年: 2026年

-令和8年度税制改正- ②個人所得課税編(後編)

-令和8年度税制改正-②個人所得課税編(後編)

-令和8年度税制改正- ②個人所得課税編(後編)

住宅ローン控除は5年延長

 住宅ローン減税は、令和12年12月31日まで5年延長されます。

新築等の場合、省エネ性能の高い認定住宅の借入限度額は4,500万円、ZEH水準省エネ住宅は3,500万円、控除率0.7%、控除期間13年です。既存住宅は、認定住宅、ZEH水準省エネ住宅の借入限度額を3,500万円に引き上げ、控除期間を13年に拡充します。令和12年以降、新築が認められなくなる予定の省エネ基準適合住宅は借入限度額を2,000万円に縮減します。

子育て世帯・若者夫婦世帯には借入限度額の上乗せ措置があります。新築等では、認定住宅の借入限度額を5,000万円、既存住宅では、認定住宅、ZEH水準省エネ住宅の借入限度額を4,500万円に引き上げます。

床面積要件は、40㎡の緩和措置(合計所得金額1,000万円超の年を除く)を既存住宅にも拡充します。

ZEH水準を満たさない省エネ基準適合住宅の新築等で令和10年1月1日以後居住のものは住宅ローン控除は適用できません。

また、災害危険区域等における新築等の住宅で令和10年1月1日以後居住のものは住宅ローン控除が利用できなくなります

NISAは18歳未満に拡充

 NISAは、つみたて投資枠の対象年齢が18歳未満、年間投資枠60万円(非課税保有限度額600万円)まで拡充されます。

非課税口座に新たに未成年者特定累積投資勘定を設定し、公募等株式投資信託の受益権に投資します。

12歳以降は、子の同意を得た場合のみ親権者等による払出しが認められ、子の教育資金等に充てることができます。18歳に達すると18歳以上のNISA口座に移行します。令和9年以後、開設するものから適用です。

暗号資産は分離課税に

 暗号資産の譲渡所得等に対する課税は、株式など有価証券取引と同じ分離課税(所得税15%、住民税5%)となります。あわせて、3年間の繰越控除制度も創設されます。金融商品取引法の改正法施行日の翌年から適用されます。

極めて高い水準の所得に対する負担適正化

 高額所得者に対する税の負担適正化のための措置が見直されます。基準所得金額から控除される特別控除額を1.65億円(現行3.3億円)に引き下げ、税率を30%(現行22.5%)に引き上げます。令和9年以後の所得税から適用されます。

 
 

-令和8年度税制改正- ①個人所得課税編(前編)

-令和8年度税制改正-①個人所得課税編(前編)

-令和8年度税制改正- ①個人所得課税編(前編)

基礎控除等を物価高に応じて引上げ

 基礎控除等を物価高に応じて引上げ

基礎控除などの所得控除には、物価上昇に応じた見直しが行われます。

基礎控除は、本則部分を62 万円、令和7年度改正で新たに設けた特例部分は合計所得金額489万円以下で42万円に引き上げ、本則部分とあわせて104万円とします。

給与所得控除は、最低保障額を74万円、基礎控除とあわせた課税最低限を178万円に引き上げます。


同一生計配偶者、扶養控除等も要件引上げ

 同一生計配偶者、扶養親族の合計所得金額要件は62万円以下(現行58万円以下)、ひとり親の生計を一にする子の総所得金額等の要件は62万円以下(現行58万円以下)、勤労学生の合計所得金額要件は89万円以下(現行85万円以下)に引き上げます。
 
 

通勤手当、食事補助の非課税枠は拡充

 自動車で片道65km以上の通勤手当の非課税限度額が増額されるほか、食事支給で非課税となる使用者負担額の上限を月額7,500円(現行3,500円)に引き上げます

ふるさと納税の特例控除額に上限を設定

 ふるさと納税の特例控除額は、個人住民税所得割額の20%に設定されていますが、所得に応じ際限なく増えることに歯止めをかけるため、新たに193万円の上限(給与収入1億円相当)を設定します。令和10年分以後の個人住民税に適用されます。

住民税利子割に清算制度を導入

 住民税利子割はインターネット銀行の取引拡大により、税収が納税者の住所地のある道府県に帰属しないことが問題となっていました。令和8年度以降は、個人に係る所得金額を基準に税収帰属を都道府県間で調整する清算制度を新たに導入します

「条件」がありますが可能です 遺言書の内容と異なる遺産分割

「条件」がありますが可能です 遺言書の内容と異なる遺産分割

「条件」がありますが可能です
遺言書の内容と異なる遺産分割

「相続させる」と「遺贈する」の違い  

遺言は、自分の財産を誰にどのように残したいか確実に伝えるための手段です。 
遺言書のひな型を見ると、次のような表現があります。

 ・「(人名)に(財産)を相続させる」

 ・「(人名)に(財産)を遺贈する」 

「相続させる」は、法定相続人に対してのみ用いられ、「遺贈する」は、それ以外の者に用いられる言い回しです。前者の「相続させる」旨の遺言は、「特定財産承継遺言」といい、「遺産分割方法の指定」に当たります。この遺言は、遺言書を作成した方が亡くなった時点で効力を持ち、財産は遺言どおりに承継すると最高裁で判示されています(分割協議の必要はありません)。 

遺言書の内容と異なる分割はできるのか? 

ただ、遺言書を作成した方(例えば親)が亡くなった後に子が遺言書を確認してみると、親が遺言書を作成した時と事情が変わっていたり、親の意向とは異なる分け方をした方が子らにとって合理的という場合があります。「特定財産承継遺言」の場合、効力が即時に発生してしまいますが、遺言書と異なる内容により、相続人間で遺産を分けることはできるのでしょうか。

相続人全員の合意等があればOK  

実務(判例等)においては、「特定財産承継遺言」でも、次の要件を満たす場合には、遺言の内容と異なる遺産分割ができます。

①被相続人が、遺言で遺産分割協議を禁止していないこと

②相続人全員が遺言の存在と内容を知った上で、遺言と異なる遺産分割協議をしていること 

また、相続人以外の受遺者がいる場合又は遺言執行者が指定されている場合には、受遺者や遺言執行者の同意が必要です。 

なお、国税庁のタックスアンサーでも、①相続税は、遺言の内容でなく、遺産分割協議の内容で計算し、②遺言書の内容で財産を取得した後に、相続人間で交換や贈与があったとはみなされない(贈与税等は課されない)と記されています。

遺言を承認した行為をした後ではNG  

ただし、その遺言に基づいて不動産登記を行った後に、遺言と異なる遺産分割を行う場合には、外見的には遺言を承認する形となるため、相続人間で交換・贈与が行われたとみなされます。所得税・贈与税の課税リスクが生じますので、注意が必要です。