年: 2022年

子供のない夫婦の相続

子供のない夫婦の相続

子供のない夫婦の相続

子供のない夫婦が将来起きる相続を考えるとき、誰に自分の財産を託したいか、遺言書で自らの意思をはっきり残しておくことが大切です。

相続人の範囲

遺言書がなく、遺産分割協議もできない場合、財産は、相続人に法定相続分で引き継がれます。被相続人の配偶者は常に相続人となりますが、被相続人の外に血族がいるときは、被相続人の子供(第1順位)、被相続人の父母など直系尊属(第2順位)、被相続人の兄弟姉妹(第3順位)の順で、それぞれが配偶者とともに相続人となります。

甥、姪への予期せぬ相続

被相続人に子がなく、両親も他界、兄弟姉妹も既に死亡しているときは、兄弟姉妹の子(被相続人にとっては、自身の甥、姪)が代襲相続人として相続することになります。兄弟姉妹との間で、生前、仲たがいしていた場合、甥、姪にとって思いもかけない財産が舞い降り、お互い想定していなかった財産移転が起きることもあります。

遺言書で財産の引継ぎ先を指定する

このような意図しない相続が行われないようにするためには、遺言書を作成しておくことで、財産を引き継がせたい人に渡すことができます。兄弟姉妹がいる場合でも、遺言書があれば配偶者に100%財産を渡すことができます。遺留分は兄弟姉妹にはありません。ただし、夫婦のどちらが先に亡くなるかは分からないため、夫婦それぞれで自分の財産を相手に渡す遺言書を作成しておく必要があります。

自分の人生の総括を

配偶者の外に財産を移転させたい場合には、公益団体等に寄附して社会貢献する遺贈寄附という方法もあります。遺言書を利用して自分の人生を総括し、自身の財産を承継してほしい人や団体に財産を移転することは、意義があるかもしれません。
遺言書には、公正証書遺言と自筆証書遺言の2つの方法があります。前者は公証人役場で公証人が立ち会って遺言書を作成してもらう方法。後者は自書で遺言書を作成する方法。令和2年7月から自筆証書遺言書を法務局に保管してもらうことも可能になりました。瑕疵のない遺言書を確実に作成したい場合は公正証書遺言とし、自身の意思を伝えることが主な目的であれば、自筆証書遺言で良いかもしれません。自身に合った方法を選択してはいかがでしょうか。

 

新型コロナウイルス感染症対策 事業再構築補助金の見直し・拡充

新型コロナウイルス感染症対策
事業再構築補助金の見直し・拡充

新型コロナウイルス感染症対策 事業再構築補助金の見直し・拡充

令和 4 年度も公募を継続

ポストコロナ時代の社会への対応支援として始まった事業再構築補助金は、新分野展開や業態転換、事業・業種転換等の取組、事業再編又はこれらの取組を通じた規模の拡大等を目指す企業・団体等の新たな挑戦を支えるための制度です。
令和 3 年度補正予算が成立し、事業再構築補助金については、制度内容が見直されつつ、令和 4 年度も引き続き継続される予定です。
2022 年 3 月 24 日公募締め切りの第 5 回公募については、
1. 新事業の総売上高の 10%以上となる事業計画の策定要件の緩和(付加価値額の15%以上でも OK)
2. 補助対象経費の見直し(改修中の貸工場・貸店舗等の賃借料についても OK)
3. 農事組合法人の対象法人への追加 の見直しがなされています。

第 6 回以降の変更点

第 6 回公募以降では、事業類型や要件が大きく変更となる予定です。主要な変更内容を確認してみましょう。


①売上高 10%減少要件の緩和
今までは「コロナ前後を比較して、任意の 3か月の合計売上高が 10%以上減少しており、かつ 2020 年 10 月以降の連続する 6 か月のうち 3 か月の合計売上高がコロナ以前と比較して 5%以上減少していること」が要件でしたが、「コロナ以前と比較して任意の 3 か月が 10%以上減少」していれば申請可能となりました。


②回復・再生応援枠・グリーン成長枠の新設
業況が厳しい事業者や事業再生に取り組む事業者を対象とした申請類型を新設して、通常の補助率 2/3 を 3/4 に引き上げる措置を行います。また、事業再構築指針の要件については主要な整備の変更を求めない等の緩和措置も併せて行われるようです。また、グリーン分野での事業再構築を通じて高い成長を目指す事業者を対象に、補助上限額を最大 1.5 億円まで引き上げたグリーン成長枠が新設されます。
枠の新設に伴って、今まで公募されていた「緊急事態宣言特別枠・卒業枠・グローバルV字回復枠」は廃止となります。

 

 

NISAの現状とおさらい

NISAの現状とおさらい

NISAの現状とおさらい

NISA は浸透したのか

NISA とは、株式・投資信託等の配当・譲渡益等が非課税対象となる個人投資家のための税制優遇制度です。3種類あり、金融庁発表の2021年6月末の各制度の利用状況は、
(一般の)NISA:約 1237 万口座
つみたて NISA:約 417 万口座
ジュニア NISA:約 57 万口座
となっています。
まだつみたて NISA がなかった制度開始時の 2014 年 3 月末時点のデータでは、NISA総口座数は 492 万となっているため、7 年間で約 3.5 倍の利用口座増となっています。
「家計の安定的な資産形成の支援」と「成長資金の供給」を目的とした NISA 制度は、徐々に定着してきているようです。

NISA の特徴をおさらい

NISA の特徴は
1.投資で得た利益が非課税になる
2.毎年の購入上限枠がある(一般 120 万円、つみたて 40 万円)
3.非課税期間は一般 5 年間、つみたて 20 年間
というところです。通常株式等の売却益が出た場合、所得税や住民税がかかりますが、NISA で出た利益に関しては非課税となるのでお得です。一方、損が出てしまった場合は、他の口座との損益通算や損失の繰越しができないデメリットも存在します。

非課税期間が終わる際の選択肢

一般の NISA 口座の場合、非課税期間 5 年が終了した場合、以下の選択が可能です。
1.非課税期間終了までに売却
2.翌年の非課税投資枠に移管
3.他の課税される口座に移管
非課税期間終了までに売却すればその利益は非課税です。翌年の投資枠に移管する場合の上限がないため、前述した「購入上限枠」を超えての持ち越しが可能ですが、その年の新規投資枠は 0 円ということになります。他の課税される口座に移管した場合は、その移管時の価格が取得価格となるため、非課税期間に値上がりした価格差はきちんと非課税扱いとなります。
なお、2024 年 1 月から、新 NISA 制度が始まりますが、現状の NISA を行っている方は一部銘柄を除き「翌年の非課税投資枠に移管」が継続して行えます。

確定申告書 第一表の「区分」とは?

確定申告書
第一表の「区分」とは?

確定申告書 第一表の「区分」とは?

ずいぶん増えた「区分」の欄

令和3年分の確定申告書 B の第一表の用紙を見てみると「区分」という欄が目立ちます。令和元年以降用確定申告用紙と比べてみると、左側だけで 10 か所も「区分」が増えています。
この「区分」の欄ですが、その項目の金額がどういう分類のものかを細分化して説明するための欄であり、申告書の金額が添付書類や第三者作成書類等と合っていれば、記載しなくても問題にはなりません。手書きで申告書を作成する方に対してのガイド、もしくは申告書の金額がどのような根拠で計算されたかをチェックするための項目、といった意味合いが強いですね。

事業や不動産の「区分」は青色判定に利用

例えば事業収入・不動産(区分 2)の欄については、
1:電子帳簿保存法で税務署長の承認を受けて、元帳等の電磁的記録等による保存を行っている
2:会計ソフト等を利用して記帳している
3:日々の取引を複式簿記に則って記帳している(1・2 の該当を除く)
4:複式簿記以外の簡易な方法で記帳している(2 の該当を除く)
5:いずれにも該当しない
という区分になっています。この区分を確認することによって、青色申告を行っている場合は特別控除の適用額等が変わってくるのをチェックができる、という具合です。

謎の区分、その正体は?

雑収入の「業務」の区分ですが、国税庁が出している令和 3 年分の確定申告書手引きでは「記入不要です」とだけ記載されています。
この欄はおそらく、令和 2 年度税制改正で出された、令和 4 年分の申告から適用される雑所得の業務の現金主義特例か、1,000万円を超える業務収入がある方の収支内訳書の添付義務、業務収入 300 万円超の方の現預金等取引関係書類の保存義務、あたりに関する項目と思われます。
今後もこのような区分は増えてゆくのでしょうか。

 

 

扶養義務者間での贈与非課税

扶養義務者間での贈与非課税

扶養義務者間での贈与非課税

夫婦や親子、兄弟姉妹、孫など扶養義務者間で財産を移転させる場合、一義的には贈与となります。しかし、生活費や教育費、結婚費用などの贈与で通常必要と認められる範囲のものであれば非課税となる取扱いがあるので心配し過ぎることはありません。

民法と相続税法の扶養義務者の違い

民法では、直系血族、兄弟姉妹及び家庭裁判所が認めた場合は3親等内の親族を扶養義務者と定めています。また、夫婦間には扶助義務を定めています。
扶養義務には、生活保持義務と生活扶助義務があり、前者は夫婦間及び親から独立していない子に対し、自己の生活程度と均しく生活を全面的に保持する義務、後者は、それ以外の親族に対し、自己の地位相応な生活を犠牲にすることなく、相手方の生活維持に必要な生活費を給付する義務です。
相続税法では、この民法に規定する扶養義務者に扶助義務を有する配偶者を加えて扶養義務者と定義しています。

贈与非課税の事例

次は扶養義務者間で通常必要と認められる範囲であれば非課税贈与となる事例です。
① 子供の学費、下宿先の賃料、食費を負担
親が経済力のない子供に、必要な生活費や教育費を負担することは、民法に規定する直系血族間の扶養義務の履行と言えます。
② 兄弟姉妹の生活資金を負担
経済力のない兄弟姉妹に、日常生活に必要な資金を負担することは、民法に規定する兄弟姉妹間の扶養義務の履行と言えます。
③ 妻の老人ホーム入居金を負担
夫が経済力のない妻に、介護付老人ホームの入居金を負担するのは民法に規定する夫婦間の扶助義務の履行と言えます。

過度の資産移転には課税される

生活資金や教育資金を贈与する場合でも、通常必要と認められる範囲を超えて贈与してしまい、使い切れずに預貯金となる場合、株式など資産の購入に充てられた場合は、贈与税が課されます。妻の老人ホームの入居金を負担する場合でも、高額で広い居室のときは課税される可能性が高くなります。
このように扶養義務者間の贈与は、相続税法の贈与非課税の規定で対応できますので、必ずしも直系尊属からの教育資金や結婚子育て資金の一括贈与の制度を利用する必要はありません。それでも相続対策に一括贈与の制度を活用する場合は、通常必要な範囲を超えた財産移転に注意しましょう。

 

自己の土地か他人の土地かで違う スキー場のゲレンデ整備費用

自己の土地か他人の土地かで違う
スキー場のゲレンデ整備費用

自己の土地か他人の土地かで違う スキー場のゲレンデ整備費用

北京オリンピック・スキー会場は張家口

北京オリンピック2022のスキー・スノーボード競技は、河北省にある張家口で行われました。高地で傾斜のある場所でのコース作りは大変だったでしょう。現代の冬季オリンピックは種目も増えていますので、尚更です。NHKの報道では、今回のオリンピックでは、コースの約90%は人工雪で作られ、100台以上の機械でスタッフも2交替・24時間態勢で整備したとのことです。

スキー場のゲレンデ整備費用の通達

日本の所得税や法人税では、このような整備費用について、通達があります。
積雪地帯のスキー場でリフト、ロープウェイなどの索道事業を営む事業者は、既存のゲレンデに、次のような支出をした場合には、支出日の必要経費・損金となります。

自己保有土地の整備費用は、構築物

これらの支出以外で、自己所有の土地をスキー場として整備するための土木工事(他人の土地を有料のスキー場として整備する場合を含む)に要する費用は、構築物(競技場用・運動場用のもの・スキー場の土木工事・30 年)の取得価額となります。

他人の土地の整備費用は、繰延資産

国、地方公共団体や民間の開発会社から借りた土地をスキー場として整備する場合もあるでしょう。他人から借りた土地をゲレンデとして整備するために立木の除却、地ならし、沢の埋め立て、芝付け等の工事を行った場合には、繰延資産(12 年)となります。そのスキー場でホテル、売店、レストランの経営者が、費用の一部を負担した場合についても同様です。
借地権として処理する方法も考えられますが、スキー場の場合、建物所有目的以外の土地賃貸借契約となると考えられるため、借地借家法によらず、民法の賃借権となります。実際の契約関係が「借地権がない」という結論であれば、現実的に繰延資産で費用化するというのが通達の趣旨でしょう。

医療費を補填する保険金

医療費を補填する保険金

医療費を補填する保険金

保険金が出た時に陥りやすいミス

所得税の確定申告で多い医療費控除ですが、個人で入っている生命保険から、入院給付金等が出ている場合、医療費控除の計算からその金額を差し引かなければなりません。ただし、差引計算はその補填を受けた治療等のみが対象なので、入院給付金が対象の治療費以上の額になったとしても、他の医療費から差し引く必要はありません。
例えば、
①病気で入院して、30 万円かかった
②生命保険契約により入院給付金として 50万円給付された
③入院とは別に、歯の治療により 20 万円かかった

という方の場合、医療費の計算は(30万円+20万円)-50万円=0円、という計算ではなく、30万円-50万円=0円(マイナスは計算しない)+20万円=かかった医療費は20万円ということになります。
保険制度が充実している昨今、こういった誤りが散見されます。注意しましょう。
また、かかった医療費よりもらった入院給付金等が多い場合ですが、怪我や病気になった時に受け取る入院給付金等については非課税となっていますので、この金額を所得として申告する必要はありません。ただし、被保険者が生前に受けた給付金を残して死亡した場合、残りの額は相続税の課税対象となります。

申告時に未確定の場合は見積額で

12 月に支払った入院費用を補填するための保険金の額が、翌年 3 月の確定申告の際に確定していない場合は「見積額」で申告することになります。また、見積額が後日保険金等の確定額と異なった場合は、医療費控除を訂正して申告する必要があります。

年またぎの保険金の補填は?

確定申告を行う年分とその翌年分に支払った入院費用に対して補填する保険金を、まとめて受け取った場合の医療費控除の計算は、支払った入院費用の額に応じて、各年分に按分する必要があります。
例えば、
①12 月にかかった入院費用は 50 万円
②翌年 1 月にかかった入院費用は 100 万円
③入院給付金等は 2 か月分で 60 万円

という方の場合、12 月分の保険金の補填額の計算は 60 万円×50 万円÷(50 万円+100万円)=20 万円、ということになります。

提出しないことの多い届出書

提出しないことの多い届出書

提出しないことの多い届出書

相互に確認し合うための届出書

消費税の届出書の中には、課税関係に影響のない、納税者と税務署とが相互に確認し合うためだけに提出が要求されているものがあります。
消費税課税事業者届出書(基準期間用)、消費税課税事業者届出書(特定期間用)、消費税の納税義務者でなくなった旨の届出書、消費税の新設法人に該当する旨の届出書、高額特定資産の取得に係る課税事業者である旨の届出書、などがそれです。

分かりきったものの提出を求める形式論か

これらの届出書による税務署との相互確認の内容は、消費税の申告書の提出義務者に該当することになった、あるいは、消費税の申告書の提出義務者に該当しないことになった、という事実についてです。
消費税申告書記載の課税売上高が 1000万円以下だったら、課税事業者選択でもない限り、翌々年は免税事業者になり、納税義務者でなくなるはずだ、そんな分かりきった届出など必要ないではないか、との意見も出そうです。

税務署には情報がないため

消費税の新設法人に該当する旨の届出書については、通達で、法人設立届で所要の事項の記載があれば、それだけでよし、としています。したがって、形式論で要求しているのではなく、事実の正確な把握には、税務署の持つ情報だけでは、必ずしも確定的な結論が得られるとは限らないので、情報を有している納税者に判断を求めている、ということ、と考えられます。
基準期間課税売上高が 1000 万円以下でも、高額特定資産の取得をしたとか、前期間の前半で 1000 万円超の課税売上があったとかで、免税事業者非該当となることもあり、これらは税務署にない情報です。

免税事業者が還付申告

消費税還付申告をした後、還付保留状態で税務調査があり、当該課税期間は課税事業者に該当しないので還付申告ができない旨の指摘を受けたものの、還付申告は受理されたまま修正申告書の提出を慫慂され、過少申告加算税が賦課された、という事例があります。
税務署サイドも、納税義務があるかの如く、消費税の納税申告書を送って来ていた、のかもしれません。当局の対応の是非はともかく、形式的な手続きながら、疎かにしていると火傷する、という事例です。

改正育児休業法のポイント 育休の個別周知・産後パパ育休

改正育児休業法のポイント
育休の個別周知・産後パパ育休

改正育児休業法のポイント 育休の個別周知・産後パパ育休

男女ともに仕事と育児の両立の趣旨

令和 4 年 4 月から改正育児・介護休業法が段階的に施行されます。少子高齢化が急速に進行する中、出産・育児等による離職を防ぎ希望に応じ男女共に仕事と育児等を両立できる社会の実現を目指しています。
① 2022 年 4 月 1 日施行の改定内容育児休業に間する研修の実施、相談窓口の設置等の雇用環境の整備や、妊娠・出産(本人又は配偶者)の休業の申し出をした労働者に個別周知・意向確認が義務付けられる等、事業主が労働者の育児休業取得に関して積極的に協力していくことが求められるようになります。具体的に見ると、

2022 年 4 月から施行

〇育児休業を取得しやすい雇用環境の整備
育児休業と産後パパ育休(後述)が円滑に行われるように、事業主は以下のいずれかの措置を行う必要があります。
ア、研修の実施  、イ、相談体制の整備(相談窓口)、 ウ、自社の労働者の取得事例の収集・提供 エ、自社の労働者へ方針の周知

○妊娠・出産(本人及び配偶者)の申し出をした労働者に制度の周知と取得意向の確認

労働者への周知内容は以下の通りです。
ア、制度の内容、    イ、申し出先、 ウ、育児休業給付金、 エ、労働者の負担する休業中の社会保険料

個別周知・意向確認方法
ア、面談 イ、書面交付 ウ、FAX 又は電子
メール等のいずれかで行う

2022 年 10 月から施行

〇育児休業分割取得、産後パパ育休(出生時育児休業)制度創設
大きな改正としては、子の出生後 8 週間以内に 4 週間までの産後パパ育休が創設されます。男性の育児休業取得の促進を図るため、出生直後の大変な時期に休業することはその後の子育てに大きな意義があるとしています。申し出をして、育児休業とは別に取得することができます。また、分割不可であった育休を 2 回に分割もできます。
さらに、労使協定をすれば育児休業中にスポットで就業することも可能になります。
男性の育児休業取得促進、仕事と家庭の両立支援に取り組むことは企業のイメージアップ、社員の意識向上、生産性向上、優秀な人材確保、人材定着にもつながります。

令和 4 年度の雇用保険料率 2 段階引き上げ

令和 4 年度の雇用保険料率
2 段階引き上げ

令和 4 年度の雇用保険料率 2 段階引き上げ

2 段階で引き上げ改定される雇用保険料

新型コロナの影響が続く中、おととしの2 月からこれまでの雇用調整助成金等の支給額は 5 兆円を超えていて雇用保険の財源不足が課題となっています。厚労省の審議会で議論されてきましたが、雇用保険料改定が決まりました。それによると労使折半で賃金の 0.2%を負担している失業給付などを支払う事業の保険料率は 4 月から半年据え置き、10 月から 3 月まで 0.6%上げるとしています。一般の事業では労使で 4 月~9 月 1000 分の 9.5、10 月~3 月は 1000 分の 13.5 となります。4 月の時点では労働者の給与から控除される保険料は変更ありません。

改定の内訳と流れ

雇用保険料は労使が負担する雇用保険料や国庫負担などで賄われています。雇用保険料の中身は失業給付(労使折半)、育児休業給付(労使折半)、雇用二事業(事業主負担、助成金や教育訓練に充てる)で構成されています。 今までは積立金が一定水準を超えていたことで労働者 0.3%、事業主 0.6%と原則より低い負担で抑えられてきましたがコロナ禍で積立金が枯渇してきています。
令和 4 年度の失業負担分は 4 月には据え置かれますが 10 月には 0.6 になります。また、育児休業給付に係る保険料率は年間通し 0.4%のまま据え置かれます。
一方、事業主のみが負担する「雇用保険二事業」の料率は 4 月から 0.3%から 0.35%に上がります。その結果事業主負担は全体で 0.65%になります。

料率改定事務 変更分はいつから

今のところの予想ですが、令和 4 年度の労働保険概算確定申告時に令和 4 年度の概算額として事業主負担の二事業の引き上げ分を乗せます。また、10 月からの料率改定の分は 10 月以降の概算賃金額に引き上げられる新料率をかけて保険料の概算額を出し、前半分と後半分を足して 1 年間の概算額とします。詳しくは令和 4 年度の労働保険料の計算方法が発表されてから確認することとなります。
各労働者の給与からの雇用保険料率の徴収額が上がるのは令和 4 年 10 月分給与からです。