日: 2021年12月21日

持株富裕層の節税対策

持株富裕層の節税対策

持株富裕層の節税対策

比率 3%以上の大口個人株主

株式の配当金に対する課税は、一般的には、源泉徴収選択特定口座を利用した申告不要源泉分離課税で、20.315%での税負担(所得税・復興税・住民税)で済みますが、上場企業の持株比率 3%以上の大口個人株主については、20.42%(住民税なし)の源泉徴収をされた上で、総合課税での申告となります。課税所得が 4000 万円以上の部分は住民税を含めて 55.945%となります。一般の 20.315%の分離課税での税負担と比べてかなり高負担となります。

総合課税の場合の配慮は微少

ただし、総合課税の場合は、法人税での受取配当等の益金不算入制度と同様に二重課税緩和の趣旨から、配当控除という制度が用意されています。課税所得金額が 1000万円以下の部分に該当する配当所得には、12.8%(所得税 10%、住民税 2.8%)、1000万円超の部分に該当する配当所得には、6.4%(所得税 5%、住民税 1.4%)を控除することができます。
でも、全体から見た割合は小さいため、それほど大きな効果はありません。

3%以上大口個人株主の節税対策

それで、3%以上の大口個人株主は、個人名義ではなく資産管理会社を設立して、3%以上部分の株式を法人名義にする、という選択を多くの場合行っています。
そうすると、個人所有部分は 20.315%の分離課税での申告不要にすることができ、法人所有部分は、持株比率 1/3 超なら 100%益金不算入、持株比率 5%超~1/3 以下なら50%益金不算入、持株比率 5%以下でも20%益金不算入となるので、個人の配当控除より有利です。その上、役員報酬等の形での家族への所得分散ができ、法人税の負担も相当に圧縮可能です。

法人化後の更なる節税プラン

逆に、税負担の少ない法人に財産が集積し、資産の中の株式の割合が 50%以上だと、相続などの時に、しっかり財産課税されてしまうので、借入金等により賃貸不動産その他の資産を取得して、50%未満化策を講ずるケースも珍しくありません。
また、法人で、含み益の大きい財産を譲渡すると、法人での約 33%の課税が行なわれ、さらにそれを個人の所得となる形で移転すると、2 段階での課税となります。これを回避するために、最近は、適格会社分割による会社の複数化により、M&Aでの会社売却を準備する方法で、20.315%の分離課税化する案も考えられています。

不動産登記簿とは!

不動産登記簿とは!

不動産登記簿とは!

不動産の仕事に携わっている人以外は、不動産登記簿は不動産を購入するとき、あるいは売却するとき以外、あまりなじみがありません。
ですが、不動産登記簿は、私たちの不動産に関する情報(どこにどんな不動産があり、それが誰のものなのか等)を一般に公開し、誰でも閲覧できようになっています。

(1)不動産登記の役割

不動産登記は、不動産の「物理的状況」に関する情報(その不動産の所在地、現況、面積、種類、構造など)と「権利関係」に関する情報(その不動産の所有者は誰で、いつ、どんな原因で所有権を取得したのか、また、誰がその権利の一部につき留保しているかなど)を登記簿に公示して「不動産取引の安全」と「円滑化」を図るために設けられた制度です。
不動産登記簿には、土地の登記簿と建物登記簿の2種類あり、土地については一筆(1区画)ごとに、建物については1個ごとに一用紙を備えることになっています。

(2)登記簿は3部構成

一つの物件に対する登記簿は、「表題部」、「権利部」に分かれ、さらに、「権利部」は「甲区」と「乙区」に分かれています。つまり、表題部、権利部「甲区」、権利部「乙区」の3部で構成されています。
表題部では、前述した不動産の「物理的状況」を開示しています。すなわち、土地であれば、「所在地」、「地目(土地の現況)」、「地積(土地の面積)」など、一方、建物であればその建物の「種類」、「構造」、「床面積」などです。
また、権利部「甲区」と権利部「乙区」では、前述した「権利に関する事項」を開示しています。このうち「甲区」には所有権に関する事項、例えば、住宅を購入したときの「所有権移転登記」、家を建てた時の「所有権保存登記」が記載されます。一方、「乙区」には所有権以外の権利に関する事項、例えば、金融機関による「抵当権設定登記」、土地利用者による「地役権設定登記」などが記載されます。

(3)登記の優先劣後

同じ区の権利間(甲区間同士の権利、乙区間同士の権利)の優先劣後は、原則として順位番号の早い方が優先します。
また、異なる区(甲区と乙区)における権利の優先劣後は、受付番号の早い方が優先します。