玉田篤志

VRIO分析とは ~会社の経営資源の分析~

VRIO分析とは
~会社の経営資源の分析~

VRIO分析とは ~会社の経営資源の分析~

VRIO 分析とは?

VRIO 分析とは、価値(value)、希少性(rarity)、模倣困難性(inimitability)、組織(organization)の 4 つの点から、自社の経営資源の分析をする方法です。昨今は社会の変化スピードも目まぐるしく、コロナの影響で会社の強みが活かされなくなってきた、という方もいらっしゃると思います。初心に立ち返り、今一度会社の持つ経営資源の洗い出しをしてみてはいかがでしょうか? 分析に利用する 4 つの観点は以下の通りです。
①価値:会社の持っている資源に価値はあるのか。その資源や能力があれば、外部環境の機会を逃さず脅威に打ち勝つことができるか、ニーズがあるのか。この時点で Noの場合は「競争劣位の状態」となります。
②希少性:会社の持っている資源は珍しいものか。競争相手もその資源を保有していれば希少性は下がるし、保有していなければ希少性は上がる。例えば「競合先も保有している資源である」という場合は、「競争均衡の状態」になっている資源となります。
③模倣困難性:会社の持っている資源は真似し辛いか。真似しようとするとコスト面で不利になったり、特許を取得していたりすることによって模倣が困難かどうか。この時点で No の判定ならば「一時的な競争優位の状態」になっている資源となります。
④組織:その資源を使える組織力があるか。資源や能力を十分に引き出し発揮できる会社・組織になっているか。この時点で No であれば「持続的な競争優位であるが資源を最大限生かせていない状態」となります。

分析の手順は常に V→R→I→O で

VRIO 分析は常に「価値→希少性→模倣困難性→組織」の順で行います。4 つの項目がすべて Yes であれば、「持続的な競争優位であり、資源を最大限生かせている状態」と言えます。
この VRIO 分析は SWOT 分析と同じように、会社の保有している資源の強み弱みを明確にして、強みを生かした戦略や、弱点を補完する方法を考える出発点になります。

損害賠償金と相続税

損害賠償金と相続税

損害賠償金と相続税

自動車事故、航空機事故、海難事故、企業災害などによる人身事故で死亡したときの損害賠償金をめぐる課税関係を整理してみました。

損害賠償金の支払われるまでの態様

損害賠償金については、次の2つのケースが考えられます。
① 損害賠償請求が係争になっていて、その決着がつかないまま遺族に係争が引き継がれた場合。
② その支払いの請求を遺族が行った場合

相続税は課税が基本?

財産評価基本通達をみると、訴訟中の権利の価額は適正に評価するものとしているので、課税を基本原則に置いているようにみえます。
しかし、被害者本人の利益のための係争の部分と遺族の利益のための係争の部分が交錯もしています。

保険金の場合も同じ

損害賠償金を構成する内容には、死亡した被相続人に発生した損害賠償請求権を相続したと解される部分と、遺族の固有の権利として、遺族に原始的に発生したと解される部分とが併存しています。遺族固有の権利部分は、当然に相続財産を構成しないし、所得税非課税の規定の適用もあります。
相続取得分と解される部分について相続税を課税するとなると、按分が必要となりますが、按分はいつでも容易にできるとは限りません。

保険金の場合とのアンバランス

死の代償としての金銭という意味では保険金と変わりませんが、保険金についてはあるような相続人一人当たり 500 万円非課税の規定の適用が損害賠償金にはなくバランスを失しています。

課税実務は相続税非課税

そんな問題を避けるためか、損害賠償金のうち被相続人について生じたと解される部分は全体の中では副次的部分にすぎず、これを無視したとしても特に課税上弊害があると考えられない、との趣旨で全部を遺族固有の慰謝料・損害賠償金との扱いをしています。相続税非課税ということです。
すでに現金を手にした人とのバランスは失しますが、損害賠償金への課税が国民感情にそぐわないとの判断が優先しているように見受けられるところです。

年末調整の訂正は いつまでできるの?

年末調整の訂正は
いつまでできるの?

年末調整の訂正は いつまでできるの?

「12 月末」の状況を申告するものです

会社勤めの方でしたら、12 月の上旬ごろに経理の方に「早く年末調整の書類を出してください」とせかされたことがあるかと思います。そんな中で、提出した年末調整の内容が、12 月末の状況とは異なる場合は、訂正することができます。
年末調整はその年の 12 月末日の状況を申告するため、書類を出した後に「子供がアルバイトを熱心にやっていたため、扶養親族から出てしまったのが発覚した」とか「生命保険料の新規契約を 12 月に行った」とか「離婚してひとり親控除を受けられるのを忘れていた」といったことがある場合、訂正が可能です。

訂正期限は翌 1 月 31 日?

年末調整のやり直しは翌年の 1 月 31 日までは原則可能です。この場合会社が税務署や市区町村に提出する法定調書合計表や給与支払報告書の提出期限が 1 月 31 日のため、それまでに修正を行えば問題なく、源泉徴収税額を修正すれば、通常の年末調整と同様の対応で問題ありません。
法定調書合計表や給与支払報告書を提出した後に訂正する場合は、源泉徴収票だけでなく、税務署や市区町村に提出した書類まで訂正する必要があるので手間がかかります。
法定調書の修正を紙で申告する場合の提出書類を例にしてみると
①先に提出した「法定調書」の写しの右上に「無効」と赤書きしたもの
②無効分の「合計表」の提出区分を「無効」としたもの
③正しい「法定調書」の右上に「訂正」分と赤書きしたもの
④訂正分の「合計表」の提出区分を「訂正」としたもの
を提出する必要があります。

提出期限後は確定申告で直した方が楽?

経理の集計ミスではなく、社員の方の環境の変化であれば、翌年に確定申告で扶養控除等の再計算を行い、追加納付すべき税が発生した場合は個人で納付を行えば、それで作業が完了となるため、修正をお願いするのに比べると、経理の方の心証は大分よくなるのではないでしょうか。

ブックオフやメルカリでの収入は 申告が必要か?

ブックオフやメルカリでの収入は
申告が必要か?

ブックオフやメルカリでの収入は 申告が必要か?

生活に通常必要な資産の売却は非課税

不用になった本やCDなどを引き取り買い取ってくれるしくみは、断捨離で物を処分するに際してありがたいサービスです。
同様に、ある人が不要になったものをそれが欲しい別の人が匿名で売買できるフリーケットアプリを通じた取引も、なかなか便利な代物です。
ところで、こうした取引で得た収入は、個人の所得として確定申告しなければならないのでしょうか? 結論を先に言ってしまうと、それが生活に通常必要な資産であれば、所得税法で非課税であり、申告する必要はありません。

非課税となる生活に通常必要な資産とは

非課税となる生活に通常必要な資産とは、「生活に通常必要な動産のうち、1個又は1組の価額が 30 万を超える貴金属、真珠等や書画、こつとう及び美術工芸品等以外のもの」とされています。そのため、不用となった本やCDもしくは衣服などを個人で売買しても、所得税法上非課税ですので、確定申告する必要はないわけです。
なお、生活に使う資産であっても1個又は1組の売買価額が 30 万円超である貴金属、真珠等や書画、こつとう及び美術工芸品等の売買や、生活に通常必要でないとされる資産(ゴルフ会員権など趣味や娯楽などで所有する資産)の売買は、所得として申告が必要となります。

副業で売買している人は申告が必要

本やCDなどを個人の不用品として売買する分には非課税ですが、これを継続的な副業として行っている場合には、事業所得もしくは雑所得として確定申告が必要となります。
本のせどりやフリマアプリで安く買い付けて高く売ることを目的とした活動をしている場合には、営利目的で商売を行っているとみなされることとなります。
サラリーマンで 1 カ所からのみ給与をもらっている場合でも、副業による所得が 20万円を超えると確定申告しなければなりません。最近は、コロナ禍で、副業を容認する会社も出てきています。少しでも収入を増やしたいとしてこのような行為を行っている場合には、申告が必要となる可能性が大です。

空き家の取壊しはいつまで? -相続空き家の特例-

空き家の取壊しはいつまで?
-相続空き家の特例-

空き家の取壊しはいつまで? -相続空き家の特例-

被相続人の居住用家屋と敷地を相続したものの、今後住む予定がなく売却する場合、譲渡益の3000万円控除(相続空き家の特例)を受けるには、相続人の側で空き家を取り壊し、更地で売却することが現実的です。

空き家取壊しのメリット、デメリット

空き家を放置するとゴミが不法投棄され、台風で屋根が飛ばされるなど近隣に被害を及ぼして苦情を受けるリスクが生じますが、取り壊すことで回避できます。
一方で空き家の取壊しには、工事費用がかかるほか、アスベストの飛散防止をはかることの行政への届け出、近隣への事前説明など環境に配慮した手続きの義務が生じます。また、すぐに売却先が見つからずに更地のまま1月1日を迎えた場合、固定資産税・都市計画税に小規模住宅用地の減免措置(200 ㎡まで固定資産税は 1/6、都市計画税は 1/3 に減免)は適用されません。

特例の適用要件

相続空き家の特例を受けるには、①相続開始直前に被相続人が一人で居住していたこと②区分所有建物でないこと③昭和 56年 5 月 31 日以前の建築であること④譲渡金額は1億円以下⑤相続開始から3年を経過する日の属する年の 12 月 31 日までに譲渡すること⑥耐震基準に適合するよう空き家をリフォームしてから売却、または取り壊して更地で売却するなど要件があります。

取壊しは売却前に相続人で行う

以上の要件から空き家の取壊しは売却前に実施しないと特例が適用されません。売主としては取壊しが面倒なので買主に依頼し、その分、売却価格で調整して済ませたいと考えたくもなりますが、この場合は譲渡後の取壊しとなるので、3000 万円控除を受けることはできません。
なお、譲渡所得の申告に際し、譲渡日を引渡日とする方法と契約締結日とする方法を選択できますが、譲渡日を契約締結日とする場合は、空き家の取壊しは契約前に済ませるよう注意が必要です。

空き家を相続したときは

3000 万円控除を受けるには、特例の適用要件を満たしていることを確認し、解体業者から工事費の見積りを先に取得します。
不動産仲介会社で売却先が見つかったときは、売主の側で空き家を取壊すことを条件に解体工事を発注し、売買契約では更地での譲渡、工事完了後の譲渡日の設定がポイントになりそうです。

気をつけたい相続発生時の税務 不動産の遺産分割が未了の場合

気をつけたい相続発生時の税務
不動産の遺産分割が未了の場合

気をつけたい相続発生時の税務 不動産の遺産分割が未了の場合

固都税は「相続人代表者指定届出」を提出

亡くなられた方が有していた不動産の所有権は、遺産分割協議が成立するまでの間は定まりません。法務局の登記簿上は亡くなられた方の氏名のままで、相続の権利がある方全員が所有者という状態(共有)になります。その期間の不動産に対する固定資産税・都市計画税の納税については、市役所に「相続人代表者指定届出」を提出することで、市役所との対応窓口となる相続人の代表者を定めることとなります。遺産分割協議が成立し、相続登記が済めば、新たな所有者の方に納付書が送付されます。

未分割遺産の不動産所得(所得税)

未分割の不動産が賃貸物件の場合には、遺産分割協議が調うまでの間も、賃貸収益が生ずることとなります。この間に生ずる賃貸収益については、その物件が共有状態であることから、共同相続人の法定相続分に応じて申告することになります。なお、遺産分割協議が調い、分割が確定した場合であっても、その効果は未分割期間中の所得の帰属に影響を及ぼすものではありませんので、分割協議で確定した所有状況に基づく更正の請求等を行うことはできません。

消費税の「基準期間における課税売上高」

相続開始年の消費税についても、この法定相続分に応じたテナント収入・駐車場収入が課税売上高となります。なお、遺産分割協議が調った後に、新たな所有者の方が、この共有期間を「基準期間における課税売上高」として納税義務を判定する場合でも、この法定相続分に応じた「基準期間における課税売上高」で判定を行います。

相続税の申告期限までに分割できない場合

この未分割の状態が、相続税の申告期限(亡くなられた日から 10 カ月以内)まで続いている場合でも、税務署は待ってはくれません。この場合、各相続人の財産を法定相続分に応じて取得したものとして計算を行い申告することになりますが、共有状態のままでは、「小規模宅地等の課税価格の特例」の適用を受けることができません。ただし、相続税の申告期限から 3 年以内に分割された場合には、特例の適用を受けることができる措置が設けられていますので、「申告期限後 3 年以内の分割見込書」を申告書に添付して提出することになります。

電子申告での訂正申告と 書類添付の追加手続き

電子申告での訂正申告と
書類添付の追加手続き

電子申告での訂正申告と 書類添付の追加手続き

期限内重複申告への当局の対応

法律上には規定がありませんが、提出期限内に内容を変更した申告書の複数回提出は認められています。これを訂正申告といい、通達では、最後に提出された訂正申告書をもって正式な申告書とする、としています。当局は、訂正申告を、申告書の事実上の差替え行為だと解釈しているようです。
訂正申告では、申告書の上部に「訂正申告」とのメモを記載するとか、提出済みの申告書の収受印のあるページのコピーを添付するとかの配慮も要請されています。

電子申告では

訂正申告は e-Tax の電子申告の場合にも、認められています。期限内に、異なる申告内容の「再送信」によって訂正申告をします。再送信での訂正申告である旨の申し出は不要です。訂正申告の際は、異なる内容の帳票のみでなく、全ての帳票を再送信します。再送信は、自主申告納税者、代理送信税理士、他の代理送信税理士の誰でも可能です。回数に制限はなく、最後に提出したものが正規の申告書として扱われます。

「追加送信」での申告訂正

確定申告書の提出とは別の添付書類の追加提出とか、税額や繰越欠損金に影響のない別表や明細書の追加・差替えのための提出とかも、電子申告 e-Tax に於いて、「追加送信」として認められています。追加送信は、一度送信した申告等データに対してPDFイメージデータや別表及び付表等を追加して送信する機能です。「申告書等送信票(兼送付書)」への入力をして送信します。
追加送信方式で送信できる回数は、1つの申告等送信データにつき、現在のところ 10回とされています。

追加送信では制限が生まれる

税理士代理送信での電子申告に係る追加送信は、当該税理士及び委任した納税者の何れも可能ですが、他の税理士は送信不可です。電子証明書を有する納税者が自主申告送信した場合には、代理送信可能な税理士も、追加送信不可です。追加送信は、メッセージボックスに格納された「受信通知」の「追加送信」ボタンから送信する為です。

eLTax 地方税電子申告での相違

再送信・追加送信機能の意味は、eLTax 地方税電子申告でも、同じですが、追加送信は、eLTax では 999 回まで可能となっています。なお、追加送信への取扱いは提出先の地方自治体の判断により異なる場合があります。

 

採用コスト見直しと 内定辞退を防ぐ

採用コスト見直しと
内定辞退を防ぐ

採用コスト見直しと 内定辞退を防ぐ

採用費の基本コスト

小規模な会社にとってコストを抑えた採用活動は重要です。採用経費はどのように見直していけばよいのでしょうか?
採用費用を見直しするには採用活動の中でどのようなことを行わなければならないかを確認し、その上で自社の採用活動に合ったコスト配分を行わなければなりません。
採用に掛かる一般的な諸経費としては、
・採用サイト掲載料……無料の媒体もありますが、効果のほどは芳しいとはいいがたいものです。だからといって高い費用の広告媒体で出しても内容が求職者に引き付けられるものがないと応募につながりません。
・パンフレット、案内書など作成費用
・採用ホームページの作成
・新卒の場合は学校回り交通費等
・会社説明会を行う場合は貸会議室代等
・応募者の交通費、文書等諸経費
・内定者に対する懇談会等
新卒ではなく中途採用であれば就職サイトや応募者用パンフレット、採用 HP などは最低限の費用を基準に自社にとって良い結果を出せる業者の選定が必要です。
募集したい対象が老若男女の誰なのかで利用する媒体も変わります。業者選定は知名度が高いというのでなく、結果を出せそうな業者を検討するのが望ましいでしょう。
2~3 社の業者で見積もってみましょう。

採用活動期間の延長はコストが上がる

採用活動が延びるほど労力や費用等コストが掛かってしまいます。最も有効な採用コスト削減方法は応募者の辞退を減らすことです。採用活動を長引かせないように、良いと思った人材は選考中、内定後の辞退を減らす必要があります。
辞退者を減らすには応募者に一番近い社員である採用担当者や面接官の人柄といった自社の社員力が重要になってきます。
応募者からすると採用担当者は会社のイメージというように見られています。そのことを意識して応募者の志望度を上げていきます。また、内定を出したら入社承諾書にサインをもらいましょう。それでも本人の心が迷っている場合もあります。地方出身者で若い人には、家族にも会社からお知らせする等のフォローが必要かもしれません。メールなどで定期的に様子を知らせたり懇親会を開いたりするのもよいでしょう。

IT 化との違い、わかりますか? DXって何のこと?

IT 化との違い、わかりますか?
DXって何のこと?

IT 化との違い、わかりますか? DXって何のこと?

デラックスではございません

去年あたりからインターネットや書籍等で「DX(デジタルトランスフォーメーション)」という言葉を目にする機会が多くなりました。「なんかデジタル通信とかパソコンとかでアレするやつでしょ」という認識の方も多いのではないでしょうか。
そもそも広義の DX とはスウェーデンの大学教授、エリック・ストルターマン氏が2004 年に提唱した「デジタル技術が人々の生活を、あらゆる面でより良い方向に変化させる」という考え方を起源とする概念です。ビジネスで DX と言う場合は、大まかには「AI や IoT、ビッグデータなどのデジタル技術を活用し、ビジネスモデルや組織体制を抜本的に改革することで、競争優位性の確立や外部環境への適応を目指す」という意味になります。
以前の「IT 化」は業務効率化やコスト削減を目的とした IT・デジタル技術の導入のことです。DX はさらに会社運営へ踏み込み、デジタル技術を手段としてビジネスモデルや組織など、より広い範囲の変革を促すものとなります。

DX 投資促進税制が誕生した背景

国は令和 3 年度税制改正で「DX 投資促進税制」を創設し、民間の DX 化の後押しを行っています。
経済産業省の報告によると、今のままでは「IT 人材の不足」と「古い基幹系システム」の2つが障害となり、2025 年から 2030年までの間に、年間で最大 12 兆円の経済損失が生じる可能性があるとしています。この損失はもとより、世界との競争力を維持するため DX が当たり前となる「ポストデジタル時代」に乗り遅れるのは致命的と考えているようです。

認定されれば税額控除 or 特別償却

DX 投資促進税制では、データ連携(共有)・レガシー回避・サイバーセキュリティ・ビジネスモデル変革・全社戦略等の要件を満たす計画が認定されれば、その計画に基づいて行う設備投資のうち、ソフトウェア・繰延資産・機械装置・器具備品について、税額控除や特別償却が受けられる制度です。
「あまりデジタルに関係のない分野だから」とこの手の話題を避けてきた方もいらっしゃるかと思いますが、この機会に一度検討してみてはいかがでしょうか。

持株富裕層の節税対策

持株富裕層の節税対策

持株富裕層の節税対策

比率 3%以上の大口個人株主

株式の配当金に対する課税は、一般的には、源泉徴収選択特定口座を利用した申告不要源泉分離課税で、20.315%での税負担(所得税・復興税・住民税)で済みますが、上場企業の持株比率 3%以上の大口個人株主については、20.42%(住民税なし)の源泉徴収をされた上で、総合課税での申告となります。課税所得が 4000 万円以上の部分は住民税を含めて 55.945%となります。一般の 20.315%の分離課税での税負担と比べてかなり高負担となります。

総合課税の場合の配慮は微少

ただし、総合課税の場合は、法人税での受取配当等の益金不算入制度と同様に二重課税緩和の趣旨から、配当控除という制度が用意されています。課税所得金額が 1000万円以下の部分に該当する配当所得には、12.8%(所得税 10%、住民税 2.8%)、1000万円超の部分に該当する配当所得には、6.4%(所得税 5%、住民税 1.4%)を控除することができます。
でも、全体から見た割合は小さいため、それほど大きな効果はありません。

3%以上大口個人株主の節税対策

それで、3%以上の大口個人株主は、個人名義ではなく資産管理会社を設立して、3%以上部分の株式を法人名義にする、という選択を多くの場合行っています。
そうすると、個人所有部分は 20.315%の分離課税での申告不要にすることができ、法人所有部分は、持株比率 1/3 超なら 100%益金不算入、持株比率 5%超~1/3 以下なら50%益金不算入、持株比率 5%以下でも20%益金不算入となるので、個人の配当控除より有利です。その上、役員報酬等の形での家族への所得分散ができ、法人税の負担も相当に圧縮可能です。

法人化後の更なる節税プラン

逆に、税負担の少ない法人に財産が集積し、資産の中の株式の割合が 50%以上だと、相続などの時に、しっかり財産課税されてしまうので、借入金等により賃貸不動産その他の資産を取得して、50%未満化策を講ずるケースも珍しくありません。
また、法人で、含み益の大きい財産を譲渡すると、法人での約 33%の課税が行なわれ、さらにそれを個人の所得となる形で移転すると、2 段階での課税となります。これを回避するために、最近は、適格会社分割による会社の複数化により、M&Aでの会社売却を準備する方法で、20.315%の分離課税化する案も考えられています。