玉田篤志

仮想通貨の定義と取扱い

仮想通貨の定義と取扱い

仮想通貨の定義と取扱い

通貨の持つ機能

通貨(貨幣)の持つ機能は、
1.価値の保存機能(インフレ、デフレ、デノミを除けば、例えば 100 円は 100 円のまま)、2.交換(決済)機能(物々交換しなくてよい)、3.価値の尺度機能(商品やサービスの価値を計り比較するもとになる)だといわれます。これらを仮想通貨に当てはめようとすると1.と3.であまりうまくいかない様子ですので、仮想通貨はより金融資産に近い性質をもつものでしょう。

法令上の定義と取扱い

日本の法令上は「資金決済に関する法律」で、「物品を購入し、(省略)財産的価値(省略)であって、(以下省略)」、「不特定の者を相手方として前号に掲げるものと相互に交換を行うことができる財産的価値(以下省略)」と定義されています。その他、金融庁マニュアルにも定義があります。また、私達が仮想通貨を売買する時に利用する仮想通貨交換業者も、銀行や証券会社と同様に金融庁への登録認可と監査が必要で金融庁によって厳しく規制及び管理されています。
このように法令または規制上も通貨の、というよりも財産的価値の側面に注目しているように見受けられます。

会計上の定義と取扱い

仮想通貨の直接の定義は見当たらないのですが、拠り所となる「金融商品に関する会計基準・実務指針」は広く金融資産について、預金や売掛金、貸付金等の金銭債権にとどまらず、「金融資産を受け取る契約上の権利、潜在的に有利な条件で他の企業とこれらの金融資産若しくは金融負債を交換する契約上の権利」も含めることになっています。会計上も通貨としてよりも財産的価値の側面に注目して、広く金融資産の範疇に含めるべきでしょう。

ふるさと納税 指定自治体の解除

ふるさと納税
指定自治体の解除

ふるさと納税 指定自治体の解除

ふるさと納税は指定制?

個人の所得・控除によって決まる控除上限金額までの寄附なら、自己負担が 2,000円で返礼品が貰えるふるさと納税制度。ワンストップ特例を利用しない方は、そろそろ確定申告のご準備をお願いいたします。
今や多くの方に認知されている制度ですが、「総務大臣が指定する自治体への寄附」でないと、ふるさと納税の寄附金控除が受けられないのはご存じでしょうか?

いわゆるお礼の品 3 割ルール

総務省は過熱するふるさと納税に対して、平成 31 年に返礼品等の調達に対するルールを定めました。いわゆる「お礼の品は寄附額の 3 割以下で地場産品」というものです。このルールを破った自治体は、2 年間指定を取り消され、ふるさと納税の寄附については控除が受けられなくなるため、実質的にはふるさと納税の運用ができなくなります。
皆さんが普段ふるさと納税を行うポータルサイト等では、指定取り消しを受けた自治体への寄附ができないように処置するので、あまり利用者には見えないものですが、直近でいえば令和 4 年 1 月 17 日付で、宮崎県都農町が指定取り消しとなり、翌日 18 日付の寄附から 2 年間は、ふるさと納税の寄附金控除が受けられなくなりました。なお、それ以前の寄附については通常のふるさと納税扱いとなりますのでご安心ください。

自治体・業者のリスクがある制度

都農町のケースは「格安な牛肉を返礼品として用意したが寄附が殺到して、当初の取扱い業者の手に負えなくなり、町が割高な代替品を調達してしまい、結果お礼の品の価値が寄附の 3 割を超えてしまった」という顛末です。
ふるさと納税を集めたい、そしてふるさと納税額を持続してゆくために設備投資等をしてゆくというサイクルの中で、指定取り消しで 2 年間は多額の取引を失ってしまい、結果として「ふるさとの衰退」を招く可能性があります。節度のある制度の活用を心がけていただきたいものですね。

成年後見制度と障害者控除

成年後見制度と障害者控除

成年後見制度と障害者控除

成年後見制度とは

不動産・預貯金などの財産管理や、介護などのサービスや施設への入所に関する契約の締結、相続が発生した場合に遺産分割協議などをする必要があっても、認知症や知的障害などの理由で判断能力が不十分になると、これらを自分ですることが難しくなってきます。また、判断能力が不十分になってしまうと、自分に不利益な契約であってもよく理解ができずに契約を締結してしまい、悪徳商法の被害にあう危険もあります。
成年後見制度は、このような判断能力の不十分な方々を保護し、支援する制度です。
従来の禁治産・準禁治産制度に代わり、平成 12 年 4 月からスタートしています。

税理士会も支援しています

税理士は、普段より、事業を営む方の税や経営に関することや個人の方々の資産管理に関することをお手伝いしています。 その豊富な経験を活かし、成年後見制度においても支援の必要な方々の貴重な財産の保全と適切な管理をお手伝いしています。
全国各地の税理士会は成年後見支援センターを開設し、成年後見制度に関するご質問に対して無料で相談を受け付けています。
また、日本税理士会連合会は、成年後見制度のパンフレットを作成し、各地の税理士会は、家庭裁判所へ成年後見人等の候補者となる税理士の名簿を提出するなどして、この制度を支援しています。

成年被後見人は特別障害者に該当

家庭裁判所が鑑定人による医学上の専門的知識を用いた鑑定結果に基づき、「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者」として後見開始の審判をした場合には、所得税法上も、成年被後見人は「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者」に該当し、障害者控除の対象となる特別障害者に該当します。
居住者又は控除対象配偶者若しくは扶養親族が特別障害者である場合には、40 万円の障害者控除が可能となります。(「成年被後見人の特別障害者控除の適用について」平成 24 年 8 月 31 日/照会者:一般社団法人 静岡県社会福祉士会/回答者:名古屋国税局審理課長)

183 日以上滞在した場合 米国から帰国した者の外国税額控除

183 日以上滞在した場合
米国から帰国した者の外国税額控除

183 日以上滞在した場合 米国から帰国した者の外国税額控除

米国に 183 日以上滞在して帰国した場合

新型コロナウィルスの変異株「オミクロン株」の世界的な感染拡大。令和3年末より政府の水際対策も強化されました。外国から帰国された方も関係者も大変ですね。
ここでは、次のような米国からの帰国者の所得税の事例を検討してみましょう。

米国の連邦個人所得税の取扱いは?

グリーンカードを有していない日本人は、次の Substantial Presence Test(実質滞在テスト)を満たす場合、米国の税務上、米国居住者として取扱われます。


Aさんは、①と②を満たすため、米国居住者とされ、その年分の課税所得についてIRS(内国歳入庁)に個人所得税申告書(Form1040)を作成し、申告納税を行わなければなりません。申告期限は翌年4月 15 日ですが、最長 10 月 15 日まで延長できます。

日米租税条約(短期滞在者免税)は?

日米租税条約 14 条(給与所得)には、短期滞在者免税の規定があります。Aさんは、12 カ月の期間を通じ滞在期間が 183 日を超えており、この規定は適用されません。

日本の所得税の取扱いは?

Aさんは派遣期間が予め1年未満とされており、出国時に日本居住者とする取扱いをしている場合には、変更する必要はありません。この場合、Aさんは、日本居住者として、全世界所得につき日本の所得税の申告義務を有することになります。

米国申告 4 月。外国税額控除はどうする?

この場合、米国と日本の所得税が二重に課税されてしまっているので、日本側で外国税額控除を適用できます。ただし、米国の申告期限が 4 月 15 日なので、日本の申告期限に間に合わないことも有り得ます。
実務では、当年分の所得税申告で明細書を添付し、翌年分に外国税額控除余裕額を繰越すやり方も考えられます。

輸出目的であっても国内渡しだ と消費税が課税・付加されます

輸出目的であっても国内渡しだ
と消費税が課税・付加されます

輸出目的であっても国内渡しだ と消費税が課税・付加されます

輸出のための購入でも免税にならない事例

海外への物品の輸出については、消費税が課税されない輸出免税となっています。
しかしながら、物品の引き渡しが国内で行われたものであれば、国内取引として消費税が付加されます。販売した者は消費税を購入者に請求し、課税売上として消費税の申告に織り込まなければなりません。

貿易条件で危険移転の分岐点が変わります

貿易の取引条件の解釈を国際統一するための規則がインターコムズと呼ばれるものです。11 の規則がありますが、FOB や CIF等の用語を耳にしたことがあると思います。
FOB(本船渡し)とは、Free On Board の略で、売主の義務が本船上で免除されます。
通関を済ませて貨物が船に乗った段階で所有権が移転されます。輸出者(=売主)の運賃や保険などもここまでで、以降は輸入者(=購入者)に負担が移ります。

リスク移転が国内であれば課税取引です

工場で引き渡しをする取引条件が EXW(Ex Works)です。売主の敷地内で引き渡せば、運賃や保険なども不要なので、売主側は安く売ることができます。一方、購入者側は本体価格だけでよいので購入価格は一番安くなります。引き取り後の運賃や保険を安く抑えれば、総費用が安く済む目論みです。
しかしながら、最終的に輸出されるものであっても、取引の場所が国内であれば消費税の課税対象となります。
輸出免税の対象とするためには、輸出者名義の輸出許可証が必要になり、取引条件は、引き渡し場所が国外となる本船上である CIF もしくは FOB とすることが必要です。

国内引き渡しで発生する消費税のトラブル

物品の受け渡しが国内扱いとなる取引条件で売買があった場合、販売者及び購入者とも消費税申告や税負担を巡るトラブルが発生しかねません。
販売者側が、輸出免税と思って、課税売上に入れないと、税務調査等で否認され、税金の追加負担となります。
購入者側は、国内取引となったことで思わぬ消費税負担が発生します。事前の消費税課税事業者選択で申告還付することができない場合、負担した消費税の取り戻しはできません。目先の購入額の安さに目がくらみ、大損ということもあり得ます。取引全体の費用見積もりの際にご注意ください。

今年も確定申告ですね 歯の治療費と医療費控除

今年も確定申告ですね
歯の治療費と医療費控除

今年も確定申告ですね 歯の治療費と医療費控除

歯科診療で医療費控除の対象となるもの

歯科医師の診療・治療に対する支払で、病状などに応じて一般的に支出される水準を著しく超えないものは、医療費控除の対象となります。ただ、保険がきかないもの(自由診療)や、高価な材料を使用する場合など判断に迷うものもあります。具体的な例を見ていきましょう。

(例1)金やポーセレン(セラミック)を使用した歯の治療費…医療費控除の対象(○)
歯の治療のために一般的に使用される材料を使用するのであれば、健康保険の適用がなく、高額となったとしても控除の対象となります。金やポーセレン(セラミック)は、現在では一般的に使用されているものですので、控除の対象となります。

(例2)インプラント治療・入れ歯(義歯)…医療費控除の対象(○)
(例1)と同じ考え方です。治療等が失われた歯の機能を補う目的の一般的なものである限り、控除の対象となります。

(例3)発育段階にある子供の不正咬合の歯列矯正…医療費控除の対象(○)
歯列矯正を受ける方の年齢や矯正の目的などからみて社会通念上歯列矯正が必要と認められる場合、控除の対象となります。

(例4)容ぼうを美化するための歯列矯正の費用…医療費控除の対象外(×)
歯の治療に対する支払ではないので、該当しないこととなります。

(例5)小さいお子さんの通院に付添いが必要な場合の付添人の交通費…医療費控除の対象(○)
通院費に含まれます。この場合、通院日・金額も記録しておくようにして下さい(ガソリン代など、公共交通機関以外を使用した場合の費用は、控除対象になりません)。

(例6)歯の治療費を歯科ローンやクレジットにより支払う場合…その年に信販会社が立替払をした金額が医療費控除の対象
控除の対象となる医療費は、その年に支払ったものが対象であり、未払のものは対象となりません。歯科ローンの場合、治療費を信販会社が立替払をして、その立替分を患者が分割で信販会社に返済します。そのため、信販会社が立替払をした年のその立替えた金額が控除対象となります。

(例7)歯石・歯垢の除去費用・ホワイトニング…医療費控除の対象外(×)

賃借人の孤独死

賃借人の孤独死

賃借人の孤独死

一人暮らしの高齢者に賃貸した場合、オーナーは、賃借人の孤独死と向き合うことを余儀なくされますが、これからは地域コミュニティと連携し、高齢者をターゲットにした賃貸を新たなビジネスモデルとして考えると良いかもしれません。

賃借人の孤独死リスクとは

賃貸オーナーは、賃借人の孤独死が判明すると、警察へ通報した後、残存物の処理、原状回復・リフォーム工事などの費用がかかるばかりか、賃借人の募集期間中は収入がなくなるなど、大きな負担となります。
さらに、次の募集では告知事項として孤独死の事実を明らかにすることが求められ、賃料を下げざるを得ないリスクも生じます。

高齢者賃貸にはメリットも多い

その反面、高齢者には貸し渋るオーナーが多いため、高齢者の賃借ニーズは高く、一度契約すると長期にわたり居住してくれるので、オーナーとしては退去に伴う空室リスクや工事の費用や募集コストを減らして、安定的な家賃収入を確保することが見込めます。実は、孤独死は高齢者より、むしろ50~60代に多いというデータもあります。

必要経費には、継続的な賃貸がポイント

不動産所得における必要経費の要件は、賃貸収入を得るため、業務に必要な費用であること、または業務に関連した費用であることです。
賃貸契約解除から、原状回復・リフォーム工事、募集活動を経て、新たな賃借人の入居までが間断なく行われ、再び賃貸が始まるのであれば、賃貸業としての継続性が担保されます。この場合、不動産所得の計算上、原状回復・リフォーム工事の費用は、業務に直接要した費用として、また、減価償却費や固定資産税は、業務に関して生じた費用として、必要経費になります。

コミュニティと連携した賃貸モデルを!

大事なことは、入居者の孤独死への対応をしっかりしておくことです。契約時には賃借人に損害保険を付保する、介護サービスを利用する、地方自治体や民間の見守りサービスを活用するなどです。コミュニティで高齢の入居者を途切れなく見守り、親族からの定期的な連絡を加えることで、リスクを極力減らし、結果として、安定的な賃貸収入の確保にもつながることでしょう。
一人暮らしの高齢者が増える中、孤独死リスクと向き合う高齢者への賃貸が、時代の要請に適うのかもしれません。

力士とプロ野球選手では違います プロスポーツ選手の所得区分

力士とプロ野球選手では違います
プロスポーツ選手の所得区分

力士とプロ野球選手では違います プロスポーツ選手の所得区分

プロ野球選手は「個人事業者」

プロスポーツ選手は皆「個人事業者である」という印象が強いと思います。
プロ野球選手の場合は、昔の通達(現在は廃止)で、選手は球団の指定する試合に出場することを約し、出場契約料・試合契約料を受けるもので、選手の技能や人気の高低により出場料が変わってくるとなると、一般芸能人の出演契約と変わらないものとして事業所得とされてきたことから、現在でも同様の取扱いが行われています。

相撲力士の場合は「給与所得者」?

他のプロスポーツ選手の所得区分は、所属団体との従属性が強いか、弱いかにより取扱いが変わってくるケースがあります。
たとえば、相撲力士の場合には、日本相撲協会に対する従属性が強いため、個別の通達により、日本相撲協会から支給されるものは給与所得とされています。その他の収入の所得区分は次のとおりです。

相撲力士の収入の所得区分

事業所得と給与所得の区分の難しさが反映

事業所得と給与所得の区分は「従属性」や「独立性」等から判定されますが、実際には判断が難しいケースが多々あります。
たとえばバイオリニストは高度な技量をもつため、プロ野球選手と同様に取り扱われるものとも考えられますが、過去の判例では、楽団への従属性が強いものとして給与課税を認めたケースもあります(日フィル事件)。

 

電子申告では余裕をもって 不測の事態に備えましょう

電子申告では余裕をもって
不測の事態に備えましょう

電子申告では余裕をもって 不測の事態に備えましょう

申告・納付の期限日にトラブル発生!

仕事始めの令和 4 年 1 月 4 日、国が運用している e-Tax(国税電子申告・納税システム)において、受付システムで処理が遅延するトラブルが発生しました。
正午過ぎに申告書の提出手続きをしていたある企業では、電子申告後、即時通知では正常送付が確認できたものの、その次の段階で通常届く受信メッセージが届かず、電子納付の手続き前で先に進めなくなってしまいました。数日前に行った e-Tax ソフトの最新バージョンへの更新が原因なのか、それとも自社のパソコンや通信環境が原因なのかわからず、少し狼狽したようです。
e-Tax のホームページサイトで確認したところ、緊急のお知らせが発信されていて、原因は e-Tax にあることがわかりました。
9 時ごろから発生していたこのトラブルのお知らせの第一報は午前 11 時には出ていたようですが、13 時になっても、16 時になってもトラブルは解消されず、ようやく 20時になって復旧したようです。

期限後申告や期限後納付となるのか?

復旧した 20 時まで待ってその後の作業を行っていれば当日中に手続きが終わったでしょう。しかしながら、復旧を知らずに手続きが期限日の翌日(令和 4 年 1 月 5 日)となった場合には、期限後申告や申請、期限後納付となるのでしょうか。2 年連続の期限後申告で青色申告取消とか、消費税の届出書の申請が間に合わず最悪の事態に面しそうなケースもあるかもしれません。
e-Tax では、「期限後の申告又は申請となる場合、管轄の税務署までご相談ください。」と呼び掛けています。おそらく、「自己の責任によらない、やむを得ない事情として、税務署長に認められる形」で決着するものと考えられますが、実際に期限内での受付が認められるまで不安は残ります。

余裕を持った期限前の手続きが望ましい

今回は原因が国のシステムである e-Tax側にありましたが、もし、自社のパソコン環境のトラブル(何らかのウィルス感染など)が原因であれば、自己の責任で、宥恕されることなく、期限後の申告・納税・申請になってしまうものと考えられます。
電子手続きを行っている場合には、不測の事態に備えて、日数に余裕をもった手続き体制を整えておくことが望ましいです。

中年からの確定拠出年金

中年からの確定拠出年金

中年からの確定拠出年金

長生き時代に備えて

中年になって住宅ローンを終えたり子供が独立したりして家計に余裕が出るころは自分の老後のことが気になる時期でもあります。公的年金や預貯金以外に何に投資しておくのがよいのか、これから老後に備えても間に合うには何がいいのか迷うところです。女性の 4 人に 1 人が約 95 歳、男性は約 90 歳まで生きる現在、長い老後に備えて自助努力として税優遇制度の利用は外せないでしょう。

知っておきたい確定拠出年金(DC・iDeCo )

DC には企業型と個人型があり、企業型 DCの場合、会社が掛金を出しますので会社に制度があれば利用したいところです。上限は DC のみであれば月 5.5 万円まで掛けられます(他との併用は月 2.75 万円)。口座手数料も会社持ちです。掛金は会社負担ですので所得控除にはなりませんが運用時は非課税で増やせます。受給時も退職所得控除や公的年金控除の税優遇対象になります。
また、自分で掛金を積み増す「マッチング拠出」の積み増し分は所得控除の対象です。導入している企業にいるなら利用したいところです。
勤務先に企業型の制度がないなら個人型のイデコ(iDeCo)の利用で掛金の所得控除を受けながら運用することになります。
自営業なら月 6.8 万円、会社員、主婦、公務員は月 1.2 万円~2.3 万円が掛けられます。

2022 年度から制度改正で使い易く

確定拠出年金で積立てができるのは企業型が 65 歳未満、イデコは 60 歳未満でありますが 22 年 5 月からそれぞれ 70 歳未満、65 歳未満に引き上げられます。ただし、イデコも 60 歳以上でも公的年金に加入する必要があります。加入年齢上限改定により受給開始年齢上限も 70 歳から 75 歳になります。
また、制度改正で企業型 DC とイデコの併用は労使合意が必要でありましたが、22 年10 月からは原則併用できます。年齢が 50 代であれば給与がある程度高いので税制優遇による節税効果は大きくなるでしょう。
将来の年金受給見込み額が「年金定期便」に記載されてくるのでリタイア後の収入の予想で現在の生活費を基準とした老後資金の必要額を積立てで補いたいものです。