年: 2022年

ライフスタイルと年金

ライフスタイルと年金

ライフスタイルと年金

人生の様々な出来事と年金の関わり

就職、結婚、定年……人生にはいろいろな出来事がありますが、良いことばかりでなく思わぬアクシデントに遭遇することもあります。年金は人生の転機と大きく関わっています。山あり谷ありの人生のモデルケースのライフステージを見てみましょう。

スタートは 20 歳国民年金の加入から

1.  20 歳になると国民年金加入のお知らせが届きます。日本に住む 20 歳以上 60 歳未満の方は全員加入が原則とされています。第 1 号被保険者となります。


2.  就職して厚生年金保険に入る。高卒18歳で厚生年金保険適用事業所に就職すれば、加入します。大卒 22 歳以上で就職したときも同様です。第 2 号被保険者となります。


3.  海外留学や海外派遣
国民年金の加入者が海外留学中は任意加入となり、加入すれば保険料の納入が必要となります。企業から海外派遣などで勤務する場合は一時派遣であれば日本の年金制度のみ加入、長期は社会保障協定で決められている基準に従い相手国の年金に加入します。

結婚し妊娠、出産、育児休業、退職したとき

妊娠・出産・育児休業期間は保険料免除制度があります。妻が退職し専業主婦となった場合は第 3 号被保険者となり夫の勤務する会社を通して手続きします。再就職しても年収 130 万円未満であれば保険料はかかりません。

夫が退職、自営業となる

夫婦とも第 1 号被保険者(60 歳未満)。市区町村役場で手続きをする。

夫が不慮の事故で急逝、子が交通事故

母子に遺族厚生年金、遺族基礎年金が受給できます(遺族基礎年金は子は 18 歳の年度末まで)。
子は 20 歳で国民年金に加入。万が一の交通事故などで後遺症が残ったときは障害基礎年金が受けられます。

妻再就職で厚生年金再加入

老齢年金を受給できる年齢になったら年金の請求手続きをします。働いているうちは給与に応じて年金額が減額されます。老齢年金と遺族年金の選択も必要です。65 歳にはもう一度、老齢年金の請求書が来るので提出します。

加工賃を対価とする役務の提供? クリーニング店の簡易課税

加工賃を対価とする役務の提供?
クリーニング店の簡易課税

加工賃を対価とする役務の提供? クリーニング店の簡易課税

濱田マリさんのご実家はクリーニング店

3人のヒロイン(上白石萌音さん・深津絵里さん・川栄李奈さん)が親・子・孫の三世代を演じることで話題となっているNHKの朝の連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」。ドラマでは、「るい」(演:深津さん)が住み込みで働く「竹村クリーニング店」の奥様を濱田マリさんが演じています。
実は、濱田さんのご実家もクリーニング店。ご本人は「役作りがいらなかった」とインビューに答えられています。お店を手伝いながら、いろいろなお客様を観察されていたようで、神戸のお嬢様学校に通う娘さんの制服を持ってくるお父さんを見て、「幸せな家庭やなぁ」と思ったそうです。

クリーニング店の簡易課税は第何種?

ところで、国税庁HPの質疑応答事例を見ると、クリーニング店の消費税・簡易課税の事業区分が取り上げられています。

クリーニング店は、顧客の洋服などに加工等(洗濯・アイロン)を施して、料金をもらっているのだから、消費税で言うところの「加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供」を行う事業として第四種事業(その他の事業。みなし仕入率 60%)と考えてもよいかというものです。

加工賃を対価とする役務の提供とは?

この第四種事業とされる加工賃を対価とする役務の提供とは、「他の者の原料若しくは材料又は製品等に加工を施して、その対価を受領する役務の提供」をいいます。
これは、日本産業分類の大分類が「製造業等」とされる事業者が下請けで原材料の支給を受けて加工のみをする場合に、第三種事業(みなし仕入率 70%)としてしまうと控除率が高すぎるということから、第四種事業として取扱うというものです。
しかし、クリーニング店や自動車修理店のような業種は、加工賃をもらうとしても、日本標準産業分類上、「サービス業」となっていますので、これに当たらず、第五種事業(みなし仕入率 50%)となります。

相続税額の取得費加算の特例

相続税額の取得費加算の特例

相続税額の取得費加算の特例

相続で土地、建物、株式などの財産を取得した後、これらを譲渡した場合、譲渡所得に所得税が課されます。この場合、相続財産の譲渡に係る「取得費加算の特例」を利用することにより譲渡した資産に対応する相続税額を取得費に加算し、譲渡所得を減らすことができます。

相続人の譲渡所得税の負担を軽減する制度

この制度は、相続により財産を取得した者が、納税資金の捻出などのため、相続財産を売却しようとする場合、被相続人の取得時から蓄積されたキャピタルゲインに課税されることから、納税者の所得税負担に配慮した調整措置として設定されています。

適用要件は3つ

この制度を利用する要件は次の3つです。
① 相続または遺贈により財産を取得した者であること。
② その財産を取得した者に相続税が課税されていること。
③ その財産を、相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後、3年を経過する日までに譲渡していること。

上場株式の譲渡で申告不要の選択に注意!

上場株式を譲渡した場合、申告分離課税で申告するか、申告不要とするかを選択することになりますが、先に申告不要を選択したときは、後で「取得費加算の特例」を適用した方が有利であることに気付いたとしても、既に申告不要で確定申告しているので更正の請求は難しくなります。
租税特別措置法には、やむを得ない事情がある場合に「取得費加算の特例」を認める宥恕規定があります。しかし、確定申告で申告不要を選択したことだけでは、その申告が計算の誤りや国税に関する法律の規定に従っていなかったとされず、宥恕規定の適用が認められなかった判例があります。

相続空き家の特例とは重複できない

相続で空き家を取得した後、譲渡した場合、一定の要件を満たせば 3000 万円の特別控除ができる「相続空き家の特例」を適用できますが、適用した家屋と敷地に「取得費加算の特例」は重複適用できません。
なお、相続した土地に居住用家屋と倉庫がある場合、被相続人の居住用家屋とその家屋に対応する敷地の譲渡には「相続空き家の特例」を適用し、「相続空き家の特例」が適用されない倉庫とその倉庫の敷地の譲渡には「取得費加算の特例」を適用する使い分けができます。

その外国会社への請求書、消費税 が請求漏れとなっていませんか?

その外国会社への請求書、消費税
が請求漏れとなっていませんか?

その外国会社への請求書、消費税 が請求漏れとなっていませんか?

輸出品だから全部免税というわけではない

事業主が国内で商品の販売をしたり役務の提供をしたりすると、原則として消費税がかかります。しかし、これらが輸出取引に当たる場合には消費税が免除されます。
消費税などの間接税は、消費される国で課税されるよう国境税調整により税を課さないことが国際慣行となっているためです。
輸出免税は事業者にもよく知られていて、輸出=消費税なしとの認識が多いと思われます。しかしながら、輸出免税を受けるためには、資産の譲渡等が輸出取引となることについて、その輸出取引等の区分に応じて一定の証明が必要です。
なお、最終的に輸出されるものであっても、①輸出する物品の製造のための下請加工や②輸出取引を行う事業者に対して行う国内での資産の譲渡等は輸出取引ではないので、輸出免税とはなりません。
また、輸出の取引条件によっては、買主が外国企業であっても国内譲渡とされ、輸出免税とならない場合(Ex-Works:EXW=工場渡しの場合)もあります。要注意です。

外国と直接取引だから全部免税でもない

非居住者に対して行われる役務の提供は、①国内資産の運送保管、②国内での宿泊や飲食、③その他国内において直接便益を享受するものを除き、輸出免税の対象になります。
役務提供などの場合には、その契約書などで一定の事項が記載されたものが、輸出取引等の証明として必要です。
役務提供を受ける者が日本国内に支店又は出張所等を有していれば、そこと取引があったものとして輸出免税から外れます。
しかしながら、外国の本店等とのみの直接取引であれば免税となりますが、国内支店又は出張所等の業務と関連するものでないことが条件とされます。条件確認が複雑です。

消費税請求漏れを追加請求で回復できない

相手が外国の会社(=非居住者)だから消費税の課税はないと思い込んで消費税を付加しない取引を行い、後日税務調査などで消費税の課税漏れを指摘されたような場合には、その課税漏れ分は自社の負担となってしまいます。よっぽど販売側の力関係が強い場合でない限り、税金を追加でもらうことはできません。取引時に慎重に課税の有無の検討が必要です。注意しましょう。

成年年齢の引下げの 法令施行と未成年者控除

成年年齢の引下げの
法令施行と未成年者控除

成年年齢の引下げの 法令施行と未成年者控除

民法の成年年齢の改正と税法

平成 30 年(2018 年)6月 13 日に民法改正法が成立し、成人年齢が 20 歳から 18 歳となりました。
それを承けて、税法上の対象年齢を 20 歳から 18 歳に引き下げる様々な規定の改正が平成 31 年にありました。
以下、一覧列挙してみます。
①相続税の未成年者控除の対象相続人
②相続時精算課税制度における受贈者
③直系尊属から贈与を受けた場合の贈与税の税率の特例における受贈者
④非上場株式等に係る贈与税の納税猶予における受贈者
⑤NISA非課税口座開設可能居住者
⑥ジュニアNISAの開設並びに非課税管理勘定及び継続管理勘定の設定可能居住者
⑦国税犯則調査手続における臨検等及び国税徴収手続における捜索の立会人並びに税理士となる資格を有する者
上記⑤と⑥は令和5年(2023 年)1月1日からの適用で、他は改正民法の施行日と同一の令和4年(2022 年)4月1日からの適用です。

未成年者控除の改正内容

この中の未成年者控除については、平成25年度税制改正で、成人に達するまでの1年あたり6万円から 10 万円に増額されています。
今年の4月からの控除額の計算式は、(18 歳-相続開始時の年齢)×10 万円= になります。
また、未成年の内に何度かの相続を経験する場合での2回目以降の未成年者控除額は、過去の相続での負担すべき相続税額が少なくて控除仕切れなかった場合の控除未済額となります。

控除未済額の修正計算

1回目の相続が令和1年(11 歳、相続税額 50 万円)に開始したとした場合、1 回目の控除可能額は 90 万円(=(20 歳-11 歳)×10 万円)となり、相続税額を超えているので相続税額全額が控除され、控除未済額40 万円あったことになります。
2回目の相続が令和4年(14 歳、相続税額 100 万円)に開始したとした場合、1回目相続時の控除未済額を、18 歳に達するまでの年齢で計算し直し、20 万円(=(18 歳-11 歳)×10 万円-既控除額 50 万円)とします。これが、2回目の控除額となります。

令和 3 年分確定申告書 すぐ消える変更点

令和 3 年分確定申告書
すぐ消える変更点

令和 3 年分確定申告書 すぐ消える変更点

提出が楽になった配当所得の選択制度

上場株式の配当金は、所得税 15.315%と住民税 5%が源泉徴収済の状態で支払われますが、実際の申告は総合課税・分離課税・(特定口座の場合)申告不要と課税方式が選択できます。
また、課税所得900万円未満の場合、配当控除の控除率の関係で、所得税と住民税で申告方式を変えることによってかかる税金を減らせるというテクニックが存在します。
所得税等の確定申告時には総合課税を選択し、その後市区町村に住民税の申告書提出等の所定の手続きを行うことで、住民税側は申告不要を選択、という手続きが取れるようになっていました。さらにこの申請の二度手間を無くすため、令和 3 年分確定申告からは、申告書第 2 表の「住民税に関する事項」に「特定配当等・特定株式等譲渡所得の全部の申告不要」というチェック欄が新設され、ここにチェックを付けておけば、市区町村に手続きを取る必要がなく、住民税については申告不要を選択できるようになりました。

ただし、将来選択できなくなります

令和 4 年度税制改正大綱で「上場株式等の配当所得については個人住民税において、課税方式を所得税と一致させる」という一文があるため、この改正を適用する令和 5年分の確定申告書は、おそらく今年新設された「申告不要」のチェック欄は無くなっているものと思われます。

健康保険料等にも影響がある選択制度

この申告方式の所得税・住民税個別選択については、健康保険料や医療費の窓口負担割合についても有利な選択ができるため、社会保障制度の公平な負担という面で見ると課題があるため改正されたとする報道もあります。また、金融所得課税全体の見直しは、令和 4 年度の税制改正では見送りとなりましたが、その一環であることも事実でしょう。
今後の税制見直しでも、どの程度、どんな所得や資産を持つ人に、どのくらいの負担を求めてゆくのかという「公平性」の判断については、議論を重ねて慎重に決めていただきたいものですね。

赤信号無視と共謀罪既遂

赤信号無視と共謀罪既遂

赤信号無視と共謀罪既遂

赤信号無視で逮捕・訴追されることもある

歩行者の赤信号無視が警察官の目の前で行われても、せいぜい注意される程度で、逮捕・訴追されることなど滅多にありません。かつて、オウム事件勃発の頃にニュースになった逮捕事件があった程度です。
ただ、赤信号無視の個人を法的に責めるとしたら、行政処分ではなく、通常の犯罪として刑事訴訟法の手続きに則り、書類送検、起訴という手続きをとらなければならず、非常に厄介、国民平等待遇の問題もあり、現実としては大目に見て無視しているということなのでは、ないでしょうか。
でも、決して法律違反者であるという事実が無くなる訳ではありません。

共謀罪の構成要件・計画の準備行為

租税回避計画を前提に、共謀罪法の条文を読んでみると、「計画をした犯罪を実行するための準備行為が行われ」が構成要件の内容で、「計画をした犯罪」とは「偽り不正の行為により税を免れること」です。税の抜け穴プランを思い付いて、話題にした程度の個別具体性がない段階ではまだ、計画にもならないと思われます。
過去の事例で言えば、自己株取得・みなし配当、チェック・ザ・ボックスによる株式簿価の膨張、日本国内親会社の設立とそこへの譲渡、創出欠損金は 4000 億円、それから合併又は連結、と具体化したところまでが計画の段階で、株式簿価膨張のための評価依頼先をどこにするか、日本親会社たる有限会社は設立でなく買い取りとしてその候補を探す依頼先を検討する、ということになると、準備行為開始の段階です。
結果として、そのプランを実行した場合に否認され「偽り不正の行為」と認定される可能性があるものだとしたら、この準備開始段階に至れば、共謀罪では既遂です。

赤信号無視と同じ共謀罪違反者

共謀罪違反につき税務署に通報義務はなさそうです。訴追については、警察・検察の仕事であり、情報もないことから、通常は租税の「偽り不正の行為」事件には無関心なのではないかと、思われます。
しかし、もし、節税・租税回避プラン作りに、「偽り不正行為」と認定される回路があるとしたら、租税訴訟とは別に、共謀罪既遂者として法律違反を問われる条件事実はすでにある、ということになります。
赤信号無視者と同じ状況です。

 

転職者の 5 割以上が 新しい職場に満足

転職者の 5 割以上が
新しい職場に満足

転職者の 5 割以上が 新しい職場に満足

転職者実態調査

厚生労働省は昨年 11 月に令和 2 年の「転職者実態調査」の結果を公表しました。
この調査は転職者の採用状況、就業意識などの実態を把握するために行われていますが、今回の調査は常用労働者を 5 人以上雇用する企業 17,000 件の中で働く転職者から 1 万人を無作為で選び令和 2 年の転職者について実施しました。

現在の勤め先には満足ですか?

転職者の現在の職場の満足度については「満足」「やや満足」とした人は 53.4%、「不満」「やや不満」の人は 11.4%で、その差で表す「満足度指数」は 42.0 ポイントとなっています。また、満足度の内容はどの項目でも全体的にみて事業所規模が大きいほど満足度は高く、中でも「仕事内容・職種」が最も高く 60.5 ポイントでした。

転職者の離職理由と転職先選定の理由

転職者の直前の勤務先からの転職理由は「自己都合」が 76.6%ですが、そのうち「労働条件(賃金以外)が良くなかった」が28.2%と一番多く、「満足のいく仕事内容でなかった」が 26.0%、「賃金が低い」が23.8%となっています。
転職先に現在の勤務先を選んだ理由は「仕事内容・職種に満足できるから」41%で最も多く「自分の技能、能力が生かせるから」が 36.0%、労働条件(賃金以外)が良いから」が 26%となっています。

転職者の応募方法、企業の募集方法

転職者はどのような方法で転職活動(複数回答)を行っていたのでしょうか?
「求人サイト・求人情報専門誌・新聞・チラシ等」が 39.4%と最も多く、次に「ハローワーク等の公的機関」34.3%、「縁故」26.8%となっています。
一方で転職者を採用した企業の募集方法(複数回答)は「ハローワーク等の公的機関」が 57.3%、次いで「求人サイト・求人情報専門誌・新聞・チラシ」が 43.2%、「縁故」が 27.6%となっています。
転職先になる企業も求人の職種や欲しい年齢層にもよりますが、自社にとって有効な求人媒体で企業アピールし、来てほしい人材に応募してもらえる努力が必要ですね。

シフト制で働く人の 雇用管理

シフト制で働く人の
雇用管理

シフト制で働く人の 雇用管理

パート、アルバイトの方の労働時間

勤務する前の雇用契約時には労働日や勤務時間を確定的に決めず、一定期間ごとに作成される勤務割りや勤務シフトなどにおいて初めて具体的に労働日や労働時間が知らされるような勤務形態があります。
このような形態は柔軟に労働日や労働時間を設定できる点で当事者双方にメリットがありますが、事前にはいつ働くか、何時間くらい働くかおおよその情報はわかっているものの、シフト表ができて初めて知るケースも多いものです。そのため労使紛争になってしまう場合もあります。
厚生労働省でこのような形態で働く人のための雇用管理について留意すべき点をまとめました。

シフト制労働契約締結においての留意事項

労働契約の締結時にすでに始業・終業の時刻が確定している日については労働条件通知書などに「シフトによる」等と記載するだけでなく労働日ごとに始業・終業時刻を記載するようにして、労働契約の締結時にその時の一定期間のシフト表等も併せて労働者に交付しましょう。
休日についても事前に具体的な休みや曜日が確定していない場合でも、休日の設定に決めている事項は明らかにしておかなければなりません。

シフト制労働者を就労させるときの注意点

アルバイトやシフト制で働いていても年次有給休暇は発生します。所定労働日数や労働時間数に応じて法定の日数の年次有給休暇が発生します。原則は本人の請求する時季に与えなくてはなりませんがシフトで出る日だから休ませないということはできません。もちろん使用者には時季変更権もありますから話し合って調整はできます。
休む労働者側もシフト表ができる前に休む予定がわかっているなら、休む日はシフトから外してもらうなど事前に申し出することは必要でしょう。
また、シフト制労働者を会社都合で休ませる時は平均賃金 60%以上の休業手当が必要です。
しかし、昨今のコロナ禍の状況でシフト制労働者に賃金を支払えない場合であれば給付金の申請等をしてあげるなり、申請を本人に知らせてあげるのがよいでしょう。

3000 万円特別控除 と措置法重複適用

3000 万円特別控除
と措置法重複適用

3000 万円特別控除 と措置法重複適用

土地バブルとマンションバブル

昭和の土地バブルの時代には、頻繁に住宅を買い替えることにより、よりリッチな物件に住み替える、という事例が沢山ありました。所有によりアパート賃料分が留保されるだけでなく、所有により含み益が蓄積される、という効果が人の心を動かしました。
現在は、マンションバブルの傾向を示しています。首都圏では 2000 年以降、近畿圏では 2010 年以降に建築した中古マンションの譲渡価格が新築時の価格を上回る傾向にある、との民間公表データもあります。
譲渡益も、建物の減価償却があるから譲渡益が出るのではなく、その償却額を超える譲渡益が出る、という事です。

会計検査院の指摘

令和2年の税制改正で、住宅ローン控除の規定の「翌年又は翌々年中」という文言が「翌年以後3年以内」という文言に改正されました。これは、会計検査院が措置法特典の不適正な重複適用として実態報告をしたことに端を発しています。会計検査院の検査報告によると、新居を購入して住宅ローン控除を受けている人で、旧居に居住しなくなってから3年目に旧居を売却して居住用資産譲渡の 3000 万円特別控除の特例の適用を受けていた人が平成 28 年、29 年の2年間で 37 人いたとしています。そして、この 37 人の重複減税額の合計が 5011 万円であった、としています。税率で割った一人当たり平均譲渡益は 900 万円前後です。
会計検査院の検査した事例も、最近の不動産バブルを反映しています。

特例の連続適用・重複適用

今はマンション住み替えの都度、譲渡益が発生する時代になっています。そして、期間が3年超ならば、3000 万円控除の連続適用が可能です。さらに、住宅ローン控除の適用を受けていたとしても、その居住物件の譲渡による譲渡益に対する 3000 万円控除の適用も可能です。
会計検査院の指摘と紛らわしいところですが、同一物件に係る譲渡益に対する 3000万円控除の適用と住宅ローン控除の適用には、特例併用の制限はされていません。会計検査院の指摘したのは、異なる物件での住宅ローン控除と 3000 万円控除の重複適用の場合の事なので、同一物件での重複適用に対する注文ではなかったのです。