02-所得税

税金よもやま話 頂き女子と税金の関係

税金よもやま話 頂き女子と税金の関係

税金よもやま話 頂き女子と税金の関係

頂き女子事件の税目は「所得税」? 

SNS 上で「頂き女子りりちゃん」を自称し、男性に恋愛感情を抱かせて1億5,000万円余りをだまし取ったとして、詐欺などの罪に問われている「頂き女子事件」は、額面の大きさや「パパ活のマニュアル販売」といったセンセーショナルな内容から話題になりました。ちなみにパパ活とは、若い女性が中年男性と食事やデート等をして、見返りに金銭を受け取る活動のことです。
また、この事件は詐欺の他にも令和4年までの2年間に得た1億1,000万円の所得について期限までに申告せず、所得税およそ4,000 万円を脱税したとして、所得税法違反の罪にも問われています。「お金を貰っているだけだから、かかるとしても贈与税じゃないの?」と思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、男性からお金を貰うための手法をマニュアル化しており「パパ活というサービスを提供している」と判定されたのだと考えられます。

犯罪収益でも課税される 

所得税の取扱いを定めている「所得税基本通達」に、「収入金額とすべき金額には、その収入の基因となった行為が適法であるかどうかを問わない」という一文が存在します。今回のケースのような「個人が詐欺により不法に取得した収入」でも、所得税が課されます。その半面、詐欺に遭った人については盗難等で受けられる雑損控除が適用されません。詐欺で得た金額は所得になり、詐欺によって被害を受けた金額は所得控除にならないのは、いささかバランスを欠いているような気がします。 
なお、詐欺を行った人が被害者に弁済した等で、所得が減少した場合は、5年以内であれば更正の請求が可能です。

パパ活は贈与か所得か 

好意を持った中年のおじさん(パパ)に誘われて食事をしたら、「お小遣い」として現金を貰った、ということは少ないかもしれませんが、そんな場合は贈与ということで良いかもしれません。ただ、サービスを提供した見返りに貰った金銭は所得と判定されますから、パパ活自体の「会ってコミュニケーション」の対価であるとすれば、贈与として判定されるケースは少ないのではないでしょうか。 


居住用財産譲渡の 3,000万円控除の要件

居住用財産譲渡の 3,000万円控除の要件

居住用財産譲渡の 3,000万円控除の要件

マイホームを売った時に使える特例 

マイホーム(居住用財産)を売ったときに、所有期間の長短に関係なく譲渡所得から最高3,000 万円まで控除ができる特例を「居住用財産を譲渡した場合の 3,000 万円の特別控除の特例」といいます。

利用するためには様々な要件があり、国税庁は「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例適用チェック表」を用意しています。この表に売却する(売却した)マイホームを照らし合わせれば、この特例が利用できるか確認が可能です。代表する要件を簡単に見てみましょう。

居住用でなければもちろんダメ

他の居住用財産関係の特例と同じく、基本的には「住んでいなければダメ」です。別荘や仮住まい、セカンドハウスには適用できませんが、単身赴任等で家主が離れているものの、家族が生活しているといった場合はOKです。住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに家屋もしくは家屋と共に敷地等を売る場合に、特例が利用可能です。

家屋を取り壊した場合については、取り壊しから1年以内に売買契約をし、かつその間に貸付等に利用していないことが条件となります。 

他の特例との重複適用は基本NG 

3,000 万円の特別控除の特例は、長期譲渡所得の課税の特例(所有期間10年超で譲渡益6,000 万円以下の部分の税率を優遇)を併用できますが、居住用財産関係の特例や住宅ローン控除と併用することができません。併用できない期間も設定されており、居住用財産関係の特例については前々年、前年、当年に適用されていれば、3,000万円控除が受けられません。住宅ローン控除については居住年およびその前2年、その後3 年の計6年間に3,000 万円控除を受けた場合、住宅ローン控除の適用を受けることができなくなります。 

また、収用の場合の特別控除、特定期間に取得した土地等を譲渡した場合の特別控除、低未利用土地等を譲渡した場合の特別控除等、居住用でない土地に適用できる特例についても併用できません。

法定申告期限後に特例の選択替えもできませんから、申告時に慌てることのないよう、早めの検討・準備をしておきましょう。

定額減税が開始されます

定額減税が開始されます

定額減税が開始されます

 令和6年6月から始まる定額減税について、国税庁「定額減税特設サイト」では、制度紹介、Q&A、様式集が公開されています。合計所得金額1,805 万円以下の居住者は、令和6年分所得税額から本人3万円、同一生計配偶者と扶養親族1人につき3万円が控除され、令和6年分個人住民税所得割額から本人1万円、同一生計配偶者と扶養親族1人につき1万円が控除されます。 

給与に係る定額減税 

 給与支払者は、令和6年6月1日現在の在職者(基準日在職者)から扶養控除等申告書の提出を受けた場合(甲欄適用者)、6月1日以後、最初に支払う給与・賞与等の源泉徴収税額から月次減税額を順次控除します(月次減税事務)。年の中途で同一生計配偶者や扶養親族の異動などが生じた場合は、年末調整にて精算します(年調減税事務)。減税額は各人別控除事績簿を備えて管理し、源泉徴収票の摘要欄には、定額減税控除済額を記載します。扶養控除等申告書に記載していない合計所得金額900万円超の基準日在職者の同一生計配偶者や 16 歳未満の扶養親族には、「源泉徴収に係る定額減税のための申告書兼年末調整に係る定額減税のための申告書」等の提出を受けます。 


公的年金等に係る定額減税 

 公的年金等の支払いを受ける者は、公的年金等の受給者の扶養親族等申告書を提出することにより、6月1日以後、最初に支払う年金の源泉徴収税額から定額減税額を順次控除します。年の中途で同一生計配偶者や扶養親族の異動などが生じた場合は、年末調整にて精算します 

事業所得・不動産所得・退職所得の場合 

 事業所得・不動産所得のある納税者は、予定納税額から定額減税の本人分が控除されます。さらに、予定納税額の減額申請の手続により、同一生計配偶者分、扶養親族分の減税額相当額を控除できます。予定納税のない納税者は、確定申告にて定額減税額の控除を受けます。退職所得のある納税者は、源泉徴収時に定額減税額の控除は行われず、確定申告にて控除を受けます。

住民税額からの控除方法 

 住民税所得割額からの控除は、給与所得で特別徴収の場合、令和6年7月分から令和7年5月分の11か月で均等額を控除。普通徴収の場合、第1期分(令和6年6月分)から順次控除。公的年金等は、令和6年10月分の特別徴収税額から順次控除。控除しきれない額は、調整給付金で支給されます。  

国税庁からのお知らせ 令和7年1月から控えは印なしに

国税庁からのお知らせ 令和7年1月から控えは印なしに

国税庁からのお知らせ 令和7年1月から控えは印なしに

申告書等の控えに収受日付印を押さない

 国税庁は令和6年1月4日に、令和7年1月以降は申告書等の控えに収受日付印の押捺を行わないこととする、と発表しました。対象となる「申告書等」とは、国税に関する法律に基づく申告、申請、請求、届出その他の書類の他、国税庁・国税局・税務署に提出される全ての文書とのことです。

 令和7年1月からの書面申告等における申告書等の送付時には、申告書等の正本(提出用)のみを提出してください、とWeb上でお願いしています。また、必要に応じて自身で控えを作成、提出年月日の記録・管理をするようにも呼びかけています。


申告書等の提出事実を証明する方法

 例えば個人が融資を受ける、奨学金の申請を行う、保育園の手続きする、等の際に確定申告書の控えを要求されることがあります。ただ、この控えについては「収受印があること」が控えたりうる要件であり、収受印がない控えについては、個人の収入等が証明できないため、各種手続きに利用できない可能性が大です。

 オンラインサービスを利用せず、紙媒体で効力のある収入証明を手に入れる場合には、税務署に対して「保有個人情報の開示請求」を行うか、「納税証明書の交付請求」を行う必要があります。

 個人情報の開示請求は手数料300円、納税証明書は税目ごと1年度1枚につき400円です。

オンラインなら無料

 e-Taxを利用した申告であれば、申告等データの送信が完了した後に、税務署からの受信通知がメッセージボックスに格納されます。ここから申告書等のPDFファイルを無料でダウンロードすることができ、こちらには受付日時等が記載されますから、旧来の控えの役割を果たすものが欲しい人はe-Taxを活用しなさいね、という風に聞こえます。

 国税庁は税務行政のデジタル・トランスフォーメーション(DX)を進めているとしていて、その一環の措置とのことなのですが、便利な機能が増えて利便性が向上する方が多い一方、インターネット等のサービスを上手く使えない方にとっては不便になることは確かです。また、不便ならまだしも「手続き等ができない人」が出てきてしまわないか、少し心配になります。


年金は何歳からもらえば有利なの? 受給年齢の繰り上げ繰り下げ

年金は何歳からもらえば有利なの? 受給年齢の繰り上げ繰り下げ

年金は何歳からもらえば有利なの? 受給年齢の繰り上げ繰り下げ

年金の繰り上げ受給と繰り下げ受給

 老齢年金の受給開始は原則65歳からです。60歳から早めにもらうこともできます。65歳より年金受給を早める(繰り上げ受給)と、65歳受給より減額された額(1か月ごとに0.4%減額)で支給され一生その率は変わりません。 

 逆に65歳になっても元気で働けて収入もあるならば65歳より遅く(繰り下げ受給)申請できます。その場合は65歳受給より増額 (1か月毎に0.7%増額)されます。

 2022年4月からは繰り下げ年齢が70歳から75歳に引き上げられました(昭和27年4月2日以降生まれの方で未請求の方対象)。75歳で受給すると受け取る年金は最大84%増額になります。銀行定期預金の利息が年0.002%の時代に昨今これを上回る運用手段はないでしょう。

いつから年金をもらい始めるとお得なの?

 70歳までの繰り下げ制度は今までもありましたが、繰り下げをした人は国民年金では1.5%、厚生年金では0.9%しかいません。70歳までの就業が普通になれば増えるかもしれません。しかし繰り下げをためらわせる要因の最大の理由は自分の寿命です。自分の寿命がいつ来るかわからないので、もらい始めて数年で亡くなり、65歳から受給していた場合の額より低くなってしまうケースも考えられます。寿命は誰にもわかりませんので悩むことになります。

受給開始年齢の損益分岐点の計算結果

 繰り上げで受け取った方は77歳で65歳から受け取った方に追い抜かれます。70歳に繰り下げた場合は81歳で65歳開始を抜き、75歳開始は86歳で65歳開始を抜きます。繰り下げはおよそ11年超が分岐点になります。 

 2022年時点で男性の平均寿命は81.05歳、女性は87.09歳。これは平均値なので男性の死亡者数のピークは89歳、女性は92歳と結構遅いのですが、受給を遅らせすぎても短期間で死亡し、もらい損になるかもしれません。あるデータでは平均的な寿命の男性85歳、女性90歳を前提にすると70歳くらいで受給開始するのが最大値になるという計算結果も出ています。 

 自分の健康状態、いつまで働けるのか、預金等の資産はいくらか、年金を請求する前にライフプランについて考えてみましょう。 

令和6年度税制改正大綱 個人所得課税編

令和6年度税制改正大綱 個人所得課税編

令和6年度税制改正大綱 個人所得課税編

定額減税の実施

定額減税は所得税額の特別控除として、合計所得金額が1,805万円以下(給与収入のみの場合2,000万円以下)の居住者に適用されます。所得税の減税額は、本人3万円、同一生計配偶者と扶養親族1人につき3万円です。給与所得者、公的年金等の受給者は、令和6年6月以後の源泉徴収税額から控除、事業所得者は第1期分予定納税額(7月)から控除されます。

個人住民税の減税額は、本人1万円、控除対象配偶者と扶養親族1人につき1万円です。給与所得者は、特別徴収の場合、減税分控除後の金額を各月に按分して徴収、公的年金等の受給者は、令和6年10月以降の源泉徴収税額から控除、普通徴収は、第1期納付額から控除されます。

ストックオプションは魅力のある制度に

税制適格ストックオプションは、権利行使時の課税を売却時まで繰り延べ、譲渡時の株式譲渡益に課税する制度です。スタートアップ企業が資金や人材をM&Aにより機動的に取得できるよう自社で株式を管理することで証券会社等による保管を不要とし、付与対象となる社外高度人材の実務経験を上場会社の役員は1年以上(現行3年以上)とするなど要件を緩和するほか、権利行使価額の年間合計額の限度額を設立後5年以上20年未満である非上場会社と上場後5年未満の会社は3,600万円、設立後5年未満の会社は、2,400万円(現行1,200万円)に拡充します。

住宅ローン控除は子育て世代を優遇

住宅ローン控除では、19歳未満の扶養親族を有する子育て世帯、夫婦のいずれかが40歳未満の若者夫婦世帯には、これまでの借入限度額を維持します。また、合計所得金額が1,000万円以下の者に床面積要件を40㎡以上に緩和する取扱いは、令和6年12月31日まで延長されます。

令和6年入居 子育て世帯・若者夫婦世帯

住宅の区分                  借入限度額
認定住宅                        5,000万円
ZEH水準省エネ住宅   4,500万円 
省エネ基準適合住宅  4,000万円

住宅リフォーム税制も子育て世代に配慮

 上記の子育て世帯、若者夫婦世帯が、子育てに対応した住宅リフォーム工事を行い、令和6年4月1日から令和6年12月31日までの間に居住の用に供した場合は、工事費用相当額(上限250万円)の10%相当額を所得税額から控除します。

年末調整の基本

年末調整の基本

年末調整の基本

年間の所得税額を再計算する作業 

年末調整は、給与を受ける人それぞれについて、原則毎月の給与や賞与などの支払いの際に源泉徴収した税額と、その年の給与の総額について納めなければならない年税額とを比べて、その過不足を精算する手続きです。過不足が起こる原因としては、 ①生命保険料控除や地震保険料控除等の控除が発生する②扶養控除・配偶者控除の額が変わる、等があります。

毎月の給与や賞与などから源泉徴収される税額については、あくまで1年間の見込みの所得により決まるため、「年末調整で出す予定の生命保険料控除」等は加味しないようになっています。また、扶養・配偶者控除の額が変わるケースについては、「大学生の子供がアルバイトに勤しみすぎて、扶養範囲以上の給与を得てしまった」とか「配偶者の収入が産休・育休に入ったため減った」等が考えられます。  


年末調整できない所得控除 

医療費控除や寄附金控除等については、年末調整ができない所得控除です。これらの所得控除については1月1日から12月31日までの間で計算するので、年末調整以後にも発生する可能性があるため、年末調整で取り扱えません。基本的には従業員個人が翌年確定申告するものとなります。  

住宅ローン控除の初年度も年末調整NG  

住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)については、2年目以降は年末調整可能です。ただし初年度については、そもそもの「住宅ローン控除を受けられるか否かの審査」が必要となっており、確定申告で控除の申告と併せて、床面積や入居日、居住用かどうか等の審査を行っています。よって年末調整を行うことができません。  

「令和6年」からの変更点 

住宅ローン控除の2年目以降は年末調整可能で、現在は「借入金残高証明書」の添付が必要ですが、令和6年からは添付が不要となります。金融機関から税務署に直接残高証明書が送られるようになるためです。  

来年以降は人事・労務担当者も、年末調整のチェック作業が少し楽になるかもしれませんね。 


ふるさと納税の オンラインワンストップ特例申請

ふるさと納税の オンラインワンストップ特例申請

ふるさと納税の オンラインワンストップ特例申請

オンラインで特例申請  

個人のその年の所得・控除によって決まる控除上限金額以内の寄附であれば、自己負担が2,000円で返礼品が貰えるふるさと納税制度。確定申告をする必要がなく、1年で5自治体以内への寄附であれば利用できるワンストップ特例申請制度は、確定申告をハードルに感じている給与所得のみの方、あるいは年金所得のみの方に親しまれ、ふるさと納税の利用数拡大に寄与してきました。最近はマイナンバーカードとその情報が読み取れるスマートフォン又はカードリーダーがあれば、オンラインで申請できるようになっています。  


デジタル庁主導の公的個人認証サービス

オンラインワンストップ特例申請に使用される「公的個人認証サービス」とは、マイナンバーカードのICチップに搭載された電子証明書を利用して、オンラインで利用者本人の認証等を公的に行うためのサービスです。この公的個人認証サービスについては、行政機関だけでなく、民間事業者の各種サービスにも導入可能です。個人認証について、マイナンバーは利用しません。  

民間事業者が公的個人認証サービスを導入する場合は、公的個人認証法に基づき、主務大臣認定を受けて自社が認定事業者になるか、もしくは認定事業者に署名検証業務を委託する形で利用するかの2つの方法があります。  


特例申請は2つの方法を活用している  

ふるさと納税のワンストップ特例申請ができる「自治体マイページ」は、サイトへの登録情報と自治体より提供される寄附情報を紐づけ、ワンストップ特例申請の本人確認を公的個人認証サービスで行い、オンラインでワンストップ特例申請ができるサービスを提供しています。なお「自治体マイページ」を運営するのは民間事業者です。  

また、ふるさと納税の申し込みができるポータルサイトについては、署名検証業務を委託する形で、オンラインワンストップ特例申請ができるサイトが増えています。  

郵送する手間もなく、Webサイトで特例申請が受領されているかも分かるため、今までの紙での申請に比べると、手間の少ない方法になっています。


NISAよりiDeCoが先

NISAよりiDeCoが先

NISAよりiDeCoが先

老後向け資産形成、NISA 以外

老後に向けた資産形成に生かせる非課税制度には、つみたて NISA や新 NISA の積立投資枠で投信を購入するもののほかに、確定拠出年金(DC)もあります。DC には企業型と個人型があり、企業型は勤め先が導入している場合に利用できるものです。

個人型 DC「iDeCo(イデコ)」

個人型確定拠出年金は「iDeCo(イデコ)」と呼ばれ、勤め先に企業型 DC がない人なら、専業主婦を含め幅広い人が対象です。

iDeCo は、国民年金や厚生年金に上乗せされる私的年金制度で、掛金を拠出し、自分で運用方法を選んで掛金を運用します。

iDeCo の税制優遇

iDeCo は、①運用中の利益が非課税になるのに加えて、②iDeCo で積み立てる掛金全額が所得控除の対象となり、所得税と住民税が軽減されます。

さらに、③受け取る時についても、税の優遇があります。受給する額の一部が非課税となります。非課税となる金額は、年金として受け取る場合と一時金で受け取る場合とで異なります。年金として受け取る時は、公的年金等控除の適用があり、一時金で受け取る時は、積立期間を勤続年数とみなして退職所得控除の適用があります。

どちらを選択するかは、税額や健康保険料に鑑みると有利不利があるので、他の退職金や年金の有無、その他の収入見込みやライフプランを考慮する必要があります。

 

iDeCo+(イデコプラス)もある

 

iDeCo+とは、個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入している従業員が拠出する加入者掛金に中小企業事業主が、従業員の老後の所得確保に向けた支援として掛金を上乗せする制度です。事業主拠出掛金は、全額が損金に算入されます。

資産形成は iDeCo から

 

NISA の検討の前に、iDeCo の枠いっぱいを使い切る、というのが原則的有利選択です。iDeCo に加入できるのに、入っていない方が、いまだに多数います。とてももったいないことです。

ただし、①原則 60 歳まで引き出しができない、②投資信託で運用リスクが生ずることもある、③投資の管理手数料がかかる場合がある、④主婦や学生などで課税所得ゼロだと所得控除メリットがない、ということも留意事項です。 

 

非課税期間が無期限に 新NISA のしくみ

非課税期間が無期限に 新NISA のしくみ

非課税期間が無期限に 新NISA のしくみ

2024 年 1 月から新 NISA がはじまる 

 NISA とは、株式・投資信託等の配当・譲渡益等が非課税対象となる個人投資家のための税制優遇制度です。

 

 令和 5 年度税制改正にて、2024 年 1 月から、非課税期間が無期限となり、つみたて投資枠(旧つみたて NISA)と成長投資枠(旧一般 NISA)の併用が可能となります。また、年間非課税枠や非課税保有限度額が増加しました。

 2023 年までの旧制度では制度の併用はできず、つみたてか一般かを選ぶ必要がありましたが、2024 年からの NISA の場合は、非課税保有限度額を共有するものの、制度の併用自体はできるようになりました。

 

売却で非課税保有限度額の復活

 買い付けした金融商品を売却した場合、取得価額分の非課税保有限度額が復活します。例えば限度額いっぱいの 1,800 万円まで NISA を利用している場合、そのうちの取得価額 100 万円の商品を売却すると、100 万円分は限度額が復活します。

 ただし、限度額が復活するのは「売却した翌年」となるので注意が必要です。

 

ロールオーバーは廃止

 非課税期間が無制限となったため、非課税期間が過ぎた金融商品を、次の非課税投資枠に持ち越すロールオーバーは廃止となります。また、2023 年中までの旧 NISA 制度からのロールオーバーもできない仕組みとなっていますが、2023 年までの旧 NISA については、新 NISA 制度の非課税保有枠を圧迫しない別建てとなります。なお、旧 NISAから新 NISA への切替手続きは不要です。

 まだ NISA をはじめていない方で、新 NISAの非課税保有限度額以上の余剰資金がある場合は、今年中に NISA 口座を開設することも検討してみましょう。