赤信号無視と共謀罪既遂
赤信号無視で逮捕・訴追されることもある
歩行者の赤信号無視が警察官の目の前で行われても、せいぜい注意される程度で、逮捕・訴追されることなど滅多にありません。かつて、オウム事件勃発の頃にニュースになった逮捕事件があった程度です。
ただ、赤信号無視の個人を法的に責めるとしたら、行政処分ではなく、通常の犯罪として刑事訴訟法の手続きに則り、書類送検、起訴という手続きをとらなければならず、非常に厄介、国民平等待遇の問題もあり、現実としては大目に見て無視しているということなのでは、ないでしょうか。
でも、決して法律違反者であるという事実が無くなる訳ではありません。
共謀罪の構成要件・計画の準備行為
租税回避計画を前提に、共謀罪法の条文を読んでみると、「計画をした犯罪を実行するための準備行為が行われ」が構成要件の内容で、「計画をした犯罪」とは「偽り不正の行為により税を免れること」です。税の抜け穴プランを思い付いて、話題にした程度の個別具体性がない段階ではまだ、計画にもならないと思われます。
過去の事例で言えば、自己株取得・みなし配当、チェック・ザ・ボックスによる株式簿価の膨張、日本国内親会社の設立とそこへの譲渡、創出欠損金は 4000 億円、それから合併又は連結、と具体化したところまでが計画の段階で、株式簿価膨張のための評価依頼先をどこにするか、日本親会社たる有限会社は設立でなく買い取りとしてその候補を探す依頼先を検討する、ということになると、準備行為開始の段階です。
結果として、そのプランを実行した場合に否認され「偽り不正の行為」と認定される可能性があるものだとしたら、この準備開始段階に至れば、共謀罪では既遂です。
赤信号無視と同じ共謀罪違反者
共謀罪違反につき税務署に通報義務はなさそうです。訴追については、警察・検察の仕事であり、情報もないことから、通常は租税の「偽り不正の行為」事件には無関心なのではないかと、思われます。
しかし、もし、節税・租税回避プラン作りに、「偽り不正行為」と認定される回路があるとしたら、租税訴訟とは別に、共謀罪既遂者として法律違反を問われる条件事実はすでにある、ということになります。
赤信号無視者と同じ状況です。