日: 2021年12月27日

損害賠償金と相続税

損害賠償金と相続税

損害賠償金と相続税

自動車事故、航空機事故、海難事故、企業災害などによる人身事故で死亡したときの損害賠償金をめぐる課税関係を整理してみました。

損害賠償金の支払われるまでの態様

損害賠償金については、次の2つのケースが考えられます。
① 損害賠償請求が係争になっていて、その決着がつかないまま遺族に係争が引き継がれた場合。
② その支払いの請求を遺族が行った場合

相続税は課税が基本?

財産評価基本通達をみると、訴訟中の権利の価額は適正に評価するものとしているので、課税を基本原則に置いているようにみえます。
しかし、被害者本人の利益のための係争の部分と遺族の利益のための係争の部分が交錯もしています。

保険金の場合も同じ

損害賠償金を構成する内容には、死亡した被相続人に発生した損害賠償請求権を相続したと解される部分と、遺族の固有の権利として、遺族に原始的に発生したと解される部分とが併存しています。遺族固有の権利部分は、当然に相続財産を構成しないし、所得税非課税の規定の適用もあります。
相続取得分と解される部分について相続税を課税するとなると、按分が必要となりますが、按分はいつでも容易にできるとは限りません。

保険金の場合とのアンバランス

死の代償としての金銭という意味では保険金と変わりませんが、保険金についてはあるような相続人一人当たり 500 万円非課税の規定の適用が損害賠償金にはなくバランスを失しています。

課税実務は相続税非課税

そんな問題を避けるためか、損害賠償金のうち被相続人について生じたと解される部分は全体の中では副次的部分にすぎず、これを無視したとしても特に課税上弊害があると考えられない、との趣旨で全部を遺族固有の慰謝料・損害賠償金との扱いをしています。相続税非課税ということです。
すでに現金を手にした人とのバランスは失しますが、損害賠償金への課税が国民感情にそぐわないとの判断が優先しているように見受けられるところです。

年末調整の訂正は いつまでできるの?

年末調整の訂正は
いつまでできるの?

年末調整の訂正は いつまでできるの?

「12 月末」の状況を申告するものです

会社勤めの方でしたら、12 月の上旬ごろに経理の方に「早く年末調整の書類を出してください」とせかされたことがあるかと思います。そんな中で、提出した年末調整の内容が、12 月末の状況とは異なる場合は、訂正することができます。
年末調整はその年の 12 月末日の状況を申告するため、書類を出した後に「子供がアルバイトを熱心にやっていたため、扶養親族から出てしまったのが発覚した」とか「生命保険料の新規契約を 12 月に行った」とか「離婚してひとり親控除を受けられるのを忘れていた」といったことがある場合、訂正が可能です。

訂正期限は翌 1 月 31 日?

年末調整のやり直しは翌年の 1 月 31 日までは原則可能です。この場合会社が税務署や市区町村に提出する法定調書合計表や給与支払報告書の提出期限が 1 月 31 日のため、それまでに修正を行えば問題なく、源泉徴収税額を修正すれば、通常の年末調整と同様の対応で問題ありません。
法定調書合計表や給与支払報告書を提出した後に訂正する場合は、源泉徴収票だけでなく、税務署や市区町村に提出した書類まで訂正する必要があるので手間がかかります。
法定調書の修正を紙で申告する場合の提出書類を例にしてみると
①先に提出した「法定調書」の写しの右上に「無効」と赤書きしたもの
②無効分の「合計表」の提出区分を「無効」としたもの
③正しい「法定調書」の右上に「訂正」分と赤書きしたもの
④訂正分の「合計表」の提出区分を「訂正」としたもの
を提出する必要があります。

提出期限後は確定申告で直した方が楽?

経理の集計ミスではなく、社員の方の環境の変化であれば、翌年に確定申告で扶養控除等の再計算を行い、追加納付すべき税が発生した場合は個人で納付を行えば、それで作業が完了となるため、修正をお願いするのに比べると、経理の方の心証は大分よくなるのではないでしょうか。