いつの時代も絶えない結婚トラブル 「3枚の婚約証書」事件

いつの時代も絶えない結婚トラブル
「3枚の婚約証書」事件

いつの時代も絶えない結婚トラブル 「3枚の婚約証書」事件

昔の契約書-「起請文」(きしょうもん)

古典落語に「三枚起請」という演目があります。元は大阪落語の話。5 代目志ん生さんや 3 代目志ん朝さんの持ちネタでした。
起請(起請文)とは、約束を破らないことを神仏に誓う昔の誓書(契約書)のこと。
次のような順の構成で書かれるそうです。

熊野誓紙「熊野でカラスが三羽死ぬ」

鎌倉時代から、起請文は社寺で頒布される牛王宝印という護符の裏に書くのが通例となり、熊野三山のものが有名だったそうです。その護符が熊野の神使であるカラスに似ているので、「約束を破ると熊野でカラスが三羽死ぬ」と言われていました。
「三枚起請」は、遊廓の遊女が3人の客にそれぞれ「遊女の年季明け後に結婚する」という前書の起請文を3枚書いたことにより、客の男3人が「いったい誰と結婚するんだ!」と遊女に詰め寄る話です。

現代でいえば「婚約証書」

昔の婚姻トラブルの話ですが、現代でも、そのような起請文を書くことはできます。
「婚約証書」というものです。
婚約自体は手続を要しないものなので、法律の規定自体は存在しませんが、大正時代に「婚姻の予約」を認める判例が出たことで「法律的な約束」として認められております(不当に婚約を破棄すると慰謝料の賠償責任が生じることになります)。
「婚約証書」は、神仏には誓いませんが、公証人役場に行って公正証書にすることができます。主な記載内容は次のとおりです。

また、「婚前契約書」という形で、婚姻の届出、夫婦のあり方、家事分担、財産、その他、生活費、子どもの教育、慰謝料、離婚などを具体的に定める場合もあります。
また、民法では、夫婦間の財産上の問題に関する取り決めについて、婚前に行う「夫婦財産契約」という制度があります。