M&A投資損失準備金税制適用手続
中小企業事業再編投資損失準備金制度
令和3年度税制改正で創設された「経営資源集約化税制(中小企業事業再編投資損失準備金)」の適用が出来るのは、認定経営力向上計画に従って購入取得したM&A株式の取得価額の 70%以下額を中小企業事業再編投資損失準備金として積み立てをし、積立金額の計算明細書を添付した申告書を提出することが出来る場合です。
適用手続をし得る中小企業
この税制の適用を受けるための前提となっている、中小企業等経営強化法に基づく「経営力向上計画」の申請をし、認定を受けることが出来るのは、特定事業者等(常時使用する従業員数が 2000 人以下の法人または個人)に該当する事業者のみです。
M&A株式の売主側についても、特定事業者に該当する必要があります。
他方、税制の適用を受けるためには、申告者が租税特別措置法上の中小企業者等(資本金又は出資金の額が1億円以下の法人)に該当する必要があります。
計画申請・認定・確認の手続の流れ
① M&Aの交渉相手が定まったタイミング(基本合意後等)で、経営力向上計画を策定し、主務大臣の認定を受けます。認定申請時には、「事業承継等事前調査チェックシート」を作成し、添付します。認定の標準処理期間は 30 日とされています。
② 認定計画の内容に従って株式取得を実行した後、主務大臣に対して事業承継等を実施したこと及び事業承継等事前調査を実施したことについて報告し、経営力向上計画実施確認書の交付を受けます。
③ 税務申告に際しては、①の申請書と認定書の写し、②の確認書の写しを添付しなければなりません。
準備金積み立て手続
準備金積み立ては、損金経理の方法で、若しくは、決算確定手続での剰余金の処分による方法で行なわなければなりません。
この積立金は、法令の規定に拠るものなので、必ずしも株主総会の決議を経る必要はありません。
事後手続
経営力向上計画では、3~5年の計画実施期間を設定することになっており、毎年の事後状況報告を行うことになっています。
これを怠ると認可取消し・積立準備金の全額取崩しとなってしまいます。