月: 2022年1月

消費税率は8%?10%? 栄養ドリンク剤と消費税率

消費税率は8%?10%?
栄養ドリンク剤と消費税率

消費税率は8%?10%? 栄養ドリンク剤と消費税率

栄養ドリンク剤と消費税率

令和元年 10 月にスタートした消費税の軽減税率制度。「飲食料品(酒類・外食を除く)」と「新聞(週2以上発行の定期購読)」の譲渡が軽減税率8%の対象となります。
今でも、コンビニの買い物のレシートを見ると「どれが 10%で、どれが8%なの?」と思うものもいくつかありますよね。
例えば、栄養ドリンク剤。8%のものと10%のものがあります。医薬部外品扱いのものが飲食料品から除かれるのが理由です。

医薬部外品の代表としては「リポビタンD」、その他の代表は「オロナミンC」。今ではコンビニに並んで売られていますが、一昔前は、そういう訳ではありませんでした。

最初は医薬品だったリポビタンD

大正製薬のHPによると、リポビタンDの誕生は、日本の高度成長期の昭和 30 年代。
もともとは錠剤とアンプル剤で提供されていた「リポビタン」にタウリンを配合。アンプル剤を大型化し、医薬品として販売を開始しました。味にもこだわった結果、大ヒット商品となりました。また、「薬を冷やす」という発想がなかった薬局に、ドリンク剤の冷蔵ストッカーを提供したり、販売手法も目新しいものでした。

炭酸を入れたら販売ルートを失った!?

オロナミンCは、リポビタンDより後発です。大塚製薬も幾つか栄養ドリンク剤を発売していましたが、それに炭酸を入れることを思いつきます。ただ、当時の厚生省は炭酸を入れた場合、医薬品とは認めない方針。そうなると主な販売先である薬局系ルートで販売できません。商品を諦めきれなかった大塚製薬は、販売ルート開拓に挑戦します。小売店、交通機関、病院や浴場など未開の販売先を地道に広げていきました。

規制緩和により2つの商品が並ぶことに

そのため、この2つの商品は販売ルートが全く別でした。時代が流れ、規制緩和により、リポビタンDは、平成 11 年に医薬部外品に移行。平成 21 年の薬事法改正で、コンビニ等の一部小売りが可能となりました。

令和3年分申告書等作成コーナー新機能

令和3年分申告書等作成コーナー新機能

令和3年分申告書等作成コーナー新機能

気が早いかもしれませんが

国税庁のホームページで毎年刷新される確定申告書等作成コーナー。近年は電子化や利便性向上を物凄い勢いで進めています。
少し気が早いかもしれませんが、国税庁はすでに令和3年9 月に、新機能を発表していますので、ご紹介いたします。

スマホ専用画面の対象範囲拡大

新たに特定口座年間取引報告書・上場株式等の譲渡損失額・外国税額控除が、スマホ専用画面の対応となりました。
給与収入と、ある程度の投資をしていらっしゃる方でも、スマホ画面からの申告が行いやすくなりました。

マイナンバー読み取り方法の追加

パソコンで申告書を作成される方も、スマホアプリでパソコン上に表示される 2 次元バーコードを読み取れば、IC カードリーダライタを使用せず、マイナンバーカード方式による e-Tax 送信ができるようになります。
今までのようにカードリーダーを買ったり、スマホを PC に接続して使えるように設定したりという事前のセットアップが不要となります。ただし、お使いのスマホが、ICカード読み取りに対応していなければならないので、ご注意ください。

これが欲しかった! 源泉票撮影で自動入力

スマホ申告ですと、今までは源泉徴収票の内容をポチポチと入力していたのですが、スマホのカメラで源泉徴収票を撮影すると、自動入力される機能が追加されます。便利な機能がついに来ました。この機能の対象が拡大してゆくと、ほとんどの部分で入力を手動で行う必要がなくなるのではないでしょうか。

マイナポータル連携の種類増加

令和 3 年分申告から、ふるさと納税と地震保険がマイナポータル連携の対象となります。マイナポータル連携は、発行元が連携対応している必要がありますが、事前設定しておけば、各種証明書の情報を自動入力してくれるようになります。
なお、医療費通知情報(保険診療分)は令和 4 年分申告以降に、1 年間を通したものが取得可能になる予定とのことです。

居住用不動産の贈与 そのヴァリエーション

居住用不動産の贈与
そのヴァリエーション

居住用不動産の贈与 そのヴァリエーション

婚姻期間が 20 年以上の配偶者に居住用の不動産又はその取得資金を贈与したときは、贈与税について基礎控除 110 万円のほか最高 2000 万円の控除の適用があります。
この特例適用の対象となる贈与には次のようなものが含まれます。

ヴァリエーション類型

①居住用の不動産又はそれを取得するための資金の贈与
②居住用家屋の敷地が借地権のときに地主から底地を購入するための資金の贈与
③居住用家屋の敷地が借地権のときにその家屋と借地権の全部又は一部の贈与
④居住用不動産の一部又は共有持分の贈与
⑤居住用の家屋だけ又は土地だけの贈与
⑥居住用家屋の敷地に配偶者のために借地権を設定した場合の、その居住用家屋の全部と借地権の全部の贈与
⑦居住用家屋の敷地に自己と配偶者のために借地権を設定した場合における、その居住用家屋の一部と借地権の一部を共有持分とする贈与
⑧居住用家屋の敷地に自己と配偶者のために借地権を設定した場合における、その居住用家屋の一部と借地権の一部を共有持分とする贈与及びこの贈与と共にするその底地の全部または一部の贈与
⑨居住用家屋の敷地に自己借地権を設定した場合の、その敷地の底地部分の全部または一部の贈与

ヴァリエーションに伴う留意点

この特例の適用を受けて贈与税がかからない場合であっても登録免許税、不動産取得税などがかかる場合があります。
③⑥⑦のような借地権の取得の場合には、登録免許税・不動産取得税はかかりません。
①④⑧のケースで家屋と土地を一緒に取得することとなるときは、不動産取得税の住宅用土地の軽減特例が適用になります。
⑦⑧の借地権の設定は自分のための共有借地権の設定です。これは借地借家法第 15条で可となっています。
⑨の借地権は同 15 条の借地権設定ではなく、底地権を土地から分離することに伴い生ずるものです。自己居住用等の相続土地の底地の物納が認められるようになったことに伴い、慣習法的に生じつつあるものです。

働き方が多様になりました フリーランスと今後の税務

働き方が多様になりました
フリーランスと今後の税務

働き方が多様になりました フリーランスと今後の税務

フリーランスの 55%は事業者との取引

近年の「働き方改革」の進展や、コロナ禍における仕事のリモート化により、「兼業・副業」や「フリーランス」のような、時間・場所・契約にとらわれない柔軟な働き方が注目されています。
内閣官房の「フリーランス実態調査」では、主な取引先が事業者であるフリーランスは全体の約 55%、消費者であるフリーランスが約 45%と報告されています。

フリーランスの属性

独禁法・下請法の適用関係は明確に

同調査では「事業者からの業務委託」について、トラブルが多いとされています。
そのため、事業者との取引については、独禁法、下請法、労働関係法令の適用関係をハッキリとしておく必要があるでしょう。
令和3年3月に内閣官房等から公表された「ガイドライン」が参考になります。

副業に係る営利収入は、雑所得(業務)

一方税務では、個人の「副業に係る収入のうち営利を目的とした継続的なもの」は「業務に係る雑所得」とされています。
令和4年分以後の業務に係る所得税については、次のように取扱われます。

なお、「現金主義の特例」を受けるためには確定申告書にその旨の記載が必要です。

悩ましい「インボイス制度」への対応

また、悩ましいのが、令和5年 10 月からの「インボイス制度」への対応です。フリーランスが「適格請求書発行事業者」とならなければ、取引相手の事業者が仕入税額控除を適用することができません。免税事業者は、「適格請求書発行事業者」になることはできませんので、相手の事業者のことを考えると、課税事業者を選択せざるを得ない場面が考えられます。ただし、経過措置として、インボイス未対応の事業者からの仕入についても、令和5年からの3年間は80%(令和8年からの3年間は 50%)の仕入税額控除が適用できます。

事業承継・引継ぎ支援センター

事業承継・引継ぎ支援センター

事業承継・引継ぎ支援センター

事業承継・引継ぎ支援センターを覗こう

M&Aに興味のある人や、人生 100 年時代で模索している退職後の人や、サイドビジネスを探している人や、会社の次のステップを睨んでいる経営者などなど、国営の事業承継・引継ぎ支援センターを覗いてみては、いかがでしょうか。
もちろん、廃業や継承者不在、倒産の心配で悩んでいる人については、是非とお勧めします。
何か、新しい出会いに遭遇するかもしれません。

事業承継・引継ぎ支援センターとは

事業承継・引継ぎ支援センターは、全国47 都道府県に設置され、円滑な事業承継・引継ぎのための助言、情報提供及びマッチング支援、研修、広報活動を行っています。
中小企業のM&A支援の実務に精通した専門家が秘密厳守で、無料にて、相談に応じている、と広報されています。
民間のM&A機関を活用してM&A実行中のケースに対し、セカンドオピニオンの役割も担う、とも言っています。

ホームペーシの案内によると

事業承継・引継ぎ支援センターのホームページを覗くと、第三者承継支援(M&A)、親族内承継支援(MBOや傍系親族承継)、後継者人材バンク(創業目的個人による創業承継)、経営者保証に関する支援(経営者個人連帯保証解除、経営者個人居宅に設定の連帯保証抵当権設定解除)を参考項目として挙げています。
民間M&A機関がターゲットにしない、小規模企業に関わる案件や相談を相対的に多く担っています。件数も、2020 年では、年間3~4千件のうちM&A大手3社計760 件に対し、事業承継・引継ぎ支援センター1379 件との記載があります。

民間M&Aの企業や有識者との連携

昨年末からは、民間M&Aプラットフォーマーとの連携に舵を切り、事業承継・引継ぎ支援センターの相談者情報とプラットフォーマーの顧客情報の相互乗り入れに踏み出しています。
その上で、最近は、優秀なM&A支援人材や経営者OB人材を全国的に公募しています。同時に、M&AのFAや金融・税務・法務等やDBに係るITの専門的な知見のある実務経験者の出向を全国公募により民間企業等から受け入れています。
自力強化と連携強化を図っています。

遺贈寄附という選択

遺贈寄附という選択

遺贈寄附という選択

いつか自身に起きる相続。これまでの人生を振り返り、生きた証として財産を社会に貢献する事業に役立てたい、そんな思いを伝える手段の一つが遺贈寄附です。

遺言による遺贈寄附と相続財産の遺贈寄附

遺贈寄附とは、国や地方公共団体、公益法人等に、財産を遺言で贈与すること、及び、被相続人の生前の意思を引継いだ相続人が、相続財産を贈与することをいいます。

遺贈寄附の手続き

まずは遺贈先の選定です。新聞、雑誌、TVの報道、ネット情報から社会貢献する団体の活動に触れて支援する法人を探します。
紛争地帯で医療や住居などを支援するNPO 法人は、寄附先としてお馴染みですが、最近は博物館や地方自治体の動物園など、親しんだ団体に遺贈する人もいるようです。
寄附は現金のみ受付し、不動産は売却、換金したうえで遺贈を求める団体が多数ですが、不動産を受け入れる団体もあります。
遺贈先が決まったら、遺言執行者を選定して遺言書を作成します。税理士をはじめ、弁護士、司法書士、行政書士など専門家に相談しましょう。遺言は公正証書遺言、または自筆証書遺言を選択できます。

不動産等の遺贈は譲渡所得課税に注意!

土地や建物、株式など譲渡所得の基因となる財産を法人に遺贈した人には、その財産の取得から遺贈時までの値上り益に譲渡所得税が課されますが、国税庁長官に申請して承認を受けた場合は非課税となります。
ただし、遺贈した人の所得税の負担や、遺贈した人の親族のほか特殊関係人の相続税、贈与税の負担を不当に減少させる場合には、非課税承認は取り消され、遺贈した人、又は遺贈先の法人に譲渡所得税が課されることになるので注意を要します。
また、相続人が被相続人の意思を引継ぎ、相続財産を国や地方公共団体、公益法人等に贈与する場合にも相続税を非課税とする制度があります。この場合も不動産等の贈与について譲渡所得税を非課税とするには、国税庁長官の承認が必要です。

相続人の遺留分にも配慮を忘れない!

社会の高齢化が進むなかで遺贈寄附の希望者も増えていくのではないでしょうか。
ただし、相続財産には遺留分があります。
遺贈寄附を決めるときは、相続人の遺留分にも配慮して後でトラブルが生じないよう検討することを忘れないようにしましょう。