年: 2022年

物から通貨への認知 暗号資産へ税務の変遷

物から通貨への認知
暗号資産へ税務の変遷

物から通貨への認知 暗号資産へ税務の変遷

貨幣性の認知、非課税資産化

仮想通貨は、平成 29 年4月1日施行の改正資金決済法で、法令上の非認知の存在から、支払手段としてその性質が新たに認知されることになりました。これを承けて、平成 29 年度税制改正における政令改正で、消費税課税対象資産であった仮想通貨は、平成 29 年7月1日から非課税資産とされることになりました。ただし、土地のような非課税資産ではなく、また、有価証券のような5%非課税資産でもなく、貨幣と同じ課税対象外的な非課税資産です。したがって、課税売上割合の計算に影響しない譲渡性資産となりました。

暗号資産への名称変更

さらに、仮想通貨ではなく暗号資産と呼ぶのが国際的風潮であることに合わせるために、令和元年に資金決済法の改正がなされ、法令上の名称が「仮想通貨」から「暗号資産」に変更されることになりました。これを承けて、税法令での「暗号資産」への名称変更の改正も一斉に行われ、令和2年5月1日から施行されています。

暗号資産は棚卸資産

暗号資産の譲渡による所得は、暗号資産が棚卸資産として定義されていることから、雑所得・事業所得に区分されます。保有する暗号資産を売却(日本円に換金)した場合の所得金額は、その暗号資産の譲渡価額とその暗号資産の譲渡原価等との差額となります。譲渡原価は、原則として、総平均法により計算した金額となります。その他の必要経費がある場合には、その必要経費の額を差し引いた金額となります。

収入計上基準

保有する暗号資産で商品を購入した場合、保有する暗号資産Aを他の暗号資産Bと交換した場合には、それぞれの受取資産の時価を対価として暗号資産の譲渡がなされたことになります。暗号資産に含み益がある場合、法人では課税の対象になります。

棚卸資産なので

暗号資産は棚卸資産なので、個人が贈与や遺贈により暗号資産を他の個人又は法人に移転させた場合、その贈与や遺贈の時における暗号資産の価額(時価)が暗号資産譲渡対価となります。また、個人が、時価よりも著しく低い価額の対価による譲渡により暗号資産を他の個人又は法人に移転させた場合には、時価のおおむね 70%に相当する金額が暗号資産の譲渡金額となります。

会長による社長へのパワハラ?

会長による社長へのパワハラ?

会長による社長へのパワハラ?

社長が会長によるパワハラを訴えた理由

福岡地裁は 2022 年 3 月 1 日、地場大手パンメーカーの元社長が精神的苦痛を受けたなどとして会社と会長を訴えた「会長によるパワーハラスメント」事案に対し、同社と会長に計 1,045 万円の支払を命じる判決を下しました。
元社長は 1981 年に入社し、2017 年に社長に就任、2019 年 2 月にうつ病を発症して 翌月退社しました。
元社長は社長就任中に業績低迷について、会長から、社内会議で「会社の金を横領するより始末が悪い」「本当に無能だ」「最悪の状況になったら呪い殺してやる」などと言われ、うつ病を発症して退職に追い込まれたと主張しました。

役員間におけるパワハラが成立するのか?

裁判所は、元社長の訴えの一部を認め、上記のような発言が元社長の地位や人格否定につながり、違法と判断しました。
一方で、会社が業績悪化で強い言葉による叱咤激励もやむを得なかったことを認めた上で、元社長への「パワハラが専らうつ病発症の原因となったとは言えない」として、慰謝料は 100 万円に減額して認めるなど、 会社側の主張も一部認めました。
なお、会長の判断で支払われていなかった退職慰労金は、会社に 850 万円の支払が命じられました。

パワハラは労働者だけが対象とは言えない

2022 年 4 月から、中小企業も対象となるパワハラ防止法の正式名称は「労働施策総合推進法」ですので、一般には労働契約を対象にしたものと考えられます。
今回の判決は委任契約にある取締役の間におけるハラスメントも認められ得ることを示唆しています。
本件は地方紙だけでなく、複数の全国紙で社名と会長が実名で報道され、最終消費者に対するパンメーカーとしての信用失墜の影響の方がむしろ大きいと思われます。
パワハラ対策は、社員間だけでなく、対象を広く考える必要があるようです。

退職所得の所得税と住民税

退職所得の所得税と住民税

退職所得の所得税と住民税

退職所得に対する住民税

住民税は、通常は翌年課税ですが、退職所得に対する住民税は、特別徴収により完結する現年課税です。課税権も、退職所得が支払われた年の 1 月 1 日現在の住所地の自治体にあります。
課税標準も、他の所得と分離されているので、完全分離課税となります。所得税での退職所得も分離課税と言われますが、所得税では、合計所得金額の構成要素であり、損益通算や、純損失・雑損失の繰越控除や、所得控除の適用が可能です。しかし、住民税での退職所得については、合計所得金額の構成要素ではなく、損益通算や、純損失・雑損失の繰越控除や、所得控除の適用は出来ません。分離課税の分離の程度が徹底しています。

例外としての総合課税の退職所得

但し、次のような、特別徴収が義務ではない退職所得は翌年課税で総合課税です。
①常時2人以下の家事使用人のみに給与等の支払いをする者が支給する退職手当等
②租税条約等により所得税の源泉徴収義務を有しない者が支給する退職手当等
③退職手当等の支払いを受けるべき日の属する年の 1 月 1 日現在、国内に住所を有しなかった者が国内で受ける退職手当等

合計所得金額の概念が異なる不都合

退職所得があることによって、所得税で、公的年金等控除額が 10 万円又は 20 万円引下げられたとか、配偶者控除・配偶者特別控除が減額又は適用除外になったとか、寡婦控除・ひとり親控除・基礎控除の適用除外となったとか、雑損控除と医療費控除の足切り額が大きくなってしまったとか、ということになったとしても、住民税では、分離課税の退職所得があることによるこのような影響は、完全に排除されます。
とは言え、所得税の申告書の提出だけで、住民税での退職所得の影響の排除は、自動的に完全になされる保証はありません。特に、適用除外の場合の復活は、所得税の申告書だけからでは遡及追跡困難なので、住民税の申告書の提出が必要です。
国民健康保険料や介護保険料や後期高齢者保険料の計算は、住民税に準拠してなされるので、これらの負担にも影響します。

自問と疑問 退職所得は申告不要でよい?

自問と疑問
退職所得は申告不要でよい?

自問と疑問 退職所得は申告不要でよい?

退職所得は申告から外すのが原則

源泉徴収によって納税済みなので、退職所得の金額については、確定申告をする必要がありません。これは、現職当局者執筆の「確定申告の手引」において記されているところです。
それでも強いて退職所得申告をする場合があるとしたら、退職所得の金額を損益通算の対象に出来る場合、退職所得の金額から純損失や雑損失の繰越控除が出来る場合、退職所得の金額から所得控除が出来る場合、寄附金控除の限度額計算で有利計算に出来る場合など、有利選択の場合でしょう。

有利選択でない時に申告に含めると

逆に、「公的年金等に係る雑所得」以外の所得の合計所得金額が 1000 万円超の場合には、公的年金等控除額が一律 10 万円引下げられ、2000 万円超の場合には、一律 20 万円引下げられます。配偶者控除・配偶者特別控除は、本人の合計所得金額が 900 万円から段階的に控除の金額が減少し、合計所得金額 1000 万円超では対象外となります。
寡婦控除・ひとり親控除は、合計所得金額500 万円以下との適用制限があります。基礎控除は合計所得金額 2500 万円以下に限定です。雑損控除と医療費控除の足切り額は合計所得金額が大きくなると増える場合があります。これらの場合に於いては、退職所得を申告に含めると、税負担を増やす結果になることがあります。

突然ですが・・・・

国税庁のホームページの確定申告コーナーにおける今年の確定申告書A「令和3年分用」には、「令和5年1月から申告書Aは廃止され、申告書Bに一本化されます」の文字が記載されていて、確定申告書A用の「手引き」の表紙にも、同じメッセージが記載されています。そして、確定申告書B用の「手引き」の「退職所得がある方」の項目の欄において突然、従来通りの文言の後に「退職所得のある方が確定申告書を提出する場合は、退職所得を含めて申告する必要があります」との追加挿入文を入れ、申告からの除外は許されないとしました。
税制改正無しのままでの解釈変更なのか、改正への予告なのか不明ですが、申告書AとBにおける 2 つの突然のメッセージは、表裏の関係にあるように思われます。

 

パワハラとは何を 判断基準とするのか

パワハラとは何を
判断基準とするのか

パワハラとは何を 判断基準とするのか

パワハラ防止法は 2022 年 4 月からは中小企業にも施行されます。事業主に対しパワーハラスメントを防止するための雇用管理上の措置を講じる義務を課した点に特徴があります。パワハラ防止法が求める措置に対応するためには就業規則等の服務規律に関する文書の整備、社内研修、相談窓口の設置などを行うことが求められます。パワハラに該当することとは何でしょう?

パワーハラスメントの代表的な言動の累計

パワハラに該当する例として以下の 6 類型が挙げられています。
①身体的な攻撃…暴行、傷害
②精神的な攻撃…脅迫、名誉棄損、侮辱、ひどい暴言
③人間関係からの切り離し…隔離、仲間外し、無視
④過大な要求…業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強要・仕事の妨害
⑤過小な要求…業務上の合理性なく能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと
⑥個の侵害…私的なことに過度に立ち入る

指針では、客観的にみて業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導についてはパワハラに該当しないとしています。ただしパワハラと合理的指導の間の境界線が難しいという問題があるので、さらに 7 つの要素をあげています。
ア、当該行動の目的
イ、当該行動を受けた労働者の問題行動の有無、内容、程度等の経緯、状況
ウ、業種、業態
エ、業務の内容、性質、
オ、当該言動の態様、程度、継続性
カ、労働者の属性や心身状況
キ、行為者との関係性
これらの要素を検討した上で業務上必要か相当な範囲かを判断することになります。

パワハラを勘違いしやすいケース

部下指導で注意を行うべき時に部下から「不愉快」ととらえられ、パワハラ被害を訴えられたらと思い注意ができなくなってしまう上司もいます。業務上必要な注意指導は行き過ぎとならぬよう上記の 7 つの要素を考慮して行うことが適切です。また、部下からであっても発言内容・態度によっては上司に対するパワハラも起こることがあります。研修などで労使双方がパワハラ防止意識を高めましょう。

不動産所得の事業的規模とは?

不動産所得の事業的規模とは?

不動産所得の事業的規模とは?


青色申告者が不動産所得を申告する場合、貸室が 5 棟 10 室に届かない場合でも、賃料収入の大きさや賃貸活動の状況などによっては、貸付けが事業的規模に該当すると認めてもらえることもあります。

事業性が認められる場合の特典

不動産所得が事業として認められた場合には、以下の特典が受けられます。
① 建物取壊、除却損の全額を経費に算入
② 貸倒損失を回収不能の年に経費に算入
③ 青色専従者給与が適用可
④ 複式簿記の記帳で 55 万円控除(電子帳簿保存又は e-Tax により 65 万円控除)

社会通念としての事業規模

貸付けが事業として行われているかについて、国税庁は「社会通念上、事業と称するに至る程度の規模」と定義しており、5 棟 10室基準はその例示として示されていますが、判例では「5棟 10 室基準を満たせば事業として行われているものとするという十分条件を定めたにすぎず、当該基準を満たしていなかったとしても、これをもって直ちに社会通念上事業に当たらないということはできないと解する」と示されています。
事業性は賃貸の営利性、継続性や危険負担、精神的・肉体的労力の程度などで個別に判定されます。賃借人が同族会社で安定した賃貸先のため、リスクはないとして事業性が認められなかった判例もあります。

賃貸人のリスクは必ずしも小さくない

不動産賃貸は、事業所得を生む事業と比べ、精神的・肉体的負担は少なく、賃借人が入居してしまえば、設備の不具合でも起きない限り、手間はかからないといえます。
一方、退去時の原状回復、建替時の立退交渉などは負担を伴い、また最近はリモートワークで間取りが少なく狭い物件は、敬遠されがちとなり、リフォームも必要となります。その他、地震による建物の倒壊リスクや、火事の延焼や類焼リスクなど賃貸する側には相応の負担が生じます。

事業性を認めてもらうためには

5棟 10 室まで至らなくても、賃料収入や不動産所得で相応の規模が確保されているのであれば事業性は一定程度、備えているとも言えます。継続的に賃貸を行い、修繕やクレーム対応などきめ細かな賃貸管理は事業性を高めることにもつながります。事業的規模に該当するか気になる時は、税務署に貸室の数や収入金額、事業状況を説明して確認を受けるのもよいかもしれません。

パワハラ防止対策 中小企業にも義務付け

パワハラ防止対策
中小企業にも義務付け

パワハラ防止対策 中小企業にも義務付け

中小企業もパワーハラスメント防止措置

パワハラという言葉はすでに一般的に知られていますが、厚労省はパワーハラスメントの定義について職場において行われる①~③すべての要素を満たすものとして 3つ挙げています。
①優越的な関係を背景とした言動
②業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの
③労働者の就業環境が害されるもの

令和 4 年 4 月より中小企業でもパワハラ防止措置を行うことが義務付けられました。
パワハラについて防止措置を講じなければならないとはどのようなことでしょうか?
①事業主の方針の明確化及び周知・啓発
②相談(苦情も含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
③事後の迅速かつ適切な対応
④相談時、事後対策では相談者や行為者のプライバシーを保護し労働者に周知
⑤相談したことを理由として解雇その他不利益な取扱いをしてはならない

では具体的に何をすればよいのか

①の事業主の方針の明確化とは、職場におけるパワハラの内容、パワハラを行ってはいけない旨を明確にして周知・啓発し、行為者には厳格に対処することの方針を示し就業規則にも規定します。
②の相談に応じるとは、相談窓口を設けて周知すること、相談窓口担当者は適切に対応できるように努める。相談窓口担当は相談マニュアル等で適正な聞き取りができるよう定めておくと対応がスムーズです。
③の事後の迅速かつ適切な対応とは、事実関係を迅速,正確に把握し、速やかに被害者に対する配慮、行為者にも適切な措置を行い再発防止に向けた措置を講じます。
③④の併せて講ずべき措置は相談者・行為者のプライバシーを保護する、相談を理由として不利益な取扱いをしないこと等です。

中小企業がパワハラ対策に取り組むメリット

厚生労働省が公表している個別労使紛争解決制度の施行状況で、令和 2 年度までは過去 9 年間連続で「いじめ・嫌がらせ」に関する相談件数が最多となっています。労働問題は放置しておけば労働者のメンタルヘルスの悪化、勤労意欲の低下、職場環境の悪化、離職率の上昇等負の影響が大きくなります。パワハラ対策に取り組むことは魅力的な職場環境を示し採用の面でもその効果が発揮できるでしょう。

延滞税の計算

延滞税の計算

延滞税の計算

確定申告「簡易な延長」の際にご注意を

令和 3 年分確定申告は、新型コロナウイルス感染症の影響で、その旨を申告書等に書き添えるのみで、4 月 15 日までは「簡易な方法による延長」が可能になっています。
ただし延長した場合、申告により納税が必要なときは「申告した日=納付期限の日」となります。延長した申告書を 4 月 15 日までに出せて一安心し、うっかり納付を忘れてしまった、となれば「延滞税」がかかることがあります。数日であれば大きな金額にはなりませんが、日が経つほど延滞税は高くなり、納期限から 2 か月以上経過すると延滞税率自体が高くなるという曲者です。

延滞税が「切り捨て」される例

払うべき本来の税金を基に、年利によって計算される延滞税ですが、切り捨てルールがあります。
①本税(払うべき元の税)が 1 万円未満の場合は延滞税がかかりません。延滞税ごと切り捨てです。
②延滞税自体が 1,000 円未満の場合は全額が切り捨てです。
③延滞税に 100 円未満の端数があるときは、その端数は切り捨てです。
このように少ない金額については切り捨てになるため、本税が大きくなかったり、数日程度の納付遅れだったりすれば、この切り捨てルールでお咎めなし、ということも多いのです。

2 段階の延滞税率と計算方法

令和 4 年 1 月~12 月の場合、納期限の翌日から 2 か月を経過する日までの期間については「年 2.4%」が延滞税率です。2 か月以降については「年 8.7%」が延滞税率となります。なお、偽りその他不正行為がなく、法定申告期限後 1 年を経過してから修正申告等を行った場合等には、修正申告前の1年以上を経過している期間は計算に含めないという特例があります。
国税庁 Web サイトには、所得税と個人の消費税の延滞税計算が簡単にできるページがあります。
https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/enta
izei/keisan/entai_r03nen.htm

税金よもやま話 自動車にかかる税金の種類

税金よもやま話
自動車にかかる税金の種類

税金よもやま話 自動車にかかる税金の種類

自動車にはさまざまな税金がかかる

居所によってはなくてはならない移動手段の自動車ですが、この自動車にはさまざまな税金がかかります。ガソリン代等にも税金はかかっていますが、今回は車体にかかる税金を詳しく見てみましょう。

購入段階で2種類の税金

皆さんになじみの深い「消費税」は、自動車の購入時にもちろんかかってきます。それとは別に「環境性能割」という税金がかかる場合があります。燃費性能に応じて取得価格の 0~3%(軽自動車の場合 0~2%)が課せられます。
この環境性能割は 2021 年 12 月 31 日までは消費増税後の負担を解消するために、燃費性能の低い自動車に対する税率の軽減措置がありましたが、今年から撤廃されています。環境性能割込みで考えると、今年からは値段が少し高くなっている自動車もあるということです。
昔あった「自動車取得税」は、消費税が10%になった 2019 年 10 月に廃止されています。環境性能割はこの代替という意味合いもあります。

排気量にかかる自動車税

自動車税(軽自動車税)は毎年4月1日時点での自動車の所有者に課せられます。
この自動車税は自動車の排気量によって税額が定められています。2019 年税制改正で、税額が軽減されましたが、2019 年 9 月 30 日前に新規登録した自動車については旧来の税額が適用されています。
自動車税(軽自動車税は除く)は月割りのため、年の途中で廃車等を行った場合は還付が受けられます。

重さにかかる自動車重量税

自動車重量税はその名の通り、自動車の重さによって課される税金です。2 年に 1 度の車検の時に有効期間分を前払いします。
この自動車重量税は、燃費基準に応じて税額が免税もしくは安くなり、新車登録から13 年・18 年を経過する場合、税額が高くなる特徴があります。
自動車重量税については 2022 年税制改正で、キャッシュレス納付制度が創設され、2023 年 1 月からはクレジットカードでも納付が可能になる予定です。

 

「あり」「なし」2択では言えない心情 「なしよりのあり」

「あり」「なし」2択では言えない心情
「なしよりのあり」

「あり」「なし」2択では言えない心情 「なしよりのあり」

「ありよりのなし」「なしよりのあり」

「ありよりのあり」。2016 年頃からSNSで流行りだした若者言葉です。オンライン百科事典の Weblio 辞書によれば、「ありよりのあり」、「ありよりのなし」、「なしよりのあり」、「なしよりのなし」と対比して用いられる一連の表現のひとつで、「あり」「なし」の2択において判定の微妙さを表わす言い回しだそうです。

税務訴訟も課税「する」「しない」の2択

そのような心情は、「課税するのか」「課税しないのか」という税務訴訟の中でも垣間見ることができます。例えば、贈与税について争われた「武富士事件」。日本国内に住所を有しない者は、国内財産のみに課税されるという当時の相続税法の制限納税義務者制度を利用して、子が国外に住所を移した直後に国外へ財産を移転し、その国外財産を親から子へ贈与したという事案です。
これに課税庁側は、1,330 億円の課税処分を行いましたが、最高裁では、納税者勝訴となり、還付加算金などを含めて総額約2,000 億円が還付されました。相続税法も見直され、新たに「非居住無制限納税義務者制度」を設けることになりました。

「課税の公平」から見れば「なし」だが…

この裁判は、納税者勝訴でしたが、裁判所は納税者の行為自体は、租税回避行為だったと判断しています。当時の裁判長は補足意見で次のように述べています。

「租税法律主義」から見れば「あり」

ただ、課税は法律を厳格に適用されるもので、明確な根拠がないのに、安易に拡張解釈や類推解釈をするべきものではありません。最終的には「一般的な法感情の観点からは少なからざる違和感も生じないではないけれども、やむを得ないところである」として納税者側の主張を認めました。つまり、「なしよりのあり」ということです。