年: 2022年

換価分割の課税

換価分割の課税

換価分割の課税

実家の土地を相続したものの、相続人には持ち家がある場合、たとえ家族の思い出が詰まった懐かしい家であっても、取り壊して売却せざるを得なくなることがあります。このようなとき、土地の売却代金を相続人の間で分ける換価分割が行われます。

相続税と譲渡所得税

相続開始の後に売却するのであれば、相続税評価額(路線価や倍率評価)で相続税を計算し、譲渡所得税は、被相続人の取得価額と売却価額をもとに計算します。相続税と譲渡所得税が課税されますが、相続税は遺産の取得に対して課税されるのに対し、譲渡所得税は、被相続人の取得時から蓄積されたキャピタルゲインの実現に対する課税ですので、それぞれ異なり、二重課税とは考えられていません。
また、譲渡所得の計算では、先に課税された相続税のうち、土地の価額に対応する部分は、取得費に加算され、その分、譲渡所得税の負担は少なくなります。
なお、相続開始前に、土地の売買契約が締結されていたときは、売却価額で相続税が課されることがあるので注意しましょう。

分割協議が未了のときは

申告期限までに遺産分割協議が調ったときは、相続税も譲渡所得税も遺産分割の割合で按分しますが、分割協議が調わないときは、どちらも法定相続分で計算されます。
相続税の申告期限後に遺産分割協議が調った場合は、修正申告または更正の請求により相続人の間で相続税の負担を精算することができます。しかし、譲渡所得税については、申告期限後に分割協議が調ったとしても遺産分割の割合で修正申告や更正の請求をすることはできず、法定相続分での申告のままとなります。税務署からすれば一度、納税が行われているので申告期限後の分割の変更は、相続人の間で精算してくださいという考え方のようです。

隠れた債務が見つかったときは

相続は実家の土地・建物だけと思っていたら、実は、親が生前、親族から金銭の支援を受けていたことがわかることがあります。
このようなときは、親族間の争いでもある場合を除き、売却代金の一部を債務の返済に充当することになります。親族から親が金銭支援を受けた当時の事情を聞いて納得できる場合、これまでの親族の支援に感謝して親の債務を引き継ぎ、債権債務関係を清算することで相続手続きは終わります。

租税法律主義と租税公平主義

租税法律主義と租税公平主義

租税法律主義と租税公平主義

憲法は、国民に法律の定めのない課税はされないこと(租税法律主義)、租税は同様の状況の下で一人一人、同様に取り扱われること(租税公平主義、平等原則)を定めていますが、被相続人が取得した不動産の評価を路線価ではなく、鑑定評価額とした課税処分を巡り、租税公平主義の解釈が争われた裁判で国の勝訴が確定しました。

相続税法の時価を巡る解釈の違い

課税庁は、不動産の鑑定評価額が路線価と比べ、約4倍のかい離があること、取得資金を借入金でまかない、結果、相続税の課税価格を基礎控除の範囲に収め、相続税をゼロとしたことから、鑑定評価額による更正処分を行いました。
納税者は、この処分に対し、路線価は相続税法に定める時価として通達で公表されており、鑑定評価額による評価では租税の法的安定性が失われ、課税上の予測可能性がなくなること、同様の不動産を有して路線価が適用される他の納税者と比べ、公平な取扱いではなくなる旨を主張しました。

通達は法律ではないが拠り所となる現実も

ところで通達は、税務署内部の行政執行の内容を下達したもので法律ではありません。しかし、通達は納税者に公知され、課税上の拠り所として、通達の評価に従った申告が行われる現実もあります。

実質的な租税負担の公平

最高裁は、通達に従う画一的な評価は公知の事実であり、課税庁が特定の者の財産についてのみ通達に定める評価額を上回る価額で評価することは、合理的な理由がない限り平等原則に違反するとしました。
その上で銀行から借り入れ、不動産を購入して相続税負担の軽減を意図した行為は、購入や借入をしない又はできない他の納税者との間で看過し難い不均衡を生じさせ、実質的な租税負担の公平に反している。合理的理由があるので鑑定評価額による評価は平等原則に違反しないと判示しました。

租税法律主義と租税公平主義の再考

路線価による評価方法を通達で公開しているにもかかわらず、課税庁が異なる評価を行うのであれば、納税者は安心して経済取引ができなくなります。裁判所の判示した実質的な租税負担の公平と路線価による画一的な評価による公平を使い分けすることは誰にとっての公平か、課税実務を分かりにくくしてしまいます。租税回避の防止が目的であれば、課税上の取扱いを明らかにする法整備が必要ではないでしょうか。

納税地の異動届出書の変遷

納税地の異動届出書の変遷

納税地の異動届出書の変遷

所得税・消費税(個人分)は提出不要に

令和 4 年度の税制改正で所得税・消費税(個人分)について、転居等により納税地の異動があった場合や、住所地に代えて居所地や事業所等の所在地を納税地とする場合に提出する「納税地の異動又は変更に関する届出書」は、令和5年1月1 日以後の納税地の変更等については提出が不要となります。

異動届の今までの変遷

平成 29 年の改正前には「異動する前の税務署と、異動した後の税務署の両方に提出が必要」となっていた異動届ですが、平成29 年改正で「異動前の税務署に提出のみで良い」となり、今回の改正で提出が不要となります。

今までの「振替納税依頼」の変遷

異動届を提出する際に注意すべきポイントの 1 つは「振替納税依頼」です。
令和 2 年 12 月以前は「異動した後の税務署に再提出」する必要がありました。令和 3年 1 月以後は「納税地の異動又は変更に関する届出書」に「振替納税に関する事項」という項目が新設され、「振替納税を引き続き希望する」の「はい」を選択すれば、異動の手続きと併せて振替納税もセットで継続できる仕組みができました。
また、令和3年1 月以後は振替依頼書及びダイレクト納付利用届出書が e-Tax で提出可能になったため、入力画面に沿って必要事項を入力することによって、オンラインで振替依頼書が提出できるようになりました。振替依頼書の認証は金融機関の外部サイトにより利用者認証を行うため、電子送信時に電子署名や電子証明書の添付や印刷して捺印・郵送等が不要なのも便利なポイントです。

令和 5 年からの振替納税の異動手続きは?

今回の異動届の改正については振替納税依頼についての言及がないため、現状では異動をした場合、振替納税についても手続きは不要なのか、それとも従来通り書面や電子で異動手続きが必要なのかが不透明な状況です。

 

 

赤字でも納税の消費税は予納 ダイレクト利用で先払いを⁉

赤字でも納税の消費税は予納
ダイレクト利用で先払いを⁉

赤字でも納税の消費税は予納 ダイレクト利用で先払いを⁉

消費税は滞納の多い税目

消費税は滞納の多い税金です。令和 3 年8 月に国税庁から発表された令和 2 年度の滞納状況でも、新規発生滞納額が全税目の半分以上を占めていました。
消費税は、商品や役務提供の対価の一部であり、売上時には、本体部分である売上(損益項目)と預かり部分である仮受消費税(負債)を分けて会計計上します。仕入や経費発生時には、本体部分である仕入・経費(損益項目)と前払い部分である仮払消費税(資産)に分けて計上します。税金計算では、原則として、仮受消費税と仮払消費税との差額が納付すべき税額として計算されます。
この差額部分の現金的裏付け(=納税資金として確保しておくこと)がなく、受け取った仮受消費税部分も事業資金に投入されてしまっていると納税時に腐心することとなります。

ダイレクト納付を利用した予納のススメ

事業を継続していると、前年度基準から、ある程度今年度の消費税の納付予想額も見えて来るはずです。この分を事業用資金とは別の口座(=納税準備預金など)に寄せておければ安心です。しかしながら、実際には手元にあるお金ですから、事業資金がひっ迫するとどうしても手を付けてしまいがちです。これに対抗するには解約できない外部に預けてしまうしかありません。
そこで活用できそうな制度が、ダイレクト納付を利用した予納です。これは、毎月の均等額納付も可能ですし、または、収入に応じた任意のタイミングで納付することも可能です。自社の事業が季節的な売上の増減がある場合には、年間で一番お金の入ってきたタイミングで、中間申告に関係なく、納付できます。消費税納税で苦慮した経験がある場合には、一度ご検討ください。

ダイレクト納付のメリット

ダイレクト納付は、事前に振替納税される口座を登録しておき、即時もしくは指定日に税金が振替納税される手続です。
電子申告等の後、簡単な操作で納付手続が完了します。また、税理士が納税者に代わって納付手続を行うことも可能です。自社でインターネットバンキングの契約がない場合にも使えます。源泉所得税等の毎月の納付手続など、特に利用回数の多い手続に便利だとされています。
不便なら使うのを止めればよいだけです。
継続性は求められていませんのでお試しして損はありません。

公益通報者保護法の改正 ~役員も対象になります~

公益通報者保護法の改正
~役員も対象になります~

公益通報者保護法の改正 ~役員も対象になります~

公益通報者保護とは

公益通報者保護とは、「公益のために通報を行った労働者を保護するためのツール」とされています(消費者庁 HP)。
従来、「リコール隠し」や「産地偽装」「事故の隠ぺい」などの会社の不祥事について、労働者から行政機関などへ通報(内部告発)が多くなされてきました。
公益通報を行った労働者が保護されないと、公益通報をしたことによる不当解雇などの不利益を被る可能性がありますので、労働者が安心して公益通報をしやすくするための法律が「公益通報者保護法」です。

「公益通報者保護法」の改正

「公益通報者保護法」は 2006 年に施行され、施行後5年を目途に見直しするとされていましたが、今年 6 月から改正法が施行されることとなりました。
以下の3点が改正の目的とされています。

①事業者自らが不正を是正しやすく、安心して通報が行われやすくする。
②行政機関等への通報を行いやすくする。
③通報者がより保護されやすくする。

①については、窓口の設定、調査是正措置などの体制整備の義務づけ(300 人以下の中小事業者は努力義務)、助言指導・勧告・公表などの行政措置の導入、通報者特定情報の守秘の義務化などが行われます。
②については、行政機関や報道機関等への通報の条件が拡大されます。
③については、通報に伴う損害賠償責任の免除が追加され、保護対象の通報は刑事罰だけでなく、行政罰も加わりました。

役員も公益通報者保護の対象に

公益通報者の範囲が拡大され、労働者だけでなく、退職後1年以内の退職者、役員(自ら調査是正措置に努めたことが前提)も新たに対象となりました。
役員に公益通報を行ったことによる解任などの不利益が生じた場合、当該役員は会社に対して損害賠償請求が可能となります。
会社としては、労働者以外に公益通報者保護の対象が拡大することを前提に準備と対応が求められます。

“儲かっているはずなのに なぜお金がないのか”の分析

“儲かっているはずなのに
なぜお金がないのか”の分析

“儲かっているはずなのに なぜお金がないのか”の分析

儲かっているはずなのにお金がないの!?

A社は社長の代替わりを機に、店内の内装を一新し、在庫の品ぞろえも増やしました。その結果、順調に売上件数や売上高も増え、新社長のBさんは、そこそこ儲かった感触で決算期末を終えました。会計事務所に税金を計算してもらうと、予想通りに利益が出ていたようで、納税額も結構な金額が算出されました。
ところが税金を払う段になってみると、儲かったはずのお金は残っておらず、むしろ納税のために借入が必要な状況で、B社長は愕然としてしまいました。
なぜこんな事態となったのでしょうか?

会計上の利益とお金の実在は別のもの

税金計算のもととなる会社の会計上の利益は、売上などの収益から、売上原価や人件費その他の販売費および一般管理費などの経費を差し引いて計算されます。経費にできる売上原価は、当期の売上に対応するもののみであり、まだ売れていない在庫の購入費は当期の経費とはなりません。また、業務のために用いられる店舗の内装費や車両などの資産は、時の経過によりその価値が減るものとして経費の計上時期が複数年にわたりますので、代価として支払った金額のすべてが当期の費用となるわけではありません。
会社の利益は会計上のルールで計算されたものであるのに対して、お金の出(=在庫となっている品の仕入代金の支払、設備投資の支払など)が先行して、将来の経費に繰り延べされているものがあるため、A社は会計上の利益に比べ、儲けとして残っているはずのお金が足りなくなっていたのです。

お金が足りない理由を明確化する計算書

会計上の当期純利益とお金の流れの違いを説明してくれる書類があります。間接法によるキャッシュフロー計算書と言われるものです。損益計算書の値を減価償却費や在庫の増減等で調整することで、営業キャッシュフローを導き出すことができ、なぜお金が足りなくなっているのかの原因を分析することができます。
例えば、品ぞろえの幅を広げるために在庫を大きく持ってしまったことや内装の設備投資でお金の出が先行し、会計上の利益との乖離が出てしまったことがわかります。
逆に会計上の利益よりもお金が多く残っている場合もその原因がわかります。
作成してみることオススメの書類です。

印紙税の豆知識

印紙税の豆知識

印紙税の豆知識

売上の領収書でも印紙税がかかりません

営業目的の売上の 5 万円以上の「領収書」には、その記載された金額により印紙税がかかります。それは印紙税法の第 17 号文書「金銭又は有価証券(小切手・手形等)の受取書」に該当するためです。
しかし、17 号文書の「課税物件」欄の文言をよく読むと、「金銭又は有価証券の受取書」となっております。今はやりの電子決済やクレジットカード取引等の信用取引では現実に金銭や有価証券の授受を伴いませんから、売上にかかる「領収書」でも印紙税はかかりません。ただし領収書に「○○電子決済」や「クレジットカード決済」等と明記しておく必要があります。
電子決済といっても事前に入金しているような前払支払方式や即時決済等、信用取引ではない場合は金銭の授受と見なされ、「領収書」は 17 号文書となり印紙税がかかります。

5 万円に消費税は含まれるの?

5 万円以上の領収書には、記載された金額により印紙税がかかることは周知の通りです。最高で 20 万円(10 億円を超える金額)の印紙税がかかりますが、消費税が含まれるのかどうかで 10%の差が出ます。
例えば 46,000 円の商品を販売すると消費税が 4,600 円かかります。お客様から50,600 円を頂戴して「領収書」を発行するときに、単に合計で品代 50,600 円とだけの記載ですと印紙税はかかります。しかし「消費税の金額が区分記載されている場合は、消費税の金額は、記載された受取金額に含めない」という税法の規定がありますので、次の①又は②のように記載すれば印紙税はかかりません。
① 商品代金 46,000 円
消費税及び地方消費税 4,600 円
合計 50,600 円
② 商品代金 50,600 円
うち消費税及び地方消費税 4,600 円

求職者は採用面接で どんな準備をしているのか

求職者は採用面接で
どんな準備をしているのか

求職者は採用面接で どんな準備をしているのか

採用試験を受ける側の声、面接アンケート

総合求人サイト「エン転職」を運営するエン・ジャパンがインターネット上で利用者 7,200 人に「面接」についてのアンケートを行いました。
求職者が面接準備としてやっておいた方が良いと思うことを問うとトップ 3 は「想定される質問への準備」69%、「自分が質問したい内容の準備」63%「企業のホームページの確認」60%でした。一方、以上のことは面接を受ける人に対し企業が一般的に採用活動で意識していることとも言えます。
また、応募者に対し「うまく回答できなかった質問は何ですか?」を問うと「⦅何か質問はありますか?⦆」という逆質問」、38%がうまく回答できなかったと答えています。その次は話しにくい場合もあるようですが「退職理由」が33%、「志望動機」は32%でとりあえず応募の方もいるようです。
今後のキャリアプランを問われてうまく回答できなかったという人は20代が最も多く38%。未経験の分野への転職等でキャリアプランを話すのが難しいと言っていますが求職者の本気度を測ることもできそうです。

オンライン面接は 46%が経験済み

オンライン面接が普及し、「対面とオンライン面接どちらが良かったですか?」の問いには「オンライン」「対面」「どちらでも」の意見が概ね 3 分割されました。なかでも20 代の 40%がオンライン面接を望んでいます。オンライン面接が急速に進んでいることがうかがえます。
オンラインが対面と比べてよかった点として「交通費がかからない」76%、「スケジュールが調整しやすい」64%が多く、反対に難しかったことは「企業の反応や温度感がわかりづらい」45%、「スムーズな通信環境の準備」37%、「社風や社員の人柄がわかりづらい」 36%となっています。
以上のように面接に対する求職者の意見をまとめました。企業が求職者を比べるように企業も求職者から比べられる立場でもあります。費用をかけずに少しの工夫で採用活動が好転する可能性を秘めているアンケート結果ですね。

消費税の中間申告~新年度に 確認すべきことと失念対策~

消費税の中間申告~新年度に
確認すべきことと失念対策~

消費税の中間申告~新年度に 確認すべきことと失念対策~

消費税の中間申告と納税

事業者は、前課税期間(個人の場合は前年、法人の場合は前事業年度)の消費税の年税額(地方消費税額は含みません)が一定額を超える場合、消費税の中間申告と納税をしなければなりません。中間申告の回数は、直税課税期間の年税額に応じ、48 万円超は年 1 回、400 万円超は年 3 回、4,800万円超は年 11 回です。
前課税期間の確定申告が終わった時点で、新年度の中間申告の回数と申告納付の時期が確定します。前課税期間の消費税が増え、中間申告すべき回数が増える場合には、申告納付を失念しないよう留意が必要です。
法人税の中間申告は前期の税額にかかわらず年 1 回です。中間申告は 6 か月経過後から 2 か月以内という固定観念をお持ちの場合、特に注意が必要です。

前期間基準の場合申告なしでも納税額確定

中間申告の方法は、前期間基準による申告と仮決算に基づく 2 つの方法があります。
中間申告期限までに申告書の提出がなかった場合には、前課税期間基準による申告書の提出があったものとみなされる特例が設けられています。そのため、申告書の提出を失念した場合、前課税期間基準による納税額が確定しています。納付が遅れると、期限後納付として延滞金等が発生します。

電子申告なら「お知らせ」メッセージ有

国税庁では、e-Tax で法人税申告書を提出した法人に対し、行政経費の削減に努めるため、法人税の予定申告書用紙を送付しないこととしています。消費税は、当面、中間申告書用紙が送付されることとなっています。が、法人の電子申告利用率が法人税および消費税とも令和 2 年度で 85%(令和 3 年10 月発表)を超えたことを鑑みると、そのうち廃止されるものと思われます。
中間申告が必要であるという概念が抜け落ちているときに届いた税務署からの郵送物は、開封されぬまま放置されたりゴミ箱行きとなってしまっていたりのケースもありました。前年分の申告を電子申告で行っていれば、中間申告対象期間の翌月の初日には、「消費税中間申告書提出についてのお知らせ」が e-Tax のメッセージボックスに格納されます。そして、e-Tax の利用者登録情報に、会社担当者のメールアドレスと会計事務所のメールアドレスを登録しておくと、e-Tax メッセージが格納されたことが通知されます。会社と会計事務所のダブル体制でうっかり失念の回避対策が図れます。

領収書と印紙税

領収書と印紙税

領収書と印紙税

領収書と領収証

「領収書」と「領収証」はどちらも「民法上の受取証書=現金・商品を受け取った事実を証明する書類」という同じ意味合いを持つ言葉ですが、一般的な市販品では「領収証」という記載が多くなっています。ただ印紙税法では、「領収書」を領収証・レシート・受領書等の総称として使っている感があります。本文でも以下総称として「領収書」といたします。

領収書と印紙税

領収書は、印紙税法の印紙税額一覧表の第 17 号文書「金銭または有価証券の受取書」に該当し、印紙税が課税されます。受取書とはその受領事実を証明するために作成し、その支払者に交付する証拠証書をいいます。
したがって、「受取書」、「領収証」、「レシート」、「預り書」はもちろんのこと、受取事実を証明するために請求書や納品書などに
「代済」、「相済」とか「了」などと記入したものや、お買上票などでその作成の目的が金銭または有価証券の受取事実を証明するものであるときは、金銭または有価証券の受取書に該当します。この 17 号文書に該当した場合は、記載された金額により印紙税がかかります。10 億円を超える金額では 20万円の印紙税がかかります。

売上代金以外の領収書

売上代金として受領した「領収書」は前述の通り、その記載された金額により印紙税がかかりますが、売上代金以外の「領収書」は 5 万円未満のものは非課税で 5 万円以上のものは 200 円の印紙税という区分だけです。売上代金以外での金銭等の「領収書」としては、借入金の受領書や担保として差し入れた保証金の受領書等があります。

営業目的以外の領収書

営業とは営利を目的として行われる行為ですから、営利を目的としない公益法人や自治体や商売をしていない個人などが金銭等の受領の証として「領収書」を発行しても印紙税はかかりません。