低率金融所得課税の見直し
バフェット・ルール
新聞にかつて、アメリカの投資家バフェット氏が、彼自身の連邦所得税は 693 万8744 ドルで税率 17.4%、「私のオフィスに勤める 20 人の社員の平均(36%)よりも低い」、こんな富裕層優遇税制は是正されるべきと述べたとの記事がありました。
これを承けた、年収 100 万ドル超の富裕層に増税する、バフェット・ルール課税案が米議会に提出されましたが、未だに日の目を見ていません。
バフェット氏の所得の内訳
アメリカの投資所得分離課税率 15%、総合課税最高税率 37%とすると、
①A×15%+B×37%=$6,938,744
②(A+B)×17.4%=$6,938,744
A=$35,527,529(89%)
B=$ 4,350,310(11%)
となり、バフェット氏の所得の 89%が投資家所得で、$100 円として 35 億円余であったことになります。
日本では 100 億円で 15.9%
投資家所得への低率の比例課税が、担税力に反比例する金持ち優遇税制となっている現象は、日本が世界一過激です。
税制調査会資料によると、日本の申告所得者の統計データでは、100 億円のところでは、15.9 億円(15.9%)が平均的税負担とされています。
①A×15.315%+B×45.945%=15.9 億円
②(A+B)×15.9%=15.9 億円
A=9,809,010,774(98.09%)
B= 190,989,226( 1.91%)
実効税率 15.9%は課税所得 900 万円未満のレベルでの税負担です。
その上、何億円の所得があっても、源泉分離課税の株式関連所得は申告不要に出来るので、申告所得税の統計資料には、全体像は示されていません。
岸田文雄首相の提案
岸田文雄首相は、自民党総裁選でバフェット・ルール的な「金融所得課税の見直し」を公約に掲げ、その後の衆院選を前に当面撤回などとしましたが、選挙後は、党税調・政府税調に見直し議論の要請をしました。
地球温暖化やTAXヘイブン対策、GAFA税逃れ問題と同じく、担税力に逆進的な不公平税制も、先進各国共通の解決すべき喫緊の課題です。比例税率を改める、あるべき税制の形を世界に示すべきです。