玉田篤志

消費税率は8%?10%? 栄養ドリンク剤と消費税率

消費税率は8%?10%?
栄養ドリンク剤と消費税率

消費税率は8%?10%? 栄養ドリンク剤と消費税率

栄養ドリンク剤と消費税率

令和元年 10 月にスタートした消費税の軽減税率制度。「飲食料品(酒類・外食を除く)」と「新聞(週2以上発行の定期購読)」の譲渡が軽減税率8%の対象となります。
今でも、コンビニの買い物のレシートを見ると「どれが 10%で、どれが8%なの?」と思うものもいくつかありますよね。
例えば、栄養ドリンク剤。8%のものと10%のものがあります。医薬部外品扱いのものが飲食料品から除かれるのが理由です。

医薬部外品の代表としては「リポビタンD」、その他の代表は「オロナミンC」。今ではコンビニに並んで売られていますが、一昔前は、そういう訳ではありませんでした。

最初は医薬品だったリポビタンD

大正製薬のHPによると、リポビタンDの誕生は、日本の高度成長期の昭和 30 年代。
もともとは錠剤とアンプル剤で提供されていた「リポビタン」にタウリンを配合。アンプル剤を大型化し、医薬品として販売を開始しました。味にもこだわった結果、大ヒット商品となりました。また、「薬を冷やす」という発想がなかった薬局に、ドリンク剤の冷蔵ストッカーを提供したり、販売手法も目新しいものでした。

炭酸を入れたら販売ルートを失った!?

オロナミンCは、リポビタンDより後発です。大塚製薬も幾つか栄養ドリンク剤を発売していましたが、それに炭酸を入れることを思いつきます。ただ、当時の厚生省は炭酸を入れた場合、医薬品とは認めない方針。そうなると主な販売先である薬局系ルートで販売できません。商品を諦めきれなかった大塚製薬は、販売ルート開拓に挑戦します。小売店、交通機関、病院や浴場など未開の販売先を地道に広げていきました。

規制緩和により2つの商品が並ぶことに

そのため、この2つの商品は販売ルートが全く別でした。時代が流れ、規制緩和により、リポビタンDは、平成 11 年に医薬部外品に移行。平成 21 年の薬事法改正で、コンビニ等の一部小売りが可能となりました。

令和3年分申告書等作成コーナー新機能

令和3年分申告書等作成コーナー新機能

令和3年分申告書等作成コーナー新機能

気が早いかもしれませんが

国税庁のホームページで毎年刷新される確定申告書等作成コーナー。近年は電子化や利便性向上を物凄い勢いで進めています。
少し気が早いかもしれませんが、国税庁はすでに令和3年9 月に、新機能を発表していますので、ご紹介いたします。

スマホ専用画面の対象範囲拡大

新たに特定口座年間取引報告書・上場株式等の譲渡損失額・外国税額控除が、スマホ専用画面の対応となりました。
給与収入と、ある程度の投資をしていらっしゃる方でも、スマホ画面からの申告が行いやすくなりました。

マイナンバー読み取り方法の追加

パソコンで申告書を作成される方も、スマホアプリでパソコン上に表示される 2 次元バーコードを読み取れば、IC カードリーダライタを使用せず、マイナンバーカード方式による e-Tax 送信ができるようになります。
今までのようにカードリーダーを買ったり、スマホを PC に接続して使えるように設定したりという事前のセットアップが不要となります。ただし、お使いのスマホが、ICカード読み取りに対応していなければならないので、ご注意ください。

これが欲しかった! 源泉票撮影で自動入力

スマホ申告ですと、今までは源泉徴収票の内容をポチポチと入力していたのですが、スマホのカメラで源泉徴収票を撮影すると、自動入力される機能が追加されます。便利な機能がついに来ました。この機能の対象が拡大してゆくと、ほとんどの部分で入力を手動で行う必要がなくなるのではないでしょうか。

マイナポータル連携の種類増加

令和 3 年分申告から、ふるさと納税と地震保険がマイナポータル連携の対象となります。マイナポータル連携は、発行元が連携対応している必要がありますが、事前設定しておけば、各種証明書の情報を自動入力してくれるようになります。
なお、医療費通知情報(保険診療分)は令和 4 年分申告以降に、1 年間を通したものが取得可能になる予定とのことです。

居住用不動産の贈与 そのヴァリエーション

居住用不動産の贈与
そのヴァリエーション

居住用不動産の贈与 そのヴァリエーション

婚姻期間が 20 年以上の配偶者に居住用の不動産又はその取得資金を贈与したときは、贈与税について基礎控除 110 万円のほか最高 2000 万円の控除の適用があります。
この特例適用の対象となる贈与には次のようなものが含まれます。

ヴァリエーション類型

①居住用の不動産又はそれを取得するための資金の贈与
②居住用家屋の敷地が借地権のときに地主から底地を購入するための資金の贈与
③居住用家屋の敷地が借地権のときにその家屋と借地権の全部又は一部の贈与
④居住用不動産の一部又は共有持分の贈与
⑤居住用の家屋だけ又は土地だけの贈与
⑥居住用家屋の敷地に配偶者のために借地権を設定した場合の、その居住用家屋の全部と借地権の全部の贈与
⑦居住用家屋の敷地に自己と配偶者のために借地権を設定した場合における、その居住用家屋の一部と借地権の一部を共有持分とする贈与
⑧居住用家屋の敷地に自己と配偶者のために借地権を設定した場合における、その居住用家屋の一部と借地権の一部を共有持分とする贈与及びこの贈与と共にするその底地の全部または一部の贈与
⑨居住用家屋の敷地に自己借地権を設定した場合の、その敷地の底地部分の全部または一部の贈与

ヴァリエーションに伴う留意点

この特例の適用を受けて贈与税がかからない場合であっても登録免許税、不動産取得税などがかかる場合があります。
③⑥⑦のような借地権の取得の場合には、登録免許税・不動産取得税はかかりません。
①④⑧のケースで家屋と土地を一緒に取得することとなるときは、不動産取得税の住宅用土地の軽減特例が適用になります。
⑦⑧の借地権の設定は自分のための共有借地権の設定です。これは借地借家法第 15条で可となっています。
⑨の借地権は同 15 条の借地権設定ではなく、底地権を土地から分離することに伴い生ずるものです。自己居住用等の相続土地の底地の物納が認められるようになったことに伴い、慣習法的に生じつつあるものです。

働き方が多様になりました フリーランスと今後の税務

働き方が多様になりました
フリーランスと今後の税務

働き方が多様になりました フリーランスと今後の税務

フリーランスの 55%は事業者との取引

近年の「働き方改革」の進展や、コロナ禍における仕事のリモート化により、「兼業・副業」や「フリーランス」のような、時間・場所・契約にとらわれない柔軟な働き方が注目されています。
内閣官房の「フリーランス実態調査」では、主な取引先が事業者であるフリーランスは全体の約 55%、消費者であるフリーランスが約 45%と報告されています。

フリーランスの属性

独禁法・下請法の適用関係は明確に

同調査では「事業者からの業務委託」について、トラブルが多いとされています。
そのため、事業者との取引については、独禁法、下請法、労働関係法令の適用関係をハッキリとしておく必要があるでしょう。
令和3年3月に内閣官房等から公表された「ガイドライン」が参考になります。

副業に係る営利収入は、雑所得(業務)

一方税務では、個人の「副業に係る収入のうち営利を目的とした継続的なもの」は「業務に係る雑所得」とされています。
令和4年分以後の業務に係る所得税については、次のように取扱われます。

なお、「現金主義の特例」を受けるためには確定申告書にその旨の記載が必要です。

悩ましい「インボイス制度」への対応

また、悩ましいのが、令和5年 10 月からの「インボイス制度」への対応です。フリーランスが「適格請求書発行事業者」とならなければ、取引相手の事業者が仕入税額控除を適用することができません。免税事業者は、「適格請求書発行事業者」になることはできませんので、相手の事業者のことを考えると、課税事業者を選択せざるを得ない場面が考えられます。ただし、経過措置として、インボイス未対応の事業者からの仕入についても、令和5年からの3年間は80%(令和8年からの3年間は 50%)の仕入税額控除が適用できます。

事業承継・引継ぎ支援センター

事業承継・引継ぎ支援センター

事業承継・引継ぎ支援センター

事業承継・引継ぎ支援センターを覗こう

M&Aに興味のある人や、人生 100 年時代で模索している退職後の人や、サイドビジネスを探している人や、会社の次のステップを睨んでいる経営者などなど、国営の事業承継・引継ぎ支援センターを覗いてみては、いかがでしょうか。
もちろん、廃業や継承者不在、倒産の心配で悩んでいる人については、是非とお勧めします。
何か、新しい出会いに遭遇するかもしれません。

事業承継・引継ぎ支援センターとは

事業承継・引継ぎ支援センターは、全国47 都道府県に設置され、円滑な事業承継・引継ぎのための助言、情報提供及びマッチング支援、研修、広報活動を行っています。
中小企業のM&A支援の実務に精通した専門家が秘密厳守で、無料にて、相談に応じている、と広報されています。
民間のM&A機関を活用してM&A実行中のケースに対し、セカンドオピニオンの役割も担う、とも言っています。

ホームペーシの案内によると

事業承継・引継ぎ支援センターのホームページを覗くと、第三者承継支援(M&A)、親族内承継支援(MBOや傍系親族承継)、後継者人材バンク(創業目的個人による創業承継)、経営者保証に関する支援(経営者個人連帯保証解除、経営者個人居宅に設定の連帯保証抵当権設定解除)を参考項目として挙げています。
民間M&A機関がターゲットにしない、小規模企業に関わる案件や相談を相対的に多く担っています。件数も、2020 年では、年間3~4千件のうちM&A大手3社計760 件に対し、事業承継・引継ぎ支援センター1379 件との記載があります。

民間M&Aの企業や有識者との連携

昨年末からは、民間M&Aプラットフォーマーとの連携に舵を切り、事業承継・引継ぎ支援センターの相談者情報とプラットフォーマーの顧客情報の相互乗り入れに踏み出しています。
その上で、最近は、優秀なM&A支援人材や経営者OB人材を全国的に公募しています。同時に、M&AのFAや金融・税務・法務等やDBに係るITの専門的な知見のある実務経験者の出向を全国公募により民間企業等から受け入れています。
自力強化と連携強化を図っています。

遺贈寄附という選択

遺贈寄附という選択

遺贈寄附という選択

いつか自身に起きる相続。これまでの人生を振り返り、生きた証として財産を社会に貢献する事業に役立てたい、そんな思いを伝える手段の一つが遺贈寄附です。

遺言による遺贈寄附と相続財産の遺贈寄附

遺贈寄附とは、国や地方公共団体、公益法人等に、財産を遺言で贈与すること、及び、被相続人の生前の意思を引継いだ相続人が、相続財産を贈与することをいいます。

遺贈寄附の手続き

まずは遺贈先の選定です。新聞、雑誌、TVの報道、ネット情報から社会貢献する団体の活動に触れて支援する法人を探します。
紛争地帯で医療や住居などを支援するNPO 法人は、寄附先としてお馴染みですが、最近は博物館や地方自治体の動物園など、親しんだ団体に遺贈する人もいるようです。
寄附は現金のみ受付し、不動産は売却、換金したうえで遺贈を求める団体が多数ですが、不動産を受け入れる団体もあります。
遺贈先が決まったら、遺言執行者を選定して遺言書を作成します。税理士をはじめ、弁護士、司法書士、行政書士など専門家に相談しましょう。遺言は公正証書遺言、または自筆証書遺言を選択できます。

不動産等の遺贈は譲渡所得課税に注意!

土地や建物、株式など譲渡所得の基因となる財産を法人に遺贈した人には、その財産の取得から遺贈時までの値上り益に譲渡所得税が課されますが、国税庁長官に申請して承認を受けた場合は非課税となります。
ただし、遺贈した人の所得税の負担や、遺贈した人の親族のほか特殊関係人の相続税、贈与税の負担を不当に減少させる場合には、非課税承認は取り消され、遺贈した人、又は遺贈先の法人に譲渡所得税が課されることになるので注意を要します。
また、相続人が被相続人の意思を引継ぎ、相続財産を国や地方公共団体、公益法人等に贈与する場合にも相続税を非課税とする制度があります。この場合も不動産等の贈与について譲渡所得税を非課税とするには、国税庁長官の承認が必要です。

相続人の遺留分にも配慮を忘れない!

社会の高齢化が進むなかで遺贈寄附の希望者も増えていくのではないでしょうか。
ただし、相続財産には遺留分があります。
遺贈寄附を決めるときは、相続人の遺留分にも配慮して後でトラブルが生じないよう検討することを忘れないようにしましょう。

「せめて正月の餅代を」 年末調整による不足額徴収繰延

「せめて正月の餅代を」
年末調整による不足額徴収繰延

「せめて正月の餅代を」 年末調整による不足額徴収繰延

「正月の餅代」という慣用句

日本では年末の臨時収入やボーナスを「正月の餅代」と表現することがあります。
といっても「正月の餅代もない」とか「正月の餅代くらいだよ」といった「わずかな金額」というネガティブな表現が多いですね。
そもそもこの「餅代」は江戸時代、商家や職人の主人から番頭・手代への年末のボーナスとして渡されていた包み金だそうで、その頃からすでに年末のボーナスという制度があったというのはサラリーマンの歴史や文化とも言うべきもので、ちょっとロマンを感じられますね。
ちなみに夏季に支給されるボーナスのことは「氷代」と言ったりもするようです。

年末調整時の追加税額を来年に払える

年末調整の計算によっては、所得税の不足額が発生する場合があります。その際には 12 月分の給与から、源泉所得税を追加で徴収するのですが、その不足額を 12 月分の給与から徴収してしまうと 12 月分の税引き後の給与額がその年の 1~11 月の平均金額の 70%未満となる場合には「年末調整による不足額徴収繰延承認申請書」という書類を個人が給与の支払者を経由して、支払者の所得税の納税地の所轄税務署長に提出すれば、不足額については翌年 1 月、2 月に1/2 ずつ支払ってよいという制度が存在します。

使用制限が厳しいし、額もそれほどでも?

まず、他の月との比較で税引き後の給与の額が 70%未満にならないと利用できないため、通常の会社員で報酬にばらつきがなければ、年末調整でよほどのこと、例えば「扶養親族がたくさんいたのに全員働きだして控除額が大幅に減った」というようなことがない限りは、給与の額が 70%になることは稀でしょう。ただ、インセンティブ等で毎月報酬が変わる方で、12 月の給与が大幅に少なく、さらに生活が苦しい人にとっては利用する価値のある制度かもしれません。
とは言え、調整税額の繰延べですから、基本的には大きな金額にはならないはずですし、来年には支払わなければなりません。
「せめて正月の餅代くらいは」という、お上の恩情のような制度ですね。

従業員の配偶者に対する 健診費用の会社負担

従業員の配偶者に対する
健診費用の会社負担

従業員の配偶者に対する 健診費用の会社負担

従業員に対する健康診断は会社の義務

労働安全衛生法 66 条により、「事業者は、労働者に対し医師による健康診断を行わなければならず、労働者は、事業者が行う健康診断を受けなければならない」とされています。こうした健康診断の受診費用は、通常必要と認められる範囲を超えるものを除き、会社の福利厚生費として扱われます。
なお、労働者ではない役員は、厳密に言うと労働安全衛生法の対象者ではありません。しかしながら、健康管理義務がないわけではありませんので、法律上での義務がなくても健康診断を受診してもらうことで、実務上のリスクを下げることができるため、同様に会社の福利厚生費となります。
ただし、受診費用の負担対象者が役員や特定の地位にある者だけとされている場合には、その者に対しての給与として課税されます。この場合には、経済的利益に係る給与として源泉徴収を行う必要が生じます。
さらに、役員の場合、定期同額給与に該当しない給与(賞与)として法人税の課税対象として扱われることにもなります。

役員・使用人の配偶者の健診費用会社負担

会社が役員または使用人の配偶者分の健診費用を負担している場合には、その役員または使用人の給与(経済的利益の供与)として扱われます。課税扱いとなる理由は、会社は、法律上、配偶者の健康診断の実施義務を負っているわけではないためです。
また、一部大企業では配偶者分も会社負担となっているところもあるようですが、まだまだ社会一般的に行われているとは認められていないため、経済的利益の供与=給与扱いとなります。給与扱いとなるわけですから、それに係る所得税の源泉徴収を忘れないようにしなければなりません。

健診費用の消費税での課税仕入れ不課税

会社の福利厚生費として扱われる健診費用は、自由診療に該当するため、消費税が課税されています。消費税の計算においては課税仕入れとして扱います。
一方、給与扱いとなる健診負担分(配偶者や特定の地位にある者だけへの負担)にも、消費税は課されています。しかしながら勘定科目上は給与扱いですので、消費税の計算においては給与=不課税となります。
領収書に消費税額の記載があるからと言って、課税仕入れとして扱わないように注意が必要です。

長男の嫁の介護報酬

長男の嫁の介護報酬

長男の嫁の介護報酬

相続人以外の者は、遺産分割協議の対象とならず、被相続人の療養看護に努めてもこれまで経済的な保障はありませんでした。
しかし、令和元年7月から民法改正により、長男の嫁など相続人以外の親族にも「特別の寄与」の制度が創設され、相続人に限定される寄与分と同様の算定による特別寄与料の請求が認められるようになりました。

療養看護による特別の寄与

「特別の寄与」の制度は、被相続人の親族(相続人以外)で無償により被相続人の療養看護その他の労務を提供し、被相続人の財産の維持・増加に特別の寄与をした者が、相続人に対し、寄与に応じた額の金銭の支払を請求できるものです。相続人との間で協議が整わない場合、家庭裁判所に協議に代わる処分を請求できますが、相続の開始及び相続人を知った時から6か月以内、または相続開始から1年以内に限られます。
これまでの家庭裁判所の審判による寄与分の評価は、介護サービス報酬の単価に介護日数を乗じ、寄与の態様に応じた裁量割合を考慮して算定しますが、その評価額は数百万円程度です。内閣府の統計調査(2016年)でも専業主婦による家事活動の評価額を年間で約 300 万円としています。

特別寄与料は、みなし遺贈として課税

特別寄与料の課税上の扱いは、被相続人から遺贈により取得したものとみなして相続税が課税されます。長男の嫁の場合、被相続人の一親等の血族及び配偶者ではないため、相続税額は2割加算となり、特別寄与料の確定を知った日の翌日から 10 か月以内に、相続税申告書の提出が必要です。
一方、特別寄与料を負担する相続人は、特別寄与料の負担分を債務として控除できます。また、既に相続税の申告書を提出していたときは、更正の請求ができます。

適切な評価を受けるために

嫁が介護にどれだけ努めていたかは、家族が一番、見てくれていますが、それでも特別寄与料の算定に適切な評価を受けるためには、家庭内で被相続人の療養看護によって財産の維持・増加に努めた行動記録を残しておくことが肝要です。
また、特別寄与者は被相続人の心のケアを担う反面、様々なストレスも負っていることでしょう。それに報いるためには、遺贈を選択することもできます。もちろん、最後は、長男の妻に対するリスペクトが支えになることは言うまでもありません。

副業・兼業における 労働時間管理

副業・兼業における
労働時間管理

副業・兼業における 労働時間管理

副業・兼業をする雇用者が増加

厚生労働省は 2018 年1月以降、「モデル就業規則」に「副業・兼業」という章を追加し、副業・兼業を原則容認する内容に変更しています。
厚生労働省によれば、副業を希望する雇用者数(雇用者に占める割合)は、1992 年の 235 万人(4.5%)から 2017 年 385 万人(6.5%)へ右肩上がりで伸びており、副業雇用者数も、1992 年の 76 万人から 2017 年には 129 万人へ増えています。

労働基準法改正による労働時間管理

中小企業には 2020 年4月(大企業は 2019年4月)から、時間外労働の上限規制(罰則あり)が適用されています。
36 協定による原則の上限時間(月 45 時間、年 360 時間)を超える場合は、36 協定で特別条項を締結することにより、月 100 時間未満、2~6月平均 80 時間以下、年 720 時間以下までの時間外労働が認められます。
労働基準法 38 条1項では、「労働時間は、事業場を異にする場合においても、(中略)通算する」としており、事業主(会社)が異なる場合でも通算されます。
なお、労働基準法上の労働者でない場合(フリー、独立・起業、共同経営など)や、労働時間規制が適用されない場合(農業・畜産業・水産業、管理監督者など)は、労働時間を通算する必要はありません。

副業・兼業での労働時間管理

副業・兼業における原則的な労働時間管理のポイントは雇用契約を結んだ順番です。
例えば、A社(1日5時間、残業なし)で雇用されている労働者が、新たにB社(1日3時間、残業2時間)で雇用された場合、1日のうち、B社で勤務後にA社で勤務したとしても、後で雇用契約を結んだB社の2時間が時間外労働となります。
なお、副業・兼業開始前に両社の合計所定労働時間を法定内で設定する「管理モデル」を導入した場合は、法定労働時間を超えた時間に働いている会社で割増賃金が発生することになります。