玉田篤志

BtoBでの免税事業者の 消費税転嫁は保護されるのか

BtoBでの免税事業者の
消費税転嫁は保護されるのか

BtoBでの免税事業者の 消費税転嫁は保護されるのか

インボイス開始当初の経過措置

令和5年 10 月1日から、適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス制度)が新たに始まるわけですが、インボイス番号を持たない免税事業者も消費税を請求出来ることが制度の前提になっています。そして、令和5年 10 月1日から最初の3年間は免税事業者の請求する消費税額(110 分の 10)の 80%を、取引相手は、仕入税額控除可能とし、次の3年間は当該(110 分の 10)の50%を仕入税額控除可能とし、その後は0%としています。

経過措置は値上げを前提としている

取引相手の仕入側としては、110 分の 8 又は 5 が仕入税額で、税抜き購入価格は 110分の 102 又は 105 となり、6年経過後は 110となります。従って、購入価格の値上げが起きたことになります。
BtoBでの取引弱者に該当する多くの免税事業者は、少なくとも、値上げとなる部分の取引価格の減額を要求されるはずです。

公取委の独禁法の適用方針

公正取引委員会は、「インボイス対応Q&A」を発表し、取引上優越した地位の立場で、免税事業者である仕入先に対して、発注時に定めた下請代金の額を減じた場合には、下請法で禁止している下請代金の減額や買い叩きとして問題となるとしています。
そう言いながら、インボイス制度の実施を契機として、免税事業者に対して取引価格の引下げを要請し、交渉において、仕入税額控除が制限される分について、双方納得の上で取引価格を設定すれば、結果的に取引価格が引き下げられたとしても、独占禁止法上問題となるものではない、としています。

公取委の態度は実効性を無にする

公正取引委員会のスタンスは、仕入側の控除消費税額の制限による損失分の値下げは問題なしではあるが、免税事業者自身が負担している仕入消費税分にまで食い込むようなことになってはならない、との、幅のあるものです。免税事業者が、消費税の損税化(不転嫁による自己負担化)という事態に陥ることは、独禁法上としても見過ごせない問題なのでしょう。
しかし、消費税の請求額をゼロとして、免税事業者に於いて発生している前段階消費税を取引価格へ上乗せする(値上げ)というような話し合いは、現実性が乏しく、公取委の見解表明は実効性を伴わないアリバイ作りのように感じられます。

暦に従って計算する だけではない償却計算

暦に従って計算する
だけではない償却計算

暦に従って計算する だけではない償却計算

2ヶ月の次は4ヶ月

かつて、大学教授の方が、税務専門誌の質疑応答事例の中で、7月 31 日使用開始した減価償却資産の月数計算について、決算期末が9月 30 日だったら事業供用月数は2ヶ月となり、また、決算期末が 10 月 31日だったら、事業供用月数は4ヶ月となる、と回答していた記事がありました。

理由は民法の定めによる計算

償却限度額を計算する場合の「月数」とは、カレンダーの枚数を意味するものではなく、暦に従って計算するのであり、「暦に従って計算する」とは、民法第 143 条による計算であり、「応当する日の前日に満了」、応当日がない時は「その月の末日に満了」との規定に従うから、とのことでした。
7月31日から9月30日までの間に含まれる「30日」は、8月30日と9月30日の2回なので、その月数は2となる、ということ、即ち、「7月31日から8月30日まで」の1ヶ月と「8月31日から9月30日まで」の1ヶ月との合計2ヶ月、ということです。

税の実務においては

しかし、当局の監修を受けていると思われる減価償却の税務ソフトでも、7月 31 日使用開始で決算期末が9月 30 日の期間計算を2ヶ月と1日という計算で3ヶ月の償却計算をしています。先の大学教授の解釈にも一理あるかと思いますが、実務では、カレンダーの枚数による計算が主流のように思われます。

民法の規定の適用を徹底するなら

「暦に従って計算する」との民法規定を根拠に置くのだとすると、「日、週、月又は年によって期間を定めたときは、期間の初日は、算入しない」という民法第 140 条の規定も無視するわけにはいきません。
7月 31 日使用開始で決算期末が 10 月 31日の期間計算では、初日不算入とすると8月1日から 10 月 31 日となり、3ヶ月ちょうどで、大学教授のいう4ヶ月にはなりません。期間の満了日は民法遵守で、初日については民法無視というのも、不合理です。

慣習法的実務解釈が定着か

国税通則法にも期間の計算の定めがあり、期間の初日不算入、期間の定めは暦に従う、応当日前日の満了と、民法と同じ規定になっていますが、減価償却の償却月数計算では、民法の規定に拠るのではなく、初日算入で、カレンダーの枚数に拠るという、税法の世界独自の解釈ルールがありそうです。

 

住宅ローン控除と譲渡特例

住宅ローン控除と譲渡特例

住宅ローン控除と譲渡特例

住宅ローン控除の適用を受けて新住居を取得した人が、旧住居を住まなくなってから3年目に譲渡して 3000 万円特別控除の適用を受けようとする場合、住宅ローン控除が過去に遡って適用されなくなりますので、注意が必要です。

租税特別措置の趣旨は、住宅取得の促進

「公平・中立・簡素」は税制の基本原則ですが、国は、特定の政策目的の実現のため、特別措置でこの原則を少し緩めて特定の人の税負担の軽減をはかります。住宅ローン控除は、借入金の金利負担を税額控除で補填するもの、居住用不動産の譲渡所得の3000 万円特別控除は、住宅を売却する人は、代わりに居住用不動産を取得する必要があることから譲渡所得に係る税負担を減らして、住宅取得を後押しするものです。他にも買換特例、交換特例などがありますが、これらの譲渡特例の適用に際し、制度の重複適用は想定されていません。

会計検査院の指摘で重複適用が発覚

ところで、令和2年度改正前の税制では、居住した年、及びその前後2年間の重複適用までは禁止されていましたが、旧住居を住まなくなってから3年目に譲渡した場合、住宅ローン控除と 3000 万円特別控除の重複適用が起きてしまうことを会計検査院が指摘しました。このため、令和2年4月1日以降の旧住居の3年目の譲渡にも、重複適用はできないこととなりました。

重複の場合は、3000 万円特別控除を優先

重複適用の場合は、3000 万円特別控除が優先されます。3000 万円特別控除の適用を受けようとする人が、住宅ローン控除を先行して受けていた場合、過去に遡って住宅ローン控除が適用できなくなり、修正申告(または期限後申告)が必要となります。
これにより居住用不動産を買換えしようとする人は、住宅ローン控除と譲渡所得の3000 万円特別控除のどちらを選択するか、事前に有利判定が必要となります。

控除率1%の見直しも忘れずに

なお、このときの会計検査院報告では、他にも、住宅ローン控除適用者の借入金利が1%を下回ることが多いことから、ローンで住宅を取得した人の税負担が金利負担以上に減額される逆ざや現象が報告されていました。そこで令和4年度税制改正では、令和4年以降に居住の用に供したものから借入残高に対する控除率は、1%から 0.7%に引き下げられることになります。

在宅勤務にかかる費用負担 -事務簡略化のために

在宅勤務にかかる費用負担
-事務簡略化のために

在宅勤務にかかる費用負担 -事務簡略化のために

在宅勤務手当の支給

落ち着きかけたコロナ第 5 波も、オミクロン株の急拡大により、在宅勤務となる会社も増えています。企業が自宅で仕事をする際の電話代や電気代として、従業員に在宅勤務手当を支給した場合、従業員の給与として課税する必要があるでしょうか?
在宅勤務に通常必要な費用について、その費用の実費相当額を精算する方法により、企業が従業員に対して支給する一定の金銭については 、従業員に対する給与として課税する必要はありません。
一方、企業が従業員に在宅勤務手当=従業員が在宅勤務に通常必要な費用として使用しなかった場合でも、その金銭を企業に返還する必要がないもの(例えば、企業が従業員に対して毎月 5,000 円を渡切りで支給するもの)を支給した場合は、従業員への給与として課税する必要があります。

実費相当額を精算する方法は計算が面倒

企業が、独自により精緻な方法で、業務のために使用した通信費や電気料金の金額を算出することができれば、実費精算として給与課税の対象外となります。しかしながら、実際は、国税庁が提供している簡易な計算方法で計算することとなります。
簡易な計算方法と言いながら、実際の請求書に基づき、業務用の通話明細を区分けしたり、基本料金をその月の日数の在宅勤務日数分で按分したり、さらに機器本体やオプション費用が混じらないように除外したりと、かなり面倒な計算が毎月必要です。
電気料金の計算は、自宅の床面積に占める業務のために使用した部屋の床面積で按分するとしても、毎月実際の請求書を会社に提示し計算・精算するので面倒です。

負担軽減のためにグロスアップで給与課税

こうした精算に係る従業員と会社の事務作業と時間は、結構な負担となるはずです。
給与課税とならない目的の逆転の発想で、事務負担軽減のために、渡切り手当を、税金等を考慮して手取額が減らないグロスアップ計算で算定することも一つの考えです。
毎月5,000円の渡切り支給を、所得税率と住民税率および雇用保険料率の合計(例えば所得税率20%の人の場合30.72%)で割り返して、5,000円÷(1-30.72%)=7,217円となります。7,217円から税金等相当2,217円を差し引いて、実質5,000円です。追加となる税金等相当2,217円と事務負担とを比較し、どちらの方法がより負担が少ないか決めることも良いかもしれません。

部下とのコミュニケーションのススメ

部下とのコミュニケーションのススメ

部下とのコミュニケーションのススメ

部下との面談で何を話しますか?

あなたの事業所で、管理職と部下のコミュニケーションの場は、どれぐらいあるでしょうか。目標管理面談にキャリア面談、最近では1on1ミーティングも注目されています。組織活性化のため、従業員のモチベーション向上のため、上司と部下の縦のラインのコミュニケーションは重要です。
しかし、評価など目的が明確な面談はまだしも、中長期的なキャリア形成や育成のための面談となると「一体なにを話したら?」「こちらは一生懸命でも部下の口が重い…」といった悩みを抱える管理職もいるのではないでしょうか。そんな時のために、「4つのL」をご紹介します。

ハンセンの「4L」とは?

ミネソタ大学のサニー・ハンセンは、キャリアを仕事だけではなく人生全体で捉える「統合的人生設計」を提唱しましたが、その考え方の1つに「4L」があります。
これは「愛(Love)」「労働(Labor)」「学習(Learning)」「余暇(Leisure)」のことで、人生における役割を表現したものです。この4Lを円グラフにして、「今の自分」と「理想の自分」の2つを書いてもらうと、そのバランスは人によって、あるいは同じ人でも人生のタイミングによって、大きく異なってくるでしょう。そして、「そこにギャップがあるのか」「それを理想の形に近づけるにはどうしたら?」ということを考え、言葉にしてもらいます。
これによって、改めて自分自身への気づきがおこるとともに、仕事への向き合い方、今後のキャリアの積み上げ方について考えを深めていくことができ、モチベーションの向上にもつながっていきます。
この時大切なことは、この4Lに対して、上司が批評や指導をすることは、絶対に避けなければなりません。これは、部下自身が「自分にとって仕事とは何か?」を改めて考えるためのきっかけにするものです。
上司に必要なのは、部下が考えを自律的に進めていけるよう、相手を肯定しながら積極的に聴く傾聴の姿勢で、4Ⅼの内容にこだわる必要はありません。
「4つのLって知ってる?」そんな言葉が社内で聞かれるようになったら、ちょっと会社の雰囲気も変わってくるかもしれませんね。

賃貸不動産の一時的空室

賃貸不動産の一時的空室

賃貸不動産の一時的空室

相続で賃貸不動産を取得したとき、財産評価で一時的に空室となっている住戸にも評価減を認める取扱いを受けるには、賃貸業務の継続性に加え、空室期間を長期化させないことが必要となります。

賃貸不動産の財産評価

相続や遺贈で財産を取得する場合、財産は時価で評価します。相続財産の時価は、不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に、通常成立すると認められる価額とされています。
貸家および貸家の敷地の用に供されている貸家建付地は、賃借人が建物を使用することで支配権を有しているため、貸主の側も利用に受忍義務が生じることから評価額が減額されます。反対に賃貸されていない貸室部分は賃借人の権利が存在しないので評価は減額されず、自用地評価となります。

相続財産の一時的空室の扱い

一方、一時的な空室であることが認められれば、例外的に賃貸されているものとして評価の減額が認められる場合もあります。
税務署は、質疑応答事例で相続した時点で空室があった場合、その空室について相続の前後で賃貸が継続され、新たな賃借人の募集が退去後、速やかに行われ、空室期間中、他の用途に供さず、空室期間が課税時期の前後で例えば1か月程度などの要件をみたせば、事実関係を総合判断して例外的に、空室部分も賃貸されているものとして評価減を認めるとしています。
しかし、現実は、空室はすぐに埋まらず、課税実務では、「例えば 1 か月程度の要件を充たしていない」として自用地評価とされてしまうことが多いのではないでしょうか。

不動産所得における一時的空室との違い

ところで、不動産所得では、空室期間が 1か月を超えたとしても、賃貸業務を継続中であれば貸付の用に供されているものとして減価償却費などを経費として算入します。
これは不動産所得が1年間の総収入金額から必要経費の額を控除するフローの金額としてとらえられるのに対し、財産評価は、相続開始時のストックの評価額としてとらえることとの違いによるものと思われます。

空室を早期に埋める実態をつくる

空室を1か月で埋めるのは立地、賃料などでよほど優位な物件でない限り困難ですが、間断のない募集活動により空室期間の短縮をはかり、空室が一時的であることを事実関係から説明できるようにしましょう。

税金よもやま話 さよなら申告書 A

税金よもやま話
さよなら申告書 A

税金よもやま話 さよなら申告書 A

確定申告書Aがなくなる

今年も確定申告の時期がやってきます。
国税庁 Web サイトの確定申告特集ページでは、最新の確定申告書様式のダウンロードや、作成コーナーのマニュアルの閲覧等ができますが、その中の「確定申告書A様式」には大きく「令和 5 年 1 月から申告書Aは廃止され、申告書Bに一本化されます」と記載されています。

簡易のAとオールマイティのB

そもそも確定申告書A様式は、所得の種類が給与・雑・配当・一時所得のみで、予定納税額が無い方のみが利用できるいわゆる「簡易版」の申告書です。確定申告書B様式はすべての所得に対応したものになっているわけですから、今まで確定申告書A様式を利用していた方でもB様式にて申告が可能です。
ちなみに確定申告書がA・Bの様式になったのは平成 14 年(平成 13 年分申告)から。それまでの申告書様式が 6 種類だったものを、A・Bの様式プラス別表という形に変更しました。内容こそ少しずつ変わったものの、20 年間もこの様式を維持して運用し続けられたのは、初期の様式デザインが優れていたのだと思います。

紙の申告書提出を少なくしたい

最初にご紹介した確定申告特集ページで閲覧できる「確定申告の手引き」を見てみると、最初のページから「ホームページから申告書が作成・送信できます」と大きく書いてあります。また少しでもページに空きスペースがあれば、すかさず国税庁チャットボットのふたばさんが「作成コーナーを使えば簡単便利に申告できます」とアピールしまくる徹底ぶりです。
国税庁は「税務署に来なくても全ての手続きができるように」を目指しており、紙の確定申告書提出を少なくしたいという意図が見て取れます。
ただ、日本社会では高齢者を中心に、未だデジタルディバイド(インターネットやPCを使える人と使えない人の間に生じる格差)があり、紙の申告書からの脱却にはまだ時間がかかりそうです。

研修の助成金を使うと キャリアアップ助成金が増額

研修の助成金を使うと
キャリアアップ助成金が増額

研修の助成金を使うと キャリアアップ助成金が増額

キャリアアップ助成金とは

有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者等、非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップを促進するため、正社員化、処遇改善の取り組みをした事業主に対して取り組み内容に応じて助成する制度です。今までよりもさらに給付が拡充しました。

人材開発支援助成金特定訓練コースを利用

① 実務経験のない有期契約社員等に研修を実施
② 最低 20 時間以上の OFF-JT 研修を実施(OFF-JT 研修とは通常の生産活動と区別して業務外で行われる事業内または事業外職業訓練)


研修の流れは次のようになります。
① 社内研修は 20 時間の OFF-JT の受講で1時間につき 760 円の助成金を賃金助成として申請できます。代表者や社員が講師になっても対象になります。
② 社外での研修費用の 70%が経費助成されます(上限 15 万円/人)。
③ キャリアコンサルタント面談、ジョブカードの作成、訓練日報を作成します。
④ この後キャリアアップ助成金正社員化コースを利用し有期契約社員を正社員に転換し、6 か月勤務すると申請できます。通常は 1 名につき 57 万円の助成金ですが、研修を経て正社員へ転換した場合は通常の助成金額に加え 1 人当たり95,000 円の加算助成金が受給できます。

受給の研修事例

例えば有期契約社員で入社から2か月間に合計300時間の研修を実施(OFF-JT 30時間+OJT 270時間)した場合、
ア. 1 時間 760 円×300 時間=228,000 円
イ. キャリアアップ助成金の申請は通常雇用から最低 12 か月かかるところ、研修の助成金を受給していると有期雇用期間が 6 か月から 2 か月に短縮されます。つまり 8 か月で申請できます。
キャリアアップ助成金 57 万円と加算金95,000 円で=665,000 円受給できます。
新人に研修を必要とする職種であればすでに研修を行っていると思いますし、くり返し使えるので利用されると良いでしょう。

就活生の企業選びの ポイント

就活生の企業選びの
ポイント

就活生の企業選びの ポイント

就職後 3 年以内の離職率

2 年以上に及ぶコロナ禍で採用活動においても例年通りにはいかない企業も多いことでしょう。長期的には人手不足がいわれる中、新入社員の離職率は現在どのような状況でしょうか? 厚労省の調査によれば令和 2 年度における学卒就職者の離職率は例年に比べて低下しているというものの就職 3 年以内の離職率は新規高卒では 36.9%、大卒では 31.2%となっているそうです。事業所規模が小さくなるほど離職率は高くなることは示されていますが、そもそも中小企業に新卒が少ないということもあるでしょう。いずれにしても、人材確保を確実にするためには離職率の低下を重要視すべきでしょう。

最近の就活生の意識の変化

長期化するコロナ禍は学生の意識にどのような影響をもたらしているのでしょうか? 就職情報会社ディスコの調査では2021 年 10 月 1 日の内定解禁日における2022 年卒の学生の内定率は 88%、12 月では 95%と昨年のコロナ禍での内定率に比して順当に進んでいます。
また、同社が 2023 年卒予定学生にモニター調査をしたところ 1 学年上の先輩と比較して「就職が厳しくなる」、「やや厳しくなる」と答えた学生は 51.1%で前年調査93.7%より大幅に減少しています。逆に「やや楽になる」が前年 6%から 48.8%と急増しています。「厳しくなる」と「楽になる」がほぼ半々で見方が分かれています。

企業選びのこだわり

では学生はどこを見て企業を選ぶのでしょうか?(社風・人/仕事内容/給与・待遇/勤務地/企業規模で見てみます)。最も「強くこだわる」のが「社風・人」57.5%で「ややこだわる」も合わせると 92%に上ります。「仕事内容」も 91.3%、次が「給与・待遇」が 86.4%、「勤務地」が 68.6%、「企業規模」は 56.6%となっています。要約すると「どこでどれだけのことをしてくれるのか(待遇)」よりも、自発的に「どんな企業環境で何がしたいか」を重視しているという結果です。
とはいえ、待遇が悪くては他の企業に見劣りしますね。ハローワーク等で給与や休日などを調べ、待遇を把握し、自社の採用活動に臨みましょう。

私道の調査 -相続した土地の売却-

私道の調査
-相続した土地の売却-

私道の調査 -相続した土地の売却-

Tさんは一人暮らししていた被相続人(母)の土地・建物を相続しました。建物は木造で築 50 年、公道から奥まったところに建築されており、公道から玄関まで通路としている私道を、近隣の地権者と一緒に利用していましたが、不動産会社に土地の売却を相談したところ、思いがけず現状のままでは売却できないことがわかりました。

接道義務を満たさないと建築不可

建物の敷地は、原則として、建築基準法上の道路に2m以上接道しなければ、新築や増築できず、そのままでは売却できる土地になりません。
Tさんの敷地は私道部分が路地状敷地で、出口側で公道と2m接していませんでした。
敷地が接道義務を満たしているかは、まず法務局で公図、地積測量図を見て、土地の形状、隣地や道路との境界を確認します。
次に、敷地が接する道路について、市区町村の役所で指定道路図を閲覧し、建物を建築できる敷地に該当するか、該当させるための条件を担当者に照会します。
私道が位置指定道路や、セットバックを要する2項道路に該当しているか、私道部分が路地状敷地である場合は、出口側で接する道路の指定状況を確認します。
Tさんは、隣接する土地を地権者と一緒に売却して2mを確保することとしました。

越境により建築できない場合も

土地の売却前に、隣地との境界について確定測量を行います。隣地からの越境は、隣地地権者の立ち会いのもと、境界確認と合わせて越境の状況を双方で確認します。
Tさんは、確定測量の結果、隣地建物の外壁やドア、換気用フードなどが私道部分に越境しており、まだ2mの接道義務を満たせていないことがわかりました。

地権者間で権利調整が必要

越境が確認された場合、建物が建築できる土地になるよう、隣地地権者と話し合い越境解消について合意が必要です。
Tさんの場合、買主の不動産会社が役所に出向き、建築できるための条件を相談し、役所が示した要件に合わせて隣地地権者と越境解消の工事手順と負担について話し合い、土地を売却できるようになりました。