日: 2021年12月2日

M&A投資損失準備金税制適用手続

M&A投資損失準備金税制適用手続

M&A投資損失準備金税制適用手続

中小企業事業再編投資損失準備金制度

令和3年度税制改正で創設された「経営資源集約化税制(中小企業事業再編投資損失準備金)」の適用が出来るのは、認定経営力向上計画に従って購入取得したM&A株式の取得価額の 70%以下額を中小企業事業再編投資損失準備金として積み立てをし、積立金額の計算明細書を添付した申告書を提出することが出来る場合です。

適用手続をし得る中小企業

この税制の適用を受けるための前提となっている、中小企業等経営強化法に基づく「経営力向上計画」の申請をし、認定を受けることが出来るのは、特定事業者等(常時使用する従業員数が 2000 人以下の法人または個人)に該当する事業者のみです。
M&A株式の売主側についても、特定事業者に該当する必要があります。
他方、税制の適用を受けるためには、申告者が租税特別措置法上の中小企業者等(資本金又は出資金の額が1億円以下の法人)に該当する必要があります。

計画申請・認定・確認の手続の流れ

① M&Aの交渉相手が定まったタイミング(基本合意後等)で、経営力向上計画を策定し、主務大臣の認定を受けます。認定申請時には、「事業承継等事前調査チェックシート」を作成し、添付します。認定の標準処理期間は 30 日とされています。
② 認定計画の内容に従って株式取得を実行した後、主務大臣に対して事業承継等を実施したこと及び事業承継等事前調査を実施したことについて報告し、経営力向上計画実施確認書の交付を受けます。
③ 税務申告に際しては、①の申請書と認定書の写し、②の確認書の写しを添付しなければなりません。

準備金積み立て手続

準備金積み立ては、損金経理の方法で、若しくは、決算確定手続での剰余金の処分による方法で行なわなければなりません。
この積立金は、法令の規定に拠るものなので、必ずしも株主総会の決議を経る必要はありません。

事後手続

経営力向上計画では、3~5年の計画実施期間を設定することになっており、毎年の事後状況報告を行うことになっています。
これを怠ると認可取消し・積立準備金の全額取崩しとなってしまいます。

 

嫁が養子となる事情

嫁が養子となる事情

嫁が養子となる事情

相続税の解説書を読むと、相続人の配偶者が被相続人の養子となっている事例に遭遇することがあります。養子縁組は相続人の数を増やすことにより、遺産に係る基礎控除額が増えるなど相続税対策として有用となりますが、配偶者を養子縁組する現実には、もっと切実で厳しい背景があります。

夫が親より先に死亡するリスク

たとえば夫が財産を持たずに高齢の親より先に死亡した場合、夫の配偶者にとっては将来、親の2次相続で親の財産が代襲相続人となる子供に移転してしまい、配偶者には引き継がれません。子供が将来、生活の面倒を見てくれるのであれば特段の問題は生じませんが、子供世帯の事情によっては自宅を売却することとなり、配偶者は家もなく財産もなく窮地に陥るリスクを負ってしまうことにもなりかねません。

嫁を守る養子縁組

夫の両親と同居している場合、自宅建物や敷地は、夫の親の所有となっていることが少なくありません。嫁が夫の両親の介護に努め、財産の維持管理を通じて貢献したにもかかわらず、夫に先立たれた途端、生活の保障がなくなってしまうというのでは、あまりにも可哀そうです。
この場合、夫が嫁をあらかじめ夫の親の養子にしておけば、親の遺産分割の際、相続人として財産分与を受けることができます。自宅や現預金を相続できれば、夫に先立たれたとしても自分の生活する場所と経済力を確保できることになります。

養子の課税上の扱い

民法では、養子は何人でも可能ですが、相続税法では、法定相続人の数に算入される養子の数は、被相続人に実子がある場合は1人まで、実子がない場合は2人までとされ、相続税額計算上のメリットは限定されるので留意が必要です。

夫の親が気持ちを伝える

長年の生活の中で嫁と夫の親との間に信頼関係が醸成されていても、夫が既に死亡している場合は、嫁から夫の親に養子縁組を言い出すのは難しいでしょう。
夫の兄弟も嫁が自分たちの親の面倒を見てくれていることを知ってはいるものの、各個人の置かれている状況によっては養子縁組に反対はしない、とは言い切れません。
とはいえ、夫の親が先に夫の兄弟たちに自分の気持ちを伝えれば、その想いも無碍にはできないのではないでしょうか。