そもそも、期間の定めのない労働者はいつでも退職できることとなっており(民法627 条)、会社を辞めるのに会社の許可は必要ありません。なのにどうして、代行会社を利用するのでしょうか。その理由として多いのは、次のようなものです。 ① 退職の意思を伝えたが、人手不足を理由に受け入れてもらえない。 ② パワハラがあり、相手の態度が怖くて退職を言い出せない。 ③ 引留め交渉をされたくない ここから、従業員本人の退職の意思が固まっているのに企業側がそれを受け入れない状況が読み取れます。退職したくても言えない、言っても聞き入れてもらえないという思いが利用者側にあるようです。
流通業の S 社は、取引先の弁護士から債務整理と債権の届出を求める通知を受けました(取引先の破産と管財人選任は後日、判明)。この取引先からは取引数量の拡大を持ち掛けられていましたが、自社の売上が減少傾向にあり今後の収益拡大を期待して相手の要求を受け入れた中でのことでした。
まずは事実確認と取引停止
S 社は、損失の拡大を少しでも防ぐため、現時点の債権額と納品未了の取引を確認しました。取引先に事実関係を照会し、併せて契約書の取引条項に抵触しないかを確認して新規の出荷を止めました。契約書に「無催告解除」「期限の利益喪失」条項があったので契約解除も直ちに可能でした。保証金や預り金は手許に留保し、債権との相殺の検討のため、自社の顧問弁護士に債権保全・債権回収など法的手続きを相談しました。