日: 2021年12月7日

ひいきのお店にも反面調査 「1人飲み」で重加算税

ひいきのお店にも反面調査
「1人飲み」で重加算税

ひいきのお店にも反面調査 「1人飲み」で重加算税

「1人飲み」を交際費としていたことで…

最近は、コロナ禍ということもあり、どの法人も交際費支出がすっかり減りました。
そのような雰囲気の中、令和3年1月に東京高裁が出した判決が税理士の間で話題になりました。
ある社長がクラブの利用代金を会社の交際費として会計処理をして申告したところ、税務調査を受け、この経費が「個人的な飲食費」ではないかと指摘されました。
実はこの支払は、その社長がひいきにしていたホステスの所属するお店で社長1人で飲んでいたもの。クラブ側にも反面調査も入り、事実が発覚します。会社側は、税務署と交渉して、この支出を「貸付金」として、費用を取消し、修正申告をしました。

交際費は、事業関係者に対する接待・供応

交際費は、①事業関係者に対し、②親睦を深めて、取引関係を円滑にする目的で行う、③接待・供応などの行為をした費用です。誰かを接待しないと、交際費とは認められません。ひいきのホステスと1人で遊興するのは、「個人的な飲食費」とされ、役員賞与とされます。この場合、法人税の損金とされず、源泉所得税も徴収されますので、税金のダブルパンチ。今回は、さらに消費税の控除も取り消されます。

「貸付金」という着地点はよくある話

ここで、実際の税務調査では、調査官から「社長はこの支出を会社に返すつもりですか?返さないつもりですか?」と聞かれることがよくあります。実は、これは「助け船」。貸付金(返すつもり)とすれば、損金として控除できなくても、源泉税の課税は回避できます。これに未収貸付金利息の計上もれと併せて、修正申告に応ずることは、よくある話です。

「隠蔽・仮装」と見られて重加算税賦課

その申告後、この会社に「重加算税」の納付書が届きます。接待をしていないのに交際費として会計処理したことが、「事実(個人的な飲食)を隠蔽し、(交際費に)仮装した」として最も重いペナルティが課されたのです。会社は納得できず裁判へ。「人脈を広げるという意味がある」と主張しましたが、東京高裁は、「(理由が)抽象的」「接待の相手方と業務の関連性の具体的説明がない」と控訴棄却の判断をしました。

令和 4 年 1 月 1 日から施行 電子帳簿保存法の補足説明

令和 4 年 1 月 1 日から施行
電子帳簿保存法の補足説明

令和 4 年 1 月 1 日から施行 電子帳簿保存法の補足説明

電子帳簿保存法の改正

経済社会のデジタル化を踏まえ、経理の電子化による生産性の向上、記帳水準の向上等に資するため、令和 3 年度の税制改正において「電子帳簿保存法」の改正が行われ、令和 4 年 1 月 1 日から施行されます。
改正内容は、電子帳簿等保存に関する事前承認の廃止や、タイムスタンプ等を利用した優良な電子帳簿については過少申告加算税の軽減措置、最低限の要件を満たす電子帳簿についても電磁的記録として認める、スキャナ保存についても要件の緩和等、以前の状態からかなり使いやすくなった印象です。

問題は電子取引に関する改正事項

この電子帳簿保存法改正で、一番頭を悩ますのは「電子取引に関する改正」です。多くの方が「えっ!?」と思うのは「電磁的記録の出力書面等の保存をもってその電磁的記録の保存に代えることができる措置は、廃止されました」という一文です。
今まで領収書をメール等で受けとって、それを紙で出して保存していたという会社も多いとは思いますが、それが原則禁止となってしまいます。

罰則はあるのか?

国税庁は「電子帳簿保存法一問一答」という文書で「保存要件を満たさないため、全て書面等で出力して保存しているのだが、青色申告の承認取り消しや、経費として認めないということはあるのか?」という問いに対して「青色申告の承認の取り消し対象となり得る」と回答しました。
この回答については問合せがとても多かったのか、後に「お問合わせの多いご質問」として補足説明を出しており「書面保存等していた場合でも、それ以外の特段の事由がないにもかかわらず、直ちに青色申告の承認が取り消されたり、金銭の支出がなかったものと判断されたりするものではない」と、表現をとても柔らかなものへ変更しています。つまりは、電磁的な保存をしていなくても、それだけでは青色の取り消しや経費の否認はないということです。