年: 2022年

採用において 紹介予定派遣の活用

採用において
紹介予定派遣の活用

採用において 紹介予定派遣の活用

求人状況が改善、求人媒体の動向

アフターコロナで求人が増えて来ると、再び人材不足になることが予想されます。
「マイナビ中途採用状況 2021」では企業が求人に利用したサービスは転職サイト、職業安定所、次いで人材紹介会社 54.5%であり、実際効果があったとしたのは転職サイトに次いで人材紹介会社が 2 位 40.5%となっています。人材紹介会社の利用者が増える傾向にありますが、職業紹介サービス等は「料金が高い等」の不安が 82.9%と高く、経済的な負担が指摘されています。
以上のような状況下で紹介予定派遣の活用が注目されています。

紹介予定派遣とは?

労働者派遣のうち派遣元が派遣先に対して職業紹介を行いまた予定するものを言い、職業紹介によって派遣労働者が派遣先に雇用されることを派遣終了前に約束されることを含むとされています。
紹介予定派遣を行う期間は同一の労働者について最長 6 か月以内とされていて、雇用主が設定する試用期間に似ています。事実上は派遣労働者の働きぶりや資質などから自社が採用する人物を見極める期間として機能していると言えます。
紹介予定派遣は労働者派遣で禁止されている事前面接や履歴書の送付などの派遣労働者を特定することが可能とされています。
派遣先はミスマッチを防ぐためにも詳しい求人条件を明らかにするようにしたいものです。
派遣元も派遣労働者の直接雇用の紹介手数料でビジネスモデルを築くことができ、労働者も正社員雇用を望む人は 42.4%ということから紹介予定派遣で転職に伴うリスクを減らし正社員を目指す期間とされます。

助成金の活用

紹介予定派遣ではキャリアアップ助成金と人材開発支援助成金が利用できます。有期雇用労働者の正社員化等と派遣先と派遣元が共同で職業訓練実施計画を作成し OJT、Off-JT の組み合わせで訓練を実施し助成されるものです。
職業紹介の手数料は普通年収の 30~40%と言われているので、助成金を利用するとそれくらいの額を受けられる可能性があります。

法人実効税率とは

法人実効税率とは

法人実効税率とは

与党税制調査会で法人実効税率の引上げが検討されている旨の報道がされました。
国外では法人税の最低税率を 15%としてこれまでの法人税率引下げ競争に歯止めをかけ、財政基盤を強化しようとしています。

所得に課税される税が対象

法人実効税率は、所得に対して課税される税の負担割合。法人税、地方法人税、法人住民税、法人事業税、特別法人事業税の合計額が課税所得に占める割合を指します。
なお、法人税や地方税は損金になりませんが、事業税は損金になりますので、実効税率の算定で使用する課税所得は、事業税を控除する前の所得に戻したうえで、税金をいくら負担しているかを計算します。

法人税率引下げ競争の終焉

各国は国際間の経済取引において、企業を自国に誘致して課税するため、これまで税率の引下げ競争をしてきました。この結果、法人税収は減り続け、一方で GAFA を始めとする多国籍企業は、本社や工場などの恒久的施設を置かずに事業展開し、所得をタックスヘイブンに集めたため、各国では十分に課税できないことが問題になっていました。このため、OECD では国際的な租税回避に対する課税のあるべき姿を長年にわたり議論し、昨年 10 月にはデジタル課税の導入と合わせ、法人税の最低税率を 15%とすることが決まりました。

資源価格の高騰がもたらす負担増

世界では、経済活動の正常化に合わせて財政の立て直しをはかるため、増税の動きに転じています。しかし、輸入に頼る原油や食糧品などの価格の高騰は、資源の乏しい日本において、コスト上昇分を販売価格に転嫁できるまで企業収益を圧迫することになります。また、法人実効税率の対象とならない消費税、揮発油税などのコストまで含めると、企業の実質的な税負担は更に大きくなってくるのではないでしょうか。

今年の改正税法 所得税・住民税の課税方式統一

今年の改正税法
所得税・住民税の課税方式統一

今年の改正税法 所得税・住民税の課税方式統一

配当金を巡る3つの課税方式

上場株式の配当金が支払われる際には、所得税等が源泉徴収されます。復興特別所得税を除き、税率は、20%(所得税 15%、住民税5%)です。
上場株式の配当金について総合課税を選択すると、配当控除が適用できます。上場株式の配当金について申告分離課税を選択すると、上場株式等の譲渡損失との損益通算や繰越控除の適用を受けることができます。また、申告不要(源泉分離課税)を選択することもできます。

選択の基準

所得税の累進税率から配当控除率(10%)を引いた差引税率が源泉税率(15%)に満たないのは、23%-10%=13%<15%なので、累進税率 23%の適用となる課税所得金額 900 万円以下の場合、所得税での総合課税選択有利の指標となります。
また、住民税は、10%の一律課税なので、配当控除率 2.8%を引いた差引税率は、10%-2.8%=7.2%>5%(特別徴収税率)となり、常に特別徴収税率を超過するので、総合課税の選択は、税負担的に不利です。
それで、所得税では総合課税の選択をし、住民税では、申告不要(源泉分離課税)を選択するのが、有利となります。その上、申告不要の選択で、住民税の合計所得金額が減るので、国民健康保険等の保険料や医療機関における窓口負担額を減らす効果もある、と言われています。

朝令暮改的な今年の改正

昨年の税制改正では、所得税確定申告書の中の記載だけで、所得税と異なる住民税の課税方式選択が完結できるよう、手続の簡素化がなされました。
ところが、このように制度の普及促進をしたばかりなのに、今年の改正では、異なる課税方式選択可能制度を廃止し、所得税と住民税との課税方式を一致させることにしました。この改正は、令和6年度分以後の個人住民税について適用です。
そうすると、令和5年分からの所得税確定申告では、所得税と住民税の両方の税負担合計を計算して、総合課税(配当控除)と申告不要(源泉分離)との選択をすることになります。徴収税率 20%と比較すると、
(23%+10%)-(10%+2.8%)=20.2%
(20%+10%)-(10%+2.8%)=17.2%
となるので、総合課税選択は、累進税率 20%の適用となる課税所得金額 695 万円以下の場合ということになります。

 

今年の改正税法 過年度への遡及適用の珍事例

今年の改正税法
過年度への遡及適用の珍事例

今年の改正税法 過年度への遡及適用の珍事例

遡及適用違憲の訴訟

不動産の譲渡所得を総合課税から分離課税にする改正税法を公布の日より前の年初に遡って適用するとしたことにより、幾つかの遡及立法違憲無効訴訟が起きたのは、2004 年の税制改正でした。2011 年の最高裁判決は、所得税は期間税なのだから、納税義務の確定日としての 12 月 31 日からすれば遡及には当たらない、と言い、適用を4月以降とすることが憚られるほどの緊急の遡及立法の必要性があったと述べて、遡及立法合憲・納税者敗訴としました。

敗訴でも事実上の勝訴効果

しかしその後、その判決内容の納得性の欠如を指摘する多くの判例評釈が書かれ、また、この判決以後に於いては、納税者不利益遡及立法だけでなく、遡及立法一般がほとんど行われなくなりました。
ところが、今年の税制改正では、何年も遡及することを前提にしたものが2件ありました。納税者に不利益をもたらす内容の改正ではないので、係争になる余地はないのですが、極めて珍しいケースと言えそうです。

ソフトバンクスキーム潰しの立法にミス

その一つは、ソフトバンクスキーム潰しと言われた子会社株式簿価減額特例の見直しです。スキームは、外国から買取った子会社に配当をさせて、その子会社の株式評価額を下げ、その後に子会社株式を譲渡して譲渡損を発生させるというものです。それへの対抗策として、評価を下げることになる配当では株式簿価が切下げとなる規定創設で譲渡損発生を防止することにしました。しかし、期中利益の期中配当は、評価減を生まない配当なので、簿価減額処理の対象外であるべきはずだったのに、立法ミスだったのか、そのように制度化されていませんでした。それで、この規定修復がなされ、規定創設時である 2020 年4月1日への遡及適用とされました。

違法無効判決を承けて

もう一つは、最高裁判所の判決(令和3年3月 11 日)が、政令を違法・無効とする内容だったことを承けての見直しです。利益剰余金と資本剰余金の双方を原資とする剰余金の配当(混合配当)での、みなし配当の額の計算結果が、資本剰余金を超える資本金等の額の支払いになってしまうという異常部分の修正です。この改正は、違法無効部分の除去なので、更正の請求の可能な限りの遡及適用となります。

今年の改正税法 違法無効規定の迅速な改正

今年の改正税法
違法無効規定の迅速な改正

今年の改正税法 違法無効規定の迅速な改正

違法無効ゆえの国側敗訴

最高裁判所は昨年3月 11 日、利益剰余金と資本剰余金の双方を原資とする剰余金の配当が行われた場合、変動する資本金等と利益積立金との金額の比例配分計算をする算式を定める政令規定が、法人税法の趣旨に反する結果をもたらす場合があり、その場合には、政令の計算規定は、違法・無効であると、判示しました。資本の分配額の計算の中に益金不算入のはずの利益が混入する結果になる、との指摘でした。

国税当局の速やかな対応

国税庁は、10 月 25 日、違法・無効と判示されていることを受けて、計算規定である当該政令について、配当原資とされた資本剰余金の額を超過してしまうような計算結果をもたらす場合、その超過部分は違法無効なのだから、ゼロとする取扱いになる、と公表しました。さらに、平成4年の税制改正項目として税制改正大綱でその政令規定の改正を表明し、今年改正されて、すでに施行されています。

新政令規定での計算結果

資本金 5000、資本剰余金 1000、利益剰余金 1000、利益の配当 500、資本の配当 500として、これを新政令規定で計算すると、
1000×6000÷7000=857>500 となり、資本の配当額を超過するので、857 は 500 に改められることになります。
資本金 5000、資本剰余金 1000、利益剰余金△1000、資本の配当 500 として、これを新政令規定で計算すると、
500×6000÷5000=600>500 となり、資本の配当額を超過するので、600 は 500 に改められることになります。

資本と利益の混同が震源

利益の資本組入れ、資本による欠損補填、自己株取得など、会計では資本と利益の峻別が甘いのに対し、税務ではこれを厳格に区分して、会計での甘さをカバーし、それを担保するシステムを構築しています。
また一方、税務でも、資本の払戻しという資本取引に対し、平成 13 年に、清算概念を取り入れ、株主拠出資本のみならず利益の清算分配もされているとの取扱いにしました。これがプロラタ計算と言われる比例配分政令計算規定の発生事情です。これは、資本と利益の混同です。
資本・利益に係る会計と税務の差異を相互に拡大し合っていることが、今回の政令規定違法無効の判決を生み出すことになる震源事情と言えそうです。

今年の改正税法 縮減されない住宅ローン控除

今年の改正税法
縮減されない住宅ローン控除

今年の改正税法 縮減されない住宅ローン控除

住宅ローン控除の今年の改正内容

ローン返済の利息の支払額よりも控除額が多い状態、逆ザヤ状態が会計検査院の指摘で問題視されていました。消費税率 10%引上げに伴う措置期間も終了でした。
それらへの対応として、控除率が1%から 0.7%に減少となり、所得要件も 3000 万円以下から 2000 万円以下となり、控除対象年末借入金残高限度額も 4000 万円から2000 万円(新築等で 2023 年末入居までなら 3000 万円)に縮減となり、控除期間 13年も 10 年(新築等で令和5年末入居までなら 13 年)に短縮となりました。
しかし、これらの縮減の例外があります。

非縮減その1 カーボンニュートラル住宅

2050 年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするカーボンニュートラルの実現を目指すため、省エネ性能の高い認定住宅の新築等に限り、住宅ローン控除の借入限度額を、令和5年末入居までなら 5000万円(エネルギー消費性能向上住宅については 4500 万円又は 4000 万円)に増額、令和7年末入居までだと 4500 万円(エネルギー消費性能向上住宅については 3500 万円又は 3000 万円)に増額、控除期間も 13 年とされます。

非縮減その 2 コロナ税特法

昨年の住宅ローン控除関係の改正税法は、コロナ税特法で立法されています。そこでは、令和3年9月 30 日までに契約した新築注文住宅、令和3年 11 月 30 日までに契約した分譲住宅・中古住宅の取得と増改築等、これらを令和4年 12 月 31 日までの間に自己の居住の用に供した場合には、縮減前の昨年の制度がそのまま適用になります。

コロナ税特法の規定が措置法で新設

今年の税制改正大綱の中に、合計所得金額 1000 万円以下の者に限り床面積要件を40 ㎡に緩和する、と書かれています。しかし、昨年の税制改正大綱にも、合計所得金額 1000 万円以下の者については床面積 40㎡から 50 ㎡までの住宅も対象とする特例措置を講ずる、と書かれています。
床面積要件の緩和は、既に昨年に措置済みのことなのに、少し変ですね。
これは、昨年は特別にコロナ税特法での措置としたが、今年は通常通りの租税特別措置法での措置として新設立法としたことの意味のようです。ただ、両規定で期間がかぶっているところがあるので、上記の「非縮減その 2」が生じているわけです。

サイバーセキュリティ お助け隊サービスとは

サイバーセキュリティ
お助け隊サービスとは

サイバーセキュリティ お助け隊サービスとは

サイバー攻撃で工場稼働停止等の実害も

今やパソコンやインターネットを仕事で利用するのが当たり前の世の中になりました。そんな中、近年日本では企業を狙ったサイバー犯罪が増加しています。
警視庁は 2021 年のサイバー空間をめぐる脅威の情勢などについてまとめた資料を公表しました。国内におけるランサムウェアによる被害件数は 146 件で、被害を受けた組織の 54%は中小企業です。
2022 年に入ってもトヨタ自動車の仕入先で、サーバーのシステムを暗号化しサーバー内の情報やシステムの身代金を要求する「ランサムウェア」の攻撃を受けて発注・受注システムが停止し、結果的にトヨタ自動車の部品調達が難しくなり、国内すべての工場が停止するという事例がニュースになっています。

中小企業向けサイバーセキュリティ対策

中小企業はその規模ゆえに、サイバー攻撃の予防や対策を行うための人員・情報等にリソースが割けないのが実情です。そんな中小企業向けに、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)は「サイバーセキュリティお助け隊サービス」をお勧めしています。
この制度は IPA が認定する、サイバー攻撃への対処として最低限必要な施策を効率的かつ安価、確実に提供する企業のサービスを「サイバーセキュリティお助け隊サービス」として認定し、マークを付与するものです。
主な施策は異常がないか監視する「見守り」、問題が発生した時の「駆けつけ」(リモート支援も含む)、サイバー攻撃で突発的に発生するコストへの「保険」です。

IT 補助金では加点、今後は専門枠も

令和 3 年補正予算の IT 導入補助金事業においては、導入する IT ツールとして「サイバーセキュリティお助け隊サービス」を選定していると、補助金の審査について加点が得られるようになっています。
また、経済産業省はコロナ禍における「原油価格・物価高騰等総合緊急対策」に関連する施策発表の中で、サイバーセキュリティお助け隊サービスについては IT 導入補助金の「セキュリティ対策推進枠」として独立した枠を設けることを公表しています。
この機会にサイバーセキュリティ対策について考えてみてはいかがでしょうか。

会計検査院とは どんな組織なのか

会計検査院とは
どんな組織なのか

会計検査院とは どんな組織なのか

税制改正に会計検査院の指摘対応

令和4年度の税制改正にて、住宅ローン控除の大幅な見直しが行われましたが、発表等を見ると「会計検査院の指摘への対応」という文言があります。
低金利の下、実際の住宅ローン控除の借入金利が令和3年までの住宅ローン控除の控除率である1%を下回っている、と指摘をしたのは会計検査院です。普段聞きなれないこの「会計検査院」はどんな組織なのでしょうか。

会計検査院の仕事

会計検査院の仕事は簡単にいうと「国やその周りの組織の経理・財務を監督する」ことです。また、国の決算を確認するという職責も負っています。
会計検査院という組織は明治 22 年(1889年)、大日本帝国憲法が発布されるとともに、憲法に定められた機関になり、財政監督を行ったのがはじまりです。その後の日本国憲法にも第 90 条にて規定がされています。
ちなみに憲法に「会計検査院」という名称が明示されているため、名称を変えるには憲法改正が必要となります。
簡単に経理や財務の監督といいましたが、その内容は多岐にわたります。例えば ODA(政府開発援助)の検査や、医療費・年金の検査、消費税の検査や入札・契約手続きの検査等です。各項目について徴収不足や不正・誤りがないか、法令や制度に改善点はないか等をチェックし、不適切なものを発見したときには、指摘のみにとどまらず、是正や改善を要求する権限があります。

近年ではコロナ関係の検査も

近年では国の財政に大きくかかわる新型コロナウイルス感染症への対策費や感染症対策等による財務への影響についてなどもレポートしており、一部報道などで話題に上がった陽性者接触確認アプリ「COCOA」の不具合対応について、厚生労働省に対して是正改善の処置を求める内容を公開しています。
国会や裁判所に属さず、内閣からも独立した憲法上の機関として、様々な内容をチェックする会計検査院。「国の税務調査を行う税務署」みたいな印象を持ちますね。

マイナンバーカードを健康保険証として 使うと診察料が高くなる?

マイナンバーカードを健康保険証として
使うと診察料が高くなる?

マイナンバーカードを健康保険証として 使うと診察料が高くなる?

マイナンバーカードで診察料が高くなる?

2021(令和3)年 10 月から、医療機関・薬局でマイナンバーカードの健康保険証としての活用が開始されました。医療機関の2割弱で既に導入されているようです。
マイナンバーカードを健康保険証として利用すると診療報酬が加算され、診察料や調剤料が高くなることをご存じですか?
2022(令和4)年の診療報酬改定に「電子的保険医療情報活用加算」が新設され、医療機関や調剤薬局で、マイナンバーカードを使って顔認証付きカードリーダーで資格確認を行った患者は、自己負担3割の場合で、初診 21 円、再診 12 円、調剤9円の新たな負担が生じることになりました。

マイナンバー加算の見直しの動き

マイナンバーカードの利用により診療報酬が加算されることについて、「マイナンバーカード利用で診察料が高くなるのはおかしい」、「従来の保険証を提示した方が安くなるなら、マイナンバーカードは使わない」といった不満の声が出ていました。
当該加算は、カードリーダーなどのオンライン機器設置を医療機関や調剤薬局に促し、(患者同意が前提で)過去に処方された薬の情報を医療機関で共有するなどの目的での加算でした。
しかし、患者負担が増えるのでは、マイナンバーカードの普及促進と矛盾しているのではないかと思います。
政府はマイナンバーカードの健康保険証利用による診療報酬加算について、廃止を含めた見直しを検討しているようですので、今後の動向が注目されます。

将来的には健康保険証が廃止される?

一方、政府はマイナンバー保険証の普及に向け、従来の保険証を原則廃止する方向で検討に入ったようです。
マイナンバーカードの保険証活用導入前から、健康保険証の廃止は検討されていましたが、国民健康保険(各自治体)、健康保険組合、協会けんぽなど保険者が多数存在しますので、完全廃止までには相当時間が掛かるものと思われます。

今更ですが残業手当の 計算方法について

今更ですが残業手当の
計算方法について

今更ですが残業手当の 計算方法について

勘違いしやすい残業計算のポイント

時間外労働や休日労働をさせた場合に原則的にいわゆる割増賃金(残業代)を支払うことになりますが、その計算方法において正しく理解しているとは限らず勘違いして計算しているケースがあります。

割増賃金の算出時に除外できる賃金

給与の時給単価を計算する際には基本給と各種手当も対象です。しかし労働と直接的な関係が薄く個人的事情に基づいて支給されるもので、対象から除外できる賃金があります。
ア、家族手当、イ、通勤手当、ウ、別居手当、エ、子女教育手当、オ、住宅手当、カ、1 か月を超える期間ごとに支払われる賃金、このうち家族手当と通勤手当、住宅手当は、名称が同じであっても一律支給等である場合等は除外できません。
他によくある間違いは、皆勤手当や管理職手当も含めて計算しなければならない点です。管理職手当が割増賃金を含んでいるならば給与規定や雇用契約書に時間外労働の対価であることが明記され何時間相当分かその時間を上回ったら差額を支払うこととなっているかなどの条件があります。このような条件を満たしてない場合は除外されません。また、管理職手当全額が残業代の時は本来の職責部分の扱いはなく、定額残業代と同じ性格を持つと言えるでしょう。

時間外労働の時間数の集計方法

1 日の労働時間は 1 分単位で計算します。
1 日単位の切り捨ては認められていません。
1 か月を集計し切り捨てる場合は労働時間を通算して 30 分未満の端数が出た時は切り捨て、30 分以上の端数は 1 時間に繰り上げすることは認められています。割増金額に 1 円未満の端数が生じた場合や 1 か月間の割増賃金に 1 円未満の端数が生じた時は「50 銭未満は切り捨て、それ以上は切り上げ」ることができます。

1 時間当たりの単価の算出方法

月給制の方の算出方法は、月給÷1 年間における 1 か月平均所定労働時間=時給単価が出ます。
1 か月の所定労働時間の算出は 365 日から年間所定休日を除いて年間所定労働日数を出し、その年間労働日数に 1 日の所定労働時間を乗じて 12 で割ると 1 か月の平均所定労働時間が算出されます。