日: 2021年12月20日

コロナ禍におけるメンタルヘルス

コロナ禍におけるメンタルヘルス

コロナ禍におけるメンタルヘルス

ラインによるケアと忙しい管理職

企業におけるメンタルヘルス対策の一つに、管理監督者が行う「ラインによるケア」があります。これは、働く人が自身のこころの不調に対応できないでいる時、管理監督者の「気づき」から始まります。
たとえば、部下の様子を見ていて、「元気がなさそうだな」と気づくことです。以前と比べて遅刻が増えているとか、服装に乱れがあるとか、言動などの変化からわかることもあります。この「いつもと違う」というところに、早く気付くことが大切になります。
しかし、管理監督者には、業務のマネジメントや部下の評価など求められることが非常に多くあります。プレイングマネージャーの場合は、部下のケアまでなかなか時間が取れないということもあるでしょう。
リモートワークが推奨されている環境下では、様子を見ることが難しくもあります。

ケアの工夫と、コロナ禍における実践例

ではどうしたらよいのでしょうか。3月に実施された「令和2年度職場のメンタルヘルスシンポジウム」は、ラインによるケアの実践をテーマに行われました。視聴動画がポータルサイト「こころの耳」で公開されています。(令和2年度「ラインによるケアの実践」|こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト (mhlw.go.jp))専門家による解説では、「ラインによるケア」を効果的に行うには、「管理監督者の経験と知恵」を活かした良いサイクルをつくること、そのための研修の実施方法について、知ることができます。
企業からの実践報告では、管理監督者が実際に行っている事例や、コロナ禍での取組を聞くことができます。たとえば、リモートワークでも部下が相談しやすいように、「あらかじめ対応可能な時間や方法を伝えておく」ことで、コミュニケーションの向上を図っているといった、現場の工夫です。
コロナ禍においては、既存の知識や対策だけでは対応できないこともあります。社員の声に耳を傾け、社員の状況をよく把握すること。現場の工夫を吸い上げ、広く共有していくことが、大切なようです。

いまいち弱火の新制度 セルフメディケーション税制の今

いまいち弱火の新制度
セルフメディケーション税制の今

いまいち弱火の新制度 セルフメディケーション税制の今

覚えていますか、この制度

セルフメディケーション税制は医療費控除の特例であり、健康の保持増進及び疾病の予防への一定の取組を行っている方が、自分、もしくは生計を一にする親族のために特定の医療品購入費を支払った場合に、医療費控除を受けることができる制度です。
控除が受けられる金額は、購入費用から12,000 円を差し引いた金額で、控除される最高額は 88,000 円、つまり総額 10 万円までの購入費で控除が受けられる、「医療費控除のミニ版」といった制度です。

利用者は横ばいになっている

令和 3 年 6 月に国税庁が発表した資料を見てみると、令和 2 年分申告ではセルフメディケーション税制を利用した人は 2.5 万人となっていて、申告をした人が 2,249 万人とのことなので、全体の 0.1%程度の利用率となっています。ちなみに通常の医療費控除を利用した方は 722 万人となっています。併せて過去年度分の数字も出ていますが、3.0 万人、2.6 万人、2.6 万人と見事に横ばいです。
日本一般用医薬品連合会などが実施した16 万人に及ぶ調査によると、全体の 72.1%がセルフメディケーション税制を認知はしているものの、「利用したい」とする方は12.1%となっており協会も「現状のままでは利用拡大は見込みにくい」としており、「全 OTC 医療品に対象拡大」「申告手続き簡素化」「購入費用の下限撤廃」等を提案しています。

令和 4 年分以後の所得税からは微改正

令和 3 年分の所得税で適用は終了予定であったセルフメディケーション税制は、令和 3 年度税制改正で、適用期限が 5 年延長されました。さらに「対象となる医薬品をより効果的なものに重点化して、手続きの簡素化を図る」とされています。
厚生労働省では、セルフメディケーション推進に関する有識者検討会を行っており、採用すべき薬効、廃止すべき薬効等の検討を進めています。
この制度は本来「医療費の削減を目指した方策」ではあるのですが、利用者の数を見ると、上手くいっているとはいえないのが正直なところではないでしょうか。