年: 2022年

コロナ禍で行ってきた働き方の見直し

コロナ禍で行ってきた働き方の見直し

コロナ禍で行ってきた働き方の見直し

企業に働いている方 1100 人に調査

公益財団法人日本生産性本部が 2021 年10 月に行った働く人の意識調査(2020 年 5月から 4 半期ごとに調査)によると、コロナ禍の長期化で働き方や業務内容、運営形態などが見直され、その影響は社会・経済の仕組みの変化にも及んでいます。
今回の調査は緊急事態宣言解除後に行われたものです。景気見通しについては 7 月の調査では「悪い」としていた人は 70%を切り、68.6%と下がりました。また、良好とはいえないものの、楽観的な見方が 21.8%とコロナ禍以降最多であり、前回 7 月調査に引き続き明るい兆しとなっています。

テレワークの実施率と今後

時差出勤している人は 15.1%でした。1年半ほど前の調査時とほとんど変わりません。また、テレワークの実施率は 22.7%で2 割くらいで定着しています。自宅での勤務に効率が上がったと感じる人は 53.7%、自宅での勤務に満足と感じている人は 66.1%であり、さまざまな調査で「テレワークの効果があった」という回答がありますが、業務の効率が高まるというよりは、通勤のストレス、疲労がないことが一番の理由のようです。
一方で社内のコミュニケーションや相談が困難、不便・長時間労働につながる、仕事と生活の境界線があいまいになる等デメリットも指摘されています。
テレワークの直近 1 週間における出勤日数が週 3 日以上のテレワークは 58.8%で前回より少し上回っています。出勤者数が若干戻ってきたのでしょうか。
課題は仕事の指示や相談が一度にできない、チャットなどのツールも習熟度合いで統率が取れない、仕事が特定の人に偏る等改善点もありそうです。自社の業務効率、部門ごとのやり取り、その効果や課題を分析・判断・調整する時といえるでしょう。
新年が始まった今は業務見直しに良い時期かもしれません。

令和4年度・税制改正大綱 納税環境整備編

令和4年度・税制改正大綱
納税環境整備編

令和4年度・税制改正大綱 納税環境整備編

令和4年度税制改正(納税環境整備)

(改正1)税理士制度の見直し
1.税理士業務のICT化の努力義務
税理士は、業務のICT化等を通じて納税義務者の利便の向上等を図るよう努めるものとする規定が創設されます。


2.税理士試験の受験資格見直し
若年層の税理士試験の受験を容易にし、多様な人材確保を図るため、受験資格が緩和されます(会計科目の受験に、受験資格が不要となります)。


3.税理士法人の業務範囲の拡大
税理士法人の業務の範囲に、①租税に関する教育の普及及び啓発、②後見人等の地位に就き、他人の法律行為の代理を行う業務が追加されました。

(改正2)領収書の電子保存義務化の猶予
電子取引の取引情報の電子保存について、令和4~5年に行う電子取引でやむを得ない事情があると認められる場合には、経過措置が講じられることとなりました。

(改正3)記帳義務を適正に履行しない納税者等への対応
1.過少申告加算税等の加重措置
記帳義務を適正に履行しない納税者への過少申告加算税・無申告加算税については通常の加重税額に申告漏れの税額(所得税・法人税・消費税)に次の割合を乗じた金額が加算されることとなりました。

(改正4)証拠書類のない簿価経費の必要経費不算入・損金不算入措置の創設
証拠書類のない簿外経費についての必要経費・損金不算入措置が創設されます。

(改正5)財産債務調書制度の見直し
提出期限を後倒しするなど提出義務者の事務負担の軽減を図るとともに、適正な課税を確保する観点から、特に高額な資産保有者については所得基準によらずに財産債務調書の提出義務者に加えられました。

(改正6)地方税務手続のデジタル化
eLTAX(地方税ポータルシステム)を通じた電子申告・申請の対象手続や電子納付の対象税目・納付手段が拡大されます。

令和4年度・税制改正大綱 国際課税編

令和4年度・税制改正大綱
国際課税編

令和4年度・税制改正大綱 国際課税編

令和4年度税制改正(国際課税)

経済のグローバル化に伴い、国際課税制度が大きな変革期を迎える中、令和4年度では次の改正が行われています。

(改正1)過大支払利子税制の見直し
「過大支払利子税制」とは、所得に比して過大な利子を支払うことによる租税回避を防止するため、支払利子のうち所得金額の一定割合(20%)を超える金額を損金不算入とする制度です。主に国外への支払利子等が対象となります。
今回の改正では、外国法人の法人税の課税対象とされる次の国内源泉所得に係る所得の金額についても適用対象となりました。

(改正2)外国子会社合算税制の見直し
外国子会社合算税制(タックスヘイブン対策税制)とは、軽課税国に所在し、実質的活動を伴わない外国子会社を利用した租税回避を防止するため、一定の条件に該当する外国子会社の所得を、日本の親会社の所得とみなして合算し、課税する制度です。
米国の保険業務では事務所を有せず、管理業務を外部に委託するケースが多いため、「保険会社又は保険持株会社」の保有割合100%の外国子会社は、この制度の対象外とされていました。今回の改正では、「保険会社又は保険持株会社」以外に、これらの会社に 100%保有されている内国法人(例 国内中間持株会社)が海外保険会社に出資したケースも、合算税制の対象外となります。

(改正3)子会社株式簿価減額特例
子会社からの配当(益金不算入)と子会社株式の譲渡を組み合わせた租税回避を防止するため、令和2年に設けられた当制度ですが、次の見直しが行われました。

令和3年改正・研究開発費税制 試験研究費の 9.4%って何?

令和3年改正・研究開発費税制
試験研究費の 9.4%って何?

令和3年改正・研究開発費税制 試験研究費の 9.4%って何?

増減試験研究費割合「8%」が「9.4%」に

試験研究費の税額控除制度は、よく改正が入ります。令和3年についても見直しが行われ、令和3年4月1日から開始する事業年度については、税額控除率(一般型)は次のような計算方法になります。

この算式では増減試験研究費割合が9.4%を超えると、控除率のカーブがグンと跳ね上がります。この 9.4%(改正前 8%)という数値は、政府の研究開発投資目標から持ってきた政策目標の数字です。

9.4%増で民間投資は 90 兆円(5年計)

政府は、令和3年から5年間で研究開発投資の官民合わせた累計額 120 兆円の確保を目指しています。民間企業は約 90 兆円が目標。単年度では 14.2 兆円(平成 30 年度)ですので、5年間、9.4%増加すれば、約 90兆円が確保できることとなります。

大手の今年のR&Dは約8%増で計画

試験研究費の税額控除は、研究開発費が大きな大企業の適用額が大きいのが特徴です(平成 30 年の措置法適用実績 旧総額型5,751 億円・中小企業型 357 億円)。毎年、日刊工業新聞社が実施している「研究開発(R&D)アンケート」の 2021 年版ではR&D(計画)の上位3社は次のとおりです。

解答した 163 社全体では、前年度実績比8.4%増となり、12 年連続の増加です。

製薬会社のR&Dはダントツの高水準

また、新薬開発競争が激しい製薬会社のR&D(計画)は、次のとおりとなります。

有期雇用パート社員の無期 雇用転換を支援する助成金

有期雇用パート社員の無期
雇用転換を支援する助成金

有期雇用パート社員の無期 雇用転換を支援する助成金

65 歳超雇用推進助成金

高年齢者無期雇用転換コース
50 代の有期契約パート社員を雇用している事業主の方が使える助成金です。
入社から 5 年以内の有期雇用契約のパートタイマーの方を無期雇用契約に切り替えた場合に使える可能性があります。

受給の条件

① 雇用されてから転換日までの期間が6か月以上5年以内であって転換日の年齢が50歳以上かつ定年年齢未満の有期契約労働者であること(定年年齢が64歳以上、または定年を廃止している場合は転換時の年齢が63歳まで申請できます)
② 無期雇用契約転換後には週所定労働時間が 20 時間以上あり雇用保険に加入していること
③ 有期契約労働者を無期雇用労働者に転換後、6 か月を経過すると助成金を申請できます

対象事業主とは

① 定年年齢や 65 歳までの雇用確保の措置が就業規則などに規定されていること
② 転換日の前日から起算して 6 か月前の日から 1 年を経過する日までの間に会社都合退職がないこと
③ 高年齢者の雇用管理に関する措置を 1つ以上実施し就業規則にその制度に関する規定を設けていること

助成額

1 人につき中小企業は 48 万円
生産性要件を満たしたときは 60 万円
1 年度転換期間に支給限度人数は 10 人まで

キャリアアップ助成金との違い

キャリアアップ助成金正社員化コースと似てはいますが内容は違います。対象年齢、雇用期間、役員で 3 親等以内の親族も対象者にできる等の違いがありますが、大きな違いは転換時に賃金アップ 3%以上という条件はありませんので、そのままの時給でも申請できることです。

申請のスケジュール

計画書を作成し計画期間の開始日から起算して 2 か月までに計画書の提出をします。
事前に各都道府県の高齢・障害・求職者雇用支援機構に申請書類を持参して相談をしてください。計画書の受理後、認定されましたら就業規則に転換条文を入れて無期雇用に転換、6 か月経過後支給申請します。

令和4年度・税制改正大綱 消費課税編

令和4年度・税制改正大綱
消費課税編

令和4年度・税制改正大綱 消費課税編

令和4年度税制改正(消費課税)

消費税については、大きな改正はありませんでしたが、令和5年 10 月から開始されるインボイス制度(適格請求書等保存方式)の登録方式の見直しなどが行われています。

(改正1)免税事業者の適格請求書発行事業者の登録(消費税)
適格請求書発行事業者(インボイス発行事業者)となるには、消費税の「課税事業者」でなければなりません。この「課税事業者」であるかどうかは、課税期間ごとに判定されるため、これまでの規定では、原則としてインボイス発行事業者の登録も課税期間の中途ではできませんでした(経過措置として令和5年 10 月 1 日の属する課税期間については中途登録ができます)。
改正後では、令和5年 10 月 1 日から6年間は、免税事業者であっても、課税期間の中途の任意の時期でインボイス発行事業者となることができます(この場合、課税事業者選択届出書の提出は必要ありません)。

(改正2)免税事業者が適格請求書発行事業者となった場合の納税義務の免除の特例
(改正1)の適用を受けて、登録日から課税事業者となるインボイス発行事業者(登録日が令和5年 10 月 1 日の属する課税期間中である者を除く)については、翌課税期間から2年間は免税事業者となれないこととなりました。

(改正3)外国人旅行者向け消費税免税制度の見直し
輸出物品販売場(免税店)において、免税で購入することができる非居住者の範囲が見直されました(令和5年5月 1 日より)。

さらに、免税購入対象者が行う旅券情報の提供は、デジタル庁が整備する「訪日観光客等手続支援システム」を用いて行うことができることとなりました。

(その他)
自動車重量税におけるキャッシュレス納付制度の創設、航空機燃料税の税率の見直し、沖縄県産酒類(泡盛やビールなど)に係る酒税の軽減措置の段階的廃止等など。

令和4年度・税制改正大綱 法人課税編

令和4年度・税制改正大綱
法人課税編

令和4年度・税制改正大綱 法人課税編

令和4年度税制改正(法人税・事業税)

安倍・菅政権では「成長」分野の税制支援に力を入れていましたが、今回の税制改正は「分配」を重視したものとなっています。

(改正1)賃上げ(促進)税制の見直し
この制度は、平成 25 年に導入以来、見直しを重ね継続されていましたが、その実効性に疑問が上がっていました。今回の改正は、これまでの中でも最大規模のもの。前年度比 1,000 億円台後半の減税となります。

1.大企業向け(全企業対象)
旧制度では「新規雇用者の給与総額が増加した場合」が優遇対象でしたが、新制度では「継続雇用者の給与総額が増加した場合」が対象となり、その増加額の最大 30%の税額控除が適用できます。

一方、大法人(資本金 10 億円以上など)の賃上げ率が低い場合には、研究開発税制などの税額控除の適用が制限されます。

2.中小企業向け(資本金1億円以下)
中小企業の場合には、雇用者全体の増加率に応じ、最大 40%の税額控除が適用できます。

(改正2)オープンイノベーション促進税制の拡充
出資の対象会社に、設立 10 年以上・15 年未満の売上高に占める研究開発費の割合が10%以上の赤字会社が追加されました(保有期間も「3年以上」に短縮)。

(改正3)5G導入促進税制の見直し
地方でのネットワーク整備を加速する観点から、3年間の集中投資を促す形となりました。対象設備の要件の見直しや税額控除率の段階的な引き下げが実施されます。

(改正4)大法人に対する法人事業税所得割の軽減税率の見直し
外形標準課税対象法人(資本金1億円超)の年 800 万円以下の所得に係る軽減税率を廃止し、標準税率を 1.0%とします。

令和4年度・税制改正大綱 資産課税編

令和4年度・税制改正大綱
資産課税編

令和4年度・税制改正大綱 資産課税編

令和4年度の税制改正(資産税)

(改正1)直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置
この制度は、親や祖父母から住宅の取得資金を贈与された際に課される贈与税を非課税とする特例です。期限を2年間延長した上で、次の見直しが行われます。

1.非課税限度額の見直し
この制度は、富裕層優遇で「格差が固定化される」という批判もありました。今回の改正で、非課税枠が縮小されます。

2.適用対象となる既存住宅用家屋の要件
既存住宅家屋の築年数要件が廃止される一方で、住宅用家屋が新耐震基準に適合していることが要件に加わります。

3.受贈者の年齢要件の見直し
民法の改正を受けて、贈与を受けた年の1月1日において 20 歳以上であった受贈者の年齢要件が 18 歳以上となります(令和4年4月1日以後の贈与より適用)。

(改正2)非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予の特例
特例承継計画の提出期限が1年延長されます(令和6年3月末日まで)。

(改正3)固定資産税等の負担調整措置
新型コロナ禍の対策として、令和3年に限り、地価が上昇しても前年度の固定資産税額に据え置く特例が設けられていました。
今回の改正で、住宅地は、予定どおり終了し、商業地は税額の据置きはやめ、地価上昇による税額の上昇幅を原則の税額の2分の1の範囲内に抑えることとなりました。

ホテルや商業施設は、新型コロナの影響が残るため、商業地は継続となっています。

令和4年度・税制改正大綱 個人所得課税編

令和4年度・税制改正大綱
個人所得課税編

令和4年度・税制改正大綱 個人所得課税編

令和4年度税制改正は「賃上げ」に重点

「成長と分配の好循環の実現」を掲げる岸田内閣。初めての税制改正は、「賃上げ税制」の見直しなど「分配」重視のものでした。

個人課税では「住宅ローン控除」が見直し

令和3年 12 月に閣議決定された税制大綱では、個人所得課税について、以下の「延長・拡充」「縮減」項目が記されています(国税のみ)。主な改正は次のとおりです。

(改正1)住宅ローン控除の見直し

適用期限を4年延長し、控除率・控除期間・借入限度額が見直されました。

控除率・控除期間の見直し

この制度は、年末ローン残高の1%を所得税額から控除するもの。近年、住宅ローンが1%を下回る低利率のため「逆ざや」との指摘がありました。改正後には控除率は 0.7%となる一方、控除期間 10 年が 13 年に延ばされます(令和 7 年 12 月 31 日まで)。

借入限度額の見直し

また、脱炭素社会の実現や省エネルギー住宅の普及に向けて、借入限度額を環境性能で4分類することとなりました。
なお、確定申告書や年末調整の際に、年末残高証明書の添付は不要となります。

 

(改正2)配当課税「大口株主」の見直し

同族会社と合わせ持株比率3%以上となる株主についても「大口株主」とされ、上場株式配当であっても、総合課税となります。


(改正3)源泉徴収の見直し

完全子法人株式等(持株比率 100%)・関連法人株式等(持株比率1/3超)からの配当については、所得税を課さず、源泉徴収は行わないこととされました。

(その他の改正項目)

所有者不明土地法に基づく土地収用法の特例対象拡大に伴う税軽減措置、住民税非課税世帯への臨時特別給付金の非課税など。

“従業員満足度”とは

“従業員満足度”とは

“従業員満足度”とは

“従業員満足度”(ES:Employee Satisfaction)とは、仕事内容・職場環境・福利厚生・人間関係の満足度・モチベーションなどを定量的に表したもので、企業の業績・企業価値向上に大いに貢献するとされています。
また、“従業員満足度(ES)”の高さは、“顧客満足度(CS)”とイコールであると言う経営者が、サービス業に多いことに注目すべきです。

何故「CS」=「ES」なのか

特にサービス業では従業員が直接接客するので、顧客の感じる「嬉しさや不満」が従業員にダイレクトに伝わります。「自分の言動」に対する「顧客のプラス反応」は、「お役に立って喜ばれた!」という「仕事の喜び・働きがい」として実感されるのです。
報酬や福利厚生制度などが整っていることは、ES の重要な要因でありますが、それのみで“従業員満足度”を高めることはできず、日常のマネジメントでは、「働きがい」を引き出すことに、最重点を置くべきです。

「働きがい」の向上を図るには

「働きがい」の向上は自分達が工夫した「あいさつの仕方、商材のすすめ方、使う言葉など」を実際に使い、お客様に喜んでいただけたことが重要です。
すなわち、職場の仲間が「仕事研究集団」となって、お客様の立場になって嬉しいサービスについて、様々なアイデアを出し合い、実際に試して効果を確かめ、自分達のノウハウにする日々の努力が欠かせません。

経営者・管理者の留意点

少子高齢化が進む日本の社会にあっては、サービス業の生産性向上が不可欠です。
ここで採り上げた“従業員満足度”の向上は、「お客様の期待を超える商品やサービスの提供」がリピーターを増やし、業績向上につながる、という意味で、生産性の分母(従業員数)を一定に抑え、“従業員満足度(働きがい)”で働き方の質を高める一方、分子の業績をリピーターの増加で増やす生産性向上策となるのです。
このような、従業員の働きがい向上には、マネージャーが、従業員のやる気を引き出すマネジメント能力、言い換えれば、ファシリテーション能力が必要不可欠となります。これは、従来の「指揮・命令型」のマネジメントからの転換とも言えます。