玉田篤志

テレワークの労働時間管理

テレワークの労働時間管理

テレワークの労働時間管理

テレワークでも労働時間の考え方は同じ

基本的には以前と同じ労働時間制度を使うようになるでしょう。1日8時間、週40時間制のスタンダードで固定的な労働時間制を敷いていたならそのままでよいし、今までフレックス制度や裁量労働制を適用していたら導入後もその制度を適用してもよいのです。ただ、通勤時間がなくなるとこれらの制度は変更される場合があるでしょう。

テレワークの勤怠管理

労働時間管理では「テレワークの勤務開始と業務終了が把握しにくい、休憩時間がとりにくい」などを懸念する場合があるかもしれません。ルール決めをしておけば勤務中か離席かわかりやすくなります。
① 始業時
業務開始時に「業務を始めます」という開始報告メール、チャットツール、電話等所定の方法で行います。
② 休憩時
休憩開始時に「休憩に入ります」という報告メールをします。
③ 休憩終了時
休憩終了時に「休憩終了します。業務に戻ります」というメールをします。
④ 業務終了時
業務終了時に「業務を終了します」という終了報告をメールでします。
近年は社員が勤怠打刻をスムーズに行えるようなクラウドのシステムもあります。

中抜け時間の取り扱い

在宅勤務で子供の送迎があったり病院などへ連れて行ったりと、私用で就業中に外出等があった場合は賃金支払いの対象外ですが、賃金カットでなく、始業終業の繰り上げ繰り下げで1日の所定労働時間は満たすことを認めている企業も多いようです。中抜けの際も連絡メールするようにルール決めは必要です。

時間外労働の取り扱い

在宅勤務では長時間労働になりやすい要素があります。夕食後に仕事を再開したり休日でも仕事をしたり、オンとオフの区別がつきにくくなりがちです。目に見える成果を上げたいと頑張って長時間になる場合もあるようです。このため一定のルール(時間外にメールの送受信を控える、アクセスの制限、残業の申請等)が必要になるでしょう。従業員の健康面と割増賃金のコストに留意しましょう。

免税事業者は少しだけ非課税大家さんより有利

免税事業者は少しだけ非課税大家さんより有利

免税事業者は少しだけ非課税大家さんより有利

家賃非課税となったときの行政指導


平成3年9月までは、居住用家賃についても消費税課税対象でした。課税対象から非課税対象への切り替えがスムーズに行い得るようにする、建設省住宅局長の発遣文書があります。
その文書は、課税が非課税に変わるに際し、当時の税率3%全額を減額するのではなく、賃貸住宅経営のための必要な諸経費や資材購入に係る消費税を、先の3%から控除した残額を減額する、としています。
前段階消費税分の転嫁は必要事としての行政指導なのです。ただし、これを実行した大家さんは、ほとんどいなそうです。

インボイス開始後6年間の激変緩和措置


令和5年 10 月1日から、適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス制度)が新たに始まるわけですが、インボイス番号を持たない免税事業者から受け取る請求書等は、適格請求書等ではないけれど、令和5年 10月1日から最初の3年間は取引額総額の110 分の 10 の 80%を仕入税額控除可能とし、次の3年間は当該 110 分の 10 の 50%を仕入税額控除可能、としています。
でもこの措置は、免税事業者の前段階消費税転嫁のための配慮ではなく、仕入側への配慮措置なので、この6年経過後は、何の配慮措置も残りません。

免税事業者の消費税の転嫁の可能性


相手が個人消費者なら、免税事業者が消費税の転嫁をしても何の異議も聞こえて来ないでしょう。また、希少価値のある事業者なら、免税事業者か課税事業者かを問われることなく取引されるかもしれません。
でも、BtoBでの取引弱者に該当する多くの免税事業者にとっては、非課税事業の大家さんと同じく、転嫁出来ない前段階消費税の自己負担化(損税)になりそうです。

免税事業者の価格転嫁と簡易課税


免税事業者でも、インボイス番号取得により課税事業者に変身すれば、前段階消費税の自己負担は消えます。ただし、申告と納税の煩瑣が生じます。
申告納税の煩瑣を多少なりともカバーしてくれるのは、簡易課税かもしれません。
免税事業者には、非課税事業の大家さんよりも、前段階消費税の自己負担化を回避する途が少しだけ広く開かれている、と言えそうです。

採用は労務管理の入り口

採用は労務管理の入り口

採用は労務管理の入り口

採用の技術を高めることで最適な人材確保


コロナ禍で採用を抑えていた企業も、緊急事態宣言などの規制が解除されると企業活動が活発になります。新規に雇用を考える企業が増えて人手不足がくるでしょう。
人手不足には 2 種類あり、1 つは人手の「量」もう一つは能力の「質」です。どちらも必要ですが機械化で代替できるところはあるとしても生産活動に人材は必要です。
会社に新しい人が入れば今の社員だけでできないことにも取り組んで変革し成長する企業になるのが理想ですが、人材を生かすことができるかどうか最初が肝心です。
採用は労務管理の入り口で、入り口で会社にふさわしい人材を選べば大きな労務トラブルや反抗型、無責任型、情緒不安定などの問題になる人を採らずに済むかもしれません。ここでは採用の初歩の段階で判別できる事例を見てみます。


採用時にトラブルとなりやすい問題

① 面接当日に来ない人
……これは結構あることで、それを避けるためには面接日の 1~3 日前に電話かメールで面接日時の再確認をします。これは内定後も必要なことです。
② 入社直前の辞退
……内定時に内定通知書、誓約書等を送り返信してもらうことで辞退は少なくなります。
③ 転職者の場合には前職を辞めた理由は必ず聞く
……転職理由に問題がないかを見ます。また、エリートより身の丈に合った人が結果的にはいいこともあります。
④ 自立心無し、親離れ無し
……新入社員で親御さんとの関係が強そうと感じる。
⑤ 上司をうつ病にさせる逆パワハラ社員
……できる人材を採用しても組織がうまく機能しない場合があります。パワーバランスのミスマッチが生まれます。
⑥ 給与のことを細かく聞く人は金銭問題
を抱えているケースがありえます。
⑦ 入社後すぐ退職する
……履歴書で転職回数の多い人は早期退職の確率が高く、転職志向の高さは適性検査で読み取れることがあります。
⑧ 入社後すぐに病欠
……健康診断書は内定から入社前に求めて健康の確認をしておき、休職規定も試用期間中は対象としない旨の規定も必要でしょう。

令和 3 年年末調整

令和 3 年年末調整

令和 3 年年末調整

変更点と誤りやすい点


印鑑不要になった!

年末調整は、給与を受ける人それぞれについて、原則毎月の給与や賞与などの支払いの際に源泉徴収した税額と、その年の給与の総額について納めなければならない年税額とを比べて、その過不足を精算する手続です。今年は去年と比べると所得税計算本体への改正はないものの、手続的な部分での改正がありました。
「押印義務の改正」により、源泉所得税関係書類については、押印を要しないこととされました。このため、扶養控除等申告書などの年末調整の際に使う書類についても従業員の皆さんに押印をしてもらう必要がなくなりました。地味ですが手間の省ける改正ですね。その他、源泉徴収関係書類を電磁的に提供する場合の、給与等の支払者が受けるべき税務署長の承認が不要とされたため、従来は税務署に提出が必要だった「源泉徴収に関する申告書に記載すべき事項の電磁的方法による提供の承認申請書」が不要となりました。


令和2年改正部分に注意

今年の年末調整に目新しい変更はないものの、令和2年に改正が行われた「所得調整控除」「寡婦・ひとり親控除」「基礎控除」には注意が必要です。
所得調整控除は給与収入が 850 万円超の方が対象で「配偶者の扶養している子供でも、所得調整控除は両方の親に対して行える」点に注意しましょう。寡婦・ひとり親控除は令和 2 年から適用条件が変更されて「所得金額 500 万円以上の方は一律無効」となりました。基礎控除は「給与以外の所得も含めて、合計所得 2,400 万円超で逓減が開始」です。
新しいルールのため、細かい条件を取り違えて計算している例が散見されます。今年も注意して計算をしましょう。


電子化のメリットも考えて

計算式や控除上限等の変更、そして紙の記載フォーマットの変更と、年末調整は過去と比較すると明らかに複雑化しています。
従業員が控除額を計算して、