年: 2021年

インボイス発行権限への恐怖

インボイス発行権限への恐怖

インボイス発行権限への恐怖

適格請求書発行事業者登録制度受付け開始

令和5年 10 月1日から始まる適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス制度)登録申請の受付けは、令和3年10月1日から始まっています。令和5年10月1日から直ちに適格請求書発行事業者として振る舞うためには、原則、令和5年3月31日までに登録申請手続きを済ましておく必要があります。 登録の主たる目的は、インボイス番号の取得です。

インボイス番号なしの請求書

登録番号の取得手続きをしないまま、新制度が始まってしまうと、発行する請求書等に登録番号を記載することができないので、たとえ消費税額の記載をしたとしても、原理的には、相手は仕入税額控除することが出来ません。相手が個人消費者なら問題にならないかもしれませんが、課税事業者だったら取引上の大問題になりかねません。

法人の登録番号は決まっている

法人の場合の登録番号は、「T」(ローマ字)+法人番号(数字13桁)です。法人番号というのは、公表されている法人のマイナンバーです。 もし、未登録者が請求書等に法人番号を記載していたら、登録番号と誤認されるような事態が生ずるかもしれません。

誤認誘発とみなされると

課税当局は、法人番号を積極的に公表し、申告書等への法人番号の記載を義務付けています。同じ趣旨で、同名の多い法人などが自主的に請求書や領収書に法人番号を記載することは有り得ることです。 しかし、それを一概に誤認誘発行為とするわけにはいかないでしょうが、もし誤認誘発行為とみなされる事例になったとしたら、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられる可能性があります。

罰金を科せられると

罰金以上の刑を受けると、最低2年間はインボイス番号取得登録不可となるので、経済取引において10%の消費税を請求しにくい状態に陥り、事業者としての存続が厳しくなりかねません。 仕入税額控除をする側も、誤って仕入税額控除してしまわないように、登録事業者の番号を国税庁の適格請求書発行事業者公表サイトで適宜確認する必要がありそうです。

 

SDGsと就活生の会社選び

SDGsと就活生の会社選び

SDGsと就活生の会社選び

SDGsとは何でしょう?

最近よく耳にするSDGsとは、持続可能な開発目標 (Sustainable Development Goals)を指す言葉です。2015年9月の国連サミットにおいて加盟国の全会一致で採択されました。
2030年までに達成すべき、持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。目標にはたとえば「気候変動に具体的な対策を」「海の豊かさを守ろう」「人や国の不平等をなくそう」などがあります。実現するために進むべき道を具体的に示した指標であり17のゴール・169のターゲットから構成されています。発展途上国のみならず、先進国自身が取り組む普遍的なものであり積極的に取り組む企業が増えてきています。

取り組み度合いと就職志望度

企業のSDGsへの取り組みは、人材採用の面にも影響があるのでしょうか? 就職志望度との関連を2022年3月卒業予定の大学4年生と理系の大学院修士卒予定者に聞いたところ、SDGsに積極的に取り組んでいることがその企業の志望度に「影響する」「とても影響する、志望度が上がる」「やや影響する」を合わせると4割を超えていて、就活生の関心の高さがうかがえました。理由としては「企業の社会的役割重視」や「将来性ある企業と判断できる」などで会社説明会やHP等で認知されています。

企業が取り組めるSDGsの課題

民間調査会社㈱ディスコの調査によると企業がSDGsの中で取り組めると思う項目としては「産業と技術革新の基盤を作ろう」
「働きがいも経済成長も」が圧倒的に上位にあげられ、次に「すべての人に健康と福祉を」「住み続けられる街づくり」「作る責任使う責任」「エネルギーを皆に、そしてクリーンに」「ジェンダー平等を実現しよう」などが続いています。
政府は2017年より「ジャパンSDGsアワード」として目標達成に優れた取り組みを行っている企業、地方自治体、団体等を表彰し行動推進を促しています。
就活に限らず中小企業でもこれから、たとえば入札の時などSDGsの取り組み状況を求められるかもしれません。取組期間は当分続くので、自社でできることを考えてみるのもよいでしょう。

コロナ禍の税務調査

コロナ禍の税務調査

コロナ禍の税務調査

コロナ禍で実地調査は大幅減

令和 2 年 4 月に 1 回目の緊急事態宣言が発令されてから、もう随分と経ちました。
統計が出ている令和元事務年度(元年 7 月~2 年 6 月)の税務調査件数を見てみると、すでに新型コロナウイルス感染症の影響もあってか、実地調査の件数は前年比 77%となっています。おそらく 2 年度も実地調査は少なかったと推測されます。
このコロナ禍において、申告期限は延長が容易になり、調査どころではなかったというのも実情だとは思いますが、税務署も相当柔軟な対応を取っていて「コロナ禍で不安なので延期して欲しい」という要請もある程度通っていたようです。また緊急事態宣言の間をぬって調査の日程を組んだものの、該当税務署で感染者が発生し日程は解消、そのうちに人事異動で結局立ち消え、といった事例もあったようです。

接触機会低減を目指した措置?

実地調査件数は下がったものの「簡易な接触」と表現される書面や電話による連絡、資料の提出依頼や来署依頼による面接等で、税務署が納税者に対して自発的な申告の見直しなどを要請する手法については、平成30 年度と比べて件数が上昇しています。
また、今までは FAX や郵送で対応していた調査・照会等で提出を求められた資料の送付が、令和 4 年 1 月から e-Tax で送信できるようになります。

国税庁は「ウィズコロナ」を準備

国税庁はすでに「納税者の理解を得て、税務調査の効率化を進める」として、大規模法人を対象にした Web 会議システムやリモートアクセスを利用した税務調査を試験的に導入しています。
今後は AI やデータマッチングの導入を行い「申告に対してコンピュータ側で間違いをチェック」するような機能の拡充を行うとしており、元々ICT 化を目指していた上で、コロナ禍に乗じてその方策を加速させているように感じます。
税務関連の手続きは、平成 16 年に e-Taxの運用が始まってから、今日に至るまで、電子化を地道に進めてきました。これからも「便利な改善」が続いてゆくでしょう。

 

相続放棄の場合の生命保険金

相続放棄の場合の生命保険金

相続放棄の場合の生命保険金

被相続人に多額の債務があり、相続人としては相続放棄したいけれど、生命保険金まで放棄しなければいけないのか気になるところです。


相続放棄でも生命保険金は受け取れる


相続人は、相続放棄することにより、被相続人の財産・債務を一切承継しない選択ができます。手続きとして自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に相続放棄を家庭裁判所に申し立てることが必要です。
生命保険金は、民法上の相続財産ではなく、保険金受取人の固有の財産となるので、相続人は生命保険金を受け取ることができます。みなし相続財産として相続税の課税対象となりますが、相続放棄をした者は、初めから相続人とならないので、生命保険金の非課税措置を受けることはできません。それでも保険金が手許に入ることは、メリットといえるでしょう。


限定承認でも生命保険金は受け取れる


それでは、限定承認により相続人が取得する財産の範囲内で債務を弁済することとした場合はどうなるでしょうか。
限定承認の手続きは、相続放棄と同様、相続人は自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所に申し立てることが必要です。相続人は被相続人の債務を全額承継しますが、弁済の責任は被相続人の財産の範囲に限られます。未納の国税がある場合でも被相続人の財産の限度で弁済すればよいので財産の額を超えた滞納税額に納税義務を負いません。
相続人が生命保険金を固有の財産として受け取ることができるのは相続放棄の場合と同じです。生命保険金は、みなし相続財産として相続税の課税対象となりますが、限定承認の場合は、相続人の地位を有しているので、生命保険金の非課税措置を受けることができます。


詐害行為とみなされないように


ところで生命保険金の受取人としていた相続人も債務超過の状態となり、親族間で財産保全をはかるため、他の相続人に受取人名義を変更する場合は注意が必要です。その名義変更が債権者の権利を害する詐害行為(さがいこうい)と認められた場合、その名義変更は取り消され、生命保険金は名義変更前の相続人の取得財産として債務の弁済に充当されてしまうかもしれません。

 

 

テレワークの労働時間管理

テレワークの労働時間管理

テレワークの労働時間管理

テレワークでも労働時間の考え方は同じ

基本的には以前と同じ労働時間制度を使うようになるでしょう。1日8時間、週40時間制のスタンダードで固定的な労働時間制を敷いていたならそのままでよいし、今までフレックス制度や裁量労働制を適用していたら導入後もその制度を適用してもよいのです。ただ、通勤時間がなくなるとこれらの制度は変更される場合があるでしょう。

テレワークの勤怠管理

労働時間管理では「テレワークの勤務開始と業務終了が把握しにくい、休憩時間がとりにくい」などを懸念する場合があるかもしれません。ルール決めをしておけば勤務中か離席かわかりやすくなります。
① 始業時
業務開始時に「業務を始めます」という開始報告メール、チャットツール、電話等所定の方法で行います。
② 休憩時
休憩開始時に「休憩に入ります」という報告メールをします。
③ 休憩終了時
休憩終了時に「休憩終了します。業務に戻ります」というメールをします。
④ 業務終了時
業務終了時に「業務を終了します」という終了報告をメールでします。
近年は社員が勤怠打刻をスムーズに行えるようなクラウドのシステムもあります。

中抜け時間の取り扱い

在宅勤務で子供の送迎があったり病院などへ連れて行ったりと、私用で就業中に外出等があった場合は賃金支払いの対象外ですが、賃金カットでなく、始業終業の繰り上げ繰り下げで1日の所定労働時間は満たすことを認めている企業も多いようです。中抜けの際も連絡メールするようにルール決めは必要です。

時間外労働の取り扱い

在宅勤務では長時間労働になりやすい要素があります。夕食後に仕事を再開したり休日でも仕事をしたり、オンとオフの区別がつきにくくなりがちです。目に見える成果を上げたいと頑張って長時間になる場合もあるようです。このため一定のルール(時間外にメールの送受信を控える、アクセスの制限、残業の申請等)が必要になるでしょう。従業員の健康面と割増賃金のコストに留意しましょう。

免税事業者は少しだけ非課税大家さんより有利

免税事業者は少しだけ非課税大家さんより有利

免税事業者は少しだけ非課税大家さんより有利

家賃非課税となったときの行政指導


平成3年9月までは、居住用家賃についても消費税課税対象でした。課税対象から非課税対象への切り替えがスムーズに行い得るようにする、建設省住宅局長の発遣文書があります。
その文書は、課税が非課税に変わるに際し、当時の税率3%全額を減額するのではなく、賃貸住宅経営のための必要な諸経費や資材購入に係る消費税を、先の3%から控除した残額を減額する、としています。
前段階消費税分の転嫁は必要事としての行政指導なのです。ただし、これを実行した大家さんは、ほとんどいなそうです。

インボイス開始後6年間の激変緩和措置


令和5年 10 月1日から、適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス制度)が新たに始まるわけですが、インボイス番号を持たない免税事業者から受け取る請求書等は、適格請求書等ではないけれど、令和5年 10月1日から最初の3年間は取引額総額の110 分の 10 の 80%を仕入税額控除可能とし、次の3年間は当該 110 分の 10 の 50%を仕入税額控除可能、としています。
でもこの措置は、免税事業者の前段階消費税転嫁のための配慮ではなく、仕入側への配慮措置なので、この6年経過後は、何の配慮措置も残りません。

免税事業者の消費税の転嫁の可能性


相手が個人消費者なら、免税事業者が消費税の転嫁をしても何の異議も聞こえて来ないでしょう。また、希少価値のある事業者なら、免税事業者か課税事業者かを問われることなく取引されるかもしれません。
でも、BtoBでの取引弱者に該当する多くの免税事業者にとっては、非課税事業の大家さんと同じく、転嫁出来ない前段階消費税の自己負担化(損税)になりそうです。

免税事業者の価格転嫁と簡易課税


免税事業者でも、インボイス番号取得により課税事業者に変身すれば、前段階消費税の自己負担は消えます。ただし、申告と納税の煩瑣が生じます。
申告納税の煩瑣を多少なりともカバーしてくれるのは、簡易課税かもしれません。
免税事業者には、非課税事業の大家さんよりも、前段階消費税の自己負担化を回避する途が少しだけ広く開かれている、と言えそうです。

採用は労務管理の入り口

採用は労務管理の入り口

採用は労務管理の入り口

採用の技術を高めることで最適な人材確保


コロナ禍で採用を抑えていた企業も、緊急事態宣言などの規制が解除されると企業活動が活発になります。新規に雇用を考える企業が増えて人手不足がくるでしょう。
人手不足には 2 種類あり、1 つは人手の「量」もう一つは能力の「質」です。どちらも必要ですが機械化で代替できるところはあるとしても生産活動に人材は必要です。
会社に新しい人が入れば今の社員だけでできないことにも取り組んで変革し成長する企業になるのが理想ですが、人材を生かすことができるかどうか最初が肝心です。
採用は労務管理の入り口で、入り口で会社にふさわしい人材を選べば大きな労務トラブルや反抗型、無責任型、情緒不安定などの問題になる人を採らずに済むかもしれません。ここでは採用の初歩の段階で判別できる事例を見てみます。


採用時にトラブルとなりやすい問題

① 面接当日に来ない人
……これは結構あることで、それを避けるためには面接日の 1~3 日前に電話かメールで面接日時の再確認をします。これは内定後も必要なことです。
② 入社直前の辞退
……内定時に内定通知書、誓約書等を送り返信してもらうことで辞退は少なくなります。
③ 転職者の場合には前職を辞めた理由は必ず聞く
……転職理由に問題がないかを見ます。また、エリートより身の丈に合った人が結果的にはいいこともあります。
④ 自立心無し、親離れ無し
……新入社員で親御さんとの関係が強そうと感じる。
⑤ 上司をうつ病にさせる逆パワハラ社員
……できる人材を採用しても組織がうまく機能しない場合があります。パワーバランスのミスマッチが生まれます。
⑥ 給与のことを細かく聞く人は金銭問題
を抱えているケースがありえます。
⑦ 入社後すぐ退職する
……履歴書で転職回数の多い人は早期退職の確率が高く、転職志向の高さは適性検査で読み取れることがあります。
⑧ 入社後すぐに病欠
……健康診断書は内定から入社前に求めて健康の確認をしておき、休職規定も試用期間中は対象としない旨の規定も必要でしょう。

令和 3 年年末調整

令和 3 年年末調整

令和 3 年年末調整

変更点と誤りやすい点


印鑑不要になった!

年末調整は、給与を受ける人それぞれについて、原則毎月の給与や賞与などの支払いの際に源泉徴収した税額と、その年の給与の総額について納めなければならない年税額とを比べて、その過不足を精算する手続です。今年は去年と比べると所得税計算本体への改正はないものの、手続的な部分での改正がありました。
「押印義務の改正」により、源泉所得税関係書類については、押印を要しないこととされました。このため、扶養控除等申告書などの年末調整の際に使う書類についても従業員の皆さんに押印をしてもらう必要がなくなりました。地味ですが手間の省ける改正ですね。その他、源泉徴収関係書類を電磁的に提供する場合の、給与等の支払者が受けるべき税務署長の承認が不要とされたため、従来は税務署に提出が必要だった「源泉徴収に関する申告書に記載すべき事項の電磁的方法による提供の承認申請書」が不要となりました。


令和2年改正部分に注意

今年の年末調整に目新しい変更はないものの、令和2年に改正が行われた「所得調整控除」「寡婦・ひとり親控除」「基礎控除」には注意が必要です。
所得調整控除は給与収入が 850 万円超の方が対象で「配偶者の扶養している子供でも、所得調整控除は両方の親に対して行える」点に注意しましょう。寡婦・ひとり親控除は令和 2 年から適用条件が変更されて「所得金額 500 万円以上の方は一律無効」となりました。基礎控除は「給与以外の所得も含めて、合計所得 2,400 万円超で逓減が開始」です。
新しいルールのため、細かい条件を取り違えて計算している例が散見されます。今年も注意して計算をしましょう。


電子化のメリットも考えて

計算式や控除上限等の変更、そして紙の記載フォーマットの変更と、年末調整は過去と比較すると明らかに複雑化しています。
従業員が控除額を計算して、

経営他

新登場! M&A支援機関

新登場!M&A支援期間

M&A支援機関登録制度の創設

中小企業のM&A促進戦略として中小企業庁が4月に公表した「中小M&A推進計画」では、M&A支援機関に係る登録制度の創設を唱っていました。
全国的に大規模・中規模向けのM&A支援機関が活動しているが、M&A支援機関の支援の妥当性を判断するための知見が不足している中小企業が存在する状況下での、M&A支援機関の質を確保する仕組みを創らなければならない、としていました。
制度創設日は、改正中小企業等経営強化法施行日の2021 年8月2日です。

登録可能な対象者

経産省の「登録制度の概要」によると、M&A支援機関とは、「中小M&Aを支援する機関」であり、ファイナンシャルアドバイザー業務(FA・片方代理)又はM&A仲介業務(双方代理)を行う者です。
具体的には、M&A専門業者(FA、仲介業者)、金融機関、商工団体、士業等専門家、M&Aプラットフォーマー、事業承継・引継ぎ支援センター等が登録してくれることを予定しているようです。

第一次公募による登録状況

公表された登録M&A支援機関数は、2021 年10 月15 日現在で2278 件です。うち、法人は1700 件、個人事業主は578 件です。また、上位5業種は、M&A仲介専門業者が544 件、FA専門業者が394 件、税理士が517 件、公認会計士が233 件、地方銀行・信金・信組が125 件です。
M&A契約に深く長く関わるM&A支援機関登録で、税理士・公認会計士が33%をも占めているということには、驚きです。

登録要件は?

①「中小M&Aガイドライン」の遵守を宣言し、遵守すること
②登録要件を充足している旨を自社HPで掲載すること
③登録要件を充足している旨を顧客に書面で事前説明すること
④毎年度、実績報告を提出すること
なお、登録をしたものの、特段合理的な理由なく支援実績が芳しくないなど、一定の要件に該当する場合には、登録の継続を認めず、登録取消しとなります。
また、登録されたM&A支援機関に対する苦情情報提供受付窓口を設けて、公開監視による制度充実をはかる予定になっています。

消費税

免税会社の適格請求発行事業者 登録のタイミング

免税会社の適格請求発行事業者 登録のタイミング

取引からはじき出されないための登録?

2021 年10 月1 日から「適格請求書発行事業者の登録申請」が始まっています。2023年10 月1 日から消費税の仕入税額控除方式が、「適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス制度)」となるためです。
消費税で仕入税額控除を取るためには、適格請求書(インボイス)が必要であり、適格請求書を交付することができるのは、税務署長の登録を受けた「適格請求書発行事業者」に限られます。適格請求書発行事業者となるためには、消費税の課税事業者となって、発行事業者登録をしなければなりません。
免税事業者からの仕入税額控除に関して、6 年間の経過措置はありますが、経過後は、インボイスを発行できない免税業者からの商品やサービスの購入では仕入税額控除が取れないため、取引の相手先として選ばれなくなる可能性が高いです。仮に選ばれたとしても、消費税額分の値引きを要求される可能性もあります。

登録すべきかどうかは経営面から検討する

消費税先進国の欧州でもそうですが、インボイスを発行できない事業者から仕入れを続けると自社が負担する消費税額が増えるため、免税業者は敬遠されがちです。よほど優位性がある商品やサービスでない限り、取引の相手先から外されかねません。
この適格請求書発行事業者となるか否かの選択は、経理の問題よりも、むしろ、ビジネスの経営面から考えるべきものです。
登録を決めた場合、2023 年10 月1 日のインボイス制度開始と同時にインボイスの発行をするためには、2023 年3 月31 日までに申請しなければなりません。

「登録における経過措置」利用がおススメ

免税事業者が適格請求書発行事業者となるためには、先に課税事業者登録をしなければなりません。しかしながら、ここにも経過措置があり、2023 年10 月1 日の属する課税期間中に登録を受ける場合には、「消費税課税事業者選択届出書」の提出は不要です。何月が事業年度末月かにもよりますが、同じ事業年度内で、2023 年9 月30 日までは免税事業者、10 月1 日から課税事業者となることもできます。また、「簡易課税制度」で、納税額が少なくなるようでしたら、その適用も検討してみるべきです。