用が認められなかった判例があります。

相続空き家の特例とは重複できない

相続で空き家を取得した後、譲渡した場合、一定の要件を満たせば 3000 万円の特別控除ができる「相続空き家の特例」を適用できますが、適用した家屋と敷地に「取得費加算の特例」は重複適用できません。
なお、相続した土地に居住用家屋と倉庫がある場合、被相続人の居住用家屋とその家屋に対応する敷地の譲渡には「相続空き家の特例」を適用し、「相続空き家の特例」が適用されない倉庫とその倉庫の敷地の譲渡には「取得費加算の特例」を適用する使い分けができます。

令和 3 年分確定申告書 すぐ消える変更点

令和 3 年分確定申告書
すぐ消える変更点

令和 3 年分確定申告書 すぐ消える変更点

提出が楽になった配当所得の選択制度

上場株式の配当金は、所得税 15.315%と住民税 5%が源泉徴収済の状態で支払われますが、実際の申告は総合課税・分離課税・(特定口座の場合)申告不要と課税方式が選択できます。
また、課税所得900万円未満の場合、配当控除の控除率の関係で、所得税と住民税で申告方式を変えることによってかかる税金を減らせるというテクニックが存在します。
所得税等の確定申告時には総合課税を選択し、その後市区町村に住民税の申告書提出等の所定の手続きを行うことで、住民税側は申告不要を選択、という手続きが取れるようになっていました。さらにこの申請の二度手間を無くすため、令和 3 年分確定申告からは、申告書第 2 表の「住民税に関する事項」に「特定配当等・特定株式等譲渡所得の全部の申告不要」というチェック欄が新設され、ここにチェックを付けておけば、市区町村に手続きを取る必要がなく、住民税については申告不要を選択できるようになりました。

ただし、将来選択できなくなります

令和 4 年度税制改正大綱で「上場株式等の配当所得については個人住民税において、課税方式を所得税と一致させる」という一文があるため、この改正を適用する令和 5年分の確定申告書は、おそらく今年新設された「申告不要」のチェック欄は無くなっているものと思われます。

健康保険料等にも影響がある選択制度

この申告方式の所得税・住民税個別選択については、健康保険料や医療費の窓口負担割合についても有利な選択ができるため、社会保障制度の公平な負担という面で見ると課題があるため改正されたとする報道もあります。また、金融所得課税全体の見直しは、令和 4 年度の税制改正では見送りとなりましたが、その一環であることも事実でしょう。
今後の税制見直しでも、どの程度、どんな所得や資産を持つ人に、どのくらいの負担を求めてゆくのかという「公平性」の判断については、議論を重ねて慎重に決めていただきたいものですね。

赤信号無視と共謀罪既遂

赤信号無視と共謀罪既遂

赤信号無視と共謀罪既遂

赤信号無視で逮捕・訴追されることもある

歩行者の赤信号無視が警察官の目の前で行われても、せいぜい注意される程度で、逮捕・訴追されることなど滅多にありません。かつて、オウム事件勃発の頃にニュースになった逮捕事件があった程度です。
ただ、赤信号無視の個人を法的に責めるとしたら、行政処分ではなく、通常の犯罪として刑事訴訟法の手続きに則り、書類送検、起訴という手続きをとらなければならず、非常に厄介、国民平等待遇の問題もあり、現実としては大目に見て無視しているということなのでは、ないでしょうか。
でも、決して法律違反者であるという事実が無くなる訳ではありません。

共謀罪の構成要件・計画の準備行為

租税回避計画を前提に、共謀罪法の条文を読んでみると、「計画をした犯罪を実行するための準備行為が行われ」が構成要件の内容で、「計画をした犯罪」とは「偽り不正の行為により税を免れること」です。税の抜け穴プランを思い付いて、話題にした程度の個別具体性がない段階ではまだ、計画にもならないと思われます。
過去の事例で言えば、自己株取得・みなし配当、チェック・ザ・ボックスによる株式簿価の膨張、日本国内親会社の設立とそこへの譲渡、創出欠損金は 4000 億円、それから合併又は連結、と具体化したところまでが計画の段階で、株式簿価膨張のための評価依頼先をどこにするか、日本親会社たる有限会社は設立でなく買い取りとしてその候補を探す依頼先を検討する、ということになると、準備行為開始の段階です。
結果として、そのプランを実行した場合に否認され「偽り不正の行為」と認定される可能性があるものだとしたら、この準備開始段階に至れば、共謀罪では既遂です。

赤信号無視と同じ共謀罪違反者

共謀罪違反につき税務署に通報義務はなさそうです。訴追については、警察・検察の仕事であり、情報もないことから、通常は租税の「偽り不正の行為」事件には無関心なのではないかと、思われます。
しかし、もし、節税・租税回避プラン作りに、「偽り不正行為」と認定される回路があるとしたら、租税訴訟とは別に、共謀罪既遂者として法律違反を問われる条件事実はすでにある、ということになります。
赤信号無視者と同じ状況です。

 

3000 万円特別控除 と措置法重複適用

3000 万円特別控除
と措置法重複適用

3000 万円特別控除 と措置法重複適用

土地バブルとマンションバブル

昭和の土地バブルの時代には、頻繁に住宅を買い替えることにより、よりリッチな物件に住み替える、という事例が沢山ありました。所有によりアパート賃料分が留保されるだけでなく、所有により含み益が蓄積される、という効果が人の心を動かしました。
現在は、マンションバブルの傾向を示しています。首都圏では 2000 年以降、近畿圏では 2010 年以降に建築した中古マンションの譲渡価格が新築時の価格を上回る傾向にある、との民間公表データもあります。
譲渡益も、建物の減価償却があるから譲渡益が出るのではなく、その償却額を超える譲渡益が出る、という事です。

会計検査院の指摘

令和2年の税制改正で、住宅ローン控除の規定の「翌年又は翌々年中」という文言が「翌年以後3年以内」という文言に改正されました。これは、会計検査院が措置法特典の不適正な重複適用として実態報告をしたことに端を発しています。会計検査院の検査報告によると、新居を購入して住宅ローン控除を受けている人で、旧居に居住しなくなってから3年目に旧居を売却して居住用資産譲渡の 3000 万円特別控除の特例の適用を受けていた人が平成 28 年、29 年の2年間で 37 人いたとしています。そして、この 37 人の重複減税額の合計が 5011 万円であった、としています。税率で割った一人当たり平均譲渡益は 900 万円前後です。
会計検査院の検査した事例も、最近の不動産バブルを反映しています。

特例の連続適用・重複適用

今はマンション住み替えの都度、譲渡益が発生する時代になっています。そして、期間が3年超ならば、3000 万円控除の連続適用が可能です。さらに、住宅ローン控除の適用を受けていたとしても、その居住物件の譲渡による譲渡益に対する 3000 万円控除の適用も可能です。
会計検査院の指摘と紛らわしいところですが、同一物件に係る譲渡益に対する 3000万円控除の適用と住宅ローン控除の適用には、特例併用の制限はされていません。会計検査院の指摘したのは、異なる物件での住宅ローン控除と 3000 万円控除の重複適用の場合の事なので、同一物件での重複適用に対する注文ではなかったのです。

短期退職給与の分別計算 令和4年から適用開始

短期退職給与の分別計算
令和4年から適用開始

短期退職給与の分別計算 令和4年から適用開始

短期退職金での報償

M&Aでの企業の規模拡大戦略が模索される中、新たに子会社になった企業に、役員や幹部社員として出向や転籍をさせる要員が必要となります。そして、一定の期間経過後に、出向元や転籍元に復帰することも普通に想定されることです。
復帰に際して、出向先や転籍先での功績顕著な場合、退職金等で報いる、という選択肢もあり得ます。そんな場合、出向・転籍先での役員又は使用人としての勤続期間が5年以下の場合は、課税関係が複雑になります。

退職所得課税の計算式

現在の退職所得課税での税額計算式は次の3つに分かれています。
①(収入-退職所得控除額)÷2×税率=
②(収入-退職所得控除額)×税率=
③(収入-退職所得控除額-150 万)×税率=


上記の②は、勤続年数5年以下の短期役員退職給与(法人役員・議会議員・公務員)に対する課税方式で、2分の1計算が適用除外です。この②は、平成 24 年改正で措置されたものです。
③は、②以外の勤続5年以下の短期退職給与で、退職所得控除後の額が 300 万円超の場合の課税方式です。300 万円超過部分についての2分の1計算を適用除外とするとの趣旨の算式です。③は、令和3年度の税制改正で制度創設され、令和4年分以後の短期退職給与について適用されます。
①は、それら以外の一般退職給与及び退職所得控除後の額が 300 万円以下の短期退職給与に対しての課税方式です。

複数該当や期間重複の場合

その年中に支払われる退職給与が、①、②、③の複数ケースに該当する場合の退職所得控除額の計算方法は、それぞれ期間の重複がなく、20 年以内の場合には、②では〈40 万円×役員勤続年数〉です。①③では、〈40 万円×総勤続年数-②の額〉です。使用人兼務役員としての勤続期間がある場合は、役員と使用人との期間の重複があることになるので、その重複期間についての②は、〈20 万円×重複年数〉となります。
なお、①②③のそれぞれで計算される退職所得控除額がそれぞれの収入金額よりも少なくマイナスとなるケースがある場合には、そのマイナス額は、他のプラスとなるケースから控除されます。

死亡した月の給与の取扱い

死亡した月の給与の取扱い

死亡した月の給与の取扱い

死亡月の給与は支給期で判定

あまり起きて欲しくないことですが、現役の会社員が亡くなった場合、給与の取扱いについては少し注意が必要です。
死亡した方の給与は、生前働いていた期間で日割りして算出しますが、「支給期」の前に亡くなっている場合は、その月以降の給与に関しては相続税の課税対象となり、所得税は課税されないため、源泉徴収は行いません。また、死亡した人の年末調整は死亡時に行いますが、源泉徴収しないということは、源泉徴収票の支払金額に含めないということですから、その点にも注意が必要です。

「支給期」は「支払日」のこと

「支給期」という言葉は聞きなれないので「給与の締め日」と思われがちですが、「給与の締め日」のことではないので注意しましょう。「支給期」とは「給与所得の収入金額の収入すべき時期」のことで、「契約又は慣習その他株主総会の決議等により支給日が定められている給与等についてはその支給日、その日が定められていないものについては実際にその支給を受けた日」と定められており、要は「支給日」のことです。
また、資金繰りやその他の理由で、定められた支給期(=支給日)に給与が支払われず、遅滞した給与が支払われる前に死亡した場合は、その当月の支払い分は給与所得となりますので、給与所得の源泉徴収票に含めて記載する必要があります。

社会保険料の扱いは?

社会保険料は所得税の扱いとは異なり、翌月末日が支払い期限で、「月末時点に在籍していればその月の社会保険料がかかる」という仕組みなので、当月締め・翌月払いの給与体系の場合は、死亡のタイミングにもよりますが、死亡後の給与からも天引きする場合もありますから、注意が必要です。
なお、雇用保険料は日割り計算です。社会保険料と混同しないように気をつけましょう。

暦に従って計算する だけではない償却計算

暦に従って計算する
だけではない償却計算

暦に従って計算する だけではない償却計算

2ヶ月の次は4ヶ月

かつて、大学教授の方が、税務専門誌の質疑応答事例の中で、7月 31 日使用開始した減価償却資産の月数計算について、決算期末が9月 30 日だったら事業供用月数は2ヶ月となり、また、決算期末が 10 月 31日だったら、事業供用月数は4ヶ月となる、と回答していた記事がありました。

理由は民法の定めによる計算

償却限度額を計算する場合の「月数」とは、カレンダーの枚数を意味するものではなく、暦に従って計算するのであり、「暦に従って計算する」とは、民法第 143 条による計算であり、「応当する日の前日に満了」、応当日がない時は「その月の末日に満了」との規定に従うから、とのことでした。
7月31日から9月30日までの間に含まれる「30日」は、8月30日と9月30日の2回なので、その月数は2となる、ということ、即ち、「7月31日から8月30日まで」の1ヶ月と「8月31日から9月30日まで」の1ヶ月との合計2ヶ月、ということです。

税の実務においては

しかし、当局の監修を受けていると思われる減価償却の税務ソフトでも、7月 31 日使用開始で決算期末が9月 30 日の期間計算を2ヶ月と1日という計算で3ヶ月の償却計算をしています。先の大学教授の解釈にも一理あるかと思いますが、実務では、カレンダーの枚数による計算が主流のように思われます。

民法の規定の適用を徹底するなら

「暦に従って計算する」との民法規定を根拠に置くのだとすると、「日、週、月又は年によって期間を定めたときは、期間の初日は、算入しない」という民法第 140 条の規定も無視するわけにはいきません。
7月 31 日使用開始で決算期末が 10 月 31日の期間計算では、初日不算入とすると8月1日から 10 月 31 日となり、3ヶ月ちょうどで、大学教授のいう4ヶ月にはなりません。期間の満了日は民法遵守で、初日については民法無視というのも、不合理です。

慣習法的実務解釈が定着か

国税通則法にも期間の計算の定めがあり、期間の初日不算入、期間の定めは暦に従う、応当日前日の満了と、民法と同じ規定になっていますが、減価償却の償却月数計算では、民法の規定に拠るのではなく、初日算入で、カレンダーの枚数に拠るという、税法の世界独自の解釈ルールがありそうです。